「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年9/19日分:荒木和博の巻)

「閣下に対する信頼と尊敬」【調査会NEWS3335】(R02.9.19): 荒木和博BLOG
 一般的な社交辞令にしかすぎないと思いますが、それはさておき。荒木が「歯の浮くようなお世辞」と悪口するように仮に「歯の浮くような世辞」だとしてそんな悪口と拉致の解決と何の関係があるのか、と言う話です。反北朝鮮ウヨの荒木が北朝鮮に悪口したくて仕方ないことは改めてよく分かりましたが。


チャンネル桜の討論番組に参加しました。第3部で民主社会主義の話をしています。: 荒木和博BLOG

 チャンネル桜の討論番組に参加しました。第3部で民主社会主義の話をしています。

 「まーた、民社党社会主義だとか言う与太かよ!」ですね。
 全体で3時間20分程度の動画です。
 まず出演者紹介の部分を見てみます。「民社党社会主義」云々という話がされたと言うことは出演者の大部分は旧民社党人脈で荒木の知人連中なのでしょう。
 で、出演者は以下の通りです(順番は動画での紹介順)。

田中英道 - Wikipedia
 東北大学名誉教授。元『新しい歴史教科書をつくる会つくる会)』会長。つくる会の分裂後は、『日本教育再生機構』顧問。日本国史学会発起人の1人。著書『ミケランジェロ』(1991年、講談社学術文庫)、『レオナルド・ダ・ヴィンチ』(1992年、講談社学術文庫)、『支倉六右衛門と西欧使節』(1994年、丸善ライブラリー)、『画家と自画像』(2003年、講談社学術文庫)、『日本美術 傑作の見方・感じ方』(2004年、PHP新書)、『支倉常長』(2007年、ミネルヴァ日本評伝選)、『戦後日本を狂わせたOSS「日本計画」』(2011年、展転社)、『日本美術全史:世界から見た名作の系譜』(2012年、講談社学術文庫)、『戦後日本を狂わせた左翼思想の正体』(2014年、展転社)、『戦後日本を狂わせた反日歴史認識を撃つ』(2016年、展転社)、『天平に華咲く「古典文化」:続・「やまとごころ」とは何か』(2016年、ミネルヴァ歴史・文化ライブラリー)、『日本人にリベラリズムは必要ない。「リベラル」という破壊思想』(2017年、ベストセラーズ)、『天孫降臨とは何だったのか』、『日本の起源は日高見国にあった:縄文・弥生時代の歴史的復元』、『邪馬台国は存在しなかった』(以上、2018年、勉誠選書)、『左翼グローバリズムとの対決』、『日本国史の源流:縄文精神とやまとごころ』(以上、2020年、扶桑社)など
田村秀男 - Wikipedia
 産経新聞編集委員論説委員。元日経新聞編集委員。著書『人民元・ドル・円』(2004年、岩波新書)、『消費増税の黒いシナリオ:デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(2014年、幻冬舎ルネッサンス新書)、『人民元の正体:中国主導「アジアインフラ投資銀行」の行末』(2015年、マガジンランド)、『検証 米中貿易戦争』(2018年、ML新書)、『景気回復こそが国守り:脱中国、消費税減税で日本再興』(2020年、ワニブックス)など
荒木和博 - Wikipedia
 特定失踪者問題調査会代表。予備役ブルーリボンの会代表。拓殖大学海外事情研究所教授。元『北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会救う会)』事務局長。著書『拉致救出運動の2000日』(2002年、草思社)、『拉致』(2005年、勉誠出版)、『日本が拉致問題を解決できない本当の理由(わけ)』(2009年、草思社)、『なぜ北朝鮮は崩壊しなかったのか』(2011年、光人社NF文庫)、『山本美保さん失踪事件の謎を追う:拉致問題の闇』(2012年、草思社)、『北朝鮮拉致と「特定失踪者」』(2015年、展転社)、『北朝鮮の漂着船』(2019年、草思社)など
林千勝 - Wikipedia
 作家。著書『日米開戦・陸軍の勝算:「秋丸機関」の最終報告書』(2015年、祥伝社新書)、『近衛文麿・野望と挫折 』(2017年、ワック)、『日米戦争を策謀したのは誰だ!ロックフェラー、ルーズベルト近衛文麿そしてフーバーは』(2019年、ワック)
三橋貴明 - Wikipedia
 株式会社経世論研究所(旧・三橋貴明事務所)代表取締役社長。著書『ドル凋落』(2010年、宝島社新書)、『経済の自虐主義を排す』(2013年、小学館101新書)、『中国崩壊後の世界』(2015年、小学館新書)、『財務省が日本を滅ぼす』(2017年、小学館)、『中国不要論』(2017年、小学館新書)、『日本をダメにした財務省経団連の欺瞞』(2020年、小学館)など
浜崎洋介 - Wikipedia
 文芸批評家。日本大学東京工業大学で非常勤講師。著書『福田恆存 思想の〈かたち〉:イロニー・演戯・言葉』(2011年、新曜社)、『反戦後論』(2017年、文藝春秋)、『三島由紀夫:なぜ、死んでみせねばならなかったのか』(2020年10月刊行予定、NHK出版)
川口マーン惠美 - Wikipedia
 作家。拓殖大学日本文化研究所客員教授(ドイツからのオンライン出席)。著書『母親に向かない人の子育て術』(2007年、文春新書)、『証言・フルトヴェングラーカラヤンか』(2008年、新潮選書)、『ドイツ料理万歳!』(2009年、平凡社新書)、『ベルリン物語:都市の記憶をたどる』(2010年、平凡社新書)、『住んでみたドイツ:8勝2敗で日本の勝ち』(2013年、講談社+α新書)、『ドイツで、日本と東アジアはどう報じられているか?』(2013年、祥伝社新書)、『住んでみたヨーロッパ:9勝1敗で日本の勝ち』(2014年、講談社+α新書)、『ドイツ流、日本流:30年暮らして見えてきたもの』(2014年、草思社文庫)、『ヨーロッパから民主主義が消える:難民・テロ・甦る国境』(2015年、PHP新書)、『世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン』(2016年、講談社+α新書)、『そしてドイツは理想を見失った』(2018年、角川新書)、『脱原発の罠:日本がドイツを見習ってはいけない理由』(2018年、草思社文庫)など

