今日の産経ニュース(コロナ問題以外:2020年5月25日分)

《呼びかけ人会議》に申しあげる。「宇都宮健児君を野党共闘の都知事選候補者として推薦することはお控えください」 | ちきゅう座
 これについては小生も澤藤氏と同意見です(とはいえ宇都宮氏以外にまともな候補がいないのであれば消去法で彼を支持しますが)。
 「過去に出馬して敗戦した宇都宮氏」で勝てるかどうかという問題はさておくにせよ、前回の宇都宮氏の「出馬辞退(小池を利することは出来ない)→鳥越敗戦後の醜態(本当は出たかったが、辞退しろという鳥越支持者の同調圧力に屈したとぼやく)」には本当に呆れました。あんな酷い人間だとは思ってもみませんでした。
 宇都宮氏が「まともな人間なら」とるべき手は
1)『鳥越氏には賛同できない、たとえ、小池を利しても出馬する、それが俺の筋の通し方だ』として、鳥越支持者から非難されようとも、たとえ小池にも鳥越にも及ばない得票で惨敗しようとも出馬するか
2)「小池を利することは出来ない(辞退すれば鳥越が勝利するかもしれない)*1」or「出馬しても小池にも鳥越にも及ばない票で惨敗するであろう、それでは政治的に意味がない」との考えから辞退し、仮に「小池や鳥越を上回る得票の可能性があった(勝利の可能性も場合によってはあった)」と選挙後分かっても、「いったん辞退した以上、泣き言は言わない」としてみっともない態度をさらさないか
いずれにせよ「選挙結果」に一喜一憂しない道理の通った態度をとるべきでした。
 ところが鳥越が思ったほど得票できず、「宇都宮が出た方が良かったのでは」と言う声が一部の宇都宮シンパから出るや、「やはり出たかった」「同調圧力に渋々屈した」と言い出すのだから口あんぐりです。仮に宇都宮シンパから「宇都宮氏が出れば良かった」と言われても

「私は鳥越氏の方が得票できると思って出馬辞退した。それについて君ら支持者の多くも『辞退するな』などとは別に反対しなかったと思う。今更選挙結果でああだこうだ言うのはみっともない。仮に出馬した方が結果的には良かったとしても、そう言う選択肢をとらなかったのは鳥越氏のせいでもなんでもない。支持者の力を信じられず、自分から勝負を捨てた私の責任だ。鳥越陣営を非難するなんてとんでもないことだ」
「鳥越氏が勝利してれば、あるいは勝利できないまでも僅差で善戦してれば君らは今、何というのか?。『出馬辞退して良かった』というんじゃないのか?。選挙結果がどうなるかでコロコロ言うことを変えるのは政治倫理にもとる」

と言うのが筋ではないのか。彼は出馬辞退したときははっきりと「自分の意思で出馬辞退した」といったはずです。


宇都宮健児氏が都知事選出馬へ ツイッターで表明 - 産経ニュース
 未だに野党側が候補者を擁立できないていたらくの中「ワンチャンスある」と思ってるようですが「ふざけんな」つうのが正直な感想ですね。
 極右の小池よりはマシだと思いますが、何せ彼は前回の「野党各党が鳥越氏を担いだ時」に無茶苦茶な言動で思い切り「男を下げました」のでね。
 当初は「政策協定が出来れば立候補を取り下げてもいい」。次が「政策協定は成立していないが、小池を利したくないから取り下げる」。
 で選挙後は「やはり出たかった」「私の方が鳥越氏より得票できたのではないか」「鳥越候補を支援するために取り下げろという圧力が強くて渋々取り下げた」。
 「何やねん!」ですよね。
 圧力云々なんて抜かすような奴を俺は何一つ信用できませんね。出たければ出ればいいし、仮に圧力があろうと「出ないと判断した」のは宇都宮氏個人でしょうよ。
 こんな人間(宇都宮氏のこと)では当選後、公約を平然と破ったあげく「野党の圧力が強かったから」「他にも大事な政策がある、この件だけに固執できない」などと居直る危険性すらあるわけですからね。大体、彼が選挙後に掌返ししたのは「鳥越氏の得票が当初期待されたほどではなかった」からにすぎないでしょう。仮に鳥越氏が当選していれば、あるいは当選できないまでも僅差で大善戦していればこんなことはいわなかった。「私が取り下げた判断は正しかった」とした上で、野党各党や鳥越氏に恩に着せようとしたでしょう。
 つまり結果によって言うことが変わる人間なんか俺は信用できないということですね。宇都宮氏もどこまで恥知らずなのか。


元日弁連会長の宇都宮氏を野党統一候補に 都知事選で共産幹部が提唱 - 産経ニュース
 上で書いたような理由から小生自身は「都民ではありませんが」都民だとして宇都宮氏を積極的に支持する気には全くなりません。
 とはいえ「彼以外の候補」が酷い人間しかいないのであれば消去法で彼を選びます。


教科書不合格「文科省が不正検定」 つくる会が公開質問状 - 産経ニュース
 つくる会が期待するような回答が出るとはとても思えませんが、それでも彼らは「家永氏*2のように訴訟を起こす」など、安倍や萩生田と全面対決することが出来ないんですかね。
 記事を読むとどうも「教科書調査官の不正行為を萩生田文科相にただして欲しい」と抜かしてるようですが、話は全く逆でしょう。安倍や萩生田から「育鵬社のために自由社を不合格にしろ」という命令が来たので調査官が「そういう方向で検定した」と言う話でしょうに。いや、もしかしたら安倍や萩生田の命令がなくても「まともに検定すれば不合格以外の結論はない」のかもしれませんが。


政府、黒川氏処分「官邸関与」を否定 - 産経ニュース
 どう見ても大嘘ですが、そもそも「訓告処分案を出したのは法務省で内閣はそれを承認しただけ」で言い訳になると思ってる辺り、呆れます。
 法務省の案に問題があると思うのなら、是正すればいい話であり、承認した以上、処分案を法務省がつくったか、官邸がつくったかなどある意味どうでもいい話です。


