倍賞千恵子が主演した松本清張原作のテレビドラマ『顔』は、だいぶ原作とテイストが違った(ボーガス注:松本清張『顔』のネタばらしがあります)(追記あり)

【追記】
1)
倍賞千恵子が主演した松本清張原作のテレビドラマ『顔』は、だいぶ原作とテイストが違った - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でこの記事をご紹介頂きました。いつもありがとうございます。
2)

倍賞千恵子が主演した松本清張原作のテレビドラマ『顔』は、だいぶ原作とテイストが違った - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 俳優はあえて1人で不動産屋兼金貸しに会い、向こうを殺そうとします。不動産屋兼金貸しもさるもの、すぐ反撃して、俳優をがけに落とします。途中でかろうじて踏みとどまる俳優の手を踏んだりしていると、女性が駆けつけます。お前も殺してやるといって殺そうとすると、刑事が走ってきて拳銃を威嚇射撃をしたら、あせった不動産屋兼金貸しはがけから落ちてしまいます(このシーンは、かなり拙劣でした。もうすこしうまく落ちないと)。何とか助かった女性と俳優は、あらためて愛を確かめ合い女性は「自首します」といって、ドラマは終わります。

 小生もこのドラマは以前見たことがあります(たぶん「土曜アンコール劇場(「土曜ワイド劇場」の再放送枠)」)。以下はうろ覚えで書いていますが、「落ちるシーンが拙劣であること」よりも逆上した「不動産屋兼金貸し(財津一郎)」が殺人行為に及ぼうとする辺りが「不可思議(と言うか不自然)」ですね。
 もちろんそう言うシーンをつくることで「緊迫感」を産みたいことは分かります。
 ただし、これ以前の財津一郎の描き方は明らかに「金儲け第一主義の小悪党」です。つまり金にならないことは絶対にやらない。
 この場合、いくら逆上したからと言って俳優(山口崇)を殺しても何の意味もないわけです。彼は「恐喝するための金づる」ですから。
 むしろ財津は「俺を殺したら刑事(柳生博)があんたを逮捕するかもしれないぞ」と舌先三寸で脅し、『恐喝金額のかさ上げ』に利用する方が自然です(小生のうろ覚えでは、1)財津が『恐喝金額のかさ上げ』をしようとした、2)倍賞がその場に駆けつけ『そんなことには応じないで下さい、私自首します』と発言、3)彼女の心に感激した山口が自首に同意、4)『余計なことするな』と逆上した財津が彼女を襲い、それをかばおうとする山口が崖に転落しそうになる、5)財津が山口を必死に崖から落とそうとする、だった気がしますがどっちにしろ『逆上して殺人行為に及ぼうとする財津』はそれ以前の描き方とは激変しており、正直面食らいます)。
 ましてや刑事がその場に駆けつけて「やめろ、辞めないと撃つぞ」といってピストルを構えてるのに「興奮のあまり、刑事の姿も声も目や耳に入らない」のか、入った上で無視してるのかはともかく、俳優をむきになって殺そうというのは「繰り返しますが」それ以前の「冷静に相手を観察して、舌先三寸で恐喝に及ぶ財津のキャラ」とは激変しています。まあ、「倍賞が自首を決意、財津が恐喝罪で逮捕」だけでは盛り上がりに欠けるという判断なのでしょうが。
【追記終わり】

 倍賞千恵子が主演した松本清張原作のテレビドラマ『顔』は、だいぶ原作とテイストが違った - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)のコメント欄に書くには長すぎるのでこっちで書いてみます。

倍賞千恵子が主演した松本清張原作のテレビドラマ『顔』は、だいぶ原作とテイストが違った - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
・原作を読んでいる人は、たぶんこう思うんじゃないんですかね。
 「原作と全然違うな」
・原作の主人公は男だし、また同情するには値しない設定です。それに対してやはり(ボーガス注:山田洋次監督の映画『下町の太陽(主演)』や『男はつらいよ』の諏訪(旧姓:車)さくらなど、好人物役が多い)倍賞千恵子*1に、そんな血も涙もない人間は演じさせるわけはないよね(苦笑)。ましてやこのドラマは、彼女が所属する松竹の制作です。
・他の映像化を見てみますと、Wikipediaによれば、映画化が1回、ドラマ化は、最初が1958年(原作発表の2年後)、以後1959年版、1960年版、1962年版。1963年版、1966年版、1978年版(TBS)、1978年版(倍賞版)、1982年版、1999年版、2009年版、2013年版と実に12回もテレビドラマになっています。
・それで、映画、1978年の2作品、1982年版、1999年版、2013年版が女性が主人公です。
・他の作品を観ていないのでめったなことは言えませんが、たぶんこの倍賞千恵子バージョンが、いちばん原作から自由な内容なのではないかという気がします。ほかの作品は、主人公はなんらかの世俗的な成功を勝ち取ろうとしている過程でのつまづき、とでもいうべき立場でしょうが、この作品は、もちろん裕福な人間との結婚というのは、主人公にとっても良いことですが、むしろ主人公が自分の秘密を隠し切れない苦悩とかを前面に出してきています。そういうのも、松本清張の基本コンセプトとはずいぶん違います。だいたい清張の作品は、『ゼロの焦点*2』とか『砂の器』などのように、自分の地位、立場を守るために犯罪をする、というのが1つのパターンですが、このドラマでは、主人公はこのままでは夫らに迷惑がかかるということに苦しむわけです。