 さて、次に「討議の前に、安倍政権、菅政権についての感想を、お一人ずつご発言を」というので聞いてみます。
 まず田中英道
 さて、安倍の思い出とやらで、田中が

文化庁主催海外展「日本仏像展」の開催
 平成28年7月29日から9月4日にかけて,ローマ市のクイレナーレ宮美術館において「日本仏像展」が開催されます。
 7月26日11時より、日本仏像展に関連して田中英道東北大学名誉教授やイタリア側学術委員のClaudio Strinati教授、 Raffaele Milani教授、Francesco Lizzani教授、Laura Ricca女史による講演会がローマ市の東洋美術館で開催されます。

について『文化庁青柳正規 - Wikipedia*1長官(当時)が「田中なんか日本を代表する定評ある仏教美術研究者と言えない。もっと適任者がいるはずだ」とさんざん私の講演に反対したが、安倍さんのご尽力で講演ができた。安倍さんに感謝している(俺の要約)』と言い出して呆れると共に吹き出しました(事実ならば本当は笑い事では無いですが)。
 実際、田中の主張「青柳長官が反対したが、安倍さんのおかげで」が本当か知りませんが、それが事実なら「モリカケ(森友や加計学園)」「桜を見る会」などと全く同じ「安倍友への利益誘導」じゃないですか。安倍の不当な利益誘導が野党などから批判されてるのに「青柳長官が反対したが安倍さんのおかげで講演ができました!」。
 田中は気が狂ってるとしか言い様がないですね。まあ、田中のそうした発言をそのまんま流すチャンネル桜も酷いですが。
 世間が「そうか、安倍はやはりそう言う利益誘導をお仲間にやるのか?」「やっぱりモリカケ桜を見る会とか全部真っ黒だな、前から分かってたけど」「安倍を持ち上げてるウヨ連中ってそう言う利益目当てで持ち上げてたんだな」て話です。
 とはいえ、その田中ですら『改憲できなかったことは残念だった』『菅さんに安倍さんのような改憲運動をできるか不安に思ってる』『二階幹事長など安倍さん以外が改憲に熱心で無いことも良くない』と言わざるを得ないわけです。
 ただし、田中曰く『改憲二大政党制でないことがよくない。安倍さんばかりを責められない』。
 最大野党が『旧民社のような改憲政党なら良かったのに』。吹き出しました。
 そんなん言ったってしょうがないでしょうよ。たぶん、こいつらはそう言う意味で『希望の党』にはすごく期待していたんでしょうね。
 仮に希望の党の躍進によって「安倍が退陣に追い込まれても」、『小池や前原、細野と言った希望の党の執行部連中は改憲派だ、枝野や菅、旧社民党(辻元氏など)といった改憲に消極的な連中の政治力は衰退し、共産との野党共闘も崩壊した』と喜んでいたのかもしれません。
 次に田村秀男。
 さてご存じの方も居るでしょうが、田村は「消費税増税反対派(なお、安倍政権下においては5%から8%、8%から10%に二度の増税)」「一帯一路反対派(安倍は習主席国賓訪日などで一帯一路参加に明らかにシフト)」です。したがってその限りにおいては安倍に批判的です。
 でご存じの方も居るでしょうが、菅は「党内外の批判」で後に話を曖昧にごまかしましたが、総裁選での演説で『今後も消費税増税があり得る、社会保障に必要だから』と言っていた。田村からすれば『菅、お前、ふざけるな』『コロナ不況が危惧されてるのに何バカ言ってるんだ、そんなんはコロナ不況が収まってからの話だろ』『むしろコロナ不況対策で8%に税率を下げるべきと違うのか?。そもそも安倍政権の時代に8%に下げることで安倍政権も(任期満了前の退任は不可避だとしても)少しは長持ちしたかもしれない』であってその部分については菅を批判しています。
 次に荒木和博。予想の範囲内ですが
 「拉致については安倍さんは私ら救う会の要望を全然聞いてくれなかった」
 「ヤルヤル詐欺だった」
 「ストックホルム合意が挫折(?)した後は安倍さん本人が完全にやる気を失ってるようにすら見えた」
 「首相の菅さんは安倍政権官房長官(拉致担当相兼務)で、官房長官の加藤さんも過去に拉致担当相だったことがある」
 「でも彼らによって安倍政権時代に拉致が解決に進んだと思わない」
 「だから今の時点では菅政権に期待してない」
 「特定失踪者家族に会ってくれという我々の要望を首相や官房長官が聞いてくれれば、こうした見方は見直すが」。
 ぼやきまくりですね。まあ、菅も加藤氏も特定失踪者家族には会わないでしょうねえ。なお、荒木のコメントは「田中や田村に比べると」割と短いです。
 次に林千勝。
 林曰く
 「二階幹事長(二階派ボス)、麻生副総理・財務相麻生派ボス)は留任した」
 「良かれ悪しかれ、安倍政権の方向性を続けることが明白だ」
 「たとえば二階氏が幹部である限り、我々が期待するような反中国路線はないのではないか」
 次に三橋貴明
 「僕は経済のことだけで話をしたいと思いますが、僕は経済の点では安倍政権は全然評価していません。主観性をできるだけ排除するために客観的な数字で話をすると、実は安倍支持者の方は意外に思うでしょうが、民主党時代の方が安倍政権時代よりもGDP成長率(瞬間最高値ではなく、平均値)は高いんです。田村さんも言っていますが(コロナだけでなく)二度の消費税増税が痛かった。安倍政権下でのGDP成長率の低迷をコロナのせいだけにはできないですよ。途中成績はともかく『最終的成績』で考えれば『経済の安倍』なんて言えた話じゃないんです。」
 いやー、意外ですね。田村もそうですが、安倍が消費税増税したことがよほど許せないようです。
 「安倍政権は就業者が増えたと言ってるんですが、増えたのは女性と高齢者ばかり。平均賃金も下がってるんですよ。結局、賃金が安い非正規労働者が増えただけじゃ無いですか!。それが安倍さんが言うように自画自讃できることなんですか?」
改憲とか他のことは別にして、経済関係の数字だけ見れば僕は安倍政権なんて全く評価できないですね。『経済の安倍』といったのに、経済分野で業績があがらなかったのになんで長期政権になったか理解できない。経済公約が実現できなくても支持する、その程度の国民だから、その程度の政権なんでしょう」
