黒坂真に突っ込む(2020年7月4日分)

黒坂真リツイート
 明石書店さん、今晩は。韓国では、韓国で仕事をしている中国朝鮮族地方参政権を認めているのでしょうか。中国朝鮮族は韓国語を母語としますが、中国人です。
明石書店
 近藤敦*1著『多文化共生と人権』(明石書店)より、外国籍の人たちの地方参政権について紹介します。
 国連加盟193ヵ国のうち、なんらかの形での地方参政権を認めているのは3分の1の65ヵ国。ちなみに、韓国やスウェーデンなどは市町村レベル、州・県レベルの双方で(ボーガス注:外国人地方)選挙権を認めています。
 『多文化共生と人権』では、外国人地方参政権に関する日本での議論の経緯も紹介。

 まあ、「韓国やスウェーデンなどは市町村レベル、州・県レベルの双方で(ボーガス注:外国人地方)選挙権を認めています。」という文章からは「(条件を満たせば)中国朝鮮族にも与えてる」と見るのが自然でしょうね。と言うか明石書店公式ツイートも

近藤『多文化共生と人権』をまず読んでから質問しろよ!。単に揚げ足取りがしたいだけだからそうしないんだろうがな

と黒坂の態度には呆れてるでしょう。

黒坂真リツイート
・ekesete1さん。100年前の欧米の価値基準では、植民地支配は加害行為ではありえない。当時の国際法では合法でした。今の国境を基準にして100年前の戦争を侵略だ、というなら、もっと前も同様にみるべきです。今の国境を基準にして現在の民族を侵略側と被侵略側に区分するなら(ボーガス注:チンギス・ハンとその子孫が、周辺諸国を軍事力で制圧し、世界最大の帝国をつくった)モンゴル人が最大の侵略者。
◆ekesete1
×今の価値基準で
〇当時の被害者の立場で
 現在の価値観で過去を裁くなというのは20年前に小林よしのりが広めた詭弁
「過去の価値観を今の価値観で裁いても仕方ないではないか!それは現代人の傲慢というものだ!」(戦争論2・489頁)

 まあ、正気じゃ無いですね。
 「欧米や日本の植民地支配」を正当化するのに「チンギス・ハン(ジンギス・カン)の方が、支配した範囲が広い!」「日本や欧米の植民地支配を批判するならその前にチンギス・ハンを今も英雄視するモンゴル人を批判しろ」とはねえ。
 「鎌倉時代と明治以降じゃ全然時代背景が違うやろ」「韓国だってモンゴル帝国の支配なんか問題にしてねえだろ」「日本ウヨだってお前以外に元寇なんか非難する奴いねえだろ」て話です。
 黒坂真に突っ込む(2020年7月3日分) - bogus-simotukareのブログコメント欄で「id:Bill_McCrearyさんが指摘した詭弁」の典型例ですね。
 「ふーん、じゃー、お前がモンゴルに行って『チンギス・ハンを今も英雄視するモンゴル人が許せない。モンゴル政府には日本を侵略した元寇について公式にきちんとわびて欲しい。鎌倉時代のことだろうときちんと謝罪して欲しい』と言ってこいよ、黒坂」「お前のチンギスハン云々はただの詭弁だから、どうせ、そんなことはしないんだろうがな」つう話です。
 まあ、仮に「そんなこと」をしたとしてもモンゴル側から「関東軍デムチュクドンロブ - Wikipedia(徳王)を支援して、一時、外モンゴル侵攻を画策したことについてどう思ってるんですか?。」と突っ込み返されるのが落ちだと思いますが。

【参考:英雄としてのチンギス・ハン】

コロコロ3月号を販売中止 チンギス・ハーン落書き問題:朝日新聞デジタル
 小学館(東京都千代田区)は6日、ホームページ(HP)上で、「月刊コロコロコミック」(ボーガス注:2018年)3月号の販売を中止すると発表した。書店に返品を求め、希望に応じて購入した人の返金にも応じるという。3月号の漫画で男性器が落書きされたモンゴルの英雄チンギス・ハーンの肖像が描かれた問題で、同国や中国内モンゴル自治区の出身者らが先月26日、同誌の回収や謝罪広告の掲載などを求める抗議書を送っていた。
 小学館は「モンゴルの英雄であるチンギス・ハーンに関する不適切な表現があったことにより、モンゴル国国民の皆様をはじめチンギス・ハーンを敬愛する全ての方々にご不快の念を抱かせましたことを、深くお詫び申しあげます」としている。また作者の吉野あすみ氏はコロコロコミック公式サイトで「モンゴル国の歴史と文化について不見識だったことを反省する」などとするコメントを発表した。