 ご指摘の通りで原作とは大分違います。まだ清張が存命だったのに良くこんな改変を許したもんです。
 まあ、小生が知ってるのでは

「原作では死亡している本浦千代吉が生きてる」「原作では影も形もない楽曲『宿命』が登場」という改変が映画『砂の器』で
「原作では病死してる『元銀行員の愛人』が生きてる」という改変がNHKドラマ『最後の自画像』(原作は『駅路』)

ではされてますけど、それにしたって、この倍賞千恵子作品はあまりにもテイストが違いすぎます。
 で他の作品はどうか、ネット情報を見てみましょう(残念ながら全ての作品の情報は確認できません)。
 まず、1957年の映画版です。

顔(1957) | 映画-Movie Walker
 東海道線の小駅の近くで夜行列車から一人の男が転落、付近の病院で間もなく絶命した。東京への照会で男は飯島(山内明)といい無免許で堕胎をしていたと判った。警察はこの事件を軽く見たが長谷川刑事(笠智衆)は何かあると確信した。果してその夜、病院の死体置場に贈主不明の花束が届いた。ところでここに警察も知らぬ水原秋子(岡田茉莉子*3)という贈主がいた。彼女は元、安酒場で働いていたが、ふとしたことでファッション・モデルの幸運を掴みこれを手放すまいと懸命になっていた。この秋子には、二人の男がいた。一人はプロ野球二軍選手の江波(森美樹)。秋子は彼と結婚しようとしていたが、これを阻むもう一人が飯島であった。飯島は酒場時代の秋子の古傷にふれ彼女を苦しめていた。この悪縁を清算せぬ限り秋子は幸福を掴めそうもない。たまたま、秋子の大阪でのショウの帰りを追って飯島が夜行列車に乗った。洗面所で秋子と口論、もみ合ううち飯島は列車から落ちた。帰京した秋子は江波との生活設計を進めたが、長谷川刑事らの捜査も捗り事件の目撃者石岡三郎(大木実)を見つけた。石岡は洗面所で秋子の顔を見たという。その新聞記事を見て秋子は遂にモデルをやめ江波と田舎に帰ろうと決心した。ところが秋子の最後のショウに長谷川刑事が石岡を連れ飯島殺し犯人の首実検に来た。驚く秋子。しかし石岡は犯人はいないと刑事に告げた。止むなく警察は石岡を尾行したが見事にマカれた。その頃、秋子のアパートでは江波が田舎へ行くため荷造りをしていた。そこへ現れたのが石岡。秋子がいないと分って去るが表で、帰って来た秋子に会った。石岡は秋子と旅館に連込み脅迫したが、そこを出たとたんトラックに轢かれ死んだ。だが秋子がアパートに戻ると、江波は石岡との関係を難詰、別れると言出した。秋子は、呆然として外に出た。長谷川刑事らは漸く飯島殺し犯人として秋子を突止めた。夜の銀座をさまよう秋子。それをパトロールカーのサイレンの音が、けたたましく追っていた。

