(ボーガス注:香港最後の総督となったパッテン氏は)香港時代の回顧録『東と西*1』で嘆かずにはいられない。英国が経験した数多くの植民地からの撤退のなかで「(ボーガス注:香港は)民主主義を後退させ市民権を弱める唯一の例」となってしまった、と。
おいおいですね。英国の「植民地からの撤退」の多くは「時代の流れに英国が抵抗しきれずそうしただけ」で政治的影響力を英国が発揮できた事例はむしろ少ないのでは?。そして英国支配から独立した国々が「軒並み民主的」なんて事実もどこにも無いでしょう。典型的には「アパルトヘイトの南ア」でしょうが。
「お前、英国はアパルトヘイトそのまんまにして南アを独立させたくせにそう言うこと、いうか?」と言われたらパッテンもどう反論するのか。
まあ「『唯一の例』とはいわゆる言葉の綾だ」「揚げ足取りをするな!」としかパッテンも言い様がないでしょうが。それともまさかとは思いますが「南ア独立では、民主主義は前進もしてないが後退もしてない。黒人差別状態が続行されただけだ」と言い出すのか。
小紙の電話インタビューに応じたパッテン氏は「(ボーガス注:香港国家安全維持法が可決された6/30について)悲しい日」と表現していた。
まあパッテンにも色々思いはあるでしょうが政界も引退した、もはや「過去の人」でしょう。
【主張】国家安全法の施行 対中制裁で香港市民守れ - 産経ニュース
本文を読まずともタイトルの「対中制裁」で唖然です。そんなことはできるわけもない。そしてこんな社説を書いても、安倍が制裁しなくても「予定通り秋の習主席訪日」でも、産経は何ら安倍政権批判はしないのでしょう。
香港市民だけの問題ではない。香港にいる外国人にもこの抑圧法の網がかかってくる点を忘れてはならない。
そりゃ外国人だって「香港独立デモ参加」などすれば摘発対象にはなるでしょう。
と河野が言ったところで何の影響も無く習主席は訪日するのでしょうし、河野も習主席訪日に対し大臣を抗議辞任したりもしないのでしょう。
香港安全法成立、日本の企業活動の足かせに 米中対立で金融市場動揺も - 産経ニュース
第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは、「企業活動の足かせになりかねない。また、新型コロナが収束しても、観光業が以前のようにはいかなくなるかもしれない」と指摘する。
アンチ中国の産経らしいですが「民主主義」と「経済活動」には別につながりは無く、足かせにはならないでしょう。
「観光業」云々は全く理解不能です。
例えばムバラク独裁はエジプトのピラミッド観光に悪影響だったのか。まあ「反ムバラク派のテロが観光に悪影響」と言う面は多少はあったかもしれませんが、一般的に言って「独裁だと観光に悪影響」なんて話は無いでしょう。
そもそもけっきょく香港の中国における相対的地位の低下、利用価値の低下に話は尽きると思う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)という面もありますし、日本企業にとっては法案が可決されようと知ったことでは無いでしょう。
まあ、「欧米各国が大規模な対中国経済制裁」でもすれば「足かせにはなる」でしょうが、「それは法可決の直接的な影響ではなく欧米の反応による物」ですし、「中国が今のような経済大国では無く、欧米との経済的関係も今より薄かった」天安門事件当時ならともかく欧米諸国がそこまでやるかどうか。
遺憾、憂慮暴挙…野党が一斉に中国批判、自民は談話を出さず - 産経ニュース
立憲民主党の枝野幸男代表は30日の党会合で、中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)常務委員会が香港国家安全維持法を可決したことについて「普遍的な価値である政治的自由、表現の自由、民主主義を守る観点から大変危惧する。はなはだ遺憾だ」と述べた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「返還時に中国が保証した香港の『高度な自治』を認める『一国二制度』を深刻に脅かすもので、市民の抵抗や国際社会の自制を求める声を無視して適用することについて深く憂慮する」との談話を発表した。共産党の志位和夫委員長も「香港での人権抑圧をいっそう強め、中国の国際公約である『一国二制度』を有名無実化する暴挙だ」と批判する談話を出した。
自民党の世耕弘成参院幹事長は記者会見で「一国二制度は国際的な約束になっていたはずだ。一国二制度が崩れるようなことは起こるべきではない」と述べた。自民党は、党としての談話などは出さなかった。
ということで「俺たちが今まで中国びいき扱いして悪口してきた野党に比べ、自民の中国批判のトーンが低いってどういうことやねん!」と憤激の産経ですが、それでも「中国問題限定」でも自民批判、野党評価などしないわけです。せいぜいこの程度の「客観的記事」しか書かない。
しかし過去にも新刊紹介:「前衛」2月号(追記あり) - bogus-simotukareのブログでネタにしましたがM谷N子・准教授の意見を聞きたいもんですね。
正直、いくら外部筆者とは言え、そして共産党が赤旗などに野中元自民党幹事長などを登場させたことがあるとは言え、共産党機関誌「前衛」で「安倍さんのおかげで、ウイグル政治犯トフティ・テュニヤズさんの釈放ガー」を読まされるとは思ってもみませんでした。
俺的に
1)どんだけM谷さん、非常識なのよ?
2)共産党も思ったより寛容なんだなあ
「話の本筋は安倍美化では無く、中国のウイグル政策批判であること」「M谷氏はNHKなどにも出演する数少ない日本人のウイグル研究者であること」「『日本共産党の中国批判』への高評価も書いてること」などをおそらく総合判断して、一応「安倍さんのおかげで、ウイグル政治犯トフティ・テュニヤズさんの釈放ガー」を容認
と思った事件ではありました。