黒井文太郎に突っ込む(2020年6月19日分)

黒井文太郎
 北朝鮮の将来は不安定で、10年後、20年後どうなるか誰にもわかりません。

 北朝鮮に限らず「10年後、20年後のことなんか誰にも分からない」ですね。そう言う意味では黒井の主張は「ある意味正しい」反面、「ある意味ばかばかしい」。
 例は何でもいいですが、たとえば今から10年前の2010年は民主党政権でしたが、自民党総裁は谷垣であり、まさか安倍が復権するなどとは誰も思ってなかったでしょう。
 2010年に民主党が、10年後の今、紆余曲折の末、「国民民主党」と「立憲民主党」に分裂するとは誰も思ってなかったでしょう。
 2010年時点では「一芸能人」にすぎなかった山本太郎が2020年の今、「れいわ新選組代表」として政治家活動しているなんて事も誰も予想してなかった。
 2010年時点では都知事は石原であり、一方、小池は代議士にして自民党総務会長(谷垣総裁時代)でした。この時点で誰も小池都知事なんか予想してない。
 今から20年前の2000年には金大中金正日の首脳会談が行われ、金大中ノーベル平和賞を受賞しました。その時点では「願望込みだが、20年後には既に南北朝鮮に国交が樹立されるのでは無いか」と思った人も多かったでしょう(残念ながらまだ樹立されてませんが)。
 まだ2000年には小泉訪朝は行われていませんでした。2002年に小泉訪朝により拉致被害者5人が帰国することも、その2002年から17年以上に亘って「5人の帰国以外に拉致問題の進展がないこと」も誰も予想していませんでした。
 2000年には初めてプーチンがロシア大統領に就任しました。その時点でまさかプーチンが「手練手管を駆使し、20年に及ぶ長期政権を実現する」と思った人もいなかったでしょう。
 2000年時点ではもちろん「2020年東京五輪」なんて誰も予想していませんでした。
 2000年にはまだ「いわゆる同時多発テロ(2001年)」は起こっていませんでした。同時多発テロを契機に米国ブッシュ政権がアフガンやイラクに軍事介入し、未だにそれが継続しているとはするとは誰も思ってなかったでしょう。
 あるいは太平洋戦争開戦(1941年)の10年前(1931年、満州事変の起こった年)や20年前(1921年、原内閣でシベリア出兵をしていた時期)に「対米戦争が起こる」と予想していた人間がどれほどいるのか。
 あるいは佐藤内閣での沖縄返還田中角栄日中国交正常化前(いずれも1972年)の10年前(1962年、池田内閣)、20年前(1952年、吉田内閣)に沖縄返還や日中国交樹立を予想していた人間がどれほどいるのか。
 細川内閣誕生(1993年)の10年前(1983年、中曽根内閣)、20年前(1973年、田中内閣)の時に、あるいは鳩山内閣誕生(2009年)の10年前(1999年、小渕内閣)、20年前(1989年、竹下内閣)の時に、自民党下野を予想していた人間がどれほどいるのか。
 かように「未来のこと」は全然読めません。
 ただあえて、北朝鮮問題で何か言えば「10年後だろうと20年後だろうと北朝鮮で戦争が起こることはおそらくないし、起こしてはならない」とはいえるでしょう。関係各国(米中韓日露)が戦争を回避する方向で動くだろうし、動くべきだという話です。

黒井文太郎
 北朝鮮の核ミサイルについての自分の考えは、
▽いつかは不明だが、いつか来る可能性ある
▽決めるのは相手で、自分ではない。相手が決めれば止められない
▽来た場合の被害が甚大すぎる