【政界徒然草】稲田朋美氏 女性活躍掲げるも頼りは首相や二階氏 「おじさん政治」を打破できるか(1/4ページ) - 産経ニュース
 「稲田朋美の女性活躍」とやらについては小生は以前
「日本会議の人に“裏切り者”って言われるんよ……」稲田朋美氏が“変身”した理由は“野心”!? | 文春オンライン
稲田朋美率いる「女性議員飛躍の会」がぶっ飛びすぎ | デイリー新潮
永田町の“女子会”ランチ | 永田町・霞が関のサラめし | NHK政治マガジン
自民稲田氏ら中国訪問へ 女性政治家の交流呼び掛け :日本経済新聞
という記事をもとに今日の産経&しんぶん赤旗ニュース(2020年2月15日分) - bogus-simotukareのブログでコメントしたことがありますので、そちらも参照頂ければ幸いです。

ポスト安倍」に意欲を示す自民党稲田朋美幹事長代行が存在感をアピールしている。

 「ポスト安倍」云々については今日の産経ニュースほか(コロナ問題以外:2020年5月24日分) - bogus-simotukareのブログ内閣支持率27%に急落 黒川氏「懲戒免職にすべきだ」52% 毎日新聞世論調査 - 毎日新聞という記事をもとにコメントしましたが、いい加減、安倍に辞めてもらい、「まともな人間にポスト安倍」になって欲しいところです。
 それはともかく

 「ポスト安倍」に意欲を示す

 安倍総理にひいきされてるだけの存在なんて言わせない!。ポスト安倍でも私は政治家としてばりばりやっていく!。ポスト安倍が石破*3元幹事長であれ、石原*4元幹事長であれ、岸田*5政調会長でアレ!

と言う意味ならともかく、稲田もさすがに自分が「安倍の次の首相」になれるとは思ってないでしょう。何せ、彼女は派閥ボスじゃないですからね。
 彼女が会長を務めるという「自民党女性議員飛躍の会」も「自民党女性議員の集まり」にすぎず「稲田派」というわけではない。
 「細田派がどんぐりの背比べ状態(細田会長の次期会長候補として確定した人間がいない)」とはいえ派閥候補として稲田を担ぐこともないでしょうし。

 安倍晋三首相の“秘蔵っ子”として厚遇を受けてきた稲田氏は防衛相時代、自衛隊の日報問題*6をめぐる引責辞任で失速した。しかし、昨年9月の党役員人事で幹事長代行に就任すると二階俊博*7幹事長と良好な関係を築き、党内での足場固めに精を出す。

 まあ、そういうことですね。
 安倍によって、当選回数が少ないにもかかわらず、「第二次安倍内閣行革相」「自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)」「第三次安倍内閣防衛相」と異例の厚遇をしてもらった物の、「南スーダンPKO日報問題」「都議選失言問題」で防衛相を辞任。
 で、彼女も「安倍にひいきにされてるだけの存在じゃまずい」と自覚(?)したのでしょう。
 「安倍なんて私を持ち上げて重要ポストに就けても、『後は頑張って』で放置プレーで育てる気なんかかけらも無いし、私が苦境になったら、防衛相を更迭してそれで終わり。本当に冷たい人間で頼りにならない」
 「大体、安倍なんて首相を辞めてからどれだけ政治力があることか。子分・福田赳夫*8元首相や弟・佐藤栄作*9元首相、女婿・安倍晋太郎*10元外相を通じて首相退任後も一定の政治力を保有した岸*11元首相のような事が出来るとも思えない。『稲田は安倍の子飼い』というイメージが強すぎるとポスト安倍では完全に干されかねない」
と思った彼女が頼ることに決めたのが「二階幹事長」であり、ポスト安倍でも活躍したいという考えからの『女性活躍』でしょう。

 「女性が働いている社会において、マイナンバーを(銀行)口座とひも付けして、次に(現金を)給付する際には世帯単位ではなく個人に届くようにという話をした。首相は前向きなお答えをされた」
 稲田氏は今月8日、首相官邸で首相と面会後、記者団にこう訴えた。

 マイナンバー云々*12はともかく「個人単位で支給したらどうか」というのは「世帯単位ではDV女性が受け取れない」ということで野党からも出ていた主張です(例えばDV被害者に配慮必要/10万円給付 本村氏、制度見直し要求参照)。
 稲田がそう言うこというのが意外ですね。
 ちなみに池内さおり氏*13が「個人単位で支給すべし」といったら「手間がかかる」と散々、因縁つけてたのが黒坂真です(黒坂真に突っ込む(2020年4月22日分) - bogus-simotukareのブログ参照)。
 黒坂に「稲田氏も個人単位支給を主張していますが」と聞いたら何と答えてくれることやら。

 稲田氏は平成17年の衆院選で、当時党幹事長代理だった首相が保守派弁護士としての活動に目をとめ政界入り。第2次安倍政権では当選わずか3回で行政改革担当相、同4回で党政調会長を歴任した。しかし、防衛相時代の29年、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題で引責辞任に追い込まれた。
 しばらく活動を自粛していたが昨年3月、猪口邦子*14少子化担当相や佐藤ゆかり*15衆院議員らと女性限定の(ボーガス注:自民党*16の)議員連盟「女性議員飛躍の会」を結成。昨年末の税制改正大綱をめぐる議論では配偶者と死別・離婚した一人親の所得税などを軽減する「寡婦(夫)控除」の対象に未婚の一人親を加えるために奔走した。また、もともと反対していた選択的夫婦別姓にも理解を示すなど、伝統的な家族観を重視する党内保守層を驚かせた。
 昨年9月の党役員人事で幹事長代行に就任すると二階氏との良好な関係を足掛かりに活動をさらに活発化。同11月には女性議員が意見交換を行う交流の場として「女性政策推進室」が党本部に設置され、稲田氏は初代室長に就いた。看板掛けには二階氏も駆け付けている。
 コロナ対策をめぐっても稲田氏は存在感をアピール。頻繁に首相官邸に足を運んでは妊婦や一人親家庭への支援、看護師らへの現金支給、学生への支援を首相に提言。休校の長期化を受け、政府・与党が導入の可否を検討している9月入学制*17についても前向きに検討するよう首相に要望した。

 ということで元々は「右翼活動家」だった稲田が最近は「政治家として出世したい」「右翼政治家のカラーではポスト安倍になったら政治家として終わってしまう」「野田聖子*18総務相小池百合子*19都知事のように女性活躍を前面に出したらどうだろう」「党内実力者である二階幹事長との関係も深めよう(今まで安倍以外との関係が弱かった)」という「実利のため」でしょうが「右翼政治家からの脱却」を目指してるわけです。
 太字強調した部分については

