高世仁に突っ込む(2020年7/21日分)(注:松本清張『けものみち』のネタばらしがあります)

ウイグル人弾圧に日本からも抗議の声を - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 きのう日曜、NHKBSプレミアムで1982年放送の「けものみち」(松本清張原作)をやっていた。主演名取裕子とあるのにつられて録画した。

 この名取版「けものみち」には原作からの重大な改変があることをご存じの方も多いかもしれません(ちなみに清張存命中の映像化なので清張の了解はあります)。
 何かというと原作では、

登場人物全員悪人!欲望渦巻く「けものみち」フィクサーの玩具になった名取裕子
 エンディングも鮮烈だ。車で逃亡した民子と小滝が、鬼頭の手下たちに追いつかれたところで “完” となる。“けものみち” を走り切ることはできなかったが、民子が一番欲しかったのは小滝。ある意味ハッピーエンドととれないこともない。
 実はこのエンディング、1963年に書かれた原作とは異なる。原作では、民子は愛しい小滝によって焼き殺される。夫を焼き殺した女に相応しい最期、因果応報ということか。
 ちなみに2006年に放送された、米倉涼子がヒロインのテレビ朝日版『けものみち*1』では、民子は炎の中から見事に脱出*2。燃えたぎる “けものみち” を独り歩く民子を映しながら、エンディングロールが流れる。現代の強い女に相応しいラストシーンなのかもしれないが、「引田天功かっ!」とツッコまずにはいられなかった。

ということで名取演じる主人公・民子は「原作では」、「信頼していた人間(愛人)である小滝」に裏切られて殺害されます。
 清張ではこの種の「悪の主人公」が「より大きな悪に結局抹殺されて終わり」という落ちは俺が知ってるのだと他にも「黒革の手帳」「わるいやつら」があります。
 見たことは無いですが、1965年の映画版(池内淳子主演)では原作通り、主人公・民子(池内淳子)は小滝(池部良)に殺されるそうです。
 が、「それではあまりにも救いがなさ過ぎる」と判断した和田勉氏の脚色により名取は「愛人・小滝(山崎努)」と逃避行に出る落ちで終わります。
 とはいえ、登場人物全員悪人!欲望渦巻く「けものみち」フィクサーの玩具になった名取裕子も書くように「逃げ切れずに山崎とともに抹殺されるのでは無いか」という感じの落ちですが。
 他にも色々とエピソードがあるので紹介しておきます。

【参考:NHKドラマ『けものみち』】

土曜ドラマ 『松本清張シリーズ けものみち』 (1982年) | NHK放送史(動画・記事)
◆キャスティングー女優編ー
 政財界の闇を描いたドラマの布陣は、同じ松本清張作品をドラマ化した『ザ・商社*3』(1980年)の山崎努さん、大ベテランの西村晃さんら重厚な俳優陣の中に若手女優の名取裕子さん*4を主演に据えるという和田勉チーフ・ディレクター(当時)ならではのキャスティングだった。
 同じ松本清張作品の『ザ・商社』で夏目雅子さん*5、『天城越え』に大谷直子さん*6など、20代の清純派の若手女優*7のイメージを打ち破る大胆な起用が話題を集めていた和田勉チーフ・ディレクターが、名取裕子さんの自宅に直接電話をかけて出演を依頼したという。名取さんは「若い女優さんの可能性をご自分が見つけ出して育てるということが楽しみの一つだったかも知れませんね」と話している。
◆キャスティングーコメディアン編ー
 キャスティングでほかに目をひいたのが、コメディアンとして人気があった伊東四朗さん。当時すでに喜劇役者の枠を超えた役どころでドラマ出演も果たしていたが、まだお笑いのイメージが強かった。しかし、『けものみち』の久恒(ひさつね)刑事*8役でのシリアスな演技が注目を集めた。民子(名取裕子)の放火に強い疑惑を抱く久恒の「悪いことをしているやつらがのうのうとやっていて、こんなに真面目にやっている俺らがちょっとくらい、いい思いしてもいいだろう」という鬱屈した思い。庶民の心の叫びをホテルの支配人・小滝(山崎努)との対比で浮かび上がらせて絶賛された。連続テレビ小説おしん』で、おしんの父親を演じたのはこの翌年だ。
松本清張邸でのロケ
 ドラマのロケは、最後のシーンを緑山(川崎市)の造成地で撮影。それ以外は、渋谷の歓楽街として知られる円山町や高級住宅地の松濤などNHK近辺で行われた。また、ドラマで西村晃さんが演じた政財界のフィクサー・鬼頭*9の家の庭や門、外観などは松本清張さんのご自宅で撮影された。松本清張さんといえば、この一連のシリーズの多くにご本人が何らかの役で出演してきたが、『けものみち』では解説者として登場しファンを喜ばせた。