松本清張映画「顔」を久々に観る | フリーライター坂本紀男ブログ
 1957年公開の松竹映画。
 記念すべき松本清張作品の映画化第一弾でもある。
 テレビドラマ化は実に12回を数える名作短編。
 映画と原作は結構異なるところがある。
 まず原作は映画俳優の道をつかみかけた男が主人公。
 順風満帆だが、一方で有名になっちゃうと過去の殺人がばれる可能性があるので苦悩する。
 で、過去を清算するために自分が犯人だと断定できる唯一の目撃者を消そうとあれこれ画策する――というのがメインストーリー。
 どこが違うってこの主人公を女性に変えた点。
 岡田茉莉子を主人公にして職業もファッションモデルに。
 戦後の混沌とした時代をのし上がろうとして、栄光を掴みかけた人間の儚さとか悲しみを描いた作品。
 こういう設定は多いですな、松本清張
 動機重視をしたことで推理小説の新しい分野を切り開いた。
 原作は売れない劇団員で映画出演することになったから顔バレするんちゃうかとビビる心理サスペンス。
 ところが映画はどちらかといえば心理サスペンスよりも岡田茉莉子押しというか、そこまでサスペンスではない。
 しかし、後の「人間の証明」といい過去を隠す女が似合いますな。
 (ボーガス注:TBS)東芝日曜劇場、(ボーガス注:テレビ朝日)土曜ワイド劇場などでも映像化。
 12回ってなかなか凄いですな。
 一番最近の映像化が、2013年のフジテレビバージョン。
 主演は松雪泰子。時代設定は昭和22年と31年。
 原作の時代に近い設定にしているのは好感が持てますな。
 最近は何かというと原作を現代に置き換えたがるからねえ。
 権利関係とかVTRが残ってないとかいろいろあるだろうけど映像化が多い作品については作品集ということでDVDにひとまとめにしてほしいなあ。
【追記】
 1979年土曜ワイド劇場版を観る。「死の断崖」というサブタイトル付き。
 主演は倍賞千恵子。ここでもやっぱり性転換。
 ま、高利貸しの今井健二に脅されて犯されそうになって崖から突き落として逃げるわけだが。
 この時点で正当防衛主張すりゃ通るんじゃねーか。
 そんなことしたらドラマにならんわけだが(笑)
 で、いろいろありましてタイムショック山口崇と結ばれる。そして脅迫者が財津一郎。電話してチョーダイてなもんだ。
 ラストは断崖というにはチープなところで終わる。うーん。これといって特にないなあ。

 目撃者が犯人を恐喝する辺りは倍賞千恵子版と同じですが、映画版は他は大分違いますね。
 次に1978年のTBS版です。

日曜劇場「心の影」|ドラマ・時代劇|TBS CS[TBSチャンネル]
 松本清張の名作「顔」を脚色し、大空真弓*4主演でお送りするサスペンス。出世を目前にした恋人に殺されそうになり、逆に恋人を殺害した良枝。8年間、どす黒い“心の影”を抱いて世をあざむいてきた良枝が、運が開けたために“顔”を知られるテレビ女優になる皮肉を、巧みな運びでミステリアスに描いていく。平均視聴率19.2%を記録した話題作。1978年作品。
【ストーリー】
 8年前、良枝(大空真弓)は北九州市のそば屋の店員だった。サラリーマンの竜夫(三上真一郎)と恋仲で、良枝のお腹には赤ちゃんができていた。竜夫は良枝を熱海に誘い、断崖の白い波に消そうとする。だがもみあううち、崖下に消えたのは竜夫だった。崖に向かう前、熱海で竜夫は下請け会社の石岡(織本順吉)と偶然会っていた。良枝も会釈して、幸せそうな笑顔を見られていた。
 あれから8年。竜夫殺しは迷宮入りし、良枝は変装して別人のような人生を歩んでいた。上京してアテレコ女優*5・水原亜矢となった良枝に気付く人間はいなかった。そんな中、良枝はテレビ女優として速水(渡瀬恒彦*6)ディレクターに抜てきされる。だが良枝は喜ぶどころか、恐怖さえ感じた。テレビに映れば顔が出てしまい、石岡の記憶がよみがえるのではないか…。そこで良枝はある決意を固める。

『心の影』 あっちむいてホイでさえ全力の渡瀬恒彦 - 狂い咲きシネマロード
 1978年に放送されたドラマらしい。原作は松本清張の短編小説『顔』。
 「過去に情夫を殺した女が、身元を変え、女優として名誉を得るが、やがて捜査の手が…」というザ・松本清張な設定。
 三上真一郎に殺されそうになった大空真弓織本順吉に追われ、渡瀬恒彦と懇ろになっていた。

 「女優云々」「第二の殺人計画が保身」という点は原作に近いですが、「最初の殺人が正当防衛の可能性大」という点は倍賞千恵子版に近いですね。
 次に1999年のTBS版です。

松本清張「顔」|ドラマ・時代劇|TBS CS[TBSチャンネル]
【あらすじ】
 松本清張の代表作を、戸田菜穂*7を主演に据えてドラマ化した『松本清張「顔」』を放送。小林稔侍、赤井英和斉藤慶子石黒賢ら個性派俳優が脇を固め、重厚なテーマの中にも、人生最大の夢に賭ける女性の「生きるための性」を丁寧に描いた問題作。女優になる夢を今まさに叶えようとしている良子。だが彼女は恋人を殺害しており、さらに当日、自分の顔をある女性に見られていて…。1999年作品。
【ストーリー】
 井野良子(戸田菜穂)の人生最大の夢は女優だった。上京して貧しさにあえぎながらも、昼間は劇団、夜はスナックでアルバイトと無我夢中で走っていた。自動車修理工場に勤める寺島則夫(石黒賢)とは同郷で半同棲の仲だが、足踏み状態の良子を見かねて則夫は結婚という堅実な生き方を彼女に勧める。やがて、資産家の息子で劇団員の吉脇(袴田吉彦)に惹かれた良子の環境が急変。それを察知した則夫は嫉妬に狂い、2人の睦まじいときの写真をばらまくと良子を脅す。朝ドラのヒロイン役が決まるか否かのときだった。良子は夢を砕こうとする則夫に殺意を抱き、言葉巧みに草津温泉に誘い絞殺する。だが、草津に向かう車中、則夫は偶然、中学時代の同級生・石岡貞子(斉藤慶子)と出会っていた。