「日本会議の人に“裏切り者”って言われるんよ……」稲田朋美氏が“変身”した理由は“野心”!? | 文春オンライン
 稲田氏はこんな愚痴もこぼす。
 「日本会議の人に『裏切り者』って言われるんよ」。
 戦前回帰色の強い日本会議からみれば「夫婦別姓同性婚を認めるなんて、あり得ない」というわけだ。

ということで以前から指摘がありますね。「ポスト安倍」を考えれば『夫婦別姓反対』などというより、理解を示した方がいい、野田聖子なんかむしろ「夫婦別姓」を訴えることで世間にアピールしているではないか、と言う話でしょう。
 まあ、産経や日本会議からすれば「裏切り者」ということになるのでしょうが。

 最近、稲田氏は政調関係者に新型コロナ対策に関する議論の報告を求めるようにもなったという。党の政策立案を担う政調会の頭越しに首相への提言を繰り返す稲田氏に対して、政調幹部は「党内議論をまとめるのがどんなに大変なことか分かっているのか。調子に乗っているのでは」と不快感を隠さない。党関係者も稲田氏の行動について「首相が後継と目する(ボーガス注:政調会長の)岸田氏にライバル心があるのではないか」「もっと汗をかかないとダメだ」と手厳しい。

・「首相が後継と目する(ボーガス注:政調会長の)岸田氏」と産経が堂々と書いてるのが興味深いですね。岸田氏は安倍ほどの極右ではないですが、『反安倍をアピールする石破に総裁になられるよりは、岸田に禅譲して、安倍の政治力が少しでも維持出来る方がまし』という認識に産経も至ったようです。
・まあ、別に稲田も「岸田氏にライバル心」なんてもんはないでしょう。
 単に「女性議員飛躍の会会長」「自民党女性政策推進室長」として「女性政策中心」で物を言っているだけだ、それで何が悪いのか、文句があるなら自民党政調として色々と施策をぶち上げればいい、程度の意識しかないでしょう。
 しかし産経も、自民党幹部の言葉の引用という形ではあるものの、

「党内議論をまとめるのがどんなに大変なことか分かっているのか。調子に乗っているのでは」
「もっと汗をかかないとダメだ」

と書くとは『夫婦別姓容認』などの稲田の『裏切り』によほど含むところがあるのでしょう。

 稲田氏は3月19日のTBSのCS番組収録で「党の『おじさん政治』をぶっ壊す」と決意を表明した。男性議員中心の永田町の風潮を改革したいとの思いの表れとみられる。だが一方で「飛躍の会」が4月に出版した政策提言集「女性議員が永田町の壁を砕く!」(成甲書房)に言葉を寄せているのは男性議員の重鎮である二階氏だ。

 まあ、お手並み拝見つう所ですね。

 二階にへいこらしてる奴が何が「自民党の『おじさん政治』をぶっ壊す」だ。二階こそが自民党の『おじさん政治』ではないのか

というのは正論*20ではあるでしょうが、

 幹事長・二階氏を自民党のおじさん政治の象徴としてくそみそに攻撃する

つうのは自民党所属議員として現実的じゃありませんし、まあ、『可能な範囲で女性活躍を進める』つうことしかできないでしょう。
 むしろ「党の『おじさん政治』をぶっ壊す」と言い切ったことに『それなりに期待したい』。まあ、あくまでも『それなり』ですが。

 稲田氏が所属する党最大派閥細田*21派(清和政策研究会)では稲田氏のほか、下村博文選対委員長も「ポスト安倍」へ名乗りを上げ、新型コロナ対応で露出が増えている西村康稔経済再生担当相の名前も挙がる。ただ、派内に衆目の一致する候補はいない。

 まあ、産経がここで名前を挙げる稲田以外の面子(下村、西村)も安倍政権になってから重用されるようになった連中ばかりですからね。しかし「そう言う連中しか派閥幹部にいない」「どんぐりの背比べ」が今の細田派の訳です。

 稲田氏の足場となる「飛躍の会」のメンバーも、総裁選となればそれぞれが所属する派閥の方針に従わざるを得ない。メンバーの1人は「仲が良くても総裁選となると話は別よ」とつれない。
 総裁選の立候補には党所属国会議員20人の推薦が必要だ。「おじさん政治」をぶっ壊して仲間づくりができるのか、今後の稲田氏の行動が注目される。

 イヤー、稲田も総裁選に出る気はないし、細田派も彼女を担ぐ気は無いでしょう。とはいえ、『細田派幹部がどんぐりの背比べ』と言う状態では、結局、細田派は総裁選挙では誰も派閥候補として担げず『岸田VS石破』の一騎打ちで『細田派は岸田支持』つうのが一番ありそうな気がします。

【参考:稲田朋美

安倍首相「人生の出口戦略」はコロナですべて吹き飛んだ(戸坂 弘毅) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)
 「早く自由になって毎日ゴルフを楽しめるようになりたい」。
 安倍は昨年から、気心の知れた知人に繰り返し、そう漏らしてきた。それはまさに本心から出た言葉だった。このまま首相を続けても何もいいことはなさそうだ、という八方ふさがりの状況が、安倍をそうした心境にさせた。
 「日ロ平和条約の締結」という外交的悲願も、プーチン*22に翻弄されるばかりで見通しは全く立たない。昨秋、水面下でプーチンから「平和条約交渉を仕切り直そう」とのメッセージが届いた時、安倍は「もうあんな厳しい交渉はやりたくない」と一度は消極的な姿勢を示した。気力も失われているのだ。
 さらにコア支持層も期待する「拉致問題の解決」と「日朝国交正常化」という目標に至っては、すべてはトランプ・金正恩による米朝協議の進展次第という有様で、自力では手掛かりすら得られる見込みはなくなった。
 安倍の通算首相在任期間は、すでに憲政史上最長となっており、今年8月には大叔父である元首相・佐藤栄作の連続在任記録2798日をも上回る。
 「日本の憲政史上、最も長く首相を務めた」ことだけをレガシーに余力を残して退任し、その後は、すでに実質的な安倍派である最大派閥・細田派=清和政策研究会の会長ポストに座る。そして、(ボーガス注:森*23元首相のように?)責任のない気楽な立場で政権への影響力を維持しながら、10年余は政治家としての「余生」を楽しみたい。安倍の頭の中には、そんな都合の良いシナリオがあった。
 そのためには、安倍の政権運営を厳しく批判してきた元幹事長の石破茂が、自分の後継になることだけは避けなければならない。「石破総裁」を阻止し、若い時からの遊び仲間で気心が知れている政調会長岸田文雄を後継に据えれば、しばらくは「院政」を敷くことができる。そう考えてきた。
 自らの居場所を確保するために安倍政権の継続を望む今井ら側近たちも、安倍自身の口から4選を強く否定する言葉を繰り返し聞かされ、もはや諦めていた。
 ところが、そこに新型コロナウイルス禍が降りかかってきた。「花道」のつもりだった東京五輪が1年延期になったことで、(ボーガス注:石破が総裁になる危険性が高い党員選挙はせずに、安倍が岸田に禅譲するという)退陣シナリオは吹き飛び、ゼロから考え直す必要が出てきた。
 ここ半年ほどのマスコミ各社の世論調査で、石破人気はさらに沸騰している。「次の首相候補」でいっとき高い支持率を誇った小泉進次郎が、昨秋の環境相就任から人気を低下させ、その分石破を支持する人が増えているのだ。
 小泉人気の下落は安倍の狙い通りだったが、石破の支持が増えたのは誤算だった。一方で、安倍の意中の候補である岸田の支持率は5〜6%と低空のまま、上昇する気配はない。
 こうした事態を受け、安倍周辺では再び安倍の続投論が浮上している。「このままでは来年9月の総裁選で石破総裁が誕生しかねない。阻止するためには安倍続投しかない」というわけだ。
 安倍自身が続ける以外に「石破総裁」を阻止できないとなれば、考えを改める可能性は出てくるのではないか。周辺はその可能性に縋る。だが、こうした中さらに「想定外の動き」が安倍の足元である細田派で相次ぎ、安倍は頭を抱えている。