登場人物全員悪人!欲望渦巻く「けものみち」フィクサーの玩具になった名取裕子
 小滝と民子のベッドシーンも印象的なのだが、さらにエロティックなのが、黒幕・鬼頭が民子を弄ぶ場面だ。男性としての機能は失いながらも、手練手管で民子に快感を与える鬼頭のじいさん。鬼頭を嫌悪し、じいさんの “おもちゃ” になっている自分に屈辱を覚えながらも、快感を隠せない民子。画面には、民子の恍惚とした表情がアップで映し出される。
 当時23歳とは思えないほど、名取裕子が艶っぽい。のちのインタビューによると、西村晃に「ベッドシーンは、甘くておいしいもの、高級なチョコレートを食べたときの顔をしてごらん」とアドバイスを受けたらしい。

 ちなみにNHK版では西村晃が演じたフィクサー鬼頭は1965年映画版では小沢栄太郎*10が、2006年テレ朝版では平幹二朗が演じたそうです。

『けものみち』 最終章 「生き残る!女帝最後の賭け」 - 老舗ワタクシ本舗
・病室に戻った民子(米倉涼子)は、久恒(仲村トオル)が末期の癌である事を知り、複雑な心境になる。
 そこに、小滝がやって来た。
 自分なら、君が失った物を全て取り返す事が出来る、ついて来いという小滝(佐藤浩市*11)に「その男がどんな男か君はまだわからないのか、、、行ってはダメだ!」と必死に止める久恒。
 病室を出た小滝を追って出た民子は改めて”もうあなたの役には立てない”と断るのでした。
 そこに、民子から連絡を受けた、久恒の妻・薫(網浜直子)と息子・太郎がやって来ます。久々の父との再会を無邪気に喜ぶ太郎と、対照的に、いきなり病気を知らされた薫はただただ泣き崩れるばかり、、、。
 民子を心配する久恒は、残りの人生は家族3人でと懇願する薫に、遣り残した事があるといい、病院を出て行こうとします。
 「大丈夫だ、俺が思ってるのはお前と太郎の事だけだ」という久恒。
 無邪気な太郎は悪い人を捕まえに行くんだね、とガッツポーズ。
 ガッツポーズで応える久恒。
(中略)
 「二人で生きてみないか?」
 思わぬ小滝の言葉に、持っていた短刀を落とす民子。
 そして、崩れていく二人の影、、、。
 ようやく鬼頭邸に到着した久恒ですが、門を入り、玄関に辿り着いた所で力尽きて、吐血してしまいます。
 小滝との情事を終え、ゆっくり湯舟に身体を沈める民子、すると(ボーガス注:小滝の子分)黒谷(前川泰之)が入って来ます。
 驚く民子に、「出てきな!」と挑発しながら、灯油を撒き始める黒谷、マッチを擦るとぽとりと火を放ち、早々に出て行こうとする、、、
 ところが、木戸が開かない、慌てる黒谷、全ては小滝の罠だった、、、。
 燃え盛る炎の隙間からマジックミラーを睨みつける民子。
 そこには、炎上する浴室を、笑いながら見つめ、短刀を握り締める小滝が、、、
 そしてゆっくり立ち上がり、屋敷を後にする小滝。
 その頃、久恒の通報を受け、パトカーが駆けつけていた。
 (ボーガス注:久恒の同僚刑事)佐久間は久恒を見つけ、駆け寄るが、中に人がいる早く確保して欲しいと告げます。
 「成沢民子を助けてやってくれ、、、」息絶える久恒、、、。
 佐久間がその場に戻ると、久恒は絶命していた。
 数日後、あの廃墟で民子から奪った短刀の柄から、チップを取り出す小滝。
 二つを手にし、満足げに微笑む小滝、、、。
 「それ、偽物かも知れませんよ!」
 「よく此処がわかったな?」
 「あなたの気持ちになって考えれば簡単な事よ、、」「最後に一つ聞いておきたいの」「私の事、一度も思った事がない?何もかも捨てて、二人きりで生きたいと思った事はないの?」
 「ああ。」
 背中を向けたまま、そう答え去って行く小滝。
 車に乗り込み、最後に、民子の居た方を見上げた。
 小滝の答えに愕然とする民子だが、、、
 バックからもう一つのチップを取り出し、短刀に戻す民子、それを胸に抱き歩き出す。

