黒坂真に突っ込む(2020年8月18日分)

黒坂真リツイート
 山下芳生議員。渡辺恒雄さんは、日本国家が日本人を何百万人も殺したかのように主張し、米軍の戦争犯罪を免罪している。米軍の無差別爆撃*1、原爆投下は戦争犯罪です。

山下芳生*2
「あれだけ人を何百万人も殺して日本中を廃墟にした。その連中の責任を問わなくて、いい政治ができるわけない」
 読売新聞グループトップの渡辺恒雄氏の言葉です。(ボーガス注:改憲論者で、安倍自民支持者なのに?と)ちょっと意外でした。
 この言葉を肯定的に評価しつつ「盲点」を批判した「しんぶん赤旗」のコラムです。

きょうの潮流 2020年8月14日(金)
「あれだけ人を何百万人も殺して日本中を廃虚にした。その連中*3の責任を問わなくて、いい政治ができるわけない」。
 終戦の日を前にNHKスペシャルで語ったのは、読売新聞グループトップの渡辺恒雄氏です。
▼ただ、94歳になる渡辺氏のような戦中派の反省には、えてして盲点も。同世代の哲学者の鶴見俊輔さんはそこを批判していました。彼らの「平和への願望」には「平和*4であった時代にさえも日本が朝鮮、台湾、中国にたいして続けてきた不当な支配についての自覚と反省が見られない」と

NHKスペシャル「渡辺恒雄 戦争と政治~戦後日本の自画像~」
 70年にわたり戦後政治の表と裏を目の当たりにしてきた読売新聞グループのトップ・渡辺恒雄氏、94歳。今回、映像メディアによる初めてのロングインタビューが実現した。

 ということで「番組の一部でナベツネがコメントした」のではなくナベツネ独占インタビューだったようです。
 正直、そんな番組をつくる意味があるとは個人的には思いませんがそれはさておき。
 黒坂が極右であることは分かっていますが、まさか『中曽根のお友達』で『出会い系バー報道・読売(どう見ても安倍の意を受けた前川潰しの謀略)』のナベツネすら反日呼ばわりするとはねえ(苦笑)。なお、「空襲したのは米軍だから日本政府は悪くない」と言いたいらしい黒坂ですが「制空権を奪われてるので、空襲されたら、国民を守りようが無いこと」をわかりながら放置した当時の日本政府は「殺したのも同然」でしょう。「米軍が悪い」ですむ話では無い。
 大体、ナベツネがしてる話には「兵站無視で餓死者が続出*5したインパール作戦ガダルカナル戦(ガダルカナル島には餓島(ガトウ)と異名がついた)」「地上戦で多数の犠牲が民間人に出た沖縄戦」等も入ってる、つまり「空襲限定では無い」でしょうに、黒坂も良くもふざけたことが言えたもんです。

黒坂真
 池内さおりさん*6は少し前に不破さんを「レジェンド」とか評していました。伝説上の人物、と言う受けとめです。

 言いがかりが酷くて、吹き出しました。「日本語の使用法として適切かどうか」については特に年配の方には「異論もある」でしょうが近年「レジェンド」と言う言葉が『特に池内氏(1982年9月生まれ)のような30代以下の人間』にとっては黒坂が言うほどご大層な意味で使われてないこと、せいぜい『立志伝中の人物』『ある業界や団体(不破氏の場合は日本共産党や左翼政界)を代表するベテラン、重鎮』程度の意味でしか無いことは「黒坂ですら」分かってると思うのですがねえ。
 「お笑い界のレジェンド」たけし、さんま、タモリ(昔はフジテレビなどでビッグ3と呼ばれてた面子)、志村けんとか普通に使われる(例えば【追悼】志村けん 1度ドリフを辞めた高卒青年が『バカ殿』を生み、お笑いレジェンドになるまで | 文春オンラインなど)。
 そこで誰も「たけし、さんま、タモリ志村けんを神様扱いするのか」とか言わない。そう言う意味でレジェンドと言ってないわけですから。
 でそう言う意味でなら、日本共産党書記局長、委員長、議長を歴任し、新日本出版社だけで無く

『私の戦後六〇年:日本共産党議長の証言』(2005年、新潮社)
マルクスは生きている』(2009年、平凡社新書)
不破哲三 時代の証言』(2011年、中央公論新社

と一般出版社からも書籍を出版した「大物政治家」不破氏は明らかに「レジェンド」です。
 こんなことは「レジェンド」でググれば簡単に分かることです。
 例えば
レジェンド俳優ロバート・デ・ニーロの必見出演作BEST 14
というのは

・1974年に『ゴッドファーザー PART II』でアカデミー助演男優賞を、1980年に『レイジング・ブル』でアカデミー主演男優賞を受賞した米国芸能界の重鎮デ・ニーロ

程度の意味でしか無い。「デ・ニーロ以上の俳優は今の米国にはいない」等というご大層なことは誰も言ってない。

プロ野球界のレジェンド高木豊「19歳年下美女」と熟年再々婚へ(FRIDAY) - Yahoo!ニュース
というのは「高木氏には失礼」ながら「王や長島、野村克也、『3000安打・張本』『400勝投手・金田』当たりならまだしも、高木氏レベルでレジェンドと言っていいのか」と思いますが、これだって、「1980年代の大洋ホエールズで大活躍した、往年の名選手」程度の意味でしか無いわけです。
 むしろ「最近のレジェンド」の用法を知ってれば「レジェンド」という言葉は特に年配の方にとっては「不破氏を表現するのには軽すぎる」感があるかもしれないし、一方若者には「親しみやすさ(?)」があるかもしれない。
 まあ、池内氏が狙ってるのは明らかに「親しみやすさ」でしょう(そうした効果がどれほど期待できるのかはひとまず置きます)。黒坂も「こうしたことを知った上での言いがかり」でしょうが「レジェンド」という言葉は不破氏を「神聖不可侵の神様扱い(黒坂の言いがかり)」してるどころか話は全く逆のわけです。

黒坂真
 今の日本共産党は暴力革命の必要性を明記した1951年綱領は(ボーガス注:反主流派を不当に排除した徳田書記長一派が勝手に決定したので)日本共産党の正式の綱領ではない、と宣伝しますが、第七回大会(1958年)中央委員会政治報告は1951年綱領を高く評価していました。

 今時「1951年綱領ガー」「1958年党大会ガー」もないもんです(苦笑)。 

*1:そもそも無差別爆撃なら「重慶爆撃」など日本軍もやってますし、有名な風船爆弾(ほとんど失敗に終わったがわずかながら死者が出ている)も「無差別攻撃」なんですが。米国を一方的に非難できるほど日本軍はクリーンでは無い。

*2:参院議員。党書記局長などを経て副委員長

*3:靖国に合祀されているA級戦犯のことか?。とするとナベツネは「A級戦犯の合祀がある限り、靖国参拝反対」なんですかね?。しかし読売新聞って靖国や『靖国参拝の自民議員』を批判してましたっけ?

*4:厳密に言えば『日本国内に戦火が及んでなかっただけ』であって朝鮮、台湾、中国で『植民地支配』のための戦争をやっていたわけですが。

*5:この辺りは藤原彰『餓死した英霊たち』(2001年、青木書店→2018年、ちくま学芸文庫) が詳しいようです。藤原著書については例えば吉田裕による『餓死した英霊たち』評 - Apeman’s diary参照

*6:衆院議員。日本共産党中央委員