 「(経済分野では無いですが)大体、なんでアイヌ新法や移民法(移民受け入れに舵を切った入管法改定のこと)なんか制定する安倍政権とその政権の官房長官だった人を我々保守が評価できるのか。日本の伝統がないがしろにされてる」
 「アイヌ新法のバックには主体思想研究会がいる疑いがある(→また、そのデマかよ、いい加減にしろ)」
 えー、それ「アイヌ新法、移民法(?)への悪口を除く」と共産党とか野党の安倍批判とかぶるヤン、びっくり、びっくりですね(苦笑)。
 なお、アイヌ新法は勿論「維新除いて与野党全会一致」ですし、「入管法改定」について野党各党は批判的でしたがそれは「きちんと制度設計しないと混乱が起こる」と言う話であって「少なくとも建前上は」、三橋のような「外国人が日本にたくさん来たら嫌だ。日本の伝統が脅かされる」つう右翼排外主義ではありません。
 さすがに三橋がここまで悪口したのに、司会の水島も慌てたのか「えー、ま、そう言うご意見もあるでしょうが、それについて今後、改めて議論を」云々とごまかしに入ります。
 次に浜崎洋介
 「総裁選で消費税増税が近い将来あり得ると言ったのは菅さんだけですよ(党内外の批判で後で曖昧にごまかしましたが)。石破さんも岸田さんもそんなことは言わなかった。菅さんにはどれほど常識が無いのか。コロナ不況が今後危惧されてるのにどれほど冷酷なのか」
 「『自助、共助、公助(菅のスローガン)』て何ですか?(呆)。コロナ不況でテイクアウトや出前を増やしたりして、頑張ってる外食業なんかわかりやすいですけど、頼まれなくても、苦しくなれば、誰でも自助はするんです。何もしないで共助、公助をただ待ってる人はどこにも居ない。自助で済まないから共助と公助があるんです。そして自助と違って、共助と公助は我々社会の側が積極的にしなかったらできないんです。自助を強調したら国民が潰れてしまいますよ」
 「今日の日経の世論調査を見て愕然としましたよ。支持率70%越え。何も成果を上げてないのに今から支持するんですか、菅さんの消費税増税論支持するんですか、て話ですよ。三橋さんや田村さんも言ってましたが安倍政権で消費増税して明らかに景気が悪くなった。それなのに今から消費税増税なんて言う人が菅さんですよ。それは『増税が将来必要だとしても』コロナが終息してからやるべき話じゃ無いのか。
 しかも支持理由で高いのが人柄。政治家は政策で評価されるべきであって人柄で評価されるべき職業じゃ無いでしょ。大体、人柄って言っても、ほとんどの国民は菅さんと個人的交際があるわけじゃないでしょ。友人でも部下でも菅後援会支援者でも無い。長年官房長官をやってきた菅さんのメディアコントロールによる、マスコミの宣伝で『人柄が良さそうだ』と思ってるだけじゃ無いですか。そりゃ政治家なんだから菅さんに限らずマスコミ相手にはいい人を演じるでしょうよ。そう言う意味では石破さん、岸田さん、あるいは野党各党党首だって別に『人柄は悪くない』でしょう」
 浜崎の物言いに我慢できなくなったのか「左翼みたいなことを言うな」と田中が不規則発言。
 浜崎も「別に僕は左翼と評価されようが右翼と評価されようがいいですよ。大事なのはそう言う党派の理屈じゃ無いですから。僕は自分の考え、気持ちを言うだけですから」
 司会の水島が「とにかく、浜崎さんの意見をまず聞きましょう」
 浜崎曰く「でなんで、そんなに菅さんの支持率が現時点で高いかと言えば僕はマスコミ宣伝の影響が大きいと思うんですよ」
 「統計データがどれほど信用できるかつう問題はあるんですが、たとえば2011年の少し古いデータですが「自分に価値ない・憂鬱」 日本の高校生、米中韓比で高く :日本経済新聞によると日米中韓4カ国の高校生の中では、日本の高校生が一番『自己肯定感が低い』んです。でこれは僕の印象論ではあるんですが、これは高校生に限った話じゃ無い。自己肯定感が低いから他人の主張(マスコミの菅持ち上げ報道)に簡単に付和雷同してしまう。昔だったら他人として、マスコミ以外にも企業、労組、政党、宗教団体、農協とかいろいろあるんですが、理由はともかく、そうした『マスコミ以外の中間団体』の影響力が落ちてる。その結果、マスコミの影響が強まってる。「支持政党なし」の無党派層が増えてるのもそういうことだと思います。とにかく菅さんの支持率って高いと言ってもその程度の事じゃ無いか。むしろ日本にとって良くないと思う」
「僕は『財政再建だから緊縮財政』『少子高齢だから消費税増税』『劣った経済分野(農業分野など)は切り捨てないといけない』という平成自民党政治の三題噺(いわゆる新自由主義ですが)を辞めない限り、日本の政治も経済も社会も良くならないと思っています。その三題噺は間違ってると思ってる。でも安倍さんも菅さんもそう言う点は彼ら以前の自民党政治と変わらないわけです。そこは批判せざるを得ない」
「菅さんを見ていて思うのは良かれあしかれ「参謀タイプ」「ナンバー2タイプ」にしか見えないんですね。安倍さんに官房長官に持ち上げられて今の地位に就いたからでしょうが、今回の総裁選でも『安倍後継』ばかり言う。リーダーシップを発揮できるのかという疑念がある」
 次に川口マーン惠美。川口はアンチ原発であることを売りにしてるウヨなので「その方面での菅総理に期待している」そうです。安倍の原発政策ではどうもマーンには不満があったらしい。で水島も「菅に期待する」という発言にはにっこりしながらも、それ裏返せば「マーンは安倍には不満があった」ということであり、複雑そうな表情。
 マーンの発言を受けて水島曰く「マスコミ報道に寄れば、二階幹事長、甘利税制調査会長、河野防衛相(当時。現在は菅内閣行革相)が『女性宮家女性天皇もありうるんじゃ無いか』と言いだしてる。政府、党幹部がこんなことを言っても安倍首相も菅首相も何も注意しない。皇室の将来が不安です。皆さんが皇室のことについて特に触れなかったので一言言わせてもらいました」
 いずれにせよ、ここから分かるのは「消費税増税」が中心ですがウヨ連中も意外と安倍に不満があるんだなあ、ということですね。
