「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年5/5分:荒木和博の巻)(注:横溝正史原作・市川崑監督映画『病院坂の首縊りの家』のネタばらしがあります)

加害者兼被害者【調査会NEWS3256】(R02.5. 5) : 荒木和博BLOG
【注記】
 横溝正史原作・市川崑監督映画『病院坂の首縊りの家』のネタばらしがありますので『ネタばらしを知りたくない方』は以下は読まない方がいいでしょう。とはいえあの映画(桜田淳子の代表作の一つ)のネタは割と有名だとは思いますが。

 結局金日成*1金正日*2に殺されたようなものですし、金正日金正恩*3との電話での口論の後急に病状が悪化してまもなく亡くなったと言われています。

 いつもながら荒木には「おいおい」ですね。まず第一にその「金日成金正日、あるいは金正日金正恩の口論」で「精神的ストレスから金日成金正日が寿命を縮めた」云々というのはまともな根拠があるのかという話ですね。
 第二に「それが仮に事実としても」拉致の解決と何の関係があるのかと言う話です。

 今本当に生きているのかどうかわかりませんが金正恩も大往生とはいかないでしょう。

 おいおいですね。健在を示す動画が出たのに何を言ってるのか。
 「アレは影武者だ。本当の金正恩は死んでる」とでも言うのか。言ってる意味がさっぱり分かりません。まあ、仮に荒木が「影武者だ」というのだとしてもまず第一に「根拠出せ」と言う話であり、第二に「それが仮に事実としても*4」拉致の解決と何の関係があるのかと言う話です。
 ちなみに話が「北朝鮮問題」から完全に脱線しますが、「実は本物は死んでて影武者が本物の振りをしてる」という設定の時代劇として俺が知ってるものでは

黒澤明監督作品「影武者」(1980年、ウィキペディア参照)
◆あらすじ
 天正元年、武田信玄(配役:仲代達矢*5)は、ある夜、狙撃され、上洛の野望叶わずして死す。自己の死は秘匿し、幼い嫡孫・竹丸が成長するまで3年は動かずに領地を固めてほしい、との遺言を託された信玄の弟・武田信廉(配役:山崎努)と重臣らは、信玄の死を内部にも明かさず、信玄に瓜二つの盗人(配役:仲代達矢)を、信玄の影武者として立てることとする。
 信玄として屋敷へ戻った影武者は、嫡孫・竹丸や側室たちとの対面を危ないところを見せながらも果たし、やがては評定の場においても信玄らしく振舞って収めるなど、予想以上の働きを見せていく。しかし信玄の存命を疑う織田信長(配役:隆大介)や徳川家康(配役:油井昌由樹)は、陽動作戦を展開しだす。それに対し諏訪勝頼(配役:萩原健一)は独断で出陣し、武田家内には不協和音がもたらされる。勝頼は側室の子ゆえ嫡男とはみなされず、自身の子、竹丸の後見人とされており、かつ、芝居とはいえ下賤の身である影武者にかしずいて見せねばならぬなど憤懣やる方なかった。
 しかしある日、影武者は信玄の愛馬から振り落とされ、川中島上杉謙信につけられた傷がないことを側室に見られてしまい、ついにお役御免となる。重臣らはやむを得ず、勝頼を武田家の総領とすることを決定するが、功にはやる勝頼は重臣たちの制止を振りきり、長篠で、織田・徳川の連合軍と相対する。三段構えの敵鉄砲隊の前に武田騎馬軍の屍が広がる中、影武者だった男は、槍を拾い上げ、ひとり敵へと突進していく。
 戦が終わり、男は致命傷を負いながらも死屍累々の戦場の中を徘徊し、喉を潤すべく河に辿り着いた所で河底に沈む風林火山の御旗を見つけ、駆け寄ろうとして力尽き斃れ、その屍が河に流される所で物語の幕は下りる。

隆慶一郎の小説「影武者徳川家康」(ウィキペディア参照)
 徳川家康が実は関ヶ原の戦いで西軍により暗殺され、影武者と入れ替わっていたという内容で、『静岡新聞』に1986年1月4日から1988年11月30日にかけて連載され、1989年、新潮社から単行本(上下巻)で刊行された。1993年、上中下の全3巻で新潮文庫化。
◆漫画版
 『影武者徳川家康』のタイトルで、1994年から1995年まで『週刊少年ジャンプ』(作画:原哲夫)で連載された。
◆テレビドラマ (1998年・テレビ朝日版)
 本物の家康、影武者が演じる偽物の家康、ともに高橋英樹が演じた。
◆テレビドラマ (2014年・テレビ東京新春ワイド時代劇」)
 本物の家康、影武者が演じる偽物の家康、ともに西田敏行が演じた。

がありますね。
 時代劇ではなくてミステリーとして俺が知ってるものでは横溝正史原作、市川崑監督、石坂浩二主演の『病院坂の首縊りの家』が「実は本物(法眼由香利)は死んでて、うり二つの別人(山内小雪)が本物の振りをしてる*6」という設定です。
 ご存じの方も居るでしょうが、映画の冒頭で生首風鈴が天井からぶら下がってる奴ですね。
 『犬神家の一族』の生首菊人形とか、横溝作品は本当に生首持ち出すのが大好きです。
 角川映画(1979年)では法眼由香利、山内小雪の「一人二役(?)」を桜田淳子(1958年生まれ)が演じました。
 なお、横溝作品では『病院坂の首縊りの家』のような「一人二役トリック」または「二人一役トリック」が使われることが多く、そうした作品としては小生の知ってる物では、他に

【あいうえお順】
悪魔が来りて笛を吹く
悪魔の手毬唄*7
犬神家の一族*8
『黒猫亭事件』
『真珠郎(戦前作品で原作に金田一は出てこないが、古谷一行金田一シリーズで金田一物として制作されている)』