 次に2009年のNHK版です。

松本清張ドラマスペシャル「顔」 | NHKドラマ
【あらすじ】
 松本清張生誕100年にあたり、清張の原点ともいえる傑作短編「顔」をドラマ化。昭和31年の東京、売れない劇団俳優・井野(谷原章介)は、同じ劇団の看板女優・瞳(原田夏希*8)が主演する大作映画の相手役に抜擢される。一躍、スターへの道を歩み始めた井野。しかし、井野には秘密の過去があった。映画が注目されて「顔」が売れ、過去が暴かれることを恐れた井野の心に、過去を抹殺するためのシナリオが芽生える。
【ストーリー】
 昭和31年・東京。売れない劇団俳優・井野良吉(谷原章介)は、ある映画に端役で出演する。その独特の風貌が注目され、同じ劇団の看板女優・葉山瞳(原田夏希)が主演する大作映画の相手役に抜擢される。一躍、スターへの道を歩み始めた井野。しかし井野には、映画が注目され、自分の「顔」が売れるのを恐れる理由があった。9年前、井野は恋仲だった山田ミヤ子(原田夏希・二役)という女を殺した。殺害現場へ向かう列車の中で、ミヤ子と一緒にいる所を、偶然、ミヤ子の知り合いの石岡貞三郎(高橋和也)という男に目撃されていたのだ。ミヤ子を殺し、逃げるように上京してから9年。もし石岡が映画で自分の「顔」を見たら、ひた隠しにしてきた過去の殺人が暴かれてしまう。しかし、このチャンスを逃したくはない。名声をつかみ取りたいという欲望と、破滅への恐怖の狭間でゆれる井野の心に、いつしか一つのシナリオが芽生えていく。

昭和の黒い霧・松本清張NO.67・・・ドラマ「顔」(出演:谷原章介/NHK) - 飾釦
 ドラマは昨日記事にした映画版の「顔」とは違って、清張の原作を少しプラスアルファしながら概ね忠実に描いていました。主演は、顔を知られると困る、だが今の生活から抜け出すために顔を知ってもらいたいと自らの過去の過ちから破滅に追いやられる俳優の役を谷原章介が好演していました。

 最後に2013年のフジテレビ版です。

松本清張スペシャル「顔」 - フジテレビ
 昭和22年、戦後の九州。小暮涼子(松雪泰子)は、アメリカ兵相手に大衆酒場で必死に働いていた。夢は上京して大女優になること。そんな涼子に転機が訪れる。大衆酒場で飯村恭三(坂口憲二)と出会う。涼子は紳士な飯村に惹かれ、2人は男女の関係に。その後涼子は飯村に夢を話すと飯村は「有名な映画監督と知り合いだから紹介する」という。しかしそれにはお金が必要だという。夢をつかむために涼子は、必死に働いて貯めたお金を飯村に渡すのだった。
 涼子は新しい未来が開け始めたと喜んだのもつかの間、飯村は映画監督との交友関係はなく、お金ほしさの嘘であったことがわかる。自分の夢を打ち砕いた飯村に殺意を抱いた涼子は、飯村を温泉旅行へ誘い出し、包丁で刺殺してしまう。すべて証拠を処分し完全犯罪を目論んだ涼子だったが、彼女には1つの不安が…。道中、飯村が昔から妹のようにかわいがっていた瀬川真奈美(田中麗奈*9)と遭遇していたのだ。
 上京して9年。年月が流れ事件の記憶も薄らいだ頃、涼子は映画で大女優の五十嵐晶子(稲森いずみ)らと共演を果たすなど女優として初めて脚光を浴び、ついにはヒロインの話が舞い込んでくる。夢にまで見た大女優への道が開けたのだ。
 しかし、訪れたチャンスを前に、再びたった1つの不安が涼子の頭をよぎる。真奈美の存在だ。真奈美は涼子の顔を覚えているのだろうか。そして涼子はある決意を固める…。