加速する安倍政権の終焉…次の首相に手を挙げる「イマイチな顔ぶれ」(戸坂 弘毅) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)
 自民党の次期総裁選、「ポスト安倍」の椅子をめぐって、安倍の出身派閥である細田派=清和政策研究会の中で、今年に入ってから想定外の動きが相次いでいることは、ほとんど知られていない。
 安倍は以前から首相続投*24の意欲がないことを周囲に漏らしていたが、昨秋、その意思が固いことが細田派内に伝わると、年明けにかけて安倍の下を訪れて「派の代表として総裁選に立候補したい」と言い出す議員が派内から(ボーガス注:稲田幹事長代行、下村*25選対委員長、西村*26経済再生担当相、世耕*27参院幹事長と)3人*28も相次いだのだ。
 その筆頭は、安倍首相の秘蔵っ子として、わずか当選3回で行革担当相として入閣、当選4回で自民党政調会長、防衛相と極めて異例の厚遇を受けてきた、幹事長代行の稲田朋美だ。
 周知の通り安倍の寵愛を受けてきた稲田だが、防衛相在任時、都議選の応援演説で「防衛省自衛隊としてもお願いしたい」という失言をしたのに続き、破棄したとされたPKO部隊の「日報」を陸上自衛隊が密かに保管していた問題では、防衛省自衛隊を全く統制できない醜態を晒し、途中辞任した。
 党内のやっかみを無視して抜擢人事を繰り返した安倍は当時、周辺に「清和研に皆が認める総裁候補がいないから、育てようと思って稲田を使ってきた。他派との駆け引きをする上でも、自分のところ(派閥)に首相候補がいないと迫力が出ないからね。『女性初の首相』という看板も立つし、女性だから派内のやっかみもまだ少ないだろうと考えて抜擢したんだが、その任になかったね*29」と本音を漏らしていた。
 そんな経緯をすっかり忘れたかのように手を挙げた稲田に、安倍も意表を突かれた。
 「夏ぐらいまでに、目指す日本の将来を本にまとめようと思っている」
 「自分の考えに賛成してくれる人を集め、仲間づくりをやっていきたい」。
 稲田は3月上旬、時事通信のインタビューでこう述べて、次期総裁選への立候補を目指す考えを表明している。
 実は、稲田はそのしばらく前に安倍と面会し「本気で次の総裁選に出馬したいんです」と理解を求めていた。
 安倍は「そんなに焦らなくてもまだ時間はある。次は派として岸田さんを推すことを検討しているので、協力してほしい」と説得したが、稲田は「岸田さんですか?。失礼ながら、岸田さんなら私の方が能力はあると思います。私ではダメなんですか?」と抵抗。安倍が仕方なく「それでは、自力で推薦人を集めてごらんなさい。(立候補に必要な)20人集まらなかったら、私に協力して欲しい」と切り返したところ、稲田は不満顔で部屋を出て行ったという。
 そうした経緯もあって、安倍は稲田がこれほど早く立候補を表明するとは思っていなかったようだ。周辺に「稲田もあんな失敗をしたのに、自分のことが分かっていない。もっと目立たないところで汗をかかないと。20人の推薦人など集まるわけがない」と呆れ顔で漏らしたという。
 だが、そもそも安倍が稲田を抜擢し続けたことに強い不満が燻っていた細田派内では、幹部からも「あれだけの大きな失敗*30をしたのに、わずか2年で幹事長代行という要職に起用するなど、首相が稲田を甘やかしてきたからだ。彼女を増長させたことを反省してほしい*31」との声が出ている。
 稲田はそうした派内の冷たい視線を察してか、あるいは安倍から突き放されたためなのか、今は幹事長代行として幹事長の二階俊博に接近する。
 二階派は、47人の議員を抱える自民党内第4派閥*32だが、衆目が一致する総裁候補も派閥の後継者も不在だ。これに目を付けた稲田は、二階の海外出張に二階派の議員に交じって参加するなどしてすり寄っている。稲田が共同代表を務める議員連盟「女性議員飛躍の会」が4月30日、女性活躍に向けた政策提言集「女性議員が永田町の壁を砕く!」を出版したが、その巻頭言も二階が寄せた。
 そのため、細田派の関係者の間では、「稲田は清和研にいても総裁候補になれないと見切りをつけ、二階派への移籍を画策しているのでは」との見方も浮上している。
 さらに細田派では、当選8回のベテラン議員で自民党選対委員長の元文科相下村博文が、以前から総裁選への立候補に意欲を示している。安倍の側近を自認する下村は昨年10月の講演で「首相は4選を考えていない」との見立てを示した上で、「チャンスがあれば頑張りたい。やりたいことを一番できるのは首相だ」と意欲を示した。
 だが、官房副長官文科相、党4役である選対委員長を務めるなど経歴は立派で、昨夏まで派閥の事務総長も務めていたにもかかわらず、自分本位の行動が多いために人望に欠け、派内から総裁候補に推す声はほとんど上がらない。
 新型コロナウイルスの影響がすでに出ていた今年2月中旬、下村は、派閥の最高顧問を務める元衆院副議長・衛藤征士郎*33とともに、当選3回の議員を中心とした若手議員たちを連日、ホテルに集めて会食した。
 衛藤は「派として必ず候補を出すべきだ。下村君はその有力候補だ」と熱弁を振ったが、「次は(清和研は)一回休んで他派の岸田氏を推した方がいい」と考える安倍に同調する派閥会長の元幹事長・細田博之も、こうした下村の動きに眉を顰める。
 こうした稲田や下村の動きに刺激されたのか、さらに2人の清和研の所属議員が、相次いで安倍に総裁選立候補の意欲を伝えた。 
 ひとりは、昨秋の内閣改造で経済再生相として初入閣し、今は新型コロナ担当相も兼ねて連日テレビに顔を出す西村康稔。そしてもうひとりは、元経産相参院自民党幹事長を務める世耕弘成だ。
 2人は、いずれも安倍のもとを別々に訪れて、次の総裁選に清和研の代表として立候補したいとの意向を伝え、お墨付きを得ようとした。だが安倍は2人に対しても、稲田同様に「次は宏池会(岸田派)や志公会(麻生*34派)と一緒に岸田さんを支援したい」との意向を伝えて自重を促した。両者が食い下がったため、やはり「まずは自力で20人の推薦人を集めてみたら」と言って追い返したという。
 西村は(中略)役人時代に石川県庁の勤務経験があり、地元の元首相・森喜朗の知遇を得て可愛がられている。そのため自民党が野党に転落した09年、麻生太郎の後継を選ぶ総裁選では、森のお膳立てで当選3回ながら立候補した経験もあり、早くから将来を嘱望されてきた。
 だが下村同様、自分勝手な行動が多く、頭の良さを鼻にかけて他人を見下すような言動も目立つことから人望に欠ける。
 本人は「私も(総裁選立候補の)有資格者だ」と強気だ。安倍も西村には期待するところがあり、新型コロナ担当相に起用したのだが、(中略)緊急事態宣言の解除基準を巡って政府に苦言を呈した大阪府知事の吉村洋文を批判して逆にネット上で集中砲火を浴びるなど、言動の軽さが相変わらず目立つ。
 他方、世耕は参院議員ながら安倍側近として首相補佐官官房副長官経産相など要職を歴任し、昨秋から参院自民党幹事長を務めている。
 経産相在任中はロシア経済分野協力担当相を兼ね、安倍の意向を受けて日ロ平和条約締結に向けた地ならしに奔走した。西村同様に目立ちたがり屋で、かと思えばマスコミへの情報漏れに過剰反応し、経産省内全室の施錠や取材対応の厳格化を省内に指示するなど「器が小さい」とも指摘される。
 和歌山が地元の世耕は、二階引退後の衆院和歌山二区への転出を狙っており、親しい知人には「二階さんが早く消えてくれればいいのに」と本音を漏らす。だが、二階は子息を後継者に据えたいと考えていると見られ、強行すれば激突は避けられない。
(中略)
 世耕は、「衆院に鞍替えすれば即、派閥の総裁候補になれる」と考えている節があるが、現在のところ細田派内で首相候補に担ごうという動きは見られない。
 安倍は親しい永田町関係者に「稲田も西村も世耕も、もっと党内で支持が得られるよう汗をかいてから(総裁選立候補を)言って欲しいよね」などと漏らす。しかし、思い描いてきた「退陣シナリオ」がコロナで吹き飛び、自らの足元さえ危ういいま、安倍に「後継」を云々する余裕などあるのか。
 世界を見渡せば、コロナ対策で各国首脳の支持率が上昇している中、大幅に低下した安倍は例外的な存在だ。
 野党のあいかわらずの支持率低迷と、自民党内に衆目の一致する後継候補が不在であることから、直ちに退陣に追い込まれる恐れこそないだろう。しかし、少なくとも「岸田政権を作って余生を楽しむ」という夢は、もはや風前の灯だ。
 コロナ対策で、第二次安倍政権発足以降、初めて危機管理の中心から外された官房長官菅義偉が、今年1月に石破側近である元農水相山本有二と密談。その後、次の総裁選では石破を担ぎたいとの考えを側近に漏らしたとの情報も、安倍の耳には入っている。安倍は新型コロナ対策に追われる中、菅への疑心暗鬼も募らせている。
 安倍が目論見通り岸田を後継者に据えるためには、まず新型コロナを収束させて支持率を回復させ、延期した東京五輪を確実に開催させるため、全力を挙げるしかない。だが、その道はかなり険しい。