があります。

 少しでも不幸な人間を救おうとするなら、やはり根本からあの国を変えてしまうしかないのではないか、そう思っています。

 おいおいですね。拉致の解決ではなく、北朝鮮の政権転覆がやはり巣くう会の目的なのかと呆れざるを得ません。

【参考:病院坂の首縊りの家

「木魚のおと」:『病院坂の首縊りの家』はなぜ最後の事件となり得たか
 『病院坂の首縊りの家』は、なぜ金田一耕助最後の事件となり得たのでしょうか?
 そこには、ある恐ろしい事実が隠されていたのです。
 いえ、それは最初から隠されてなどいませんでした。読者の前に、堂々とさらけ出されていたにも関わらず、誰ひとりとしてそれを認めようとはしなかっただけなのです。
 金田一耕助は、この事件で命を落としたのです。

 かれ*9は右ポケットからピストルを取り出すと、金田一耕助をめがけて三発、四発。
 金田一耕助がバッタリ倒れて、かれの手から二百枚の一万円紙幣がパッと靄の中に散乱した。
金田一先生、それじゃあなたは……それじゃあなたは……こ、こ、こんな無茶な……こんな無茶な……」
「大丈夫ですよ、警部さん、ぼくだって防弾チョッキくらいは用意してますよ」
(角川文庫『病院坂の首縊りの家』下巻 P.333~334より抜粋)

 ちょっと待った! そんな筈はありません。だって、この事件の犯人は、今まで一度もピストルなんか使わなかったじゃないですか。それなのにどうして今回に限って防弾チョッキが必要だと、金田一にわかったのでしょう(近年の防弾チョッキは、材質も改良を重ねてナイフ程度の攻撃は防ぐそうですが、事件当時の防弾チョッキは、その限りではありません)。
 防弾チョッキとは、その名のとおり銃弾を防ぐために存在しているもので、ナイフなど刃物の攻撃に対しては、まったく役に立ちません。
 同じ用心をするなら、ものかげに応援をひそませて、いつでも犯人を取り押さえられるようにするのが先決の筈。防弾チョッキを着る必要性は、この時どこにもなかったのです。
 それに、金田一耕助は一体どこから防弾チョッキを調達したのでしょう?
 いかな名探偵といえど、こんな物騒なものを常日頃から所持していたとは考えられません。
 提供した相手は、金田一の身を案じなかったのでしょうか? 彼の意図を見抜き、止めようとはしなかったのでしょうか?
 どちらも、とても考えられることではありません。
 つまり、犯人に撃たれたとき、金田一は防弾チョッキなど着ていなかった、というのがもっとも妥当な結論なのです。名探偵金田一耕助氏は、この時死亡したのです。
 このことは、最終章「拾遺」を読めば、誰でも気がつくことなのです。

 その金額をきいて私もびっくり仰天せざるをえなかった。それは子供のないこの老夫婦が、つつましく暮らしていけば、余生を楽に過ごしていけるくらいの金額であった。(同 P.380)
 「先生は全財産をあちこちの施設に寄付していったらしい形跡があるんです」(同 P.381)
 金田一耕助氏は消えてしまったとしか、いまのところいいようがない。(同 P.382)

 財産を施設に寄付した形跡とは、どういうものなのでしょう? これから行方をくらますつもりの人間が、いちいち名を名乗って寄付して回ったとでもいうのでしょうか? そんな情報まで手に入るのに、なぜ風間建設は金田一耕助の行方を突き止められなかったのでしょう。
 答えは簡単です。緑ヶ丘マンション管理人の山崎夫妻や、各施設に対する財産分与は、すべて金田一耕助が遺した遺言状の執行だったからです。
 作者自ら、最後にこう書いているではありませんか。

 私はこれを金田一耕助氏の遺言だと信じている。遺言は守らなければならない。(同 P.383)

 たとえ失踪したとはいえ、生きているであろう人間の言葉を「遺言」とは普通は言いません。この文章は、作者が金田一の死を暗示、いや、公表しているとしか解釈できません。

 もちろん、この文章はギャグですが、実際に、「病院阪の首縊りの家」事件において、それ以前の犯人の犯行には拳銃など使われていないし、『病院阪の首縊りの家』事件以前の過去の事件(「獄門島」「悪魔の手鞠唄」など色々ありますが)において金田一が防弾チョッキを用意して捜査にあたったことも無いので、どう見ても設定がご都合主義です。なお「犯人が凶器に拳銃を使う」のは原作の設定であり、市川崑映画ではそういうことはありません。