 ただし、面子の中では「一番の菅万歳論者らしい」田中が
「皆さん、ケチばかり付けるけどじゃあどうするんですか?」
「石破さんや岸田さんが首相だった方が良かったんですか?。それとも野党(田中が想定してるのは維新や玉木の国民民主か?)を支持するんですか?。あるいはどんな形でもいいんですが、過去の新自由クラブ河野洋平*2代表)、日本新党細川護熙党首)、新生党羽田孜党首)、新党さきがけ武村正義*3代表)、みんなの党渡辺喜美*4代表)、たちあがれ日本日本維新の会→次世代の党(平沼赳夫*5代表→石原慎太郎*6橋下徹*7共同代表→平沼党首)、国民新党亀井静香*8代表)、希望の党小池百合子*9代表)みたいに今ある『非保守、反保守』の野党(立憲民主、共産、社民、れいわ)では無い、自民でもない、自民にかわる第二保守新党保守系野党)を創るんですか?。そして我々は(菅政権を批判する野党共闘支持で無いのは当然ですが)菅政権打倒で動くんですか?」
 他の面子もこれには返答に困り、司会の水島が「それではこれで1部を終わりにして休憩を挟んでから第2部で色々議論したいと思います」。
 ここまでが第1部で1時間程度です。
 次に第二部(動画の1時間~2時間)です。俺の興味関心から適当に紹介しておきます。
 まず、三橋いわく
 「アイヌ新法に私は反対なんですが、菅さんはインバウンドを増やすためにも、五輪を成功させるためにも国際的なレベルに色々あわせていく必要がある、アイヌ新法もそうだ、これが先住民族についての国際的レベルだと言うんですが、何でもかんでも欧米にあわせていいのか」
 お前ら、どんだけアイヌ新法嫌いだよ、ですね。まあ、菅の「国際的レベルガー」は本心つうより「ウヨへの言い訳」でしょう。
 次に田中ですがまーた
 「菅さんは60~70%の支持率なんです。菅さんは安倍後継をアピールしてるんです!。皆さんは安倍さん、菅さんをけなしすぎです!」
 とまた安倍、菅持ち上げです。
 で、次に田中が
 「トランプが中国を締め上げてるんだからそれに付き合わざるを得ない。二階幹事長も抵抗できないと思う」。
 「いや、お前らはトランプに関係なく反中国だろ?」
 「つうかトランプ再選の可能性は決して高くないし(田中だけでなく、チャンネル桜連中は勝手に再選を前提にしていますが)」つう話です。
 一方、水島は
 「田中さんはそんなこと言うけど、李克強首相が訪日したときは、安倍首相は彼の北海道訪問に同行したし、今度は習近平国賓訪日計画じゃ無いですか。日本経団連参加の大企業、トヨタとか色々ありますが、そう言う企業だってどんどん中国に進出してるじゃ無いですか」。
 田中がやたら安倍、菅万歳で「安倍、菅は日本の正常化(要するに右傾化)の象徴だ」とするのに対し、荒木、浜崎、三橋、水島など他の連中は「それだったら何故、安倍さんが首相1年目に靖国に行っても、2年目以降行かないのはどういうことなんですか?(ボーガス注:なおこの討論会後に、首相辞任後の安倍が靖国参拝した)。河野談話も堅持だし、尖閣自衛隊も配備しないし、拉致も改憲も何の成果も出さないで退陣じゃ無いですか。田中さんは安倍さんや菅さんを持ち上げすぎですよ」などと田中をdisるという構図で議論が続いていきます。
 マジギレした田中が
「野党支持なのか?、石破や岸田支持なのか?。菅内閣を倒閣するのか?」
「それでも保守か?。チャンネル桜でやる話なのか?」
と言いだし、浜崎らが
「いや、それ話のすり替えでしょ」
「誰も石破支持、岸田支持、野党支持、菅政権打倒なんて一言も言ってないですよ。まず今の安倍自民、菅自民の問題点を指摘したい、つうだけの話ですよ」
「橋下が『現状を批判する奴は政治家になればいい』といって批判封じようとするのと田中さんが言ってることは同じじゃ無いですか」。
 で水島曰く
「僕に言わせればドイツのメルケル首相は保守じゃ無いですよ。ビジネス重視で中国とズブズブですよ。そして単独では政権が維持できないので、社民党と大連立している。だから社民党の『環境保護の主張』など左派的な主張が無視できない。保守党だからといって田中さんみたいに自民を一切批判しなかったら、自民党メルケルの党(ドイツキリスト教民主同盟)と一緒になりますよ。だからドイツではメルケルに反発して『ドイツのための選択肢』という保守政党ができた」(水島と似たり寄ったりのことはマーンも言っています)。
 荒木曰く
「次世代の党がなくなって、今我々が支持できそうな保守党は自民しか確かにないんですが、だからといってただただ『自民支持』でいいんですか?。拉致は成果が無かった。自民を甘やかしてはいけないですよ」
 一方で水島曰く
 「やっぱり安倍さんに三度目の登板をしてほしい。安倍さんでなきゃ改憲ができるか分からない」
 「お前散々、安倍批判しても結局それか、水島!」ですね。つうか本気か世辞かはともかく「安倍再々登板」て。安倍が辞任してから、そして菅政権ができてから間もないのに「何や、それ?」ですよねえ。
 浜崎曰く
 「新自由主義経済政策(そして新自由主義経済政策を現在採用している自民)を批判すると、保守の多くの方々から左派とか、野党支持とか言われるんですよ、僕は。でも、伝統主義支持なんで左派からは極右だ、自民支持者だと言われる」
 「ただし、僕らはずっと伝統主義支持で、左派もそれをずっと極右と批判してきたんで左派の主張はある意味理解、納得できます(支持する、同意するでは無い)。でも自民が新自由主義を採用したのは比較的最近のことなのにそれで批判したら左派だの野党支持だの言われるのは理解できない、納得がいかないですね」
 「日本の保守の方は『保守派なら自民の方針全て支持』つう価値観が強すぎるんじゃ無いか。僕は保守イコール『自民の方針全て支持』なんてとんでもない間違った考えだと思いますよ」
 でここまで2時間(第2部)が終了です。
 で第3部(動画の2時間~3時間目)。荒木の言う「社会主義を議論しました」つう奴です。まあ、立憲民主党だの朝日新聞だのを「社会主義扱いする連中」なので正直、あまりまともに相手できる話では無いですが。まあ、社会主義云々つうのは結局価値観の話ですからねえ。
