高世仁に突っ込む(2020年5/16日分)(追記あり)

WHO総会への台湾参加を中国が妨害 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 安倍の緊急事態宣言解除について「遅すぎた(あるいは早すぎる、適切だ)」「解除範囲が狭すぎる(あるいは広すぎる、適切だ)」などの高世コメントを期待していましたがありませんね。

 感染症対策において、空白地域を作ることはあってはならないし、台湾は今回の新柄コロナ禍では感染抑え込みのお手本だ。この貴重な経験は他国にも広く交流され、知られるべきだ。保健問題を政治化することは許されない。

 「アンチ中国のウヨ」高世には「やれやれ」ですね。保健問題を政治化してるのは台湾の方も同じです。
 蔡英文*1政権がWHO総会参加を「台湾独立論のてこにしようとしている」のが見え透いてるから中国は反対してるわけです。
 これについては例えば

海峡両岸論 第114号 2020.5.13発行 - 新型コロナめぐる情報操作の実態 支離滅裂なトランプの陰謀論 - | ちきゅう座
 台湾のWHO加盟要求自体が、蔡英文政権の「非中国化」という独立志向の政治性を持っているのは自明だ。
 (ボーガス注:中国による台湾のWHO加盟要求反対を政治的と非難する輩は)蔡英文が(ボーガス注:武漢ウイルスとは呼ぶべきでないという国内外の批判を無視し)今も新型コロナウイルスを「武漢肺炎」と呼び、台湾ナショナリズムを煽っていることは問題にしないのか。

台湾がコロナ「優等生」になった理由。閣僚に医師出身、デジタル化の一方で強まる監視 | Business Insider Japan
 蔡政権は、感染対策の成功をWHO加盟の絶好の機会として、これに反対する中国とWHO事務局長批判のトーンを強めてきた。感染症に国境はないが、台湾のWHO加盟問題は常に政治問題化してきた。
 中国は台湾の要求を「一つの中国」原則を盾に拒否している。「脱中国化」を進めてきた陳水扁*2政権(2000~08年)は、国際世論で受け入れやすいWHO加盟を突破口に、「台湾名での国連加盟」を住民投票(否決)にかけるなど、台湾独立への動きを加速した。
 一方、2008年に誕生した国民党の馬英九*3政権は「一つの中国」をめぐる「92年合意(コンセンサス)」を受け入れたことから、2009年からWHO総会へのオブザーバー参加が認められた。
 だが(ボーガス注:「92年合意(コンセンサス)」を否定する反中国の)蔡政権下では元に戻ってしまった。
 中国を敵視する蔡政権の頼りはアメリカと日本。そのトランプ氏は、初期段階でコロナ禍を軽視し、世界で最も多い100万人を超える感染者を出してしまった。WHOへの出資拒否を決め、治療法として「(人体に)消毒薬を注入したらどうか」と平気でデマを口にする。
 世界中が感染拡大阻止と恐慌対策に忙殺される中、台湾の加盟問題は主要テーマにはならないだろう。むしろ「米中泥仕合」の中に埋没する可能性が高い。
 中国との「新冷戦」を仕掛けるトランプ氏にとり、台湾はまだ使えるカード。しかしアメリカがグローバルリーダーの地位から退場する時、台湾は「捨て駒」にされるのかもしれない。

と言う批判もあります。こうした批判に対して高世はどう答えるのか。もちろんコロナ感染防止の点では蔡英文は評価できるでしょうが「武漢ウイルス呼ばわり」などの「中国へのヘイト」は到底容認できるもんではありません。こうした蔡の挑発的姿勢が中国の「台湾のWHO総会参加反対」を産んでるのであり、蔡は総会に参加したいならまずは「武漢ウイルス呼ばわり」を即刻辞めるべきでしょう。
 そもそも、現状においては参加反対はもちろん「台湾独立論を否定しようとする中国」を利することになりますが、一方で「参加賛成」は単に「WHO総会参加により台湾の保健衛生を向上させること(あるいは高世の言う台湾の経験を世界に広めること)のみを意味し、それ以上の政治性を持たない」訳では全くありません。