病院阪の首縊りの家 ~金田一耕助最後の事件~ | チャカチャカりきりきのブログ
 市川崑監督作品「病院坂の首縊りの家」。原作は横溝正史推理小説病院坂の首縊りの家」。石坂浩二金田一市川崑のタッグ作品は20世紀ではこれが最後の作品ですね。そして原作の金田一耕助もこれが最後の事件となっています。
 昭和石坂金田一シリーズはすべて制覇しましたがこれが一番、泣けたような気がします。というよりこれが一番私にとっては悲劇的に感じました。
【あらすじ】
 金田一耕助石坂浩二)はアメリカへの渡米を控え、久しぶりに知人の老推理作家(横溝正史)の下を訪ねる。金田一がパスポート用の写真を用意していないことを知った作家は写真撮影を本條写真館に頼めばいいと紹介する。
 そこでは経営者の本條徳兵衛(小沢栄太郎)、若主人の本條直吉(清水紘治)と手伝いの日夏黙太郎(草刈正雄)が働いていた。金田一が探偵だと知った徳兵衛は自分が何者かに命を狙われていると話す。どうやら徳兵衛は廃ビルを視察した際に自分の頭上から風鈴がとつぜん降ってきたという。金田一は調査を承諾する。
 一方、本條写真館にある女性が結婚写真の撮影を依頼にくる。後日やってきた結婚する夫婦の夫らしき人物が直吉を迎えにくる。直吉はカメラを持ってその夫に連れられるままある廃屋に連れて来られる。
 その廃屋は元々、法眼病院という病院の跡地でその跡地で女が一人、首を縊った過去があることから「病院阪の首縊りの家」と呼ばれていた。
 その廃屋の部屋で、夫婦の間に風鈴が吊るされていた。また妻は先日、撮影依頼をしに来た女性に瓜二つだった。夫は乱暴な態度で直吉にさっさと写真を撮影するように指示する。後にその写真を観た本條徳兵衛はこの女性は法眼病院の娘・法眼由香利(桜田淳子)であると話す。
 後日、再び法眼由香利らしき人物から電話で同じ場所で今度は風鈴をとってほしいと依頼される。金田一もそれに同行。しかし前回、撮影した部屋に入るとそこには撮影した夫婦の夫の生首と誰かの歌が書かれた札、そして風鈴が吊らされていた。
 そこに不審な男を発見。黙太郎はその男を追い詰め、彼を捕まえる。
 事件の捜査主任・等々力警部(加藤武)と阪東刑事(岡本信人)は法眼家とその縁戚、五十嵐家を廃屋に呼ぶ。五十嵐滋(河原裕昌(現・河原さぶ))とその母・田辺光枝(三条美紀)、更に人力車引きの三之介(小林昭二)にひかれた人力車から法眼家の未亡人・法眼弥生(佐久間良子)が連れてこられる。滋は夫婦の結婚写真を見て、妻の方は由香利だと話すが弥生はそれを否定する。やがて由香利も連れて来られ、ひとまず写真に写っているのは由香利ではないという結論になる。
 やがて夫婦の身元が判明する。山内敏男(あおい輝彦)と山内小雪桜田淳子)だという。二人は血の繋がっていない兄妹だと、証言したのは黙太郎が捕まえた男・吉沢平次(ピーター)だった。吉沢によると二人は同じ米軍進駐を回っていくバンドグループ・パイレーツのメンバーだという。
 一方の金田一はかつてこの屋敷で首を吊った女性の身元を調べる。当時の担当刑事・加納巡査(大滝秀治)に当時のことを聞き出す。被害者は山内冬子(萩尾みどり)。なんと敏男と小雪の母親だった。さらに法眼弥生の夫で既に他界した法眼琢也(菊地勇一)の愛人のひとりだった。
 そして所轄署に小雪からの遺書が届く。その内容は自分が兄・敏男からの深い愛情に迷惑し彼を殺してしまった、自分もあとを追って死ぬ、との内容だった。しかし金田一はその遺書の指紋を等々力に調べさせ、遺書には小雪の指紋が残っていないことを明らかにする。
 数日後、本條徳兵衛が何者かに殺された。金田一は事件の行方ばかり追って肝心の徳兵衛の命を狙う人物の調査を怠っていたことを猛省する。またさらに数日後、吉沢が殺され、その現場に居た滋が犯人だと疑われる。
 金田一は法眼弥生の亡き夫・法眼琢也の歌集を見つける。その歌集は山内兄妹のことが詠われ、また東北のことも詠われていた。繋がりの全く見えない山内敏男の生首風鈴殺人事件、本條徳兵衛殺し、吉沢殺しの三件の原点は東北にある、と東北へ向かう。金田一の助手のような役目を担う黙太郎は、山内冬子について調査。しかしその途中で本條直吉が何者かに重傷を負わされる。
 東北での調査を終えた金田一は帰ってきてから法眼家に「警察に捕らわれた滋」と「入院中の本條直吉」以外の関係者を呼び寄せる。
 まだみんなが来ない頃、金田一は弥生と一対一の話をしていた。弥生の過去と法眼家について。
 五十嵐猛蔵(久富惟晴)という男が縁戚で病院一家の法眼家乗っ取りを企て、無理やり弥生の母・千鶴(入江たか子)と結婚。まだ十五歳の義娘・弥生を犯し、その強姦のようすを本條家先代の男に撮影させた。
 さらにその性交により、法眼弥生が生んでしまったのはなんと、冬子だったのだ。冬子は生まれてすぐに追い出され名前は引き取った親がつけたのだった。その後、五十嵐猛蔵は(中略)千鶴に突き落とされ死亡する。
 しかし生活に困った千鶴のために弥生は法眼琢也に嫁いだのだった。千鶴はそれ以来、法眼家の屋根裏部屋でひっそりと隠居している。
 やがて琢也との間に由香利が生まれる。それからしばらくして法眼家に琢也の愛人だった山内冬子が訪れる。冬子は生まれた頃に持っていた南部風鈴から自分の実母が愛人・琢也の正妻である法眼弥生だということを突き止め、話をしようとするが由香利に「父の愛人と会わせるわけがない。乞食め」と罵られ追い払われる。
 絶望した山内冬子は首を吊って自殺。敏男は法眼家へ冬子が訪れたせいで冬子は自殺した、と思いそれ以来、法眼家への復讐を誓う。
 さらに何年か経ち、経営危機に陥った本條徳兵衛は先代が残した乾板から写真を復元できる、と弥生を脅迫しはじめる。弥生は徳兵衛を風鈴で殺そうとするが失敗する。
 また、同じころに病院坂の町に敏男と小雪のパイレーツがやってくる。敏男は血のつながらない妹・小雪を女として愛し求婚までするが小雪はそれを拒絶する。
 そして敏男は復讐計画を実行。法眼由香利を拉致し一時的な精神崩壊剤を打ち込む。本條写真館を病院坂の首縊りの家に呼び寄せ結婚写真を撮影。敏男は自分を拒絶する小雪の代わりとして由香利に接吻をしたりする。
 小雪と敏男が隠れるように暮らすガレージで、抵抗する由香利を敏男は誤って突き飛ばし由香利は頭を打って死亡する。敏男は絶望し自分の首を切る。息の絶える直前に小雪に「俺の生首を首縊りの家に吊るせ」と遺し息絶える。
 混乱した小雪は唯一、頼れる人物・法眼弥生を呼び出し協力を依頼。弥生は自分の娘・由香利が死んだことを深く悲しむと共に小雪の境遇に自分を重ね合わせ協力。病院坂の首縊りの家に敏男の生首と南部風鈴、そして法眼琢也の歌を吊るした。
 それ以来、弥生の進言により小雪は容姿が瓜二つの法眼由香利になりかわる。山内小雪の犯行に見せかけるために遺書を書き、それを警察に送ったのだ。
 また、脅迫する本條徳兵衛を殺害し、さらに法眼由香利の正体が山内小雪であると見抜き脅迫してきた吉沢も殺害。その罪を吉沢から聞かされ弥生を脅迫してきた五十嵐滋にその罪を着せたのだった。そして徳兵衛の意志を継ぎ脅迫してきた直吉も殺そうとするがこれには失敗した。
 そこに一同が現れ、等々力警部も金田一から真相を聞かされる。
 全員が真相を全て知った後、三之介がやってきて、弥生の母・千鶴が死んだことを伝える。金田一たちは屋根裏部屋に駆け込み、千鶴の死を確認する。
 しかし千鶴の下に集まったメンバーの中に弥生の姿が見えない。等々力と阪東は弥生を捜しに出る。だが阪東が重要証拠品の乾板を回収しなければ、というセリフに等々力は「そんなものあっただろうか」ととぼけて捜しに出かけて行った。
 そして金田一は悲惨な一枚の乾板を地面に落として割るのだった。
 法眼弥生は敏男の胴体と由香利の遺体の始末やそれ以外にも事件に協力してくれた人力車の三之介に感謝していた。
 「これからの法眼家はどうなるのでしょう」
 「きっと小雪さんが上手くやってくれるでしょう」。
 弥生のたっての希望で冬子が命を断った病院坂の首縊りの家の前に到着する。三之介は弥生を人力車から降ろそうとするが、弥生は人力車の中で自ら命を断っていた。三之介は帽子をとり泣き崩れる。それを坂の上から金田一は見下ろし去っていった。
 実はこの映画、私的には小林昭二さん演じた三之介がすごくいい味を出してると思うんですよ。(ボーガス注:『犬神家の一族』(1976年)の犬神幸吉、『悪魔の手毬唄』(1977年)の日下部是哉、『獄門島』(1977年)の竹蔵、『女王蜂』(1978年)の木暮刑事、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の三之介と)昭和石坂金田一シリーズにはすべて出演した小林さんですがこの映画が一番、小林さんがよかったなあと思える感じでした。
 なんたる偶然が重なったストーリイでしょう。だって自分の娘がまさか自分の夫の愛人になるなんてねえ。まあ架空の物語ですけども、それでもその偶然が重なり悲しい惨劇が訪れてしまったんですね。この映画が昭和石坂金田一シリーズで一番悲しい映画だと思いました。

