今日の中国ニュース(2020年8月20日分)

「 対中価値観の闘い、日本も覚悟を 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト

 日中関係はかつてない程良好だと日本側に言わせようと友好的に振る舞う一方で、尖閣略奪の準備を怠らない。

 デマも甚だしいですね。尖閣がらみでの中国の行為をどう評価するにせよそれは「尖閣は中国の領土だ」という政治的アピールにすぎません。
 そして尖閣については台湾も領有権主張していますがそれは都合良く無視するよしこらウヨです。

 第一の点について小野寺五典*1防衛大臣が語った。
「陸上配備型イージス・システム(イージスアショア)が現在、頓挫しています。これが整備されれば、二基のイージスアショアでわが国は北朝鮮の核ミサイル攻撃に対処できます。わが国の有する7隻のイージス艦を沖縄・尖閣防護のために南西諸島海域に展開して、中国の脅威に備えることもできます。しかし、イージスアショアなしには、イージス艦を対北朝鮮日本海に配備しなければならず、南西諸島の守りが空白状態になります」

 「北朝鮮が核ミサイル攻撃してくる恐れがある」だの「中国が沖縄、尖閣に侵攻する恐れがある」だの正気で言ってるのかて話です。

 中国が日本を鴨と見做すもうひとつの理由は、わが国指導者の対中宥和姿勢にある。経団連を中心に、経済界は中国の巨大な市場の引力に抗い得ていない。日本貿易振興機構ジェトロ)の報告によると、今年1~5月における日本企業の対中直接投資額は約59億ドル(約6200億円)と前年並みのペースだ。日本を代表するトヨタ自動車は中国5社と燃料電池システム開発合弁会社設立を、ホンダも中国車載用電池大手との資本提携を決めた。

 「それが何か問題なの?」て話ですよねえ。中国市場で金が儲かるなら日本企業はそのように動くでしょう。それを悪口雑言することでよしこは何がしたいのか。そして(中国の人権問題云々ではなく)「中国による日本侵攻に対する抑止力」という点だけで話をするならむしろ「中国市場で日本企業が金儲けすること」の方がよしこの物言いとは違い、「中国による日本侵攻に対する抑止力」になるわけです(そもそも中国も日本侵攻なんて考えてないでしょうが)。
 中国が日本侵攻した後も「トヨタ自動車は中国5社と燃料電池システム開発合弁会社設立」「ホンダは中国車載用電池大手との資本提携」を継続できるのか。日本国民の反発を恐れてトヨタやホンダが撤退する恐れが当然あるわけです。これはもちろんトヨタやホンダに限りませんが。

 いま米国は本気で中国に闘いを挑んでいる。価値観の闘いだ。中国の狙いは国土拡大や島々と海の略奪にとどまらない。地球社会全体に中国式価値観を浸透させ、中国のルールで治めようとしているのである。

 デマも甚だしいですね。中国は「欧米と中国では歴史や文化などが違う。欧米民主主義の見方で中国政治が民主的に劣ってると言うな!」「香港やウイグルなどの統治に余計な口出しを欧米はするな!」とは言っていても「中国的価値観を世界に広めよう」なんて少しも思ってないでしょう。孔子学院は単に「中国文化の広報機関」でしかない。政治的イデオロギーの浸透を目的としていない。
 独裁的国家(例:サウジ)に対して「金儲けの観点(例:石油利権)」から中国が甘い態度をとってるのも「中国的価値観を広める」と言う話ではないし、多くの場合、そうした独裁的国家に対しては欧米や日本も「金儲けの観点」から甘い態度をとってるわけです。

 日本人も、どの国の人々*2も、中国式のやり方は受け入れられないはずだ*3。受け入れたが最後、私たちの人生の基盤を成している人間としての自由も、国是である民主主義も法治も、中国共産党に消し去られるからだ*4

 いやいや「そうすることの是非」はともかく「香港やウイグルでの中国のふるまい」を認めることは何も「日本や欧米などが一党独裁国家になること」では全然無いですからねえ。そもそも「反民主的」だが日本や欧米が付き合ってる国なんか、中国に限らず、「反政府ジャーナリスト殺害疑惑のサウジ」「軍政のエジプト」とか山ほどありますし。
 というか明らかに「法治主義に反する政治私物化」、というか、それ以前に「業務上横領や背任などといった犯罪に該当するであろう」安倍自民の「モリカケ疑惑」「桜を見る会疑惑」「布マスク疑惑(ユースビオ疑惑)」「給付金疑惑(電通疑惑)」「安倍友・山口某のレイプもみ消し疑惑」などを容認して恥じないよしこがよくもまあ「法治主義」などとふざけたことがいえたもんです。「なら安倍の疑惑をまず追及しろよ、安倍の行為こそが法治主義蹂躙じゃ無いのか?」ですね。
 何で「立憲民主党」と言う党名の政党が生まれたのかと小一時間よしこを問い詰めたくなります。安倍の行為が「法治主義立憲主義)」に反するからなんですが。

 財界の人々、経営者や投資家の中に巨大な中国市場は無視できないと言う人は少なくない。だが、いま中国で活動する企業は、社内に中国共産党支部、細胞を置いているではないか。経済活動全てが中国共産党に監視される。経営者も社員も習近平氏と共産党の思想を敬い、指導に従うよう強要される。企業の有する最先端技術は、例外なく中国側に奪われる。細胞はきっちり監視し、その絶対的枠組みから企業は逃れられない。そんなことでよいのか。