 今時「ソ連社会主義」が通用すると思ってる人間はどこにも居ないでしょう。ただし左派政党として「英国労働党」「ドイツ社民党」などいろいろあるわけです。それらを「社会主義と見なすか」「見なした上で価値を認めるか」ですがこの辺りは、「ソ連共産党」評価と違って、簡単ではありません。
 ちなみに林曰く
 「共産主義社会主義の立場に立つ人も、逆に反共保守の人もどちらもあまり語らないんですが、マルクスエンゲルスと親しい関係にあった人としてハインリヒ・ハイネ - Wikipediaがいるんですね」
 「へえ?」ですが、何を林が言いたいのかはよく分かりません。そうした事実があるからと言って「左翼活動家」というより「詩人」のハイネについて「マルクス関係」で何か言うのはよほど注意する必要があるでしょう。
 田中曰く 「マルクストロツキーユダヤ系だった」。
 確かにそうでしょうが、田中が何が言いたいか分かりません。
 何も「共産主義者ユダヤ系が多い」なんて事実は無い。イスラエルなんか勿論共産国家では無い。もし、田中が「共産主義ユダヤの陰謀」的な与太を飛ばしたいのなら気が狂っています。
 田中曰く「共産主義社会主義)は暴力革命だ」。
 勘弁して欲しいですね。それはロシア革命なんかはそうでしょうが、今時「独裁国家」ならともかく、暴力革命なんか誰も目指してない。米国の黒人デモが一部過激化してるとは言え、アレも別に共産革命なんかもちろん目指してないですしねえ。
 まあ、田中の場合「社会主義ソ連共産主義(暴力革命&権力奪取後の一党独裁)」と前提しているので話が通じない。「社会主義の可能性」云々つうテーマで今時そんな話は誰もしない。
 で次に「自称・社会主義者」の元民社党職員・荒木。
 田中の物言いに我慢できなかったのか、荒木曰く
 「私の居た民社党社会主義だと、私は今でも思ってる。もちろん暴力革命なんか目指してない」
 「英国労働党やドイツ社民党だって社会主義だと思うが、彼らは暴力革命なんか目指してない」
 「社会主義というのはこれは民社党の党是ではなく、あくまでも私の個人的考えですが『助け合い(相互扶助)』だと思っている」
 まあ、旧民社が社会主義だなんて俺はかけらも思いませんが「それ以外は荒木に同感」ですね。
 三橋曰く
 「僕はもちろん方法論は支持しないんですが、格差是正などと言った共産主義社会主義が提示している問題意識は認めないといけない。そこまで否定したらダメだと思う」
 田村曰く
「僕は資本論を一応読んでるんですが、あれを『単に革命を訴える政治的書物』と読んだらダメだと思ってます(勿論そう言う要素は当然ありますが)。アレは革命するための『現状認識の本』ですよね。だから、マルクスは本を書くのに、アダム・スミスリカードとか先学の経済学を勉強して客観的に経済をとらえようとした。だからそれなりの学問的根拠があるし、後世に一定の影響も与えた。正直、マルクスの方法論(共産革命)には勿論賛同しませんが彼の現状認識や問題意識なんかには全部では無いですが割と共感するところがある。ソ連共産主義は崩壊したとは言え、今でもマルクス思想が、英国労働党、ドイツ社民党など社民主義という形で影響を与えてるのはある意味当然だと思うんです。そう言う意味では安易に『ソ連が崩壊したから』でマルクスは否定できないと思うんです。特に英国労働党、ドイツ社民党といったソ連型でない社会主義まで含めれば。」
 浜崎曰く
 「ちょっとややこしいんですが、僕が授業で学生相手に使ってるボード(宇野弘蔵*10『経済原論』(岩波文庫)を浜崎流に解釈した物)を持ってきたんで使っていいですか?」
「A国では繊維製品を90円で製造し100円で、B国では同じ物を60円で製造し70円で売っていたと仮定しましょう」
「である人物がB国の70円をA国に持っていって90円で売れば、B国の生産者にとって利潤が増えるわけです。A国の消費者も安い商品が手に入る」
Win-Winでいいじゃないかと思いがちですが、問題は、A国で繊維産業が衰退すると言うことですよね。失業者が当然発生する。B国にしても『繊維が儲かる』といって繊維に特化した経済になってしまうけれども果たしてそれは国家経済全体ではいいことなのか」
 三橋「Aがインドで、Bが英国ですよね」
 浜崎
 「そこで、そうした事態をそのまま放置していいのか、何とかすべきではないかというのが広義の社会主義であり、その影響を受けたのがいわゆる修正資本主義、福祉国家、『富の再分配』とか言う話だと思うんです。そう言う意味では我々保守派も『社会主義(誤解を避けるために修正資本主義、福祉国家など別の呼び方をした方がいいかもしれませんが)』を目指すべきだし、一方で『一党独裁』『暴力革命』等の問題があって『資本主義の弊害の是正』に話がとどまらないからこそソ連共産主義は僕は支持しないわけです」
ソ連崩壊で冷戦が終了し、『資本主義の勝利だ』で修正資本主義に否定的な傾向が強まって、新自由主義方向に行ったのが今の日本じゃ無いか。でもそれはおかしいわけです。新自由主義と保守派はイコールじゃ無い」
 三橋曰く
「政府データで明らかに正規と非正規の婚姻率に差があるんです。非正規では収入が低くてとても結婚できない。これは是正しないといけない。こういうと三橋は野党支持なのかとか左翼なのかと、一部の保守から言われるんですが、そう言う話じゃないと思うんですよね。自民党がそれをやればいいわけですから」
「水道の民営化に私は反対なんですが、水道のような公共が責任持つべきものは民営化になじまないと思うんです。何でも国営化すればいいとはいいませんが。」
 浜崎曰く
「三橋さんも言っておられますが、問題は何を国や自治体が責任を持つべきか、何が民間に任せてもいいかと言うことで、前者については国や自治体が責任を持つのは当然だと思うんです(勿論その判断は必ずしも用意ではありませんが)。それを否定するのはむしろ保守主義の否定では無いのか」
 まあ他にも色々あるんですが俺的な紹介をこれで終わります。思ったよりは「社会主義に好意的」な話の流れではありました。

