今日の中国ニュース(2020年8月25日分)

中国の外交官、国際海洋法裁判所の裁判官に当選_中国網_日本語

 中国の段潔竜駐ハンガリー大使が24日、多くの票を集め国際海洋法裁判所の裁判官に当選し、7人の当選者の1人となった。新任裁判官の任期は9年で、今年10月1日より就任する。

 中国公船には退去警告 尖閣侵入で政府、「侵犯」表現使わず :日本経済新聞によれば「中国が国際海洋法条約を守ってない、尖閣ガー」のウヨの皆さんですが、中国の外交官、国際海洋法裁判所の裁判官に当選_中国網_日本語とは何とも皮肉なニュースの気がします。


中国公船には退去警告 尖閣侵入で政府、「侵犯」表現使わず :日本経済新聞

・中国船が沖縄県尖閣諸島周辺で活発な動きを続ける。自民党には公船の領海侵入を主権侵害を意味する「侵犯」と呼ぶべきだとの主張がある。政府は無害通航権など沿岸国の主権を制約する国際法を踏まえ、この表現を使わない方針だ。
国際法上、領海は沿岸国の主権が無制限に認められるわけではない。船舶の公私を問わず無害通航権の尊重が原則だ。沿岸国は他国の船舶が秩序や安全を害さない限り領海の通航を妨げてはならない。19世紀半ばに慣習国際法として確立した。
自民党会派の細野豪志*1ツイッターで「政府が『領海侵入』という言葉をやめて『領海侵犯』と言うべきだ」と投稿した。「公船が他国領海に来るのは公権力を行使するためだ」とも記した。
・同党有志の「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」は提言で中国公船の行動を「領海を侵犯した」と明記した。同会の山田宏幹事長は「中国公船の動きは明らかに領海を侵犯している」と話す。
河野太郎*2防衛相は4月の記者会見で「海上保安庁尖閣諸島周辺への領海侵犯についてしっかり国民に情報発信してほしい」と述べた。その後「(ボーガス注:無害通航権の行使なので?)領海侵入、領海に入ってくるということです」と訂正した。
・海洋法条約は18条で「通航は継続的かつ迅速でなければならない」とも定義する。尖閣周辺での中国公船の活動について同志社大学の坂元茂樹教授は「通航というより滞留だ。無害通航に当てはまらない」と語る。
・坂元氏は「中国に国連海洋法条約を順守させるためにも、日本も国際法を守らなければ示しがつかない」と指摘する。

 要するに安倍も「日中関係に配慮して」「実害がない限り(中国の行為はただの政治的アピールなので「日本の面子の問題」はともかく、もちろん実害なんか無いですが)」、「国際法上の無害通航権の行使(政治的是非はともかく違法では無い)」と評価する*3ことにして、もはや必要以上に事を荒立てる気は無いようです。日中友好の観点から大変いいことです。安倍も本当に変われば変わるもんです。
 ただし反中国ウヨ学者の坂本某氏のように「無害通航権に当たらない!」「安倍政権は日中関係悪化を恐れて国際法解釈をゆがめてる!」「しっかり『領海侵犯』と呼んだ上で中国にもっと抗議すべきだ!」と叫ぶ輩もいるわけですが。
 何せこの坂本某氏、

中国覇権主義を打ち砕け:海洋進出に見る中国の思惑と対処法

なんて本を出してるのだからどう見てもゴリゴリの反中国ウヨです。
 まさかとは思いますが日経も「そう言う反中国路線」なんでしょうか。経済紙のくせに中国ビジネスをどうでもいいと思ってるのか。勘弁して欲しいですね。
 しかし細野も自民党入党するや「反中国ウヨにすり寄る」とは「どこまでクズなのか」と心底呆れます。こんな野郎が「希望の党騒動」などという「余計なことをやって」安倍を利したかと思うと怒りを禁じ得ませんね。まあ、せめてもの救いは「細野が自民党内で出世する可能性はほぼ皆無」つうことですね。
 どっちにしろ「無害通航権じゃ無い!」「領海侵犯と呼べ!」と言っても安倍は無視し続けるでしょうし、それに結局はウヨ連中は「何も言えなくなる」でしょう。連中は安倍とガチンコで徹底的に対立できるようなタマじゃ無い。


<独自>初の防衛相の尖閣視察…今月上旬に検討も見送りに - 産経ニュース

 河野太郎防衛相が今月上旬、中国の圧力を受けている尖閣諸島沖縄県石垣市)の上空からの視察を検討したことが25日、分かった。防衛相の視察は過去に例はない。実現すれば初めてで河野氏は前向きだったが、最終的に外交的な配慮などから見送られた。複数の防衛省関係者が明らかにした。
 河野氏は8、9両日、沖縄県宮古島与那国島を訪ね、陸上自衛隊航空自衛隊の部隊を視察した。この日程の中で尖閣諸島を視察しようと水面下で検討を進めたが、防衛省内では、同省・自衛隊のトップが赴けば中国を刺激し、状況の悪化を招くとの慎重論もあった。
 佐藤正久*4前外務副大臣は7月9日の参院外交防衛委員会で「他の島では事前偵察ができるのに、尖閣では防衛相が上空の視察をまだ行っていない状況は問題だ」と主張していた。

 要するに河野は視察による日中関係の悪化(中国の猛烈な抗議など)を危惧したのでしょう。そのあげく、「習主席訪日」のために「河野にとっては」最悪の場合「河野が勝手にやったことで俺は関係ない」と安倍がはしご外す危険性すらあると。
 でぶっちゃけ、河野は
1)絶対にはしごを外さないで下さいよ、と念押しして安倍の「裏切り」を阻止した上で視察できる有能な人間でもなければ
2)はしごを外されても構わない、と腹をくくって視察できる蛮勇の持ち主でもないでしょう。そしてそんな河野が(そして安倍も?)産経には不愉快なわけです。


李登輝の遺志はどこへ? 安倍「非台湾寄り」政権では日米台共に沈む(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース
 こんなトンデモ反中国ウヨの駄文を掲載するとは「現代ビジネス(講談社)はアホか」ですが、それはさておき。
 まあ、過去はともかく現在において「習主席訪日」にシフトを切った安倍は「この種の反中国ウヨの眼」から見れば「許しがたい親中派(非「台湾寄り」)」でしょう。
 しかし日本では「櫻井よしこ」「島田洋一」など、ほとんどのウヨ連中が「中国に悪口しながら安倍の親中国(?)には目を塞ぐ」デタラメぶりです(苦笑)。現首相が安倍でなければためらいなく「習主席訪日など許せない」と悪口してるでしょうに。

*1:野田内閣環境相民主党幹事長(海江田代表時代)、政調会長岡田代表時代)、民進党代表代行(蓮舫代表時代)など歴任

*2:第三次安倍内閣国家公安委員長、第四次安倍内閣外相を経て第四次安倍内閣防衛相

*3:俺も国際法の素人なので「そうした評価の是非」については論じません。そもそも「国際法解釈としてそうした評価で仮に何ら問題ない、正しい解釈だとしても」、そうした評価が「単純な国際法の解釈」と考えるのもナイーブすぎるのであって明らかに「安倍の政治的配慮」でしょうし。安倍が「反中国で行くつもり」なら逆に安倍は「領海侵犯呼ばわり」しているでしょう。

*4:第2次安倍内閣防衛大臣政務官、第4次安倍内閣外務副大臣など歴任