 全て、明らかに倍賞千恵子版とは違いますね。
 これらの中で一番原作に近いのは2009年NHK版かと思います。まず第一に、2009年NHK版は犯人、被害者の性別が原作と同じ「犯人=男性、被害者=女性」です。
 第二に、2009年NHK版は犯人の名前も原作通りの「井野良吉」です。1978年TBS版は「井野良枝」、1999年TBS版は「井野良子」で比較的、原作に近い名前ですが、1957年映画版は「水原秋子」、2013年フジ版は「小暮涼子」で、犯人の名前には原作の影も形もありません。
 第三に1978年のTBS版のように『殺されそうになって被害者を殺したので犯人には正当防衛の可能性がある』、1999年のTBS版のように『嫉妬に狂った被害者が犯人を「破滅させてやる」と罵り犯人に殺意が生まれる』、2013年のフジ版のように『被害者が犯人から嘘八百で多額の金をだまし取り、犯人に殺意が生まれる』のような『被害者の落ち度(?)』は原作には出てきませんし、2009年NHK版にも出てきません(2009年NHK版の『(別れるのが嫌で)子どもが出来たと、犯人に嘘をつく』なんてのは落ち度と言うほどの物ではないでしょう)。第四に、原作の目撃者は1957年映画版や倍賞千恵子出演版と違い、犯人を恐喝したりはせず、警察に通報する『良心的市民』ですが2009年NHK版も同じ設定です。
 それはともかく、1957年映画版、「1978年のTBS版」「1999年TBS版」「2009年NHK版」「2013年フジ版」、全ての作品が、基本フォーマットが『人気俳優になる夢を叶えるための殺人計画(目撃者の口封じ)*10』などの『保身、出世のための殺人』ですね。倍賞千恵子版とは大きく違う。
 さて、『顔』についてはネタばらしを見つけましたので紹介しておきます(以下、ネタばらしですのでそれが嫌な方は読まない方がよろしい)。

【2009年NHK版】

松本清張ドラマスペシャル「顔」(12月29日放送)ネタバレ批評(レビュー): ミステリ通信 創刊号
 ミヤ子(原田夏希)殺害から9年が経過していた。
 (ボーガス注:人気女優・瞳(原田夏希一人二役)が主演する大作映画の相手役として)名声を掴みたいが顔の露出は避けたい井野(谷原章介)。
 ジレンマの果て、ついにある結論を導き出す。
 その結論とは唯一の生き証人、石岡(高橋和也)の殺害。
 1年がかりで石岡を調べ上げた井野。
 つけ髭と眼鏡で変装を施し、偽名の梅谷を名乗る。
 石岡宛にミヤ子殺しの犯人の首実験をお願いしたいと申し出て、10月8日午後2時京都知恩院に呼び出すことにする。
 手紙を目にした石岡は(ボーガス注:警察に相談もせず会っていいのだろうか、そもそもこの人間の言ってることは果たして本当のことなのだろうか?と)悩んだ末、ミヤ子の事件を担当した田村刑事(大地康雄*11)に相談。
 田村刑事は手紙の差出人・梅谷こそがミヤ子殺害の犯人であると看破。
 犯人を誘き寄せるためあえて罠に飛び込む事に。
 呼び出し当日。
 落ち合った二人。
 井野は面通しをお願いしたい相手が留守だったことを理由に時間つぶしと称して比叡山へ連れて行く。
 その途中、石岡は井野に「何故、犯人が分かったのか」と尋ねる。
 「旅行先でたまたま出会った相手がミヤ子殺害犯らしかったんですよ」。
 誤魔化す井野。人気のない山奥へと進む。
 山中、石岡の咽喉の渇きを見越し、水筒を差し出す井野。
 喜んで口にする石岡。途端、口から泡を噴き出し倒れ込む―――。
―――というのは、すべて京都へ向かう車窓での井野の想像。
 計画が上手くいけばこうなる筈だ。
 一方、田村たち。
 予定より早く到着した彼らは京都見物と洒落込む。
 昼食にいもぼう*12でもとろうかとふらりと入った店の奥。
 たまたま井野とかち合う。
 驚く井野だが、井野の顔を見ても全く気付かない石岡。
 そんな石岡の様子に安心した井野は計画を取りやめる。
 憂いも無くなった井野。大手を振って映画の撮影に取り組む。
 とあるシーン*13で煙草を咥える動作を監督に提案。
 認められるが……これが命取りに。
 映画が公開。井野の演技は好評。次回作は井野主演に決まる。
 順風満帆、得意絶頂の井野だったが、暗雲はすぐ傍まで迫っていた。
 井野が監督に提案したあのシーン。
 それを観た石岡。
 (ボーガス注:映画の中でミヤ子そっくりの女優(原田夏希)と一緒に鉄道に乗る男(谷原章介)がたばこをくわえているのを見て、鉄道の中で)ミヤ子と共にいた(ボーガス注:たばこをくわえていた)男の顔を電撃的に思い出す(ボーガス注:そして警察に通報)。
 もちろん井野はそんなこと露知らない。
 わが世の春を謳歌していた―――。
 次回作の発表会見の席。井野の顔は晴れやかだ。
 そこへ乱入者が。
 「ミヤ子」
 井野にとって禁断の言葉を呟くその人物こそは。
 誰あろう石岡その人。隣には田村刑事たちの姿もある。
 己の命運を悟り、目を剥く井野。
 取り調べ。
 戦時中、赤紙により徴兵された井野。
 命からがら帰国したものの実家のある長崎は原爆で消失。
 家族も身寄りも失っていた。
 買い出し列車に乗ったある日、運命の出会いを果たす。
 それがミヤ子だった。
(中略)
 (ボーガス注:俳優として成功するため)上京する意思をミヤ子に伝える井野。
 そんな井野にミヤ子は「子供が出来た」と告げる。
 「冗談じゃない」
 「あなたの子よ。私とあなたは運命だもの」
 そして、遂に爆発する時が来る。ミヤ子をその手にかける井野。
 そこまで語った井野に衝撃の事実が突き付けられる。
 ミヤ子は妊娠していなかったのだ。
「解剖した結果、そんな事実は無かったよ。そこまでして、あんたの心を繋ぎ止めたかったんだねぇ」
 田村刑事の言葉が井野の心に響く。