【参考:二階氏らの女性天皇容認論

波紋広げる自民幹部の女系天皇「容認」発言 重鎮「不勉強だ」(1/2ページ) - 産経ニュース2019/11/29
 皇位継承のあり方をめぐって、自民党幹部から「女系天皇容認論が飛び出し、波紋を広げている。
 「男女平等、民主主義の社会を念頭に入れて問題を考えればおのずから結論は出るだろう」
 自民党二階俊博幹事長は26日の記者会見で、女性天皇女系天皇への見解を問われこう述べた。二階氏は平成28年にも「女性尊重の時代に天皇陛下だけ『そうならない』というのは時代遅れだ」との考えを示している。
 甘利明税調会長も24日のテレビ番組で「男系を中心に順位を付け、最終的な選択としては女系も容認すべきだ」と発言した。

河野防衛相が女系天皇容認論 次の天皇「内親王のお子さまも」 - 産経ニュース2020/08/23
 将来の首相候補の一人に数えられる河野太郎防衛相は23日夜、インターネット動画サイトのライブ配信皇位継承のあり方について「1000年以上続く男系が続くなら男系がいい」と断った上で、女系天皇の容認も検討すべきだとの考えを示した。
 河野氏は、現在の皇室の状況に言及し「男子のお世継ぎがいなくなったときにどうするのか、考えておく必要はある」と強調。かつては側室制度があったが「この21世紀になってそうはいかない」とも述べた。


民社党の話(9月19日のショートメッセージです): 荒木和博BLOG

 令和2年9月19日土曜日のショートメッセージ(Vol.169)。私が元いた民社党についてお話ししました。平成6年(1994)に解党してもう26年、あのときは野党再編でできた新進党に民社の精神を植え付けると言っていたのですが、結局その後の状況はご案内の通り。私たちは成仏できずにさまよっている地縛霊みたいなもんです。

 「政治力あまり無い(旧民社はウヨの主流とは言えないでしょう)」とは言え「全く政治的に無意味」なわけでもないので「成仏できずにさまよっている地縛霊」というのは「謙遜がすぎる(?)」と思いますがそれはさておき。
 7分程度の動画です。
 「この動画は拉致の解決が目的じゃ無くて、荒木和博ファンクラブなのかよ!」「手前の民社党愛なんか知るか!」「拉致解決と、手前の民社党愛と関係ねえだろ!」ですよねえ。
 まずは荒木の言う新進党ですが、衆院選での小選挙区導入(大政党に有利)に対応し「新生党(小沢*11・羽田*12グループ)」「公明党」「旧民社」「日本新党(細川*13元首相グループ)」が合同し、結党。
 一方、「新党さきがけの鳩山*14、菅*15グループ」と社民党の一部で結党されたのが民主党です。
 新進党は結党したものの、選挙成績が振るわず解散し自由党小沢グループ)、新党平和(旧公明党衆院グループ、後に黎明クラブと合併し公明党)、新党友愛(旧民社)、太陽党(羽田グループ。後にフロムファイブと合同し民政党)、フロムファイブ(細川元首相グループ)、黎明クラブ(旧公明党参院グループ)とバラバラになります(新進党 - Wikipedia参照)。
 最近の若者はもちろん、ご年配の方でも「新進党がバラバラになってできた政党」なんて「比較的長く続いた自由党以外は」覚えてないでしょう。俺も勿論(?)覚えてないので、ウィキペディアで確認しながら書いてます。共産党が1998年頃に都議選などで躍進した背景には「新進党の分解→小規模政党の乱立」もあったわけです。
 そのうち、公明党が「非自民路線」を捨てて、今の自民との連立路線に転じるわけです。
 で、これらの新進党がバラバラになった政党も結局は「小沢自由党(ただし二階氏(現・自民党幹事長)など一部の自由党メンバーは小沢氏と袂を分かち保守党を経て自民に復帰)」と「民主党(鳩山・菅らの民主党に羽田の民政党新党友愛が合流)」に収斂し、「小沢自由党」と「民主党」が合併し民主党になり、民主党は鳩山政権で政権交代。しかし野田政権で下野し、その際に小沢グループが離党して「国民の生活が第一→生活の党→日本未来の党自由党」となる。
 でまず「小沢グループが抜けた民主党と維新の党(維新の会から反大阪維新派が離脱して結党)」が一緒になって民進党。 
 この民進党が前原代表時代に「希望の党」計画をやり、「希望の党(この時に小沢自由党は解散し、大部分、希望の党に参加)」「立憲民主党」に分裂したあげく、今回「希望の党」の後継政党の国民民主党は「大多数は立憲民主党」に参加。
 国民民主のうち「絶対に共産と共闘したくない!」つう反共連中(旧民社の連中など)は玉木の元に集いましたが、まあ、羽振りが悪いですね。
 最大野党・立憲民主党は「左派では無いにせよ」、旧民社のような極右改憲政党ではなく、共産との共闘路線つうのが不愉快な荒木のようですが「そんなことをこの動画でやるな」つう話です。まあ、以前の民主党においても「菅、鳩山、前原*16新党さきがけ出身)」「岡田*17民政党出身)」「小沢(新生党出身)」など「旧民社以外の保守政治家」にお株をとられてろくにアピールできなかったのが旧民社の連中ですが。
 それにしても、荒木が「私は社民主義者だ、保守と呼ばれたくない(動画での発言)」つうのにはびっくりですねえ(もちろんそんな拉致と関係ないことを言い出す荒木には心底呆れますが)。
 荒木は以前も