題:横溝正史著 「病院坂の首括りの家」を読んで|戸蒔 秋二|note
 本書を読んで疑問を感じた筋に、若干の感想などを記述したい。筋が明らかになることもあるので、本書を読んで楽しみたいと思う人は以降読まないことを勧める。
1)
 まず、第一に大きな疑問は由香利と小雪のあまりにも似かよった容貌である。本書では彼女たちは叔母と姪の関係にあることが、二人の人物の瓜二つの根拠としている。でも、それでは、一卵性双生児と同等な容貌には成り得るはずがない。

 まあフィクションですからねえ。

もっと映画な生活! 『病院坂の首縊りの家』 これが最後だ!金田一最後の事件!シリーズの集大成
 市川崑横溝正史石坂浩二のトリオでお馴染み金田一耕助シリーズの最終作、病院坂の首縊りの家を紹介します。
 横溝正史作による同名の長編推理小説の映画化。
 『金田一耕助 最後の事件』として有名です*10
 原作ではなんと事件発生から20年を書くというとんでもない長編作となっていますが本作は小説で言うところの上巻の部分を市川崑が見事に一つの映画として完成させました。
◆簡単なあらすじ
 奈良県吉野。
 この街に古くからある本條写真館に一人の女性*11が出張撮影をお願いできないかと訪ねてくる。
 彼女の話では兄の結婚写真らしい。
 撮影場所はかつて女性*12が自殺した廃墟。
 殺気立った花婿*13に、朦朧としている花嫁*14
 金屏風の上には季節はずれの風鈴が吊られておりなんとも不気味な光景だった。
 無事に撮影は終了。
 程なくして依頼主の女から電話が。
 『風鈴を撮影して欲しい』と言う奇妙な依頼。
 しぶしぶ廃墟に戻ってみるとそこには恐ろしいモノを発見。
 花婿の生首が風鈴のように吊るされていた。
 本作は過去の(ボーガス注:市川崑監督、石坂浩二主演の)四作品『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』の中で(ボーガス注:観客にとって理解が困難な)トップクラスの難事件です。
 と言うのも、とにかく人間関係が複雑なのです。
 入江たか子*15佐久間良子*16萩尾みどり*17桜田淳子*18という4代に渡った家系図を理解する必要があります。
『え?この人は誰の子?』
『ん?こいつの父親は誰?』
『あ?この二人は血が繋がってないの?』
なーんてモタモタしているとものの見事に物語に置いていかれます(笑)
 劇中の金田一すらその複雑さに苦戦!
◆最後にふさわしい超豪華な出演者たち
 この映画・・・なんと言っても桜田淳子が超絶に美しい!
 本作では兄を慕う心優しい山内小雪(右)とエキセントリックな法眼由香利(左)の二役を演じます。
 この二人、姉妹ではないのに瓜二つなのですがこのソックリな理由というのも本作の鍵になる要素。
 山内小雪は兄の敏男(あおい輝彦)とともに進駐軍の駐屯地をまわるジャズバンド「アングリー・パイレーツ(名前最高)」の一員です。
 彼女が歌うのは『ペーパームーン*19
 このブログでも紹介した名画のタイトル曲です。
 これがとても良い雰囲気で歌手・桜田淳子としても非常に魅力的です。
 そして佐久間良子が演じる法眼弥生。
 この物語の中心人物であり誰にも言えない秘密を抱える影のある未亡人をしっとりと演じています。
 弥生は(ボーガス注:五十嵐)猛蔵(ボーガス注:配役は久富惟晴)という化物のような男のせいで呪われた人生を歩んできました。
 他にも、萩尾みどり*20、ピーター*21、中井貴惠*22、三条美紀*23岡本信人*24小林昭二*25白石加代子*26草笛光子*27小沢栄太郎*28などなど過去の(ボーガス注:市川崑金田一)作品でもお馴染みの出演者がそれぞれ存在感ある演技を魅せてくれます。