 日本財界は「いいんです!」というでしょうね。いいと思うからこそ中国に進出しているわけです。
 「社内に中国共産党支部、細胞(細胞も支部も同じじゃ無いのかつう気がしますが違うんですかね?。細胞が一番小さい組織でその上が支部なのか?)」を置く、つうのが仮に事実として、それが「中国共産党外資企業への押しつけ」であれば、俺ももちろん「積極的に肯定はしません」。
 ただし、よしこのいうような

経済活動全てが中国共産党に監視される。経営者も社員も習近平氏と共産党の思想を敬い、指導に従うよう強要される。企業の有する最先端技術は、例外なく中国側に奪われる

なんてことは普通に考えてあり得ない。単に「中国共産党とは仲良くやっていきます」という「忠誠の印(?)」として社内に「支部や細胞がある」にすぎないでしょう。そうそう簡単に「中国共産党の思い通りに企業管理」なんかできるわけがない。中国政府があまり無茶苦茶なことをやればかえって外資が逃げかねません。中国政府からすれば「中国の金儲けに協力してくれる」「中国の政治批判はしない」の二点さえやってくれれば、それ以上、外資に求めることも無いでしょう。そしてその程度なら外資も「別に問題ない、OK」でしょう。

【参考:トヨタやホンダの中国進出】

トヨタ、中国5社と燃料電池システム開発で年内に合弁設立 - ロイター
 トヨタ自動車は5日、中国における燃料電池車(FCV)の普及に向けて、現地メーカー5社と燃料電池システムを開発する合弁会社を年内に北京市内で設立すると発表した。新会社にはトヨタのほか、燃料電池システムメーカーの北京億華通科技(億華通)、完成車メーカーの中国第一汽車東風汽車、広州汽車、北京汽車の計5社が参加する。出資比率はトヨタが65%、億華通が15%、残りの4社が5%ずつとなっている。
 新会社の代表には、董事長にトヨタ自動車投資有限会社の董長征氏、総経理に同社の秋田隆氏が就任する予定。

ホンダ、中国「CATL」と資本提携…EV向け電池の安定的確保狙い : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン
 ホンダは10日、中国最大の車載用電池メーカー「CATL」と資本提携したと発表した。現地法人を通じて約1%の株式を取得した。
 2022年をめどに、中国で生産するEVなどでCATL製電池の供給を受けたい考えだ。

【参考終わり】


【産経抄】8月20日 - 産経ニュース

「だれが中国を養うのか?」。
 米国の思想家、レスター・ブラウン氏*5が1994年に発表した論文は、国際社会に大きな反響を呼んだ。中国の人口が増加する一方、工業化に伴い耕地面積は減少する。
▼人口が16億人に達する2030年には穀物を大量に輸入するようになり、世界的な不足を招く、というのだ。もちろん、中国は猛反発した。農業の生産性の向上により、「中国は自ら養う」と主張していた。

 まあ、中国が反発するのはある意味当然でしょう。
 「工業化すると耕地面積が減少するって、それは中国に工業化するなって事か?」「工業化したことで農地面積を減らし、現在食料輸入をしてる欧米や日本などの先進国の責任は免罪するのか?」て話です。
 まあ、これは中国に限った話では無く、他の発展途上国でも同じ話ですが。

・日本は食料自給率が38%にすぎない。食糧安全保障の観点からみれば、危機感があまりに薄すぎるのではないか。

 中国叩きで落ちるのかと思いきや、落ちは一応まともと言えるでしょうか。なお、こうした「脅威」をウヨが問題しないのは「中国の脅威ガー」などというのが本心では無いからでしょう。
 「中国は攻めてこない」「攻めてきてもせいぜい尖閣での小競り合い」「そして日本の自衛隊が勝つ」と軽く考えてるから「食糧自給率が低いこと」も何ら問題視しない。
 本当に「中国の脅威ガー」なら食糧自給率の低さは問題でしょうにねえ。中国に長期に渡って日本の海上交通を押さえられたら食糧輸入ができず食料不足に陥る恐れがあるからです。

*1:第2次、第4次安倍内閣で防衛相

*2:「どの国の人々」も何もサウジだのエジプトだの「非民主的な政府の国民」は今現在において民主主義や法治からはかけ離れた立場にあるんですけどねえ(もちろん中国はそれについて何一つ関係ない)。

*3:と言うよしこの物言いに反し、少なくとも外国「政府」には「ウイグル統治」「香港国家安全維持法」について「中国に何の問題も無い」と中国支持声明を発表した国々が多数あることはマスコミも報じているところです。また多くの外国が中国の経済支援を受け入れているわけです。

*4:中国国民の「民主主義や法治」はともかく「外国国民の民主主義や法治」は中国共産党が消し去れるようなもんではありません。「米国CIAのチリ・ピノチェトクーデター」「旧ソ連プラハの春弾圧」「ロシア・プーチン政権のシリア内戦介入」などといった「外国政治への露骨な介入行為」を中国は何一つしていませんので。「金儲け目当てに独裁国家中国企業が進出する」程度の話はとても中国共産党が「民主主義や法治」を消し去るとはいえないでしょうし、多くの場合、そうした独裁国家には欧米や日本の企業も進出しています。

*5:著書『データでわかる 世界と日本のエネルギー大転換』(2016年、岩波ブックレット)など