今日の産経ニュースほか(コロナ問題以外:2020年5月20、21日分)(追記あり:主として黒川賭け麻雀問題)

《独自》国家公務員法改正案、政府が廃案方針固める - 産経ニュース
 事実なら「おいおい」ですね。今まで言っていたことをまるきり否定して、当初方針の継続審議を辞めていきなり廃案にするとはどう言う神経をしているのか。
 黒川の検事長辞任で廃案に方針変更したようにしか見えませんが、奴の不祥事と廃案と何の関係があるのか。

 新型コロナウイルスの感染拡大で雇用環境が急速に悪化する中、公務員の定年延長の必要性は薄れたと判断した。
 「民間企業が苦しい中、公務員を優遇するのはおかしい」(政府高官)として方針を転換した。

なんてのはへりくつでしかない。黒川が辞任する前から「雇用環境は悪化していた」し、「雇用環境が悪化しているから定年を延長しない」というのも意味不明です。
 そもそも定年延長は「年金支給年齢が引き上げになるから、(あるいは少子化で人手不足が危惧されるから)国家公務員の定年を延ばす(そして将来的には地方公務員や民間にも定年延長波及を目指す)」つう話ではなかったのか。であるならば「雇用環境」云々、「公務員優遇」云々なんて話ではない。
 野党などだって「国家公務員の定年延長一般」には反対していない。あくまでも野党などが反対していたのは「検察の捜査権が不当に侵害される恐れのある検察庁法改定」に限った話である。
 そして気になるのは「検察庁法改定」はどうなるのか、と言う話ですね。まあ、検察官だけ定年延長なんてのも筋が通らないので、普通に考えればこちらも廃案でしょうが。結局、他の人間はともかく、「少なくとも安倍に限れば」、検察官の定年延長をしたいが為の、検察庁法改定がメインであり、それをごまかすための「国家公務員法改定」にすぎなかったのでしょう。
 で、黒川が辞任し、「黒川ほど安倍のいいなりに動く検察官僚」も他にいない(そう言う意味では確かに「余人に代えがたく」安倍としても違法な定年延長に踏み切ったのでしょう)。
 次期国会で検察庁法改定が通る可能性も低くなったので、検察庁法改定は諦めた、だから「マヌーバーとしての国家公務員法改定も辞めた」と。
 まあ、普通の人間ならまずやらない行為です。「今まであんなに国家公務員法改定の必要性を訴え、次期国会での継続審議で可決したいとしていたのは何だったのか?。野党も反対していたのは検察庁法改定だけだろうに?」つう話になりますから。
 仮に「辞める」にしても、普通の人間はもう少し時間をおいてからにするでしょう。でないと言い訳もしづらい。


黒川検事長 賭けマージャン報道 - 産経ニュース

 文芸春秋が運営するネットメディア「文春オンライン」は20日、東京高検の黒川弘務検事長(63)が、産経新聞社会部記者2人、朝日新聞社員と賭けマージャンをしていたと報じた。
 報道では、黒川氏は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が続いていた今月1日夜、東京都中央区内にある産経新聞記者宅を訪れ、6時間半にわたって賭けマージャン*1をした後、産経記者がハイヤーで目黒区内の黒川氏宅まで送ったとしている。
 産経新聞が用意したハイヤーを黒川氏が利用したことについては、5月1日の料金が2万5千~3万円ほどになるとした上で「便宜供与となる」とした。記者との賭けマージャンを含め、国家公務員倫理規程に抵触するおそれがあるとする人事院の見解を紹介した。
◇不適切行為あれば対処
 井口文彦・産経新聞東京本社編集局長見解
 今回の文春報道で、産経新聞は文春側から、社会部記者2人が黒川弘務・東京高検検事長と賭けマージャンをしていたことの確認を求める取材を、18日午前に受けました。
 産経新聞は、報道に必要な情報を入手するにあたって、個別の記者の取材源や取材経緯などについて、記事化された内容以外のものは取材源秘匿の原則にもとづき、一切公表しておりません。
 取材源の秘匿は報道機関にとって重い責務だと考えており、文春側に「取材に関することにはお答えしておりません」と回答しました。
 ただし、本紙は、その取材過程で不適切な行為が伴うことは許されないと考えています。そうした行為があった場合には、取材源秘匿の原則を守りつつ、これまでも社内規定にのっとって適切に対処しており、今後もこの方針を徹底してまいります。

