島田洋一に突っ込む(2020年5月18日分)

島田洋一のツイート

島田洋一
 この機会に最高裁判事(司法そのもの)を内閣任命制から国会承認制に改め承認公聴会を行う憲法改正に踏み込むべきだ。一番困るのは左翼で、日弁連が政権との談合で既得権としてきた「左翼枠」が白日の下に晒され成り立たなくなる

 検察庁法改定問題なのに、「検事総長の国会承認制(絶対に安倍が呑まないでしょうが)」ならまだしもなんで「最高裁判事の国会承認制」なんて話が出てくるのか謎*1ですが、『一番困るのは左翼』てのは色々な意味で意味不明ですね。
 「日弁連ガー」て、別に日弁連は左翼組織ではないし、「自民党政権」が選ぶような弁護士は島田の立場では「左翼」なんでしょうが、せいぜいリベラル保守にすぎないわけです。
 かつ「検察枠(法務事務次官、東京高検検事長など)」「判事枠(東京高裁長官、大阪高裁長官など)」「学者枠」「(検察、判事以外の)官僚枠(外務省や内閣法制局:外務事務次官内閣法制局長官など)」もあるのにそっちは無視して「弁護士枠ガー」てのも滑稽です。
 「弁護士枠ガー」どころか、むしろ「検事枠を持つ検察」や「官僚枠を持つ外務省や内閣法制局」といった官僚組織の方が国会承認には否定的じゃないか。もちろん安倍もそういうことを望まないでしょうが。そして「天皇元首化」「九条改定(集団的自衛権の正当化)」「地方首長の公選制廃止(首相による任命や地方議会による間接選挙など)」など「左翼が反対する類の改憲案」を持ち込まない限り、むしろ「国会承認制に改める憲法改定」には左翼(共産や社民など)は反対どころか「検察枠」「外務省・内閣法制局枠」に突っ込む機会が出来て大喜びではないのか。
 なお、歴代自民党はともかく、安倍政権においては
国民審査で信任されるのか 木澤克之判事は加計学園元監事|日刊ゲンダイDIGITALでありどう見ても弁護士判事も「日弁連」云々ではなく「安倍友」から選ばれており、それこそ「国会承認人事」になどしたら安倍の立場がかえって悪くなるでしょう。こうした事実を島田が知らずに「日弁連ガー」なら滑稽だし、知っていてこんなことを言ってるのなら悪質なデマ屋です。

島田洋一
 「米中対立」すなわち2つの「国」の争いではない。文明対ファシズムの闘争であり、日本は文明側に立つのかチャイナチの御用商人として生きていくのかが問われている。両方の御用商人でありたい、はもう許されない

 「打倒中国を叫ぶ極右」島田らしい非常識ツイートですが、トランプはまさか「打倒中国」は考えてないでしょう。もちろん秋に習主席を招待する予定の安倍だってそんなことは考えてない。
 それにしても「文明対ファシズムの闘争」ねえ。日米だけでなく英仏独伊だってそこまで中国を敵視などしてないでしょうに、島田の言う「文明側の国」とは一体どこにあるのか。

島田洋一
 私は中共ファシズムと規定していますが、左翼が「安倍はファシスト」とレッテル貼りするのとは違って学問的根拠を示しています。歴認研創刊号に載った「ファシズム概念と歴史戦」を参照頂けると幸いです。

と自画自讃する島田ですが、島田の文章を読んでも「どこが学問的根拠なのか?」と頭痛がしてくる代物です(なお「歴認研(歴史認識問題研究会)」とはただの極右・歴史修正主義団体でありまともな学術団体などではありません)。
 誰しも島田に対して
1)一般にファシズムの定義、あるいは特徴として「右翼反共主義」があげられる。そのため「共産国」である中国は一般的理解ではファシズムに該当しないのだが、その点、島田はどう考えてるのか?。島田にとってファシズムの定義、特徴は何か?
2)左翼独裁については「スターリニズム」という概念があるが島田はスターリニズム概念を支持しないのか?
3)中国は建国当初から島田の言うファシズムだったのか、それとも「ファシズムに変質」したのか?。変質したとするならばそれはいつなのか?
4)中国以外の共産国、例えば過去に共産国だった「旧ソ連・東欧」「カンボジアポルポト時代)」や現在も共産国である「北朝鮮」「ベトナム」「ラオス」「キューバ」もファシズムなのか?。
といった疑問を感じるでしょうが、そういったことは島田の文を読んでも全く分かりません。
 島田の自画自讃に反し、島田の駄文こそが「悪罵のためのレッテル貼り」でしょう。つまり「他のウヨ連中」はともかく島田にとって「ファシズム」呼ばわりは「最大の政治的罵倒」であり、だからこそ「島田が激しく敵視する」中国をファシズム呼ばわりするし、一方で「戦前日本や安倍」をファシズム呼ばわりされるとマジギレするわけです。

*1:俺個人は別に「最高裁判事の国会承認制」に反対ではなくむしろ賛成ですし、理由はどうあれ島田がこんなことを言いだしたのが意外ですが。