 いやー「小滝との逃亡劇」を除けば、比較的、原作に忠実なNHKに比べ、テレ朝版では「エンディング(原作や1965年映画版では小滝に殺害され、NHK版では小滝との逃亡を企てるが恐らく鬼頭残党に殺害されるだろうという落ち、テレ朝版は小滝に殺されかけるが助かる)」だけでなく久恒刑事のキャラまでが「悪徳刑事のおっさん(伊東四朗)」から「ダンディーで善良な刑事(仲村トオル)」に改変されてますね。
 なお、1965年映画版の久恒は小林桂樹*12だそうです。

【参考終わり】

 国家安全維持法の施行で「一国二制度」が乱暴に蹂躙され、香港はかつての香港ではなくなってしまった。
 ところが、スイス・ジュネーブで6月30日に開催された第44回国連人権理事会では、国家安全維持法に反対したのは、日本など27カ国だけ。逆に賛成したのが53カ国とほぼ倍の国々。中国の圧勝だ(アメリカはトランプ政権になって人権理事会から脱退した)
 このまま世界は中国にねじ伏せられるのか? 大変な時代に入った。
 中国の人権侵害といえばその最たるものはウイグル族への弾圧だが、日本のメディアではNHKBS1の「国際報道」が何度も取り上げている。
 先月末、「情報提供迫られる 在日ウイグル」の特集で、在日ウイグル人が顔出しで取材に応じ、新疆から中国当局の情報提供を迫られる様子を暴露した。
 ウイグル、香港と、我々日本国民が中国にどう向き合うかが試されている。

「香港国家安全法」支持53ヶ国、反対の倍 見えてくるもう一つの世界 | NewSphereによれば、反対した27カ国とは

日本、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、アイルランド、ドイツ、マーシャル諸島、オランダ、ニュージーランドノルウェーパラオスウェーデン、スイス、イギリス

などで賛成した53カ国とは

バーレーンベラルーシカンボジアカメルーン中央アフリカキューバ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、イラン、イラククウェートラオスモーリタニア、モロッコモザンビークミャンマー、ネパール、北朝鮮オマーンパキスタンパプアニューギニアサウジアラビアソマリアスリランカスーダン、シリア、UAEベネズエラザンビアジンバブエ

などだそうです。王制のバーレーン、サウジ、クウェートUAE軍事独裁のエジプト、共産党一党独裁キューバラオス北朝鮮などが賛成なのは分かりやすい話です。
・国連人権理事会と言えば