 ということで産経も「問題行為があれば適切に対応(懲戒処分?)する」と言い訳せざるを得なくなりました。それにしても文春の賭け麻雀疑惑追及に「調査する」とはいえず当初「取材源の秘匿ガー」とはよくもまあ酷い詭弁がはけたもんです。


黒川検事長 賭けマージャン報道「事実関係承知せず」官房長官 | NHKニュース
 ということで「反黒川派(検察内部の?)のたれ込み*2」でしょうが「渦中の人物」黒川検事長が「朝日記者1名、産経記者2名」と賭け麻雀をやっていたことが週刊文春によって暴露されました。文春としても以前からつかんでいたネタではあるものの「絶好のタイミング」を狙った結果「今国会での法案可決挫折(しかし次期国会可決を狙い継続審議)」の今がベストなタイミングだと思ったのでしょう。
 それにしても黒川も呆れた馬鹿者と言うべきでしょう。
 何せ「接待賭け麻雀」、つまり「黒川に対し故意に負けていた可能性」があり、当然ながらそうなると「かなりの多額」でしょうし、その場合「特ダネを得るために黒川に事実上の賄賂を渡していた」という疑いがあり、週刊文春記事や野党も指摘するように賭博罪限定ではなく「贈収賄や国家公務員倫理規程違反」すら成立する疑いがあります。そしてその「贈賄のカネ」が記者個人の私費ではなく「産経から経費として出ていた」なら会社ぐるみの不正になるわけです。
 もちろん「賭け麻雀」も重大な問題なのでこれで黒川が「懲戒処分」を受け検事長を更迭されて当然ですが、その場合でも「定年延長の不正」も別途追及されるべきです。
 なお、本当かどうか知りませんが「接待賭け麻雀で故意に負けてた」と言う話で良く出てくるのが「自民党の国対が社会、公明、民社の国対にわざと負けてカネで買収してた(勿論共産は対象外)」という噂話です。

東京高等検察庁の黒川弘務*3検事長が緊急事態宣言のさなかの今月、賭けマージャンをしていた疑いがあると「文春オンライン」で報じられたことについて東京高検は「コメントできない」としています。
自民党の幹部は「本当であれば、賭けマージャンは、まずい。辞めざるをえないだろう」と述べました。
立憲民主党の安住*4国会対策委員長は、記者団に対し「黒川氏は東京高等検察庁検事長という立場にあり、事実であれば、即刻、進退に直結する話だ。注視していきたい」と述べました。
立憲民主党蓮舫*5参議院幹事長は、記者団に対し、「国民に自粛を要請しているさなかに賭博という違法行為を行っていたとは思えないが、政府は本人にヒアリングをして事実関係を明らかにするべきだ。刑法に違反するような人が、国民の立場に立って巨悪を捕まえられるとはとても思えず、事実なら人事院の指針に沿って処分するべきだ」と述べました。
・国民民主党の玉木代表は、記者会見で「事実であれば、刑法の賭博罪などにあたり、最高責任者である検事総長に就くことは国民が納得しないし、今の検事長ポストにとどまることが適切かどうかも問われる。自身の口で事実関係を明らかにするべきで、説明責任を果たせないならば、『任にあらず』とならざるをえない」と述べました。
公明党の石田*6政務調査会長は、記者会見で「検察は法と証拠に基づいて適正に職務を遂行していると思っているが、報道が事実であれば、賭けマージャンはやってはいけないことで、職務を続けられる話ではないだろう」と述べました。
日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、NHKの取材に対し、「事実であれば、甚だ遺憾だ。本来、きちんと範を示すべき検察官が賭けマージャンをしていたとすると、検事長の職を辞めざるをえない」と述べました。
共産党の小池*7書記局長は、記者会見で「事実であれば、検事長の座にとどまることは許されず、即時、罷免するべきだ。安倍政権は、閣議決定までして黒川氏の定年を延長しており、単なる任命責任で済ませられる問題ではない。政権の責任は重大で厳しく問われる」と述べました。
社民党の福島*8党首は、記者会見で「日本は賭博を禁止しているので、賭けマージャンは刑法違反になる。また緊急事態宣言が出ている中でやっていたということで、もし事実であれば、2つの意味で極めて問題だ。黒川検事長はきちんと説明責任を尽くすべきだ」と述べました。