WHO総会:米中対立?|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 台湾のWHO総会参加問題についても、事実関係を正確に見極める必要があります。中国は、台湾が「一つの中国」原則に忠実である限り、台湾がWHOにオブザーバーとして参加することは認める立場です。現実に2009年から2016年までの間、「一つの中国」原則堅持を体現するいわゆる「九二共識」の基礎の上で、国民党政権の台湾はWHO総会にオブザーバーとして参加していたのです。しかし2016年に民進党が政権について以後、陳水扁そして蔡英文は「台湾独立」を標榜し、「九二共識」の承認を拒否したために、中国は台湾のオブザーバー参加を認めない立場を取ることになりました。特に、蔡英文政権は何事につけても台湾の独立に向けたステップと位置づけて取り組んでいます。今回のWHO総会出席画策もその脈絡の中での動きです。中国が反対するのは当然なのです。
 ちなみにWHOは、中国が1971年に国連復帰を果たした翌1972年のWHO総会決議25.1号で、中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の政権であることを承認し、WHOの唯一合法のメンバーであることを承認しました。中国と国交関係を持っている国々はすべて、アメリカ、日本を含め、「一つの中国」原則を承認しています。したがって、蔡英文政権のWHO総会参加の画策が「一つの中国」原則に挑戦する目的に基づくことが明白である以上、その動きを支持するのはもってのほかであるといわなければなりません。
 台湾のオブザーバー参加に関しては、台湾と国交関係を持つ14カ国*4が「台湾にオブザーバーとしての総会参加を要請する」という提案を行ったことは理解できます。しかし、「一つの中国」原則を承認しているアメリカ、日本(安倍政権)がこの提案を支持したのは大問題です。結論としては、議題に取り上げられることもなく、台湾参加問題は先送りにされるという当然の結末になりました。

と言う指摘があるように、現状では「参加賛成」は「参加には賛成するが、蔡英文は総会参加を台湾独立論に政治利用するな」「蔡英文の反中国の態度も問題だ」と批判しない限り「台湾独立を画策する蔡英文の企み」に加担することを意味します。日本や欧米が「台湾独立論を否定する立場(台湾とは国交のない立場)」であることを考えれば無邪気に「参加賛成」といえる話ではない。
 さすがに高世も「現状での参加賛成」が「台湾独立を画策する蔡英文の企み」に加担することになることは分かってるでしょう。にもかかわらずそれに触れない高世はまさに「反中国&蔡英文万歳の政治詐欺師」と言っても過言ではないでしょう。
 この「政治詐欺師・高世」がその無能さから会社を潰し「テレビ番組制作をできなくなったこと」は大変良かった、改めてそう思います。できれば高世にはメディアの世界から完全に消えてほしいもんです。

 中国が経済をたてにもう一つの国に圧力をかけている。
 オーストラリアのモリソン首相が、今回のウイルスの発生源などを調べるため、独立した調査が必要だと発言したことを受け、中国がオーストラリアの4社の肉製品輸入申請を受け付けないことを決定したのだ。
 オーストラリアの主要輸出品の肉製品の最大の輸出先は中国。これをストップされたらその影響は強烈だ。

 「経済を悪用した恫喝(あるいは嫌がらせ)」である「安倍のホワイト国除外」をろくに批判しない高世がこんなことを言っても説得力は皆無であり、「お前、ただの反中国だろ」と言う話です。
 そもそもモリソンの言う「ウイルスの発生源を独立調査で調べる」とはどういう意味なのかと言うことです。
 ウイルスの発生源を調べることは「相当デリケートな問題」でしょう。
 発生源を突き止めることは困難であり、下手をすれば「中国が悪い」というトランプの中国への責任転嫁に悪用される恐れもある(武漢での流行が他国に伝播したことは間違いないでしょうが、それは武漢が発生源だと言うことを意味しません。またヨーロッパでの新型コロナは『中国とは型が違う』という指摘もあり、発生源は複数(例:中国とヨーロッパ)存在する可能性も否定できません)。
 というかモリソンがトランプの中国叩きに加担し、「中国攻撃にコロナ問題を悪用しようとしている疑い」も否定できないでしょう。
 そして「モリソンの言う独立調査」云々とは関係なく様々な研究者が「発生源についての様々な見解」を表明しているわけです。
 我々としてはそうした研究者の議論を黙って見守っていればいいのではないか。下手に政治が介入することはかえって「発生源についての議論を政治化し不適切」ではないか。
 そして新型コロナの治療や感染予防においては「発生源がどこか、何か」ということは必ずしも知る必要もない。新型コロナウイルスの特徴が分かればそれでいいわけです。
 中国の報復措置を支持はしませんが、そうしたモリソンの主張の問題点について「無知だから気づいていないのか」「気づいた上でアンチ中国の立場からネグっているのか」は知りませんが触れないでただただ中国を悪者扱いする高世も「アンチ中国で頭がわいている呆れたバカ」といっていいでしょう。