松本清張ドラマスペシャル「顔」の感想 | テレビドラマを見た感想
・子供をおろせと言う谷原章介さんに原田夏希さんが「そげなかわいそうな事出来ん」と言いますが「子供が欲しくなかったらきちんと避妊しとけよ」って言いたくなりました。
原田夏希さんが谷原章介さんに「うちは、あんたから絶対離れんけん」と言いますが「現代ならストーカーだな」って言いたくなりました。
・約束まで時間があるので(ボーガス注:刑事の)大地康雄さんが「京都見物でもするか」と言うと(ボーガス注:同僚が)「よかですね」と言いますが「本当に観光気分で来てるんだ、この税金泥棒」って言いたくなりました。
谷原章介さんが「もしかして二人は刑事か」と(ボーガス注:心の中で)言い大地康雄さんを見つめますが「見つめすぎ怪しすぎるよ」って言いたくなりました。
大地康雄さんが原田夏希さんは妊娠してなかったと言い大地康雄さんが「よっぽどあんたに惚れとった」と言いますが「惚れていたのは分かるけど妊娠したって嘘をつく女は怖いよ」って言いたくなりました。
大地康雄さんが谷原章介さんに原田夏希さんは「ただ一途に惚れとっただけやのにな」と言いますが「一途と言えば一途だけど一途すぎて怖いよ」って言いたくなりました。


