今日の産経ニュースほか(2020年6月6日分)(追記あり)

次亜塩素酸水めぐる拙速報道に苦言 奈良林直(東京工業大学特任教授) « 国基研ろんだん 国基研ろんだん « 公益財団法人 国家基本問題研究所
 「次亜塩素酸水による机などの消毒」はともかく、次亜塩素酸水の空気中への噴霧については『殺菌力がある高濃度レベルで噴霧したら、人間が吸い込んで呼吸器系統に害が出るし、呼吸器系統に害がでない低濃度レベルでは殺菌力がないから意味がない』というのが通説的見解ですが、ろくな根拠も上げずにそれに反対して『噴霧しろ』というのだから国基研も呆れたバカです。
 「次亜塩素酸水ビジネスでも国基研としてやってるのか?」と聞きたくなります。


中国富裕層が狙う日本旅館 コロナ禍で割安…オンライン視察 - 産経ニュース

 中国の富裕層が、日本の観光地にある旅館を買収しようとする動きを活発化させている。新型コロナウイルスの感染拡大で客足が途絶えた旅館を割安な価格で手に入れる狙いだ。
 評論家、江崎道朗氏*1は「安保上の投資に関する規制が仮にできたとしても、対象は自衛隊や米軍の基地周辺や水源地に限られるだろう。一般旅館の売買を規制するのは難しい」との見解を示した。

 江崎は評論家と言うより「ただのプロ右翼活動家」ですがそれはさておき。なんで「一般旅館の売買」を規制したがるのかわけが分かりません。
 このコロナ騒動で経営立て直しを諦めた旅館経営者が旅館を売却する場合に、それが外国人(産経らウヨがもっぱら敵視してるのは中国人ですが)だとして何か問題があるのか。まあ「自衛隊や米軍の基地周辺や水源地」だって正当な理由もなしに規制など許されるもんではないですが。


久米宏さん、今月でラジオ番組終了 14年…唯一のレギュラー - 産経ニュース

・「ここ数年、言い間違いが多くなった。いい時にやめる方がいい」などと理由を語った。 
・「ここ数年はラジオを聴き直してみると“あれっ”と思う言い間違いが多い。集中力とか根気とかが落ちてきた。年齢かな」と語った。
 その上で「下り坂になってから番組をやめるのは、一番よくないと思っていた。わりと調子のいいときにやめるのが聴いている人、制作している人にもいい思い出になる-というのが僕の持論なんです」と説明。

 この久米の発言を素直に信じれば、「年齢もあって体力的にきついのでMCは今後もしないつもり(ただしコメンテーターなどでの出演はあり得る)」としか理解できないでしょうが、どんなもんなんですかね。
1)そこまで久米のMCが酷いとは思えない
2)

TBSラジオ森本毅郎・スタンバイ!』の森本毅郎(1939年生まれ)
TBSラジオ大沢悠里のゆうゆうワイド土曜日版』の大沢悠里(1941年生まれ)
ニッポン放送徳光和夫 とくモリ!歌謡サタデー』の徳光和夫(1941年生まれ)

など久米(1944年生まれ)よりも年上のラジオMCがいると言う意味でやや首をかしげる発言ではあります。


【産経抄】6月6日 - 産経ニュース

 日本人が日本の特長を誇ることが、まるで恥ずかしいよくないことのように非難されるのも、戦後の悪弊だろう。麻生太郎*2財務相は4日の国会で、新型コロナウイルス感染症による死者が、欧米主要国に比べ日本で極端に少ない理由についてこう述べた。
「国民の民度が違う」。
 麻生発言に関しては、予想通り数紙が5日付朝刊で批判的に取り上げていた。
「他の国をおとしめることになりかねない発言だ」(朝日)、「波紋を広げる可能性がある」(毎日)。

 おいおいですね。これが「日本国民が外出自粛など政府のコロナ予防に積極的に協力してくれたことが大きいと思います。国民には大変感謝しています」レベルならここまで麻生が非難されることもなかったでしょう。
 「民度が違う」とは「欧米の民度は低い」と言ってるわけで、渡辺ミッチー*3の悪名高い

渡辺美智雄 - Wikipedia
・日本人は破産というと夜逃げとか一家心中とか、重大と考えるが、クレジットカードが盛んなむこう*4の連中は『うちはもう破産だ。明日から何も払わなくていい』それだけなんだ。ケロケロケロ、アッケラカーのカーだ