 公明や維新と言った自民の類友ですら公然と黒川をかばえないわけです。それにしても東京高検も「現在事実関係を調査中」くらい言ったらどうなのか。ノーコメントとは全く無様です。

 NHKの取材に対し、朝日新聞社は50代の東京本社の男性社員が今月1日と13日の夜にマージャンに参加していたことを認め、「勤務時間外の個人的行動ではありますが、不要不急の外出を控えるよう呼びかけられている状況下でもあり、極めて不適切な行為でおわびします」と回答しました。
 また、マージャンで現金を賭けていたかどうかについては「事実関係を調査している」としています。
 一方、産経新聞社は「取材に関しては、従来からお答えしていません」としています。

 朝日が「調査中」なのに対し、「ノーコメント」とはいつもながらデタラメな産経です。記者を懲戒処分する気らしい朝日と違い、おそらく全力でかばうつもりなのでしょうが。


黒川検事長が辞意 賭けマージャン、法務省調査に認める [検察庁法改正案]:朝日新聞デジタル
 ということで黒川が文春報道を「大筋で事実だ」と認め、辞任の方向ですが、仮に彼が辞任したところで「定年延長の不正」を安倍政権が認めたわけでもなく、次期国会での「検察庁法改定」を取りやめると発表したわけでもありません。問題はまだまだ追及の必要があります。
 また黒川の麻雀相手である朝日記者、産経記者が「何物なのか」「懲戒処分をするのかどうか」などを朝日や産経に問いただしていく必要もあります。


法務省、黒川氏の賭けマージャン認める - 産経ニュース
黒川検事長が辞表提出 - 産経ニュース
自民・石破元幹事長「黒川氏辞職は当然」 - 産経ニュース
 予想の範囲内ですが、賭け麻雀の事実を黒川が正式に認め辞表を提出しました。


吉川友梨さん不明から17年 コロナ影響でチラシ配布中止、動画で情報提供求める(1/2ページ) - 産経ニュース
 残念ながらもはや彼女の所在が分かることは望み薄です。


共産・不破元議長の妻、上田七加子氏死去 - 産経ニュース
 年齢を考えれば予想の範囲内ではあります。日本共産党の長老幹部として今後も活躍して欲しいと思いますが、不破氏(1930年生まれ)とていつ亡くなってもおかしくない年齢ではあります。


愛知知事、芸術祭負担金支出求め名古屋市を提訴 異例の法廷闘争へ - 産経ニュース
名古屋市、芸術祭負担金巡る訴訟で全面対決の姿勢 - 産経ニュース
 河村も呆れたバカです。大村氏が「減額したとは言え補助金を支給した文化庁」は訴えなかった以上、訴訟を回避しようと思えばいくらでも回避できたでしょう。


【主張】慰安婦団体 反日集会やめ像の撤去を - 産経ニュース
 「一部の元慰安婦」の支援団体批判をネタに「俺たちが正しい」と強弁するいつもの産経です。
 しかし

慰安婦問題の件・1つ目 - 誰かの妄想・はてなブログ版
 ただ一つだけ間違いないことは、李容洙氏と尹美香氏の対立の原因が何であろうとも、アジア・太平洋戦争中の従軍慰安婦問題は旧日本軍・政府による戦時性暴力であり、現日本政府にはその責任があることに変わりはないということです。

李容洙氏が2020年5月7日の記者会見後に表明した立場文について - 誰かの妄想・はてなブログ版
 李容洙氏はまさに“慰安婦問題は日本政府による犯罪行為であり、日本政府が公式謝罪と法的賠償等を行なうことで初めて被害者たちの名誉と人権が回復される”という立場を前提とした上で正義連を批判しています。