金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家 - tatzulog
 ところで、「病院坂の首縊りの家」は市川崑監督の映画版でご存じの方も多いのではないだろうか。大長編である原作をそのまま映画化することは出来ないため、原作では解決まで20年近くかかった迷宮入り事件を数ヶ月に短縮したり、事件の展開や登場人物にも数々の改変が加えられたりしてまったくの別物になっている。結末も原作と異なるが、あの坂道での美しいラストシーンには強く心を動かされた。
 映画版「病院坂の首縊りの家」の見どころは、何と言っても桜田淳子一人二役で演じている法眼由香利と山内小雪である。ジャズ・コンボ「怒れる海賊たち(アングリー・パイレーツ)」のボーカルとして、「It’s Only a Paper Moon」を歌う姿はとても魅力的だった。

病院坂の首縊りの家(ネタバレ) | 映画でもどうどす?
 作家横溝正史(本人出演)の自宅に、金田一耕助*29が訪ねてきます。
アメリカに行こうと思います」
 横溝先生から紹介された写真館で、パスポートの写真を撮ろうとする金田一
 その写真館には、ちょっとおっチョコな見習い日夏黙太郎*30が働いてました。
 このおっチョコ野郎が、金田一のためにあれこれ働いてくれる事になるよー。
 その写真館の主人*31に、「殺されそうになって命がピンチじゃよって、調べてプリーズ」と依頼される金田一
 そんなこんなの写真館に一人の女*32が現れます。
 「今日結婚式の写真を撮りたいから、出張してきて欲しい」
 写真館の息子*33とおっチョコが案内された場所は、「病院坂」にある廃屋で、花嫁*34はどうも様子が変でしたが、新郎の男・矢吹ジョー*35が、「かってに嫁に触ってんじゃねー」とか怒ったりするのでさっさと写真だけ撮って帰宅。
 後日のその廃屋にもう一度請われて行くと、そこには男の生首が風鈴の見立てみたいにしてぶら下がってたからさぁ大変。
 この廃屋の所有者は、病院経営をしている法眼家。
 そして新婦は、そこんちのお嬢様・法眼由香利*36じゃないか、
 新郎は山内敏男*37と判明。
 山内…といえば、かつてこの「病院坂の首縊り」の名前の由来になった、縊死自殺を遂げた山内冬子*38と何らかの関係が?
 そこへ「山内小雪*39」と名乗る女性から手紙が届き、
「犯人は、このワタクシ!
 兄貴と血がつながってないのですが、彼が、くりいむレモン的感情を抱き、結婚しようとうっせーのでぶっ殺しときました。
 法眼家は、母親山内冬子の敵なので、兄貴の首をぶら下げといたったわ。ザマァ。
 でも私は罪を犯したので、死にます」
 しかしこの手紙に小雪の指紋がなかったことから、金田一はホンマに小雪が書いたんか?と疑問を。
 事件が膠着したかに見えた頃、写真館の主人が殺されます。
 金田一が調べると、現・法眼家当主「法眼弥生*40」は、かつて母親*41の再婚相手である五十嵐*42に無理やり致され、その現場を写真館の主人に激写され(ボーガス注:主人に)脅されていた事がわかってしもうた。
 そして、自分が密かに産んだ再婚相手・五十嵐との間に出来た娘冬子もまた、五十嵐(鬼畜)に手篭めにされ、妊娠。その娘が小雪だったこともわかってしもうた。
 弥生は小雪の不遇さに、彼女と由香利は瓜二つなのを利用し、由香利と偽ることを決意。
 由香利を過失とはいえ殺してしまった敏男は、自殺。
「オレが死んだらよぉ~~~、三途の川でよ~」じゃなく、「首を切り落として風鈴にしてちょ」
「んもう!わけわからんわ!!」な事をお抜かし遊ばしましたが、まぁ遺言なので、小雪と弥生は言いつけ通り風鈴にしようとしますが、殆どの作業を行ったのは弥生。
 写真館の主人は、弥生が陵辱されている時の写真のネガを持っていて、ずっと弥生を強請っていたので、弥生に殺されますた。
 これらのことが余すところなく発覚し、弥生は自ら死を選びます。
 全てを知った金田一は、病院坂の上に佇みます。
 不幸な宿命に翻弄された女に、悲しみと慈しみのこもった視線を投げかけながら。
 おしまい