キム・カーダシアンの「キモノ」に怒った日本人よ、ジンギスカンの料理名を変えて | 楊海英 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
 日本で、ぜひこれを機に見直してほしい食べ物の名称がある。日本にしかない名物料理「ジンギスカン」だ。
 料理は至ってシンプルで、羊肉を鉄鍋で焼いて食べるだけ。問題はその名である。ジンギスカンことチンギス・ハンはモンゴル帝国の始祖で、世界帝国を建立した英雄だ。日本の大相撲で活躍する横綱らを輩出するモンゴル国は、「チンギス・ハンの国」だと自他共に認められている。中国のモンゴル族もまた「チンギス・ハンの子孫」を称しているし、中国政府もそれを認めている。
 モンゴルだけではない。中央ユーラシアのトルコ系諸民族であるカザフ人やウズベク人もまたチンギス・ハンの後継者を名乗っており、「ジンギスカン」という言葉もトルコ語なまりに由来するとの説がある。
 そして、モンゴル人もトルコ系の人々もただ単に「チンギス・ハンの子孫」を血統上の理念に即して自任しているのではない。彼らは「チンギス・ハン」という言葉を聞いただけで胸が躍り、精神的高揚感に包まれる。1917年のロシア革命、そして1949年に中華人民共和国が成立するまで、ユーラシア各地の遊牧民はほぼ例外なく「チンギス・ハンの子孫」たちに統括されてきた。
 端的に言えば、モンゴル人にとってのチンギス・ハンは、日本人にとっていわば「万世一系」の存在である天皇家と全く同じであり、料理の名前にしてはいけない神聖な存在なのだ。
 2005年4月、私はある日本の全国紙に「〈ジンギスカン〉料理名変えて」と投書した。その際、私の原稿には「もし、モンゴル人がウランバートル市内に『テンノウ焼き』や『テンノウ揚げ』という料理を出したら日本人はどう考えるのか」と書いた。担当編集者は「テンノウだけはやめて」と連絡してきて、結局「日本人が尊敬する歴史上の人物の名がついた料理が出されたらどう思うか」と変えて掲載された。
 昨年2月に発売された小学館漫画誌コロコロコミック」に、チンギス・ハンの肖像画にいたずら書きをする一コマがあった。この件に元横綱朝青龍が激怒し、在日モンゴル人たちは出版社前で抗議デモを行い、在日モンゴル大使館も外務省に申し入れをした。

チンギス・ハンは誰の英雄?ボルジギン・ブレンサイン*2早稲田大学モンゴル研究所客員研究員、中国・内モンゴル自治区出身)
 今年(2002年)はチンギス・ハン生誕840周年だ。モンゴルでは7月から8月にかけて国を挙げて偉大な民族の英雄の誕生を祝った。(ボーガス注:1)モンゴル帝国がロシアを侵略し支配していたこと、2)チンギス・ハン崇拝がナショナリズムを高め、それがソ連批判につながることをソ連側が恐れたことなどから)公然とたたえることが出来なかった社会主義時代には考えられない熱狂ぶりだった。
 隣の中国・内モンゴル自治区では状況が少し違い、二つの記念式典が別個に行われた。一つは、自治区でも遊牧民の伝統が強く残っているウジュムチン草原で、あるモンゴル人遊牧民が自腹を切って開いた生誕記念祭典だ。国や自治区政府の関係者の姿はなかった。中国の少数民族地域で行政が関与しない集会が行われるのはまれなことだ。
 もう一つは、別の場所で政府が組織した「中華民族の英雄チンギス・ハン」の記念物展示会などだった。チンギス・ハンは、中国史上最大の国土を誇った元朝の始祖であり、領内最大の少数民族の一つであるモンゴル民族の祖先でもあるという理由で「中華民族の英雄」とたたえられている。
 中国に暮らす各民族が皆「中華民族」の一員であるという「多元一体」の民族理論によるものだが、この「中華民族の英雄」というバッジをつけない限り、少数民族出身の英雄は中国の表舞台に登場できない。中国が警戒しているのは記念活動を通して「汎(はん)モンゴル主義」が台頭(ボーガス注:し、内モンゴル自治区独立論や、内モンゴル外モンゴルが統一された『大モンゴル』建設論に発展)することであり、中国領内のモンゴル人が自民族の英雄を素直に記念することにアレルギーを示してきたのである。
 かつて日本も大東亜戦略で、モンゴル人の歓心を買うためにチンギス・ハンを利用しようとした歴史があった。そのシンボルとして内モンゴル自治区*3ヒンガン(興安)のウランホト市(王爺廟)に「チンギス・ハン廟」を建てた。最近香港の資本によって改築され、中華民族の英雄として本格的に生まれ変わろうとしているようだ。
 世界一の大帝国を築き上げたチンギス・ハンを自分たちの先祖や英雄になぞらえる現象は中央アジアの国々にも多く見かける。だが、モンゴル人の目には、「中華民族の英雄」としてのチンギス・ハンがもっとも「らしくない」かもしれない。

*1:名城大学教授。著書『外国人参政権と国籍』、『「外国人」の参政権』(以上、1996年、明石書店)、『政権交代と議院内閣制』(1997年、法律文化社)、『外国人の人権と市民権』(2001年、明石書店)、『Q&A 外国人参政権問題の基礎知識』(2001年、明石ブックレット)、『非正規滞在者と在留特別許可』(共著、2010年、日本評論社)、『多文化共生政策へのアプローチ』(編著、2011年、明石書店)、『外国人の人権へのアプローチ』(編著、2015年、明石書店)、『多文化共生と人権』(2019年、明石書店)など

*2:著書『近現代におけるモンゴル人農耕村落社会の形成』(2003年、風間書房)、『内モンゴルを知るための60章』(共著、2015年、明石書店)など

*3:当時は満州国や蒙古聯合自治政府の一部として日本が支配していた