と何が違うのか。問題は「日本はスゴイ」と自慢したこと*5よりも、その自慢の中で「欧米はレベルが低い」とこき下ろしたことですが、それを産経は正当化する気なのか。


【主張】韓国のWTO提訴 溝を深める不毛な脅しだ - 産経ニュース
 おいおいですね。言ってる意味がさっぱり分かりません。産経などが自慢するように「ホワイト国除外などに何ら非の打ち所がない」のならむしろ提訴してもらった方がありがたい。
 WTOで「日本の行為に何の問題もない」とお墨付きがもらえれば大変いいことです。
 というかお互いに争いがある場合
1)交渉で双方が妥協し決着、が成り立たなければ
2)訴訟となるのは当たり前の話です。それ以外に何の解決手段があるのか。まさか日韓で報復合戦とは産経も言わないでしょう。
 不毛とか脅しとか何を馬鹿なことを言ってるのか。もちろん「韓国が日本の言い分を呑めばいい」と産経や安倍は言うのでしょうが、そもそも呑む義務はどこにもない。
 「俺が正しいのだからお前が全てのめ」ですむなら誰も苦労しません。それですまないから例えばWTOがあるのではないのか。
 大体その理屈なら南シナ海領土紛争で、中国をPCA(仲裁裁判所)に提訴したフィリピンを産経が「良く提訴した」と褒め称え、フィリピンに「中国に対する不当な敵視だ」と反発した中国に「何故反発するのか?。自信がないから反発するのではないのか」と非難したこととの整合性はどうなってるのか。
 「産経や安倍には勝つ自信がないんだ」と言われたらどう反論する気なのか。
 あるいは過去に日本もWTO提訴したことがあるし、それを産経も「国益を守るための当然の措置」と支持したわけですが、それとの整合性はどうなってるのか。
 「フィリピンの中国PCA提訴」や「日本のWTO提訴」は正しいが、「韓国の日本WTO提訴」は間違ってる。そんな馬鹿な話は産経や安倍の世界でしか通用しない話です。


習主席国賓来日、年内見送り 事実上の白紙 - 産経ニュース
 まあコロナのこと(訪日予定時に蔓延していない保証がない)や「香港デモなどを口実にした一部ウヨ支持層の反発」のことを考えれば「政権支持率も黒川問題などで低くなってる(訪日に固執した結果コア支持層の離反を招くと政権支持率がさらにやばくなる)」し、コロナを理由に「ひとまず年内見送り」ってこともありうるんですかね。
 ただし、小生個人は「国賓訪日をぶち上げてしまった以上、下手に撤回すると安倍の面子は丸つぶれ。コロナが蔓延してるわけでもなければ、訪日計画で支持率が大幅ダウンしてるわけでもない*6現段階でそんなことは言わない」と思い、少なくとも現時点ではこれは「自民党内・反中国派」に呼応した産経の「訪日潰し」とみますが。
 実際には訪日計画が着々と実施され、この記事が「完全なデマ記事」になる可能性も充分にあると見ます。

【追記】
日本、中国批判に参加拒否 香港安全法巡る共同声明 習主席訪日へ配慮か - 産経ニュース
 わずか1日前(6/6)に習主席国賓来日、年内見送り 事実上の白紙 - 産経ニュースと言う記事を書いたくせに日本、中国批判に参加拒否 香港安全法巡る共同声明 習主席訪日へ配慮か - 産経ニュースだそうです。まあ習主席国賓来日、年内見送り 事実上の白紙 - 産経ニュースが産経独自記事なのに対し、日本、中国批判に参加拒否 香港安全法巡る共同声明 習主席訪日へ配慮か - 産経ニュース共同通信配信記事ですが「共同の配信記事は間違ってる。安倍政権は中国に政治的配慮しているがそれは訪日計画とは関係ない。訪日計画は白紙になった」という扱いをすることも出来ますので言い訳にはなりません。
 これでは習主席国賓来日、年内見送り 事実上の白紙 - 産経ニュース飛ばし記事だったと自白してるようなもんです。

*1:著書『コミンテルンルーズヴェルトの時限爆弾:迫り来る反日包囲網の正体を暴く』(2012年、展転社)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(2016年、祥伝社新書)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(2016年、青林堂)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(2017年、PHP新書)、『日本占領と「敗戦革命」の危機』(2018年、PHP新書)、『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』(2019年、PHP新書)、『日本は誰と戦ったのか:コミンテルンの秘密工作を追求するアメリカ』(2019年、ワニブックスPLUS新書)など

*2:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二~第四次安倍内閣副総理・財務相

*3:福田内閣厚生相、大平内閣農水相、鈴木内閣蔵相、中曽根内閣通産相自民党政調会長(中曽根、竹下総裁時代)、宮沢内閣副総理・外相など歴任

*4:米国のこと

*5:それについても議論の余地はあるでしょうが

*6:支持率低下の理由は明らかに訪日計画ではなく黒川問題とコロナ対応の不手際です。