「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年5/4分:荒木和博の巻)

乗馬とジェットスキー【調査会NEWS3254】(R02.5. 3): 荒木和博BLOG

 韓国の有力紙「朝鮮日報」のサイトに今日3日17時に出たニュースで「元山で馬に乗る金正恩*1の表情、米国の『目』が見ていた」というのがありました。
 記事によれば4月29日の韓国国会の質問で「米国の偵察衛星が元山で馬に乗った金正恩と、金正恩または周辺の人間がジェットスキーに乗る姿を捕らえたという報道があるが」という質問に対し鄭景斗*2防相は「特異動向がないことを確認したとお話ししましたが、議員のお話しになった内容を私どもが確認して、多様なそのような情報資料を確認して政府の立場をそのように明らかにしたものであります」と答弁したとのことです。
 しかし米国が今の北朝鮮べったりで信頼しているとは言いがたい韓国政府に対し、機微に渡る情報を提供するとは思えません。こういうことは、技術情報であれ人的情報であれ、明らかにすればどの程度の能力があるか分かってしまい、相手はそれに対する対策をとりますから全く明らかにしないか、ぼかして伝えるのが普通です。日本の警察の得意な「捜査に支障をきたすおそれがあるので答弁は控えさせていただく」というように。
 とすると、米国としては金正恩が健在でいてもらいたい韓国政府が飛びつくような情報を流して発表させたとも考えられます。今回の重病説は中国から流れた情報が多いようです。あるいは重病で再起不能になってもらいたい中国と、元気でいることにしてもらいたい米国の情報戦ということもあるかも知れません。

 まあ色々な意味で「荒木はアホだな」ですね。
 まず第一に「金正恩が健在でいてもらいたい韓国政府」ではなく「金正恩が重病でいてもらいたい荒木ら日本ウヨ」でしょう。
 荒木ら日本ウヨはその立場から韓国政府に悪口しますが、現時点では「重病説を否定した韓国政府」の方が正しかったわけで荒木はみっともないことこの上ない。
 そもそも「金正恩が健在でいてもらいたい韓国政府」といえるのは
1)韓国政府の発表「健在だと思われる」が間違いで、金正恩が重病だったとき
2)金正恩重病説を韓国政府が否定した事には残念ながら具体的な根拠はなく願望が優先していおり、『結果的に正しかった』にすぎないとき
だけです。「信用できる情報を元に健在と判断し、それが確かに正しかった場合」は「金正恩が健在でいてもらいたい韓国政府」とはいえない。
 そして、1)について言えばもちろん金正恩は健在でした。2)についていえばもちろんそんなことを荒木は証明できていません。
 第二に

 技術情報であれ人的情報であれ、明らかにすればどの程度の能力があるか分かってしまい、相手はそれに対する対策をとりますから全く明らかにしないか、ぼかして伝えるのが普通です

と書きながら

 米国としては金正恩が健在でいてもらいたい韓国政府が飛びつくような情報を流して発表させた

と荒木が書くのが意味不明です。

 技術情報であれ人的情報であれ、明らかにすればどの程度の能力があるか分かってしまい、相手はそれに対する対策をとりますから全く明らかにしないか、ぼかして伝えるのが普通です

なのだから「議員ご指摘の米国の衛星写真も用いて判断しました」と韓国政府が言ったからと言って、それは「米国の衛星写真を最大の根拠に判断した」という話ではないわけです。
 韓国政府が独自に入手した情報も根拠にしたが

 技術情報であれ人的情報であれ、明らかにすればどの程度の能力があるか分かってしまい、相手はそれに対する対策をとりますから全く明らかにしないか、ぼかして伝えるのが普通です

なのでその点はぼかした、米国の衛星写真については米国政府から情報が出てるし、今更ぼかしても意味がないという判断からぼかさなかったという話でしょう。
 第三に

 重病で再起不能になってもらいたい中国

とはどういう意味なのか。
 「中国から重病情報ガー」という荒木ですが、それらは中国政府の公式発表ではありません。
 中国政府は公式には「重病という事実を確認していない」とし続けました。大体、なんで中国政府が「重病で再起不能になってもらいたい」なんて思うのか。
 金正恩に不満を感じると共に、彼の重病時に彼にかわる「中国にとって都合の良い後継」が擁立できるのでない限り、中国が再起不能など望むわけがないでしょう。そしてそもそも「都合の良い後継」以前に「金正恩に強い不満を感じてる」つう事実自体がないでしょう。

 それよりこんなことを考えながらふと思ったのは1世紀少し前、日清戦争日露戦争のとき、当事者であるはずの朝鮮半島の政府が結局バイプレイヤーですらなかったように、日清・日露が米中に替わっても、すでにそうなりつつあるのではないかということでした。

 「はあ?」ですね。もちろん大国である中国(韓国の重要な貿易相手国&北朝鮮にとっての最大の貿易相手国)、米国(韓国の軍事同盟・相手国&重要な貿易相手国)の意思を無視して対北朝鮮外交を展開することは韓国には無理でしょう(というかそれは韓国に限った話ではなく、例えば日本だって米国の意思を無視した対露外交は無理であり、そのため、プーチン*3から『島を返して欲しければ在日米軍を絶対に置かないと事前確約しろ』と言われても何も言えないのが安倍です)。
 ただしどこをどう見れば『北朝鮮問題においてバイプレイヤー(脇役)ですらない』というほど韓国外交に自主性がないという判断になるのか。トランプ・金正恩会談は韓国政府の仲介による物でしょうに。
 むしろ『北朝鮮問題においてバイプレイヤー(脇役)ですらない』のは、会談についてトランプが正式に発表するまでは「事実を確認中」としか言わなかった、どうみても「トランプと金正恩の会談を明らかに事前に知らされていたとは思われない」日本政府ではないのか。まあ、それ以前に日本政府に「バイプレイヤーになる意思」があるかどうか自体が怪しいですが。
 なお、日清、日露と今とでは全然政治情勢が違うので比較すること自体がばかばかしい。
 日清、日露の時代は「大国は小国を軍事力で屈服させて植民地にしていい」と言う時代でした。
 そして「韓国を植民地にしたい日本」と「それを阻止したい清(中国)やロシア」との間に起こったのが日清、日露戦争です。
 日清、日露戦争で敗北した清とロシアはそれ以降は日本の韓国植民地化を容認した(まあ清の場合、それどころか自国が植民地化の危機に直面するわけですが)。
 米国や英国、フランスなど欧米列強も「日本が韓国を植民地化しても別にかまわない」と容認した。
 これに対し、当時の韓国は確かに「国力の弱さ」からそうした「大国の無法」を阻止できませんでしたが、これは何も韓国に限った話ではなく、欧米が植民地化した東南アジアやアフリカなども同じ話です。
 一方、今の時代はそう言う「大国は小国の意思を踏みにじっていい」という無法が公然と出来る時代ではない。そして韓国も「世界に冠たる経済大国」であり、日清、日露戦争時代の小国とは違います。

 中国はもちろん米国も、日本人拉致被害者を助けてくれない、自分たちでやるしかないと覚悟すべきでしょう。

 まあ確かにそうですが、そこで何をやるかと言ったら外交交渉しかないでしょう。ところが外交交渉を事実上否定して「自衛隊で救出すればいい」と言い出すバカが荒木ですから心底呆れます。

*1:北朝鮮国務委員長、朝鮮労働党委員長、朝鮮人民軍最高司令官

*2:空軍参謀総長、合同参謀議長などを経て国防相

*3:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領