と言う指摘の通り「元慰安婦の支援団体批判が正しいかどうか」と「産経の慰安婦認識が正しいかどうか」「河野談話やクマラスワミ報告書、アメリカ下院決議や林博史氏、吉見義明氏などの慰安婦認識が正しいかどうか」は何の関係もありません。
 「部落解放同盟モードアバンセ事件のような不正を起こせば解放同盟の主張、活動が全否定できるのか」といったらそう言う単純な話ではないのと同じです(もちろん不正は批判されて当然ですが)。
 あるいは「蓮池透氏の家族会、巣くう会批判」あるいは「安明進がシャブで逮捕されたあげく、『シャブのカネほしさに拉致問題であることないことデマを飛ばした』と自白したこと」あるいは「荒木和博の特定失踪者デマ(国内で特定失踪者発見)」をネタに

・巣くう会、家族会批判
安明進批判
・荒木和博批判(特定失踪者デマ批判)

をするのなら「そもそも拉致なんてなかった」と言いだしたら正気を疑われるでしょうが、産経の今回の行為はそれに近いものがあります。
 また、今日の産経ニュース(コロナ問題以外:2020年5月14日分) - bogus-simotukareのブログでも書きましたが、その産経の理屈なら「蓮池透氏の家族会、救う会拉致議連批判(バーター取引を否定するのはおかしい。救う会拉致議連は単に北朝鮮叩きや改憲といった右翼運動に拉致を政治利用するウヨ集団ではないのか?)」を理由に「バーター取引を主張する田中均氏、和田春樹氏などの正しさが裏付けられた」「救う会拉致議連北朝鮮叩きや改憲運動など右翼運動に家族会を政治利用しているだけだ」ともいえるでしょうにねえ。
 蓮池氏の批判については「ほとんどの拉致被害者家族はそんな批判をしてない」「蓮池氏が間違ってる」「巣くう会は改憲運動に拉致被害者家族を政治利用なんかしてない」という癖に、「慰安婦支援団体(拉致問題での救う会に当たる)批判」を始めたのは元慰安婦の中でも「現時点では」李容洙(イ・ヨンス)氏など「ごく少数にとどまる*9」のに「ほとんどの元慰安婦はそんな批判をしてない」「李容洙(イ・ヨンス)氏などが間違ってる」とは言わず「慰安婦支援団体が反日慰安婦を政治利用していることが明らかになった」と言い出す産経らウヨはいつもながらデタラメです。

【追記】
 極右勢力、ユン・ミヒャン疑惑を悪用し、“歴史修正”狙う : 政治•社会 : hankyoreh japanと言う記事をハンギョレが書いていますが、産経がやっていることがまさに『極右勢力、ユン・ミヒャン疑惑を悪用し、“歴史修正”狙う』ですね。

*1:そもそも「賭けない麻雀」でも「6時間も麻雀」というのは「記者と官僚の適切な関係」とはとても言えないでしょう。

*2:うがった見方をすれば「黒川がお荷物になった安倍サイドがリークして切り捨てた」つう可能性も一応はあるでしょう。

*3:松山地検検事正、法務省大臣官房長、法務事務次官などを経て東京高検検事長

*4:民主党国対委員長(菅代表時代)、野田内閣財務相などを経て立憲民主党国対委員長

*5:菅、野田内閣行政刷新担当相、民主党代表代行(岡田代表時代)、民進党代表などを経て立憲民主党副代表(参院幹事長兼務)

*6:第1次安倍内閣厚労副大臣、福田、麻生内閣農水副大臣などを経て公明党政調会長

*7:共産党政策委員長、副委員長などを経て書記局長

*8:社民党幹事長、党首、鳩山内閣少子化等担当相、社民党副党首などを経て党首(再登板)

*9:今日の産経ニュース(コロナ問題以外:2020年5月14日分) - bogus-simotukareのブログでは「だけ」と書きましたがその後、若干増えたようです。いずれにせよ多数派ではなさそうですし、支援団体を批判する彼女らは勿論産経のような慰安婦認識はしていません。