国際連合人権委員会 - Wikipedia
・2006年6月19日、国際連合人権理事会(United Nations Human Rights Council、UNHRC)が設立され、人権委員会は廃止された。
◆日本への勧告
慰安婦問題に関するもの*13
・1996年に女性に対する暴力に関する特別報告者ラディカ・クマラスワミによってクマラスワミ報告が出された。
・1998年にもゲイ・マクドゥーガル戦時性奴隷制特別報告者によってマクドゥーガル報告書が出され、国連人権委員会差別防止・少数者保護小委員会で採択された。
◆歴史教科書に関するもの(少数民族差別是正に関する物)
・2005年11月7日、国連人権委員会特別報告者のセネガル人ドゥドゥ・ディエヌが、日本に対して、アイヌ民族朝鮮半島出身者(在日朝鮮・韓国人)らへの差別是正策として、彼らの立場に立って歴史教科書の記述を修正するよう改善を勧告した。

国際連合人権理事会 - Wikipedia
国際連合経済社会理事会の機能委員会の一つであった国際連合人権委員会(英語: United Nations Commission on Human Rights、UNCHR)を改組・発展させた組織であり、2006年6月19日に正式発足。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)がその事務局機能を担っている。
・2008年5月14日には、日本の人権状況に関する報告書の中で、慰安婦(日本軍性奴隷制)問題に関する完全な解決を日本に対し要求した。
・2013年3月31日、日本の精神保健は精神障害者の非常に大勢が自らの意思に反して長期間に渡って社会的入院、身体拘束と隔離が過剰に用いられているとして、全ての精神科病院を訪問監査する独立組織を立ち上げること、外来ケアとコミュニティケアを充実させ、入院患者数を削減する(脱施設化)よう、日本に勧告している。
・2017年、国連特別報告者のデビット・ケイが日本の放送メディアの独立性を強化するため、独立した監督機関を検討する必要があると報告

【朝鮮学校無償化除外】日本政府に適用求め勧告/国連人権理、UPR審査では初
 国連人権理事会による日本政府に対する第3回普遍的定期審査(UPR)で、高校無償化制度を朝鮮学校にも適用するよう求める趣旨の勧告が出された。社会権規約委員会や人種差別撤廃委員会などの条約機関からはすでに無償化問題を含む朝鮮学校に対する差別是正を求める勧告が再三にわたって出されているが、UPRにおいて勧告が出されたのは初めて。
高校無償化制度や教育権に関する勧告を出したのは、ポルトガルパレスチナオーストリア朝鮮民主主義人民共和国(発言順)。
 まず、ポルトガルは、「地方自治体の責任下にある学校も含め、国内のすべての学校に『高校教育授業料無償化及び就学支援金制度』が適用されることを確保せよ」と勧告。適用対象は具体的に明らかにしていないものの、現在、各種学校認可を受けた外国人学校の中で朝鮮学校だけが同制度から除外されていることを考えると、ポルトガルによる勧告は事実上、同制度を朝鮮学校にも適用することを求めたものといえる。
 パレスチナは、「学校入学の完全なアクセスをすべての者に確保し、特に女性と子どもの平等な教育へのアクセスに関して、マイノリティ集団が直面しうるすべての障害を取り除くための努力を継続せよ」と勧告した。
 オーストリアは、「社会権規約委員会及び人種差別撤廃委員会の勧告に従い、マイノリティの子どもたちが差別なく教育への権利を享受することを確保せよ」と勧告。社会権規約委員会は2013年に、人種差別撤廃委員会は14年にそれぞれ、高校無償化制度が朝鮮学校にも適用されることを確保するよう日本政府に勧告していることから、この勧告も同制度を朝鮮学校に適用することを求めたものと見られる。
 最後に朝鮮は、「『高校教育授業料無償化及び就学支援金制度』が朝鮮学校に通う子どもたちにも適用されるよう措置を取れ。また、関連条約機関の勧告に従い、朝鮮学校への平等な取扱いを確保せよ」と明確に勧告した。