 「本当かよ、稲田を叩くためのデマじゃねえの?」ですね。稲田って「よそ者の岸田さんを支持するくらいなら、派閥議員の私を細田派候補として出馬させて欲しい」と安倍に直訴するほど、そこまで「強気な性格(?)」なんでしょうか。
 菅が「次の総裁選は石破でどうだろう(岸田は支持したくない)」といったというのも「本当かよ、菅を叩くためのデマじゃねえの?」ですね。
 しかしこういう記事が出ると言うことは「アンチ安倍の俺の願望込み」ですが「いよいよ安倍の終わりが来た」と思いたいところです。

総裁選へ意欲「仲間つくる」 稲田自民幹事長代行インタビュー:時事ドットコム
 自民党稲田朋美幹事長代行は時事通信のインタビューに応じ、次の党総裁選に向けて「仲間づくりをやっていきたい」と述べ、立候補への意欲を表明した。目指す日本の将来像を今夏までにまとめる考えも示した。
 主なやりとりは次の通り。
◆インタビュアー
「選択的夫婦別姓について容認に転じた。」
◆稲田
「男性の姓になる夫婦がほとんどで、いろんな理由で女性が(自らの)姓を継ぎたいという思いを閉ざすことが本当の意味で公平なのか考えないといけない。人生100年時代の家族の在り方も多様化している。党内では議論すらタブー視されてきたが、反対派の意見も含め、しっかり議論して進めていくべきだ。」
◆インタビュアー
「稲田氏の思想が変わったとの見方もある。」
◆稲田
「保守こそ多様性を認めるべきだと思っている。変わったというより、むしろ深まっている。防衛相時代に散々たたかれ、政治家として厳しい時期だったが、人の痛みや立場をより考えられるきっかけになった。」
◆インタビュアー
「次期総裁選についてどう考えているか。」
◆稲田
「日本の外交をかじ取りしていくという意味で安倍晋三首相の4選が国益にかなっているが、首相は「4選はない」と明言している。誰に日本を託すのが一番良いのかという観点で総裁選に臨む。」
◆インタビュアー
「総裁選への立候補を目指すか。」
◆稲田
「夏ぐらいまでに、目指す日本の将来を本にまとめようと思っている。キーワードは多様性、持続可能性、公平性だ。自分の考えに賛成してくれる人を集め、仲間づくりをやっていきたい。」
◆インタビュアー
「以前から首相を目指すと公言している。」
◆稲田
「自分が実現したい社会を形にしていく過程で、その前提条件として目指すということはある。」

