黒坂真に突っ込む(2020年6月8日分)

黒坂真
 横田滋さんが訪朝をしなかったのは苦しい決断だったと思いますが、これも大きなお仕事だったと思います。横田滋さんが訪朝したら、朝鮮労働党はお孫さんに滋さんを包摂*1する任務を与えた可能性が高い。
 左翼の皆さんから横田滋さんに、お孫さんに会うため訪朝したら良い、という誘いがかなりあったようです。
 左翼の皆さんや朝鮮労働党としては、横田滋さんに何とか訪朝してほしかったでしょうね。これで拉致問題は大団円を迎えた、日朝新時代到来、と叫べます

 横田氏死後になっても、未だにこんなことを言うのには心底呆れますが、「問うに落ちず語るに落ちる」というべきでしょうか。
 つまりは黒坂ら救う会ウヨは

横田夫妻が訪朝し、孫に会い、『孫に会うためには北朝鮮と敵対関係にはなれんなあ』と思って救う会や家族会から夫妻が距離を置き、夫妻を『北朝鮮叩きの広告塔』として使えなくなること(黒坂風に言えば『包摂されること』)
・そしてその結果として北朝鮮経済制裁どころか、日朝国交正常化の方向(黒坂風に言えば「日朝新時代到来」)に話が進むこと

を心底恐れていたわけです。
 だから孫と会うことに反対し続けた。「人情を踏みにじる呆れたゲス」と言うべきでしょう。
 で「左翼の皆さん*2」はともかく、朝鮮労働党北朝鮮)側は「拉致問題は大団円を迎えた、日朝新時代到来」という気はないにしても、『横田さんとの間にはある種の和解が成立した』と宣伝し、『横田夫婦を北朝鮮攻撃の戦列(つまり救う会や家族会の仲間)から離脱させる(黒坂風に言えば『包摂する』)』つう思惑は確かにあったでしょう(俺について言えばもちろん、北朝鮮シンパではないのでそう言う思惑はありませんが)。
 ただし俺から言わせれば「それがどうかしたのか?」ですね。
 確かに「孫を利用して、横田夫妻を丸め込もうとする北朝鮮の態度」は醜悪ではある。
 しかし、そうした事態を恐れて「お孫さんに会ってもいいですが、今後も家族会活動には参加してください。北朝鮮に絶対に丸め込まれないでください」と要望するなら、まだしも「孫と会うな!」と人情を踏みにじる家族会や救う会*3も「北朝鮮に負けず劣らず醜悪」である。
 要するに道徳的観点から見れば「どっちもどっちのゲス野郎」です。
 「どっちもどっちのゲス野郎」なので、問題は「孫と会うのと会わないのと、どっちの方が横田夫妻にとって幸せだった」かですね。これは間違いなく「孫と会う方」ではないか。孫と会いたくない祖父母なんかいないでしょうよ。
 「めぐみさんの死亡はほぼ確実」です。「めぐみさん拉致の事実を認め、ウンギョンさんの存在も認めながらめぐみさんの存在だけは隠す」なんてのは不自然な話です。
 したがって会わせろと言っても会えるわけもない(まあ、めぐみさんが生きてるとしても「孫と会わなければめぐみさんと会える」という論理構造にないので孫と会わないのは馬鹿げていますが)。
 まあ、横田夫妻北朝鮮に「それなりに実現可能性がある要望」をするとしたら

1)(日本政府ではなく)横田夫妻に対する公式な謝罪
2)事件の真相究明と実行犯の処罰
3)めぐみさんの遺骨なり墓地なりを知らせる
横田夫妻で遺骨を日本に回収するなり、北朝鮮の墓地を墓参するなりする
4)横田夫妻に対する損害賠償
→まあ、これは「ウンギョンさんの生活保障」に置き換えてもいいかもしれませんが
5)ウンギョンさんの日本帰国。あるいは「彼女の生活保障」や「横田夫妻が訪朝して彼女と会えるようにすること」

などでしょうか。
 これら全てが実現可能かどうか(つまり北朝鮮が応じるかどうか)はともかく。
 いずれにせよ、これらの要求にしても「孫と会わなければ実現可能性が高まるわけではない」。
 「繰り返しますが」結局、

横田夫妻が訪朝し、孫に会い、『孫に会うためには北朝鮮と敵対関係にはなれんなあ』と思って救う会や家族会から夫妻が距離を置き、夫妻を『北朝鮮叩きの広告塔』として使えなくなること

が本心なのにさすがにそれを公言することには躊躇して救う会や家族会は「めぐみさんと会うためには、孫と会わない方がいい」などというデタラメを放言していたわけです。連中のクズさには心底呆れます。

*1:一般的な意味としては「包摂=取り込むこと」ですがこの場合は前後の文脈から分かるでしょうが「包摂=説得して取り込み、横田夫妻救う会、家族会を分断すること」でしょう。

*2:黒坂の言う「左翼の皆さん」が誰をさすのか知りませんが

*3:なお、黒坂は救う会の一員です。