なので、大地震対策みたいに、来ることを前提に、出来る準備をしておくべき。

 黒井のデマカセに突っ込んでおけば
1)「隕石が地球にぶち当たって地球人が滅亡する可能性」も「いつかは不明だが、いつか来る可能性ある」し「来た場合の被害が甚大」だがそのようなものまで「可能性がある」というならもちろん「北朝鮮の核ミサイルが来る可能性」もあるが、その可能性は「隕石が地球にぶち当たって地球人が滅亡する可能性」並に極めて低い。そんなことをしたら在日米軍自衛隊の反撃で北朝鮮という国が終わってしまうからだ。北朝鮮はそのような非合理的な国ではないと思われる。もしそんな非合理な国ならとっくに国が滅びていただろう。
2)「決めるのは相手(北朝鮮)」と言うのはある意味正しいが「先制攻撃で北朝鮮から打ち込む可能性」は極めて低い。そんなことをしたら在日米軍自衛隊の反撃で北朝鮮という国が終わってしまうからだ。北朝鮮が核ミサイルを先制攻撃で打ち込む可能性は「日本国内で大地震が起こる可能性」に比べたら極めて低い。
 北朝鮮係に日本にミサイルをぶち込むとしたら、自衛隊在日米軍などが北朝鮮に先制攻撃を仕掛けた場合への「反撃」のみである。その意味では決めるのは北朝鮮では無く「日米」。日米が先制攻撃しない限り、北朝鮮が日本めがけてミサイルを撃ち込む可能性は低い。
3)そんな低い可能性を前提に多額の金をぶち込むイージスアショアは財政面から考えてすべきでは無い。そもそもイージスアショアは百発百中では無い。
4)なお、黒井が最優先という地震対策ですら「教育、福祉、医療」など他に使うべき予算も沢山あるので、「最優先」で行われてるわけでは無い。本当に「他の全ての物を犠牲にしてでも地震対策最優先」にしたらかえって教育、福祉、医療などが悲惨なことになり、社会が帰ってズタボロになる。もちろん、イージスアショアにも同じ事が言える
ですね。

黒井文太郎
 北朝鮮が米軍の核報復もそれなりに覚悟して日本に核ミサイル撃ち込むような事態というのは、そもそも抑止理論の範囲外。
 そんな事態は起こり得ないと言い切れないのが北朝鮮

 もちろんそんなことは起こりえません。北朝鮮をどんだけ「非常識な怪物」扱いしてるのか。北朝鮮がそんな非常識な国ならとっくの昔に対米開戦して国が滅んでいたでしょう。金丸訪朝もカーター訪朝も、金大中訪朝も小泉訪朝も、「金正恩・トランプ会談」もあり得ない。
 「言うのもばかばかしい」ですが、北朝鮮はそんな甘い(?)国ではなくもっとしたたかです。
 まあ、黒井だって本心ではなく「イージスアショア正当化」の為のデマ垂れ流しでしょうが。
 北朝鮮が日本に核をぶち込む可能性があるとしたら「米国の北朝鮮侵攻への反撃パターン」しかないでしょう。
 今回の「南北連絡事務所爆破」は「やっていい」とは言いませんが戦争なんぞに比べたら「ハードルの高さ」が全然違う。
 そもそも「様々な事情から、長い間事実上稼働しておらず今は無人の事務所」ですからねえ。フル稼働してる事務所から韓国政府要員を強制排除したとかいう話ではない。

黒井文太郎
 核戦争に至らない米朝の戦争なら、通常弾頭ミサイルで日本攻撃の可能性はあります。

 例の河野防衛相の「イージスアショア配備計画白紙撤回(ただし現在の計画を撤回しただけで作り直すとしており計画自体が中止されたわけではない)」に悪口する黒井のデマツイートです。
 米国に対して軍事的に大幅に劣る北朝鮮がそんなことをするわけがないでしょう。
 そんなことをしたら国が滅びてしまう。
 あの「米国相手に開戦した戦前日本」ですら「ドイツがヨーロッパ侵攻してフランスを降伏させ、英国も降伏間近だ。だから米国は英仏支援せざるを得ず、そうなれば日本相手に米国が全面戦争することは難しい。ドイツがヨーロッパ戦線で優位にある限り、日本の対米敗戦はない(注:但しその読みは外れ、ドイツはヨーロッパ戦線で敗退する)」と判断しての開戦であり、勝算があると思ったからやった。実際、ミッドウェー海戦で惨敗するまでは「必死のパッチで戦っていた」「局地戦勝利にすぎない」「国力に大きな違いがある」とはいえ一応日本が優位に戦っていた。
 その程度の「勝算」すら北朝鮮の対米開戦にはないでしょう。「戦前日本にとってのドイツ」に当たる国は今の北朝鮮にはない。いくら、長い付き合いから北朝鮮を経済支援をしているとは言え中露は「北朝鮮からの対米開戦」を支持なんかしない。
 仮に「日本攻撃」をするとしたら「米国の北朝鮮侵攻への反撃パターン」しかないでしょう。
 これにしても
1)そもそも米軍の侵攻自体、可能性が低い
2)仮に侵攻しても、北朝鮮が日本めがけてミサイルを撃ってくるとは限らない(軍事的に動くことはせず、中露を使って米国を牽制することがあり得る)
3)そもそも米軍が先制攻撃として侵攻すること自体が違法不当であり、そんな場合を想定することがおかしい
と言う意味で黒井ツイートは馬鹿げています。