「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年5/14分:荒木和博の巻) - bogus-simotukareのブログ
■荒木のツイート
荒木和博
 Web論座の連載(藤生編集委員)の2回目です。私も(ボーガス注:高池氏同様)自分自身はあくまで社会主義者であって保守ではないと思っています。
「反マルクスの社会主義」 民社党の遺伝子 - 藤生 明|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

と全く同じ発言をツイートしていますが。
 実は、荒木が高池の名前を出したように

「反マルクスの社会主義」 民社党の遺伝子 - 藤生 明|論座 - 朝日新聞社の言論サイト2019年05月11日
 予期せぬ答えが返ってきた。
「ぼくは社会主義者。今でも」「保守とは呼ばれたくない」
 「新しい歴史教科書をつくる会」会長を務める高池勝彦弁護士から思いがけない言葉を聞いたのは3月上旬、都心の法律事務所だった。早大時代、社会思想研究会(社思研)に一緒に通ったという先輩、元民社党中央執行委員の梅澤昇平・尚美学園大学名誉教授も同席してくれていた。
 取材の途中、高校時代から憲法改正に熱心だったのに、なぜ自民党学生部ではなく民主社会主義の学生団体や社思研に入ったのか、高池氏に尋ねたときだ。冒頭のような言葉が返ってきたのだ。
 前後関係を含めて記せば、「自民党は嫌い。正直言えば今だって嫌いだよ。ぼくは社会主義者だから、今でも」。
 そして、自分たちの運動が保守とくくられることにも首をひねった。
「ぼくはあまり保守と呼ばれたくないんだよなあ」。
 梅澤氏もうなずいた。
「保守はすわりが良くないんだよねえ、なんだか」
 歴戦の反共の闘士2人だ。「社会主義」とはもちろん、マルクス社会主義のことではない。マルクス主義は間違った社会主義思想であって、英国労働党のような改革改良による「民主社会主義」こそ、真の社会主義だという強い信念がこめられている。
 高池氏は1942年、東京・下井草生まれ。高校時代にはすでに憲法改正の必要性を説き、60年安保闘争当時、「安保粉砕」と叫ぶ学生らの報道をみて、明確に「ちがう」と思った。生徒会長として校内に呼びかけて「安保を考える会」を全校集会として開催。「日米安保支持」の立場から討論したという。
 半面、子どもの頃から社会の格差、貧困、差別、不平等、不公正といった世の不条理が許せなかった。働く者の地位向上をめざして労働問題の弁護士になった。最近になって、中学時代に自ら書いたものを後輩から手渡された。そこには「カネ中心の世の中はやめよう」と書いてあった。
 高池氏や梅澤氏らが「社会正義実現」の指針とした民主社会主義とは何なのか。
 旧同盟本部跡地(東京・芝)に建つ友愛会館(2012年竣工)。その8階に友愛労働歴史館がある。展示は、運動の歴史を説明した常設展と、年2回開催の企画展の2部だてで、これまで「戦後民主化リーダー片山哲」「鈴木文治・友愛会吉野作造」「賀川豊彦友愛会・総同盟」といった企画展が催されてきた。今は「民社党結党60年展」(〜6月28日)が開催中だ。
 歴史館事務局長の間宮悠紀雄氏から運動史のおさらいを受けた。
 鈴木文治が1912年、労働組合友愛会」を結成した。友愛会はその後、総同盟となり、第一回普通選挙社会民衆党安部磯雄委員長、片山哲*18書記長)の設立母体となる。彼らの組織・運動は戦時中、産業報国会大政翼賛会でいったん途切れるものの、戦後、社会党民社党へと脈々と続いていく。展示はおおむねそんな流れで進められている。
 間宮氏は説明の終わりに、「民社党の志、民社党の遺伝子とは——」という表題のスライドを指さしながら、一部を読み上げた。
1.民社党の志とは、民社の遺伝子を残すこと。遺伝子とは民社党に始まるものではなく、戦前から続く運動の歴史の中にある。
2.それは安部磯雄が主導した1901年の社会民主党、同じく安部が創立した1926年の社会民衆党、どちらかを起点とする民主的な社会主義政党の歴史である。
3.そこを貫くものは弱肉強食の経済を打破し、貧困と不条理をなくすこと。そのため左右の全体主義に反対し、自由と民主主義の政治を実現することである。
4.自由にして民主的な労働運動を支援し、階級的労働運動を打破する。
5.幻想的な平和主義を排し、現実的な平和主義を進めること。日本の伝統を尊重し、継承することである。
6.戦前の安部磯雄や鈴木文治らユニテリアンが共有した理念「自由の拡大、社会問題の解決」は民社党の志の原点、背骨である。
 以上を読み上げた後、間宮氏はこう結んだ。
民社党の志、遺伝子はもっと昔からの安部磯雄社会民主党社会民衆党の延長線上にあるわけであります」