横溝正史原作の金田一耕助シリーズの映画「病院坂の首縊りの家(石坂浩二・佐久間良子・桜田淳子)」 (page 2) - Middle Edge(ミドルエッジ)
 敏男*43の墓参りをする小雪*44に由香利さんならそんなことはしないと言う金田一*45
 「あなたは山内小雪さんですね」
 由香利(実は小雪)「……」
 金田一「あの偽りの遺書はあなたの意志で書いたものではないですね」
 由香利(実は小雪)「……」
 金田一「もう何もかも話してください」
 弥生(演:佐久間良子
 15歳の時、猛蔵*46によって犯された弥生は、その姿を猛蔵の命令によって当時の本條写真館の主(徳兵衛*47の親父)によって写された上妊娠し、翌年女児を出産した。
 弥生に深く同情した金田一は、最期に、弥生が(ボーガス注:写真をネタに彼女を恐喝していた本條写真館主人・徳兵衛殺害の)犯人である重要な証拠物件である「弥生が猛蔵に犯されている忌まわしい写真の乾板」を(ボーガス注:犯行動機を裏付ける証拠物件として押収しようとする警察を出し抜き)叩き割る行動に出る。
(中略)
 「五十嵐猛蔵は恐ろしい」と言う金田一に「猛蔵はとっくに死にました」と言う弥生。
金田一「いや。あなたはまだ猛蔵の支配から抜けていない。それはたった一枚の写真があるからです」
弥生「何のことです」
金田一「その写真をめぐって殺人が行われたんです。犯人はあなたです」
小さな箱を見せる金田一
金田一「この箱の中にその乾板が入っています」
弥生「あなたはそれを見たんですか」
金田一「ええ。あなたが猛蔵に犯されている写真です」
弥生「……」
金田一「この乾板は僕以外に見てません。乾板の渕には大正2年1月14日、本条紋十郎と書かれていました。あなたが15歳の時です。あなたは妊娠して女の子を出産した。それが冬子さんです」
弥生「それをどうして」
金田一「あなたも気づいたはずだ。小雪さんの持っていた冬子さんの遺品の風鈴を見た時に」
弥生「……」
金田一「そのことは小雪さんから聞きました」
(中略)
小雪に「気を付けて」と言う弥生。
弥生「誰が何を言っても由香利でいるのよ」
小雪「私には耐えられそうもありません」
弥生「私は由香利の代わりにあなたに法眼家を継いでもらうつもりです。あなたが由香利そっくりだと言うのが私のたった一つのよりどころなんです」
 小雪は、弥生の夫である琢也*48と山内冬子*49(実は弥生の子)の子供なので、弥生と琢也の子である由香里に瓜二つなのである。
(中略)
 そこに現れる等々力*50たち。「まさか小雪と由香利が入れ替わってるとは」と言う等々力に、「吉沢はそのことを知った」と言う金田一
金田一「そのことで吉沢*51は滋君*52を脅した。それで滋君は小雪さんの正体を知り、奥さんを脅した。奥さんは吉沢に滋を呼ぶように命令してガレージに呼び出し、そこで殺した」
等々力「ううむ。そのあとに滋が来たわけか。では徳兵衛*53は?」
金田一「徳兵衛は奥さんを恐喝してました。それは先代の本条紋十郎さんが撮った奥さんの写真です」
等々力「どんな写真だ」
金田一「それは僕の口から言えません。写真はこの箱に入ってます」
等々力「それはどこに」
金田一「暗室にありました」
 「由香利と敏男の遺体はどこに」と言う等々力に「海の見える松林に埋めた」と答える弥生。
 そこに現れる三之助*54
 「大奥様*55がお亡くなりになりました」
 「まだ誰がおったのか」と怒鳴る等々力。
 「その人はどこにいる」
 「屋根裏部屋です」
 屋根裏部屋に行く一同。
(中略)
 その間に姿をくらます弥生。
 お前がぼやぼやしてるからだと言う等々力に(ボーガス注:殺害動機を裏付ける)重要な参考品の乾板はどうなりましたと聞く坂東*56
等々力「(ボーガス注:弥生の自殺を予想した上で)そんなものはあったかな」
坂東「え」
 忌まわしい乾板を叩き割る金田一