江川紹子さんがご意見募集 稲田朋美さんの「いい仕事」から考える「多様性」と「保守の役割」 | | 江川紹子 | 毎日新聞「政治プレミア」
 稲田朋美さん、実にいい仕事をされました。
 この問題についての稲田さんの動きを知った時、私は正直に言えば、大変失礼ながらびっくりしました。この論考未婚でもひとり親なら同じ大変さ 差別より支援を | | 稲田朋美 | 毎日新聞「政治プレミア」も、投稿者の名前や写真が載っていなければ、稲田さんのものだとは分からなかったでしょう。
 なにしろ稲田さんと言えば、もっとも保守的な論客の一人で、安倍晋三首相の秘蔵っ子と言われている政治家。いわゆる「伝統的家族」観に縛られ、シングルマザーには冷たい、と思い込んでいました。
 この論考を読んで、(ボーガス注:固定観念で稲田氏を否定的に評価していなかったかと)私は大いに自分自身を反省しました。書かれていることはいちいちもっともで、しかも血の通った内容です。
 考えてみれば、稲田さんはLGBTなど性的少数者に対する差別についても、(ボーガス注:自民党内で)もっとも早く声を上げた政治家の一人です。単に旧来の価値観にしがみつくのではなく、もっと柔軟な「保守」を目指しているのでしょう。
 多くの課題で、もしかしたら、保守かリベラルか、という分け方は、もはや意味を失っているのかもしれません。現実を見ているか、そうでないか。そこが一番大事なような気もします。
 ツイッターなどでは、「稲田さんは、大化けするのではないか」という声も聞こえてきます。
 与党で稲田さんのような女性議員がもっと増えて、活躍の機会があり、政治家として成長していけば、政治のあり方も変わっていくのかもしれません。
 皆さんは、この論考を読んで、どう思われましたか? 「保守」とリベラルについて、さらには女性議員を巡る政党、とりわけ与党への注文、稲田さん個人への期待や要望なども含めて、ご意見をお寄せください。

 まあ、「稲田へのリップサービスだ」とは思いますが、江川紹子*35もこういう「稲田を持ち上げる事」を書くのは「何だかなあ」ですね。

稲田朋美さんへの「驚き」にみる「保守と改革」 固執でも美化でもなく | 江川紹子さんのまとめ | 江川紹子 | 毎日新聞「政治プレミア」
 配偶者と離婚・死別したひとり親には税負担を軽くする「寡婦(夫)控除」の対象を、未婚の親にも拡大させた税制改正についての稲田朋美さんの論考を読んで、「大変失礼ながらびっくりしました」という私の感想には、実に多くの方から、賛同の意が寄せられました。
「私も、この記事で稲田さんを見直しました。(中略)子育てする一人の母親の立場になって、頑張ってくれたことに、保守内に希望を見ました」(闘う学校司書母さん)。
 一方で、今回の発言や行動には賛意を示すものの、これで稲田さんを評価するのはまだ早い、という慎重派も。
 「結婚観や家族観の多様性を認めることを稲田氏が本当に認識しているのなら、自民党憲法改正案にある『家族は助け合わなくてはならない』や、『個人として尊重される』が『人間として尊重される』に改正されることにも反対の立場に立つことになると思うので、そこを見極めるまでは、判断保留です」(西原真衣さん)。

稲田朋美氏、なぜ「イメチェン」その心の奥は…保守層抵抗感強い政策、熱心に - 毎日新聞
 安倍晋三首相に近く、「保守」の印象が強い自民党稲田朋美幹事長代行の「イメージチェンジ」が永田町で話題となっている。昨年から女性活躍に焦点を当て、2020年度税制改正大綱では未婚のひとり親支援に注力。選択的夫婦別姓の実現も目指している。いずれも伝統的家族観を重視する保守層には抵抗感が強い政策だ。稲田氏の「変化」の裏にあるものは。
 「自民党は女性議員が少ない。私たちが風穴をあけることで、女性がいないことによる民主主義の弱みを変えていくことができる」
 1月24日、自民党本部で開かれた議員連盟「女性議員飛躍の会」の今年最初の会合で、共同代表を務める稲田氏は女性活躍の政策を推し進める考えを改めて強調した。3日後の27日には、国による養育費の立て替え払い制度の導入などを議連所属の森雅子法相に要望し、記者団に「実現可能な案にしていきたい」と訴えた。

稲田朋美氏ら子1人10万円支給要望 児童扶養手当対象家庭に、自民議連 | 政治・行政 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE
 自民党の女性国会議員有志でつくる議員連盟「女性議員飛躍の会」(共同代表・稲田朋美衆院議員=衆院福井1区)が5月18日、児童扶養手当を受けている家庭に対し子ども1人当たり10万円の特別給付金を支給するよう、加藤勝信*36厚生労働相に求めた。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、所得の低いひとり親家庭の経済的な打撃が大きいことから要望した。
 加藤厚労相は「いろいろなところから要望が来ている。方向性を党でもまとめて頂きたい」などと応じ、前向きな考えを示したという。
 要望書では、収入が激減し、児童扶養手当の受給対象になる見通しの家庭にも支給するよう求めたほか、経済的に困っている家庭に食料を定期的に無料で配る「こども宅食」に対する支援なども要望した。
 要望後、稲田氏は「政府はいろんな支援をしているが、本当に必要なところになかなか届いてない。シングルマザーの方からは、食べるものにも困る状況だという話も聞いている。しっかりと届けることが重要だ」と述べた。
 議連はこの後、世耕弘成参院幹事長にも要望書を提出した。