国連人権理事会の特別報告者、日本の生活保護削減の方針の見直しを求める(5月24日) | ヒューライツ大阪
 国連人権理事会の「極度の貧困と人権の特別報告者」であるフィリップ・オルストン氏をはじめとする4人の専門家が2018年5月24日、日本政府が生活保護のなかの日常生活に必要な費用である生活扶助費を10月から段階的に引き下げようとしていることに対して、貧困層、特に障害者、ひとり親世帯、高齢者などの最低限の社会保障を脅かすとして、見直しを求める声明を出しました。
 この声明は、日本政府が2017年12月に生活扶助の支給額を、今後3年間で最大5%引き下げる方針を決定したことを受け、この措置によって現時点の受給世帯の約3分の2で生活扶助額が減額される見通しになると警告を発したものです。
 5月29日の参議院厚生労働委員会で、(ボーガス注:日本共産党の)倉林明子議員から要請への対応を聞かれた加藤*14厚労相は「一方的な情報に基づく発表だ」と述べ、「大変遺憾であり、国連人権高等弁務官事務所に対して抗議を行った」と答えています。

“日本メディア 独立性に懸念” 国連特別報告者 政府は反論 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
 世界の表現の自由の状況を監視する国連の特別報告者が、スイスで開かれている国連人権理事会で、日本のメディアの独立性に懸念を示す報告書を提出しました。これに対して日本政府は「表現の自由憲法で最大限に保障されている」と反論しました。
 国連の特別報告者でアメリカ・カリフォルニア大学教授のデービッド・ケイ氏は26日、スイスのジュネーブで開かれている国連人権理事会に出席し、日本のメディアの独立性に懸念を示す報告書を提出しました。
 報告書の中でケイ氏は、日本では政府当局者が記者に直接・間接的な圧力をかけたという報告があったとしたうえで、特定秘密保護法などの影響で、政府を批判する報道や調査報道が萎縮してしまっていると指摘しています。
 ケイ氏は2年前にも日本政府に対し、法律を改正するなどしてメディアの独立性を強化するよう勧告する報告書を国連人権理事会に提出していますが、「改善に向けた進展は見られない」と指摘しています。