病院坂の首縊りの家
 昭和26年。アメリカへ行く前に「先生(横溝)」の所を訪ねた後、金田一耕介*57は、病院坂と呼ばれる坂の近くにある本條写真館にパスポート用の写真を撮りに行く。
 そこで金田一は、主の徳兵衛*58に、「殺されかけたので調べて欲しい」という相談を持ちかけられる。
 金田一が帰った後、その本條写真館に、結婚の記念写真を撮って欲しいという娘*59がやってきて、その夜、正装をした男*60が写真館の若旦那・本條直吉*61を迎えに来る。
 直吉がつれていかれたのは、法眼病院の空き屋敷で、終戦の翌年に一人の女*62がそこで首を縊ったことから「病院坂の首縊りの家」と呼ばれていた。
 直吉はそこで、記念写真を頼みに来た娘と、彼を迎えに来た男との婚礼写真を撮影するが、翌日その空き屋敷に確認しに行くと、そこにあったものは全て跡形もなくなっていた。
 写真館を再び訪れた金田一を伴って徳兵衛、直吉、写真館の弟子の黙太郎*63が、女の声で「今夜もまた、空き屋敷で風鈴を撮って欲しい」という電話の依頼に応えるために、再度その空き屋敷に行くと、婚礼写真を撮った部屋の中央には、風鈴の代わりに、花婿だった男の生首が吊り下げられていた。
 警察が呼ばれ、その空屋敷の持ち主である法眼家の一族も現場を訪れる。
 その生首の男と婚礼写真を撮ったのが法眼弥生*64の娘・由香利*65だと主張する徳兵衛に、弥生はその写真を見ながらその娘は由香利ではないと否定する。そして、その場に遅れて到着した由香利は、写真に写った娘に瓜二つだった。
 写真に撮られた男女は山内敏男*66小雪*67という異母兄妹で、二人がそこで結婚式を挙げようとしていたのだということが、二人が所属する「アングリー・パイレーツ」というバンドの仲間である吉沢*68という男の口から明かされれ、この事件を担当することになった等々力警部*69は、部下の阪東刑事*70と吉沢を連れて、二人が根城にしていた郊外のガレージに向かう。
 ガレージに置かれたトラックは血に汚れ、血溜まりには兵隊靴の跡があった。
 「生首風鈴殺人事件」の捜査本部では、小雪に好意を持っていたバンド仲間の佐川*71が等々力警部の追求を受けたが、佐川は敏男殺しも小雪をかくまっていることも否定する。
 一方、事件を調べ始めた金田一は、首縊りの家で首を吊った婦人のことを調査していた。
 首を縊った婦人は、山内冬子*72といい、法眼弥生の亡夫・法眼琢也*73の愛人であり、敏男と小雪の母親だった。敏男は冬子の死んだ前夫の連れ子であり、小雪は琢磨と冬子の娘だったのだ。
 金田一は山内兄妹のことを不憫に思っていたという法眼弥生から、行方不明の小雪を探すように依頼される。
 そんな折、捜査本部には、過失により敏男を刺し、今際の際の敏男の遺言に従って敏男の首をつるしたことを告白した小雪からの手紙が届いていた。継母を死においやった法眼家に対し、敏男は激しい憎悪を抱いていたのだ。また、小雪も、その手紙の中で、自殺を仄めかしていた。
 事件は解決したかのようだったが、本條写真館では、直吉と黙太郎が、大きな披露宴の出張撮影を依頼されて出かけていった間に、主の徳兵衛が殺されるという事件がおきる。そしてまた、犯人は、法眼家に関する写真の乾板を割って行っていた。
 様々な人物の思惑が錯綜していたが、現実の話として、弥生が承知の上で、由香利と小雪は入れ替わっていた。
 そしてまた殺人。
 敏男と小雪のガレージで、吉沢が殺されたのだ。
 立て続けに3人が殺され、金田一は法眼家の本籍である南部へ向かうことにする。
 金田一が東京を留守にしている間にも、事件は起こり、件の空き屋敷をこっそり訪れていた直吉は、落下してきたシャンデリアによって重傷を負っていた。
 東京に戻った金田一は、法眼弥生が引き取り手のいない、山内敏男の墓に詣でる由香利に対して、「敏男の墓参りをするのは、貴方が山内小雪だからだ」と告げ、小雪もそのことを認める。
 また、法眼家を訪れた金田一は、法眼家にまつわる複雑な事情を弥生に向かって解き明かす。
 金田一は、弥生が亡くなった義父・猛蔵*74の影を払拭できず、それにより、弥生が犯行を犯したのだと告げる。15歳の時、猛蔵によって犯された弥生は、その姿を猛蔵の命令によって当時の本條写真館の主(徳兵衛の親父)によって写された上妊娠し、翌年女児を出産したが、それが、5年前首を縊った山内冬子だった。金田一は水沢で冬子を取り上げた産婆の家でそれを確認してきたのだ。
 その事実をネタに猛蔵の言うままに、イトコである法眼琢也に嫁いだ弥生だったが、その弥生を本條写真館の徳兵衛が、写真の乾板を以って金銭的に脅迫し、そして、徳兵衛なきあとは直吉が後を継いだのだった。徳兵衛を殺害し、空き屋敷に直吉をおびき出した上で殺そうとしたのは、弥生だった。
 また、由香利を小雪と疑っていた吉沢の強請りに応じると見せかけて、吉沢から得た情報で弥生を強請り始めた滋*75をはめるために吉沢を殺したのも弥生だった。
 小雪を庇う弥生は、彼女の上に自分自身を重ねていた。あまりによく似た境遇の彼女を助けてやろうとしたのはそのためだった。
 小雪は敏男に求婚されたが、それを拒んだ。その敏男は、法眼由香利を拉致して、薬を使い、由香利と強引に結婚式を挙げ、その写真を本條写真館に依頼した。
 薬からさめかけた由香利は、自分が妙な姿をしていることに気付いて小雪を詰問し、逃げ出そうとしたが、敏男ともみ合ううちに、頭を強打して死んでしまう。その罪の意識から、敏男はガレージの窓ガラスを割り、破片で頚動脈を自ら切り裂くと、瀕死の体で、自分の首を切って、冬子が首を縊った空き屋敷に、琢也の短冊を付けて風鈴のように吊り下げて写真を撮り、法眼家に送りつけることを頼んだ。
 小雪は、その敏男の遺言を実行するために、由香利の母弥生に助けを求め、弥生はガレージで、敏男の首を切り落とした。
 それらの話が終わったとき、車夫の三之助*76が、屋根裏の千鶴*77が亡くなったことを皆に告げに駆け込んでくる。
 等々力警部や小雪たちが屋根裏に向かい、千鶴の死を確認している間に、弥生は三之助と一緒に姿を消した。
 金田一は全ての原因を作った写真の乾板を割る。
 空屋敷に向かう人力車が病院坂を下る。
 件の空き屋敷に到着して、車夫の三之助が覆いをめくると、弥生は人力車の中で毒を飲み事切れていた。

週刊金田一 「加藤武」 | たまひめ。のブログ
 最初は、金田一に感じ悪い等々力警部さんですが、映画の最後、本当の本当の最後にはとってもステキなセリフを言って、胸をじーーーんとさせてくれる。
(中略)
「病院坂」でも、さりげない優しさを見せてくれた・・・
 阪東刑事「あ、主任、重要な証拠品の乾板はどうなりました?」
 等々力警部「そんな物があったかな」
 阪東刑事「えーーーーー!!!」

*1:1912~1994年。北朝鮮国家主席朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官

*2:1941~2011年。金日成の長男。北朝鮮国防委員長、朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官

*3:1984年生まれ。金正日の三男。北朝鮮国務委員長、朝鮮労働党委員長、朝鮮人民軍最高司令官

*4:普通に考えて「事実ではない」というか、死亡説や重病説に固執する連中の詭弁でしかないですね。「小生が後述するように」小説やドラマ、映画としてなら面白い話でしょうが。