 やはり領土問題で、フィリピンからのバナナ輸入を止めたこともあった。

 まるで中国がフィリピンを「ただただ制裁している」かのように描き出すアンチ中国のウヨ・高世です。
 しかし、

フィリピン経済における中国のプレゼンスが拡大 | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ
 フィリピン経済における、中国のプレゼンスが増してきている。2018年11月に中国から習近平国家主席が初めてフィリピンを訪問し、2019年4月にはドゥテルテ*5大統領が中国を訪問するなど、両国間で官民ハイレベルでの交流が活発化している。これらの首脳外交を軸として、両国のビジネス協力も進みつつあり、フィリピン経済のさまざまな場面で、中国の存在が目立つようになった。

と言う記事で分かるように「中国とフィリピンの関係」はもっと複雑です。
 そして「経済的恫喝でフィリピンを屈服させようとした」云々というなら我が国日本も

フィリピンに設置の「慰安婦像」は撤去 - 産経ニュース
 在フィリピン日本大使館は3日までに、フィリピン北部ルソン島中部のラグナ州サンペドロ市に設置された、慰安婦を象徴するとした「少女像」が、撤去されたことを確認した。
 像の除幕式は昨年12月28日に行われ、日本大使館が比政府に「遺憾」を表明していた。

ということで「少女像(慰安婦像)を設置したらどうなるか分かってるのか(経済支援が減ってもいいのか!)」と恫喝した前科があるので偉そうなことは全く言えません。
 サンフランシスコ市の少女像設置でわかるように日本の恫喝は「米国のような金持ち国家(特にリベラルな市民が多いサンフランシスコのような所*6)」に対しては効果がありませんが「貧乏国家フィリピン」には大いに効果があるわけです。

台湾では「今日の香港は明日の台湾」という標語が広く流布されていて

 完全なデマですね。「台湾と香港」では置かれている立場が全然違います。

 香港の銅鑼湾書店の元店長、林栄基さんが同名の書店を台北に開店した。
 中国民主化への小さな一歩だが、応援したい。

 台湾で反中国本を出版したところで「中国民主化にはつながらない」と思いますが?

【追記】
共産党、台湾のWHO参加容認訴え コロナ対応で声明 - 産経ニュース
 唖然ですね。いずれ浅井基文氏*7日本共産党・志位執行部を「台湾独立論に加担するのか!」と批判するでしょうから、その時はここで紹介したいと思います。

*1:副首相などを経て総統

*2:台北市長などを経て総統

*3:法相、台北市長などを経て総統

*4:なお、現在、台湾と国交があるのはツバル、パラオマーシャル諸島ナウルエスワティニ(旧称スワジランド)、グアテマラ、セントクリストファー・ネイビス、セントビンセント・グレナディーンニカラグア、ハイチ、パラグアイベリーズホンジュラスセントルシアバチカン市国の15カ国

*5:ダバオ市長などを経て大統領

*6:白人右翼が多い米国南部だとまた話が別かと思います。

*7:著書『日本外交』(1989年、岩波新書)、『新しい世界秩序と国連』(1991年、岩波セミナーブックス)、『外交官』(1991年、講談社現代新書)、『「国際貢献」と日本』(1992年、岩波ジュニア新書)、『「国連中心主義」と日本国憲法』(1993年、岩波ブックレット)、『ここが問題新ガイドラインQ&A』(1997年、青木書店)、『茶の間で語りあう 新ガイドライン』(1998年、かもがわブックレット)、『中国をどう見るか?』(2000年、高文研)、『集団的自衛権日本国憲法』(2002年、集英社新書)、『戦争する国しない国』(2004年、青木書店)、『13歳からの平和教室』(2010年、かもがわ出版)、『ヒロシマと広島』、『広島に聞く 広島を聞く』(以上、2011年、かもがわ出版)、『すっきりわかる! 集団的自衛権』(2014年、大月書店)など