【2013年フジテレビ版】

松本清張SP--松雪泰子の「顔」キャスト・あらすじ<ネタバレご注意> | あすははれるのブログ
 戦後1947年(昭和22年)の北九州・八幡。
 小暮涼子(松雪泰子)は、アメリカ駐留軍の兵達相手に大衆酒場(キャバレー)「初花」で必死に働いていた。
 夢は上京して、五十嵐晶子(稲森いずみ)のような大女優になること。
 そんな涼子に転機が訪れる。
 店で米兵の相手をしないと同僚達に苛められているところを、飯村恭三(坂口憲二)から手を差し伸べられる。
 涼子は紳士的な飯村に惹かれ、2人は男女の関係になる。
 その後、涼子は飯村に夢を話すと、飯村は「有名な映画監督の石井さんと友達が知り合いだから紹介して上げる。それにはまとまったお金1萬圓が必要だ」と言う。
 夢を掴むため、そしてこんな惨めな場末の生活から抜け出したいと、涼子は必死に働いて貯めた金と母の形見のエメラルドを質入れして作った金を、飯村に渡すのだった。
 涼子は新しい未来が開け始めたと喜んだのも束の間、飯村は映画監督との交友関係はなく、女をウマい話で釣り、金を騙し取る詐欺師という噂を知る。
 飯村を必死に探し出し真意を確かめると、「お前なんか女優になれる訳ないちゃ」と暴力を振るう始末だった。
 自分の夢を打ち砕いた飯村に殺意を抱いた涼子は、飯村を島根・邇摩(にま)の温泉旅行へ誘い出す。
 ところが、その汽車の中で、二人は(ボーガス注:飯村の知人である)真奈美(田中麗奈)と遭遇したのだ。
 涼子は極力、目が合わないよう、タバコを吸いながら車窓を見詰めていたが・・・。
 景色のよい海岸に誘うと、飯村は金の無心をする。
「やっぱり私は女優にはなれないかしら」
「可哀想ちゃね、俺もお前も無力な鼠っちゃ、何もできないドブ鼠、暗い穴の中を這いずり回って一生を終るんよ。お前には無理」。
「ドブ鼠なんかじゃない! ドブ鼠はあんただけで十分よ!!」。
 持って来た包丁を突き刺す。
 自暴自棄の涼子は何度も何度も振り下ろす。
 我に返って、動かなくなっている飯村の身体を断崖から落として、絶叫する。
 全ての証拠を処分した涼子。
 遺体は発見され被害者は飯村と特定されたが、警察は涼子には辿り着かなかった。
 しかし、目撃者として真奈美が現れていた。が警察は(ボーガス注:犯人による口封じを恐れて真奈美の存在を)公表しなかった。
 あれから9年後の昭和31年(1956年)、僅(わず)かに残った金で上京する。
 年月が流れ事件の記憶も薄らいだ頃、34歳になった涼子は演劇「美しき背徳」の演技が目に留まり、映画監督・石井国光(中嶋しゅう)の依頼で、あの五十嵐晶子と帝都映画「春雪」で共演を果たす。
 遂には石井に高く評価されて、次回作「赤い森林」のヒロインに抜擢される話が舞い込んで来る。
 夢にまで見た大女優への道が開けたのだ!!
 しかし、訪れた絶好のチャンスをイザ、前にしながら、1つの不安が涼子の頭を過(よぎ)り、ヒロインとしてスクリーンに大きく映ることに恐れ慄く。
 真奈美の存在!!。彼女は涼子の顔を今でも覚えているのだろうか??
 そして、涼子は決意を固める・・・。
【ネタバレご注意】
 先ず飯村の親戚の者・梅谷里子と偽り、一緒に犯人を追い込もうと、旅費を添えて人目のつかない観光地・京都に呼び出す。そして真奈美を青酸カリで毒殺するという計画。
 真奈美は夫・幸作(梨本謙次郎)に話すと、警察に相談した方がいいと言う。
 八幡警察署の刑事(中原丈雄山中聡)は、(ボーガス注:犯人による口封じを恐れて)公表していない目撃者の名前、しかも(ボーガス注:事件当時は結婚していなかったのに)嫁ぎ先まで知っているのは真犯人に違いないと、梅谷里子を疑う。
 真奈美は(ボーガス注:事件当時、生活苦から売春婦として生活費を稼いでいた)過去を夫に知られたくないから、今更、関わりたくないと犯人逮捕協力を渋る。
 だが、9年前の捜査では真奈美も容疑者の一人だったが、当時、幸作は夜の商売のことも承知で嫁に迎えたことを告白していたと、刑事が明かす。
 真奈美は夫の愛情に涙し、協力することを決める。
 京都に着いて、偶々、互いに名物・いもぼうを食べに入る。
 そこで隣席に座った真奈美は、何と、涼子と目を合わせるが気付かなかった!!
 会話から(ボーガス注:自らの殺人計画がばれ)刑事が同行していることが分かる。
 恐れる必要などなかったのだ! と高笑いする涼子。
(ボーガス注:場面が転換して)
 真奈美は夫に連れられて、映画「赤い森林」を観に行く。
 ヒロインの涼子がタバコを吸いながら(ボーガス注:鉄道の)窓の外を見詰めている、大写しシーン。
 (ボーガス注:鉄道で会った飯村殺害犯人の女についての)真奈美の記憶が蘇った!!
 そして、京都のいもぼうの店で隣り合った女!!

ドラマ。松本清張の「顔」 : 71歳ランプリングの気が向いたら書く日記
 わたしは家事を終え、録画しておいた松本清張の「顔」を見ていました。
 コレは見応えのあるドラマだったわね。
 松雪泰子が好演していて、しっとりとした余韻の残る好いドラマだったわ。
 なんかアランドロンの「太陽がいっぱい」のようなラストシーンだったが、それでも最後の「後悔していません」というセリフが胸をうつわね。

 明らかに倍賞千恵子作品とはテイストが違いますね(もちろん明らかに2009年NHK版、2013年フジ版の方が原作に近いです)。

倍賞千恵子が主演した松本清張原作のテレビドラマ『顔』は、だいぶ原作とテイストが違った - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 また原作は、詳細には書きませんが、助かったと思った主人公がひょんなところから犯罪がばれるという落ちです。