*5:1932年生まれ。俳優、演出家。「無名塾」主宰者。1962年、映画『切腹』でブルーリボン賞主演男優賞、キネマ旬報主演男優賞受賞、1980年、映画『影武者』でブルーリボン賞主演男優賞受賞など受賞歴多数。1996年、紫綬褒章、2003年、勲四等旭日小綬章、2007年、文化功労者、2015年に文化勲章を受けた(ウィキペディア仲代達矢』参照)。

*6:まあ普通に考えてそんなん無理やろ、と思いますが。

*7:市川崑監督、石坂浩二主演で映画化

*8:市川崑監督、石坂浩二主演で映画化

*9:犯人のこと

*10:発表が最後の作品は『悪霊島』ですが、『悪霊島』は『病院坂の首縊りの家』事件解決後、失踪した金田一の残した過去の事件記録を元に横溝によって執筆された(つまり、時系列的には『病院坂の首縊りの家』事件が最後の事件)という設定です。

*11:桜田淳子演じる山内小雪

*12:萩尾みどり演じる山内冬子

*13:あおい輝彦演じる山内敏男(山内小雪の兄)

*14:桜田淳子演じる法眼由香利

*15:法眼千鶴。法眼健一の妻。法眼弥生(佐久間良子)の母。法眼健一死後、再婚し、五十嵐猛蔵(久富惟晴)の妻となる。

*16:法眼弥生。法眼健一・千鶴(入江たか子)夫妻の娘。千鶴の五十嵐猛蔵(久富惟晴)との再婚後は、五十嵐猛蔵の義理の娘。山内冬子(萩尾みどり)、法眼由香利(桜田淳子)の母。事件の解決編で山内冬子(萩尾みどり)は法眼弥生(佐久間良子)と五十嵐猛蔵(久富惟晴)の間の不義の子であり、それが事件の原因であることが明かされる。

*17:山内冬子。法眼弥生(佐久間良子)の娘、山内敏男(あおい輝彦)・小雪桜田淳子)兄妹の母。

*18:法眼弥生(佐久間良子)の娘・法眼由香利&山内冬子(萩尾みどり)の娘・山内小雪

*19:聖書を売りつける詐欺師の男(ライアン・オニール)と、母親を交通事故で亡くした9歳の少女(テータム・オニール(ライアン・オニールの実の娘))との、互いの絆を深めていく物語を描いたロード・ムービー。1973年のアカデミー賞ではテータム・オニール(1963年生まれ)が史上最年少(10歳)でアカデミー助演女優賞を受賞した(ウィキペディアペーパー・ムーン』参照)。

*20:市川崑金田一では『女王蜂』(1978年)の大道寺琴絵、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の山内冬子を演じた(以下、全て、ウィキペディア参照)。

*21:市川崑金田一では『獄門島』(1977年)の鵜飼章三、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の吉沢平次を演じた。

*22:市川崑金田一では『女王蜂』(1978年)の大道寺智子、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の妙ちゃんを演じた。

*23:市川崑金田一では『犬神家の一族』(1976年)の犬神竹子、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の田辺光枝を演じた。

*24:市川崑金田一では『悪魔の手毬唄』(1977年)の中村巡査、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の阪東刑事を演じた。

*25:市川崑金田一では『犬神家の一族』(1976年)の犬神幸吉、『悪魔の手毬唄』(1977年)の日下部是哉、『獄門島』(1977年)の竹蔵、『女王蜂』(1978年)の木暮刑事、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の三之介を演じた。

*26:市川崑金田一では『悪魔の手毬唄』(1977年)の司咲枝、『女王蜂』(1978年)の速水るい、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の宮坂すみ、『八つ墓村』(1996年)の濃茶の尼を演じた。

*27:市川崑金田一では『犬神家の一族』(1976年)の犬神梅子、『悪魔の手毬唄』(1977年)の由良敦子、『獄門島』(1977年)のお小夜、『女王蜂』(1978年)のお富、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の雨宮じゅんを演じた

*28:市川崑金田一では『犬神家の一族』(1976年)の古館恭三・弁護士、『病院坂の首縊りの家』(1979年)の本條徳兵衛を演じた。

*29:石坂浩二

*30:草刈正雄

*31:小沢栄太郎

*32:桜田淳子

*33:清水紘治

*34:桜田淳子

*35:あおい輝彦。あおいがアニメ「あしたのジョー」で主人公「矢吹ジョー」を演じた事によるギャグです(ウィキペディアあおい輝彦」参照)。なお、あおいは市川崑作品では他にも『犬神家の一族』(1976年)で犬神佐清とニセ犬神佐清(青沼静馬)を演じています。

*36:桜田淳子

*37:あおい輝彦

*38:萩尾みどり

*39:桜田淳子

*40:佐久間良子

*41:入江たか子

*42:久富惟晴

*43:あおい輝彦

*44:桜田淳子

*45:石坂浩二

*46:久富惟晴

*47:小沢栄太郎

*48:菊地勇一

*49:萩尾みどり

*50:加藤武

*51:ピーター

*52:河原裕昌(現・河原さぶ

*53:小沢栄太郎

*54:小林昭二

*55:入江たか子

*56:岡本信人

*57:石坂浩二

*58:小沢徳太郎

*59:桜田淳子

*60:あおい輝彦

*61:清水紘治

*62:萩尾みどり

*63:草刈正雄

*64:佐久間良子

*65:桜田淳子

*66:あおい輝彦

*67:桜田淳子

*68:ピーター

*69:加藤武

*70:岡本信人

*71:林ゆたか

*72:萩尾みどり

*73:菊地勇一

*74:久富惟晴

*75:河原裕昌

*76:小林昭二

*77:入江たか子