「女性議員が永田町の壁を砕く!」 自民・飛躍の会が政策提言集を出版 - 毎日新聞
 自民党稲田朋美幹事長代行らが共同代表を務める議員連盟「女性議員飛躍の会」は30日、女性活躍に向けた政策提言集「女性議員が永田町の壁を砕く!」(成甲書房)を出版した。
 稲田氏や森雅子法相、佐藤ゆかり環境相ら10人の自民党女性国会議員が、自身の歩みと共に政治信条や模索中の政策を記した。稲田氏は2019年の税制改正論議で、未婚で子育て中の女性にも寡婦控除を認めさせた議連活動を振り返りつつ「保守とは多様性を認めることだ」と主張。「女性の政治家が少ないことが日本の民主主義をゆがめている」とし、一定の議席を女性に割り当てる「クオータ制」の導入を訴えた。
 二階俊博幹事長も巻頭の言葉を寄せた。

TBS NEWS「国会トークフロントライン」
 今回のゲストは、自民党幹事長代行の稲田朋美さん。去年3月に「女性議員飛躍の会」という議員連盟を作り精力的に活動、今回のコロナウイルス感染問題でも一斉休校対応についていち早く要望書を出している。
◆稲田
「シングルマザーの方などからいろいろお話を聞いて、給食費が大変だとか、母親だけでなく父親も子どもたちの面倒を見てくださいとか、女性ならではの視点でいろいろ要望を出しました」
◆インタビュアー(川戸惠子TBSテレビ・シニアコメンテーター)
「この会が注目されたのは、それまで改正できなかった「ひとり親控除」を昨年末の税制改正大綱に入れたことですよね。」
◆稲田
「そう。1人での子育ては、結婚していたとか未婚のままでふしだらだとか、離婚か死別かなんて関係ないんです。それで差別されるなんておかしいですよね。でも『伝統的な家族観が壊れるから』と散々言われました」
◆インタビュアー
「同じようなことを昔、稲田さんも言われていたことがありますよね。」
◆稲田
「今でも、私、家族は大切なものと思っています。ただその『伝統的な家族』からはみ出した人、入りたくても入れなかった人を排除するような制度はなくしてほしい、という強い思いがあるんです」
◆インタビュアー
「なぜ考えが変わった?」
◆稲田
防衛大臣を辞任した時に思いました。もちろん私に反省すべき点たくさんあったんですが、それまで(ボーガス注:安倍首相に行革担当相、自民党政調会長、防衛相と重用されて)順調に来ていたのがペシャンコになったんです。原則というものからはみ出すというのがどういうことか、他人事ではなく自分事としてわかったんです。『政治は男のもの』『女性は例外的な存在』って考えられているって。自民党は見渡す限り男性!。女性議員は7%!。支援者のところに行っても話をするのは男性相手で、女性は台所で食事を作っている。党員の40%は女性なのに!。でも、ひとり親の議論の時、若い方たちをはじめ柔軟な発想の方たちが応援してくれた。『自民党のおじさん政治を壊す!』ということにつきるんじゃないんですか?」
◆インタビュアー
「女性政策要望の1つが「性犯罪にかかる刑法改正についての要望書」。なぜ今これを?」
◆稲田
「平成29年の改正の見直し時期が今年なんです。一方、去年、これに関してどうしても理不尽な無罪判決が4件も出た。父親が娘をレイプする。また、ぐでんぐでんに酔わせた女性をレイプする。それが無罪!。おかしいでしょ!。いくつか提言しました。まず『公訴時効の撤廃』。訴えるまでに気持ちの整理や自分自身が成熟するなどのことがないと訴えられないんです。20歳でも30歳でもダメで、40歳になって初めて言えた人もいるんです。もちろん証拠の問題などありますが、撤廃してほしいと思います。性同意年齢の引き上げ。現行は13歳となってますが、小学校を卒業したばかりの年齢ですよ!。それから(ボーガス注:通常の性犯罪より刑罰が重くなっている監護者わいせつ・監護者性行等罪は)今は対象が『現に監護する者』になっていますが、これでは大体が父親のみ。(ボーガス注:現在の監護者わいせつ・監護者性行等罪では)祖父や兄弟、それから教師やスポーツの指導者などの行為を問えない。性犯罪、こういうケースがとても多いんです。それから(ボーガス注:性犯罪成立の)要件が厳しすぎます。裁判官の裁量の範囲でが広すぎ、裁判官の考えに左右されてしまいますので、撤廃や要件緩和が必要です。海外では不同意のみで立件と言うところ多いんですが、これは立証が難しい。さらに教師の性犯罪。教師は公務員ですから、免職にしたらそれで終わり。立派な刑事犯罪なのに刑事告発したのか、結果はどうなったか、文科省は把握していません。これはいじめも同じ。傷害罪でもあり、脅迫罪・暴行罪でもあるのに、何もやっていないんですよ」
◆インタビュアー
「選択的夫婦別姓問題も長く店ざらしですね。」
◆稲田
「私自身も(ボーガス注:過去には選択的夫婦別姓について)反対の論陣張ったこともあるんですが、でも人生100年時代、いろんな結婚の形が出てきている。60代の結婚も珍しくない。国会議員も本名でしか当選証書がもらえないんです。どちらの名前を使ってもいい、だから平等だというのは違います。実質的には男性の姓がほとんどですから」
 稲田さんはこう続けた。
アベノミクスでたくさんの女性が働くようになりましたが、結婚していったん離職したら、実態は非正規が大半。本当に女性の力を活かそうとする今の時代の方向とは違うんじゃないですか? 今後の雇用・働き方改革のキーワードは『女性』じゃないかと思いますよ!」

 稲田が右翼的な部分を「可能な限り封印」して『クオーター制導入』『性犯罪についての公訴時効の撤廃』など野党(共産党含む)支持層でも支持できそうな主張をしている点が注目されます。もちろん「出世のためだろ?。本心とはとても思えない」と言えばその通りですが、その点では稲田は「杉田水脈」などとは違うわけです。


【参考:性犯罪】

性犯罪規定 見直し要求/山添氏質問 法相「適正に検討期待」/参院法務委
 日本共産党の山添拓*37議員は12日の参院法務委員会で、刑法の性犯罪規定の「見直し」検討をめぐり、「意思に反する性交」が「国家が放置すべきでない重大な権利侵害」だと強調し、被害者の泣き寝入りの背景となっている現行の暴行脅迫・抗拒不能の要件撤廃を求めました。