なんて話もあり、日本も国連人権理事会(あるいは前身の人権委員会)から勧告(ダメ出し)されている上に「誤解だ、偏見だ」と言って勧告に必ずしも従ってないので、そんなに威張れる立場ではありません。高世のような「ただの反中国」「日本大好き右翼」「なんちゃって人権派(エセ人権派、インチキ人権派)」はこういう「日本に都合の悪い話」は恥知らずにもガン無視しますが。
NHKには「国内ネタ(安倍批判)は権力が怖くてできないくせに国際ネタ(ウイグル問題)ならやるのか(呆)」と思いました。
 そういえば「今思い出しましたが」本多勝一氏も「信濃毎日新聞のリベラル性には一定の評価をするが、オーナーが小坂家(小坂善太郎 - Wikipedia*15小坂徳三郎 - Wikipedia*16などといった自民党代議士一族)なので、絶対に小坂家批判はしない」と嘆いていましたっけ。 
・それはともかく「ねじ伏せる」も何も「世の中なんてそんなもん」でしょうよ(それでいいとまでは言いませんが)。
 「反体制派ジャーナリストを国ぐるみで殺害したことが明白なサウジ(何せ犯行場所が駐トルコ大使館です)」も「個人的犯行、国は関係ない」と強弁し、逃げようとしているし、石油利権などを理由にそれを明らかに欧米も見逃そうとしている。
 「アジェンデ政権を打倒したピノチェト陸軍司令官の軍事クーデター(チリ)」「ムルシ政権を打倒したシシ国防相の軍事クーデター(エジプト)」を欧米は事実上、容認しました。イスラエルが国連決議を無視して違法に入植地を拡大しても、米国のイスラエル擁護によってそれが事実上容認されている。
 「ウイグルのような少数民族の迫害が疑われてる話(ただし関係国は中国同様、人権問題の存在を否定してはいますが)」では「ミャンマーロヒンギャ問題」「トルコやイランのクルド問題」がありますがそれらだってロヒンギャクルドが希望する方向で話が動いてるわけでは全くない。
 他にもそうした例は色々あるでしょう。「中国だからこうなった」わけでは全然無い。「繰り返しになりますが」、欧米も「ムルシ政権を打倒したシシ国防相の軍事クーデター(エジプト)」」容認などで分かるように、常に人権問題重視という話では全く無い。
 今回だって、欧米諸国は中国批判しても、中国ビジネスを重視して「天安門事件当時のような経済制裁」にまで踏み込まない(恐らく今後もそこまではしないでしょう)。結局、欧米の中国批判とは、「国内の中国批判派」に対する「ただのアリバイ作り」にすぎないのではないのか。
 「G7諸国のウチでAIIBに初めて参加表明したのは英国」「マクロン大統領訪中時に、習主席がエアバスの大量購入を約束してマクロンを喜ばせたこと」「イタリアは中国政府と公式に一帯一路関係の協定を締結」でわかるように欧米諸国も中国とは経済的に深い関係にある。
 今回、中国の「国家安全維持法」に賛成した国も「独裁的な国だから(むしろ中国の方がまし?)」「中国との経済的利益重視」などであって別に中国の恫喝に屈したという話でも無い。
 中国の時だけ「こんなことが許されていいのか!」とは高世も「かまととぶる」にもほどがあります。
 まあ「アパルトヘイト南ア」とのつきあいも国際社会から非難されても、南アの地下資源(ダイヤやレアアース)という「経済的利益重視」で何ら問題にしなかった我ら「名誉白人」日本人です。
 「南ア以上の経済大国中国」相手に「南ア・アパルトヘイト」に比べれば国際的批判も弱い中国の人権問題(ウイグルでアレ香港でアレ)で何かやろうなんて機運は生まれるわけも無い。あるいはアウン・サン・スーチー*17を迫害していた「軍事独裁時代ミャンマー」に対しても「欧米と違って」日本はろくに制裁もしなかったですしねえ。
 まあ、秋の習*18主席訪日も「新型コロナが深刻な状況」にならない限り予定通りされるでしょう。
 まあ、中国の人権状況を積極的に肯定はしませんが「日本企業にとっての中国ビジネスの重要性」を考えれば高世のように無邪気に「人権を守れ」「中国の無法を許すな」といえる話でも無いでしょう。「中国に甘い」「カネ(中国ビジネス)がそんなに大事か」という方もいるでしょうが俺はそう言う価値観です。

*1:こちらは清張死後なので改変に清張の了解はありません。著作権者の了解と言うことになります。

*2:まあ米倉涼子と言えば、テレ朝『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(米倉の当たり役の一つ)での「女性版ブラックジャック」といい「強い女」イメージだからそう改変してしまったのでしょう。

*3:原作は松本清張『空の城』(空の城 - Wikipedia参照)

*4:NHKテレビ・松本清張シリーズ『けものみち』(1982年)、『脱兎のごとく 岡倉天心』(1985年)、日本テレビ火曜サスペンス劇場松本清張の指』(1982年)、『わるいやつら』(1985年)、TBS・松本清張スペシャル『支払い過ぎた縁談』(1985年)、TBSテレビ・松本清張特別企画『紐』(1996年)、テレビ東京松本清張没後10年企画『たづたづし』(2002年)、テレビ東京松本清張特別企画『聞かなかった場所』(2011年)など多くの清張ドラマに出演。「清張女優」の異名がある(名取裕子 - Wikipedia松本清張原作のテレビドラマ一覧 - Wikipedia参照)。

*5:1982年、『鬼龍院花子の生涯』でブルーリボン賞を獲得(夏目雅子 - Wikipedia参照)