という落ちについても2009年NHK版、2013年フジ版はきちんと描いています。


【参考:原作「顔」について】

【ビブリオエッセー】何度読んでもハラハラドキドキ 「顔」松本清張 - 産経ニュース
 新型コロナウイルスの影響で、近くの図書館も臨時休館になってしまった。再雇用の身としては図書館の長い休みは痛手だ。仕方なく実家から新潮文庫の『張込み』を持ち帰り、読み出した。もう何回読んだことだろう。ただし読んでもしっかりと覚えておらず、問題はない。この短編集では、とりわけ「顔」が傑作だ。
 主人公の井野良吉は劇団の売れない役者だったが、ある時、映画出演の幸運が舞い込む。スターへの道をはい上がろうとする井野。しかし、9年前の自ら犯した犯罪が気にかかっていた。女を殺害した未解決の事件だ。
 清張はストーリーテリングが抜群だ。長編にもいいのがあるが、いかんせん前半で大風呂敷を広げ過ぎて後半の収束が苦しい場合がままある。その点、短編にはそういう疵(きず)が少ない。
 後半、井野は、女と一緒にいるところを鉄道の車中で見てしまった重要な目撃者を、始末しようと京都に誘い出す。しかし目撃者は井野を覚えていなかった。このあたりのハラハラドキドキ感がたまらない。
 しかし、話はそこでは終わらない。ドンデン返しのようなラスト。「顔」という題名が実に決まっている。TVドラマでも以前見たことがあるが、つくづくうまいなあと思う。

*1:1941年生まれ。1957年、松竹音楽舞踊学校に入学。1960年、同校を首席で卒業し、松竹歌劇団(SKD)13期生として入団、若くして「逸材」と注目される。同期に加藤みどり(声優)がいる。1961年、松竹映画にスカウトされ松竹歌劇団を退団し、『斑女』(中村登監督)で映画デビュー。1963年、山田洋次監督の映画『下町の太陽』に主演して以降、山田作品に欠かせない女優となる。1970年、毎日映画コンクール女優主演賞(『家族』)、1975年、ブルーリボン賞助演女優賞(『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』)、1980年、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞(『遙かなる山の呼び声』)、1981年、キネマ旬報主演女優賞(『駅 STATION』)を受賞(倍賞千恵子 - Wikipedia参照)

*2:犯行動機的にはかなり森村誠一人間の証明』に近い気がします。また、鮎川哲也『黒い白鳥』と犯行動機が完全にかぶります(例えば <「ゼロの焦点」 その9> : のすたる爺の書斎から鮎川哲也の名作「黒い白鳥」を久々に読む | フリーライター坂本紀男ブログyuブログ 鮎川哲也「黒い白鳥」の指摘を参照)。

*3:1933年生まれ。1962年(昭和37年)、 映画『今年の恋』『霧子の運命』でキネマ旬報主演女優賞、映画『今年の恋』、『秋津温泉』で毎日映画コンクール女優主演賞を受賞(岡田茉莉子 - Wikipedia参照)

*4:1940年生まれ。1964年、TBSドラマ『愛と死をみつめて』が大ヒット。不治の病に冒される主人公・大島みち子役を演じ、お茶の間の人気を不動のものとした。なお、この作品を石井ふく子がプロデュースした関係から、以降、石井が関わる作品にはたびたび出演した(大空眞弓 - Wikipedia参照)。

*5:声優と言わないのが時代を感じさせます。

*6:1944~2017年。1978年、映画『事件』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞キネマ旬報助演男優賞ブルーリボン賞助演男優賞を、1980年、映画『神様のくれた赤ん坊』、『震える舌』でキネマ旬報主演男優賞を受賞(渡瀬恒彦 - Wikipedia参照)

*7:1974年生まれ。1993年、NHK連続テレビ小説ええにょぼ』に主演したことで全国的に知られるようになる(戸田菜穂 - Wikipedia参照)。

*8:1984年生まれ。2004年度下半期のNHK連続テレビ小説わかば』の主人公・高原若葉役を演じ、知られるようになった(原田夏希 - Wikipedia参照)。

*9:1980年生まれ。1998年、映画『がんばっていきまっしょい』で報知映画賞新人賞、キネマ旬報新人女優賞、ブルーリボン賞新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞(田中麗奈 - Wikipedia参照)

*10:1978年のTBS版は、最初の殺人は正当防衛の可能性大ですが、二番目の殺人計画は明らかに俳優の地位を守るための保身です。

*11:1951年生まれ。1983年、テレビ朝日『深川通り魔殺人事件』(同名事件を基にしたノンフィクション)の主役の殺人犯役を演じ、注目される。1987年、映画『マルサの女』の伊集院役でブレイク(当初、この役は川谷拓三がキャスティングされていたが、川谷とスタッフの間で不和が生じて川谷は降板し、その代役として回ってきた役で、『深川通り魔殺人事件』の再放送を見た伊丹が抜擢したもの)(大地康雄 - Wikipedia参照)。

*12:海老芋と棒鱈を煮た京都の料理

*13:おそらく人気女優・瞳(原田夏希)とともに鉄道に乗っているシーンでしょうね。ここで原田夏希一人二役(被害者役と女優役)が生きてくるわけです(ただし原作ではそう言う『被害者そっくりの女優』という設定はありませんが)。原作とこのドラマで共通しているのは『鉄道に乗ってたばこをくわえてる』と言う点だけですが『それだけだと説得力が弱い』とこのドラマの脚本家は思い『一人二役設定』にしたのでしょうね。何せ直接会っても気づかなかったわけですから。