性犯罪規定改正せよ/本村氏 スウェーデン例に迫る
 日本共産党の本村伸子*38議員は25日の衆院予算委員会分科会で、刑法の性犯罪規定に残されている「暴行・脅迫」要件の撤廃等、同法の改正を求めました。
 本村氏は、同意のない性交と認定しながら、抵抗できない状態とは断定できないとして無罪とした名古屋地裁岡崎支部の判決を挙げ、罪の成立に「極めて高いハードル」が課されていると強調。スウェーデンは18年の刑法改正で性行為への「自発的な関与」を要件とし、同国政府関係者は「性的行為には同意が必要だとのメッセージを国が発した」と語っていると指摘し、「日本でも刑法改正を」と迫りました。

【参考:クオーター制】

議席の半分女性に 決意新た/次期衆院選へQの会 国会内で集会
 女性の地位向上とともに、政治に女性の声や視点を反映させるため、次期衆院選議席の半数に女性を送り出そうと、「クオータ制を推進する会(Qの会)」は14日、国会内で集会を開き、106人が参加しました。
 与野党各党から責任者が出席。国会や地方議会の選挙で、候補者の数をできるだけ男女均等にするよう政党に努力を求める「政治分野における男女共同参画推進法」施行後初の国政選挙となった参院選の総括について、それぞれ報告しました。
 日本共産党の畑野君枝*39衆院議員は、参院選での党女性候補の割合が55%を占めたことや、都道府県議会での女性比率は54%に上っていることを報告。来年の党大会の決議案に「あらゆる選挙で女性候補の比率をたかめ、女性議員を増やすことに力を注ぐ」ことを盛り込んで全党で討議していることを説明し、「(推進法に基づいて)さらに努力していかなければいけない」と語りました。

*1:彼が出馬辞退したときの弁はこれです。「同調圧力」云々という指摘にも彼は「自分の意思」である旨をはっきり明言したはずです。それが何故、鳥越敗戦後に平然と前言を撤回するのか?

*2:東京教育大学名誉教授。中央大学名誉教授。著書『戦争責任』、『太平洋戦争』(以上、2002年、岩波現代文庫)、『一歴史学者の歩み』(2003年、岩波現代文庫)など

*3:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*4:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*5:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相などを経て自民党政調会長

*6:まあ、それだけではなく都議選での失言もありますが

*7:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを経て自民党幹事長

*8:大蔵次官から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*9:運輸次官から政界入り。吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*10:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*11:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*12:そもそもマイナンバーは普及してませんので紐付けても「自治体の支給金処理がスムーズに進む」などの「便利さがあるとも思えず」あまり意味がないでしょう。逆に「普及させるために紐付ける」と言うなら政治手法として邪道でしょう。

*13:衆院議員。中央委員会の機構と人事(第28回党大会)|党紹介│日本共産党中央委員会によれば共産党中央委員

*14:上智大学名誉教授。小泉内閣少子化等担当相。著書『ポスト覇権システムと日本の選択』(1992年、ちくま文庫)など

*15:第4次安倍内閣総務副大臣などを経て、現在、第四次安倍内閣環境副大臣

*16:議連と言っても自民党オンリーで『野党も参加の超党派』どころか公明党も参加してないようです。

*17:以前も書きましたが俺個人は「9月入学」には否定的な考えです。

*18:小渕内閣郵政相、福田、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)、第四次安倍内閣総務相など歴任

*19:小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)などを経て都知事

*20:まあ産経の場合、二階氏を『親中派』として毛嫌いしてるからこう書くんでしょう。

*21:小泉内閣官房長官自民党幹事長(麻生総裁時代)、総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*22:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相などを経て大統領

*23:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*24:というか自民党総裁四選ですね。

*25:第一次安倍内閣官房副長官、第二次安倍内閣文科相などを経て現在、自民党選対委員長

*26:第三次、第四次安倍内閣官房副長官などを経て第四次安倍内閣経済再生担当相

*27:第1次安倍内閣首相補佐官(広報担当)、第2次、第3次安倍内閣官房副長官、第3次、第4次安倍内閣経産相などを経て現在、自民党参院幹事長

*28:原文のまま。四人の誤記でしょう。

*29:本当ならば随分と「他人事で無責任な発言」です。「稲田を育てるという意思がまるでない」のは何なんでしょうか。

*30:いやー、安部の「モリカケ(背任や公文書改ざん)」「桜を見る会公選法違反)」「検事長定年延長」「自衛隊員の子供がいじめられてるというデマ(ネトウヨまとめサイトをうのみにした疑い)」「ニッキョーソヤジ」「泉大津市の抗議で事実上の発言撤回に追い込まれたマスク問題での朝日新聞に対する誹謗中傷(ネトウヨまとめサイトをうのみにした疑い)」などに比べたら彼女の問題(都議選での失言やPKO日報問題)など「かわいい」もんです。稲田も「安倍さんに比べたら私なんか大した問題じゃない」と内心思ってるでしょう。

*31:むしろモリカケだろうと何だろうと安倍をかばい「安倍を甘やかしてきたこと」をこの「細田派幹部」が反省したらどうなのか。稲田の場合は「思惑が何であれ、ある程度は評価できそう」ですが安倍なんか全然評価できないでしょう。

*32:自由民主党の派閥 - Wikipediaによれば「2020年3月現在」で第一派閥が細田派(97人)、第二派閥が麻生派(56人)、第三派閥が竹下派(54人)

*33:村山内閣防衛庁長官森内閣外務副大臣衆院副議長など歴任

*34:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*35:著書『名張毒ブドウ酒殺人事件:六人目の犠牲者』(2011年、岩波現代文庫)、『「カルト」はすぐ隣に:オウムに引き寄せられた若者たち』(2019年、岩波ジュニア新書)など

*36:第二次安倍内閣官房副長官、第三次安倍内閣一億総活躍等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを経て現在、第四次安倍内閣厚労相

*37:中央委員会の機構と人事(第28回党大会)|党紹介│日本共産党中央委員会によれば共産党常任幹部会委員、政策委員会副委員長

*38:中央委員会の機構と人事(第28回党大会)|党紹介│日本共産党中央委員会によれば共産党幹部会委員

*39:中央委員会の機構と人事(第28回党大会)|党紹介│日本共産党中央委員会によれば共産党中央委員