*6:高校在学中の1968年、岡本喜八監督の映画『肉弾』の一般公募で300人の応募者の中から合格、芸能界デビューを果たす。『肉弾』での演技がNHKのドラマ制作者の目に留まり、翌1969年のNHK連続テレビ小説『信子とおばあちゃん』でヒロイン・小宮山信子役に抜擢され一躍人気を博す。1980年、鈴木清順監督の映画『ツィゴイネルワイゼン』でキネマ旬報主演女優賞を受賞(大谷直子 - Wikipedia参照)。

*7:大谷が1950年生まれ(『天城越え』は1978年制作)、夏目(『ザ・商社』は1980年制作)、名取(『けものみち』は1982年制作)が1957年生まれ

*8:伊東演じた久恒刑事(悪徳刑事)は「放火殺人疑惑で民子を恐喝しようとする」→「民子が妾として仕える大物右翼・鬼頭の圧力で警察を首になる」→「鬼頭を恨んで、鬼頭の政財官界がらみの疑惑を調査し、その結果を新聞社や雑誌社に持ち込むが掲載拒否されたあげく、鬼頭にそのことがばれ、鬼頭が放った殺し屋によって鉄道事故死(あるいは自殺)に見せかけて駅のホームから突き落とされて殺される」という落ちだったかと思います。

*9:大物右翼である「ロッキード児玉誉士夫や「競艇のドン」「国際勝共連合名誉会長」笹川良一がモデルだといわれる。

*10:悪役を得意とした俳優として知られる。映画『白い巨塔』(1966年、鵜飼浪速大学医学部長)、『華麗なる一族』(1974年、永田大蔵大臣)、『不毛地帯』(1976年、貝塚防衛庁官房長)ではいずれも悪役を好演し、『白い巨塔』での鵜飼医学部長役は映画のほか、フジテレビドラマ(1978年)でも演じた。NHK大河ドラマ『新・平家物語』(1972年)で信西を演じた際には、視聴者から助命嘆願ならぬ殺害嘆願が多数届き、NHK大河ドラマ元禄太平記』(1975年)、テレビ朝日赤穂浪士』(1979年)では吉良上野介を演じ、その憎々しい演技でハマリ役と言われた(小沢栄太郎 - Wikipedia参照)。

*11:1994年に『忠臣蔵外伝 四谷怪談』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を、2000年に『ホワイトアウト』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を、2002年に『KT』『うつつ』でブルーリボン賞主演男優賞を、2003年に『壬生義士伝』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を、2016年に『64-ロクヨン- 前編』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞(佐藤浩市 - Wikipedia参照)

*12:1955年に今井正『ここに泉あり』で毎日映画コンクール助演男優賞を、1958年に『裸の大将』で実在の画家・山下清を演じ、毎日映画コンクール主演男優賞を、1960年に『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(松本清張原作)でキネマ旬報男優賞、毎日映画コンクール主演男優賞を、1963年に岡本喜八監督、山口瞳原作の『江分利満氏の優雅な生活』で毎日映画コンクール主演男優賞を受賞(小林桂樹 - Wikipedia参照)

*13:なお、クマラスワミ報告は「女性に対する暴力」、マクドガル報告は「戦時性奴隷」の報告なので、慰安婦限定の報告書では無く、対象国も日本限定ではありません。

*14:第二次安倍内閣官房副長官、第三次安倍内閣一億総活躍等担当相、自民党総務会長などを経て、現在、第四次安倍内閣厚労相

*15:吉田内閣労働相、国家公安委員長、池田内閣外相、田中内閣経済企画庁長官、三木内閣外相など歴任

*16:小坂善太郎の弟。田中内閣沖縄開発庁長官、大平内閣経済企画庁長官、鈴木内閣運輸相など歴任

*17:現在、ミャンマー国家顧問(外相兼務)

*18:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家副主席、党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席