ということで高池など荒木のお仲間ウヨも「私は社会主義者」だそうです(なお、この藤生記事については、以前「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年5/14分:荒木和博の巻) - bogus-simotukareのブログでも取り上げて、俺なりに荒木らを批判しています)。
 いや確かに「民社党」つうのは「社会党書記長だった西尾末広社会党最右翼」が1960年安保闘争を契機に社会党を離党して創った政党で、「民社主義」を建前としてましたが、あれを「英国労働党」「ドイツ社民党」などの「ヨーロッパの社民政党」や「江田三郎社民連」などと同一視する人はいないでしょうよ。もちろんヨーロッパ社民政党、江田社民連も「共産主義に何らかの批判をしている」という「非常に広い意味」では「反共」ですが旧民社党の反共はそう言うレベルでは無い。
 「お前らのどこが英国労働党やドイツ社民党を模範にしてるんだ?」て話です。
 確かに「広い意味では友愛会や戦前の社会民衆党は旧民社のルーツ」でしょうが友愛会は「労使協調主義」「右派労組」とはいえ旧民社のような「極右の集まり」ではないと思います。この点は社会民衆党も同じかと思います。
 社会民衆党は旧民社のような極右政党とは違うでしょう。
 いずれにせよ旧民社は自民と同類の極右政党以外の何物でも無い。
 荒木の「私は社民主義者だ、保守と呼ばれたくない」にもびっくりですし、藤生明*19朝日新聞記者が紹介する高池や梅沢と言った連中の「荒木とほぼ同じ内容の言葉」にもびっくりです。 
 まあ、旧民社が本当に「反マルクス社会主義」、つまり英国労働党やドイツ社民党のような代物なら今も存続してるでしょうねえ。
 俺も「共産支持」とはいえ「マルクス主義に傾倒してるわけではない」ので「英国労働党やドイツ社民党のような代物」があって、それなりの党勢力があれば、共産には失礼ながら共産支持には固執しません。旧民社がもし仮にそんなもんであったなら俺は旧民社を支持してるでしょう(もちろん旧民社はそうではなく自民の同類の極右政党ですが)。
 俺の共産支持はその程度の浅い、薄いもんです。
 ところが俺の理解では「共産以外にそんなもんは現在、どこにも無い」わけです。
 自民、公明は勿論支持できない。産経が「健全野党呼ばわり」する「自民の二軍」玉木国民民主党や維新も論外。
 「明治150年式典出席のウヨ」福山が幹事長の立憲民主党なんか俺はかけらも信用していません。正直「共産は首相選挙で枝野じゃなくいつも通りに志位氏の名前で良かったんじゃ」と思うくらい立憲民主を信用も評価もしてない。
 社民党やれいわは共産に比べて党勢力が弱い。「立憲民主と合同するのでは」という話が出てるくらいです。
 そうなったら俺に「新党を創るような政治力」はもちろんないし「既存の政党なら一番共産がまともだな」となるわけです。
 俺の選択基準はあくまでも「クリーンな政治」「九条護憲」「消費税減税」「福祉の充実」「極右の歴史修正主義、排外主義反対」などといった「西欧社民主義(西欧福祉主義、人権主義)プラス軍事小国路線」的なもんでしかない。別に共産主義にこだわりなどないのですが、この選択基準だと「共産しか残らない」という嘆かわしい状況に今あるわけです。
 それはともかく、荒木らがどう強弁しようと「繰り返しますが」旧民社は「西洋社民政党」とは全く違う「極右政党の一種」でしかないわけです。

*1:東京大学名誉教授。国立西洋美術館長、独立行政法人国立美術館理事長、文化庁長官など歴任。現在、山梨県立美術館長、学校法人多摩美術大学理事長、奈良県橿原考古学研究所長、石川県立美術館長。著書『皇帝たちの都ローマ』(1992年、中公新書)、『ローマ帝国』(2004年、岩波ジュニア新書)、『逸楽と飽食の古代ローマ:『トリマルキオの饗宴』を読む』(2012年、講談社学術文庫)、『文化立国論:日本のソフトパワーの底力』(2015年、ちくま新書)など

*2:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長など歴任

*3:細川内閣官房長官、村山内閣蔵相を歴任

*4:第一次安倍、福田内閣で行革等担当相

*5:村山内閣運輸相、森内閣通産相小泉内閣経産相など歴任

*6:福田内閣環境庁長官、竹下内閣運輸相、都知事、維新の会共同代表、次世代の党最高顧問など歴任。

*7:大阪府知事大阪市長を歴任

*8:村山内閣運輸相、橋本内閣建設相、自民党政調会長(森総裁時代)、国民新党代表、鳩山、菅内閣金融等担当相など歴任

*9:小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を経て都知事

*10:1897~1977年。東京大学名誉教授。法政大学名誉教授。著書『恐慌論』(岩波文庫)、『資本論に学ぶ』、『社会科学としての経済学』(以上、ちくま学芸文庫)など

*11:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新進党代表幹事、新生党党首、自由党党首、民主党幹事長、「生活の党」代表など歴任

*12:中曽根、竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、細川内閣副総理・外相を経て首相。首相退任後も太陽党、民政党で党首。

*13:熊本県知事、日本新党代表を経て首相。首相退任後もフロムファイブ党首

*14:細川内閣官房副長官新党さきがけ代表幹事、民主党幹事長などを経て首相

*15:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相などを経て首相

*16:鳩山内閣国交相菅内閣外相、民主党政調会長(野田代表時代)、野田内閣国家戦略担当相、民進党代表など歴任

*17:鳩山内閣外相、民主党幹事長(菅代表時代)、野田内閣副総理・行革相、民主党代表代行(海江田代表時代)、民主党代表など歴任

*18:戦後、日本社会党書記長、委員長、首相を歴任

*19:著書『ドキュメント 日本会議』(2017年、ちくま新書)、『徹底検証 神社本庁』(2018年、ちくま新書