救う会:★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2020.09.25)安倍総理辞任と拉致問題1
◆平田隆太郎・巣くう会事務局長
北朝鮮は今6重苦のさ中にあります。国際社会の制裁が非常に効いてきたこと、相次ぐ台風等による水害、コロナウイルスの蔓延、金正恩氏の健康不安、平壌市内で反体制活動が行われていること、そして中朝関係の悪化です。
このうち他の件はともかく、「金正恩氏の健康不安」「中朝関係の悪化」は巣くう会が勝手に言っているだけで何ら争いの無い確定的事実では全くありません。
中朝関係についていえば、武貞秀士氏*1が
コラム | 拓殖大学海外事情研究所
かつては中韓関係が改善されると中朝間に不協和音が生じました。しかし、最近は中国と北朝鮮の関係がコロナウイルス騒ぎの下で一貫して緊密になっています。中朝の首脳は、今年だけで数回、親書を交換して、中国は北朝鮮への食糧と医療支援を約束しました。6月は北朝鮮の『労働新聞』が習近平国家主席の国賓訪朝訪問一周を迎えて「朝中関係の特殊性を改めて誇示した歴史的出来事だった」と報道しました。
中韓、中朝関係が同時に改善されています。
というように少なくとも表面上は「中朝関係は友好的」ですし、水面下で悪化していると見なす根拠も何もありません(武貞著書には『なぜ韓国外交は日本に敗れたのか:激変する東アジアの国家勢力図』(2016年、PHP新書)などという「題名だけでも読む価値がないと思われるトンデモ」もありますが、今回の中朝関係評価はその通りだと思います)。
金聖●さんに北朝鮮の内部情報について報告をお願いしたところ、以下のレポートが来ました。
◆金聖●(王へんに文、キム・ソンミン)自由北朝鮮放送代表
「反日」を通した政治扇動で支持勢力を集めて、権力基盤を固めようとする文在寅*2左派政権によって近くて遠い日本になってしまいました。
日本ウヨに媚びてるのか、「反北朝鮮のためなら何でも許される」と思ってるのか知りませんが、こうした日本ウヨに調子を合わせるウヨ韓国人には怒りや軽蔑といった負の感情しか無いですがそれはさておき。
文政権の「戦前日本批判」は「確かに戦前日本の韓国植民地統治は政治的、道義的に問題があった」と思う俺にとって何ら反日ではない。
また「脱原発や最低賃金引き上げ」などがあるとはいえ、文氏の政策が日本や欧米基準で「左派(日本の共産党など)」と呼べるかも疑問です。せいぜいリベラル保守(日本の立憲民主党レベル)では無いか。どっちにしろ「文政権の太陽政策」は北朝鮮シンパとは違う。
そもそも安倍がA級戦犯の合祀された靖国に参拝しようとしたり、河野談話を否定しようとしたり、徴用工判決に逆ギレしてホワイト国除外したりする「嫌韓国極右政権」であるから、文政権は安倍批判してるだけのことであり、「反日で政権基盤を固めよう」としているわけではない。
たとえば今が安倍*3や菅*4のような非常識ウヨでは無く「加藤談話、河野談話当時の宮沢*5政権」「金大中大統領訪日時の小渕*6政権」なら今のような日韓関係では無かったでしょう。一方で、今が全斗煥(軍事独裁)、盧泰愚(一応民政移管政府だが全の側近)政権ですら安倍、菅批判したのではないか。何せ韓国の抗議で、藤尾*7文相が中曽根*8首相によって更迭されたのは全斗煥政権時代だし、いわゆる加藤*9談話が発表されたのは盧泰愚政権時代です。
また、文世光事件 - Wikipediaによれば「犯行に使用された拳銃が日本の交番から盗まれた物である」にもかかわらず、当時の田中*10政権の態度が非礼だと激怒した朴正熙をなだめるために韓国ロビーの椎名悦三郎*11が訪韓していることで分かるようにあの朴正熙ですら「単純な親日では無い」。
あるいは安倍や菅が「ホワイト国除外」のような嫌韓国行為を辞めれば、あるいは石破*12でアレ、岸田*13でアレ、枝野*14でアレ、誰でアレ「菅に代わって嫌韓国政権を辞めるまともな政権」が誕生すれば、文政権として日本政府を批判する理由は何もない。
むしろ「文政権の政権基盤固め」というなら反日などでは無くむしろ「文政権のコロナ対応」の方がそれに該当するでしょう。
なお、多くの国がコロナ対応で支持率を上げているところ、逆にコロナ蔓延で支持率を下げた数少ない「恥ずかしい、情けない国」の一つが我が日本です(他には米国やブラジルがそれに当たる)。
いずれにせよ「お前らウヨの価値観(嫌韓国や戦前日本美化)を勝手に日本人の価値観にするな」「拉致救出運動に参加するには手前らの嫌韓国や戦前日本美化に同調しなきゃいけないのか、ふざけんな」て話です。
俺や志位共産党委員長、吉見義明*15中央大名誉教授、和田春樹*16東大名誉教授などの「アンチ嫌韓国」「アンチ極右」の価値観からすればこんな嫌韓国極右の巣くう会運動や巣くう会言いなりの家族会運動に協力することなどできる話ではありません。家族会もいい加減、拉致集会でためらいなく嫌韓国極右発言して恥じない巣くう会などとは縁切りすればいいのに、それができないのだから呆れます。
たとえば巣くう会が仮に創価学会員や日本共産党員を中心とする組織だとして「拉致集会」で「創価学会や日本共産党の主張(たとえば日蓮正宗への非難や天皇制廃止論など)」が「拉致と何一つ関係ない」のに主張されたら普通の人間はどう思うのか、と言う話です。そうしたおかしなこと(九条改憲主張や河野談話否定、徴用工判決非難、ホワイト国除外支持などの嫌韓国主張)が、今現在、巣くう会に巣くうウヨ連中にやって行われてることが明らかに日本国民に拉致への関心を失わせてるわけです。
それに加えて、中国で発生した武漢肺炎という悪材料が私達の手足を縛っています。
いい加減普通に新型コロナウイルスやCOVID19と言ったらどうなのか。正式名称はそちらであり、習主席訪日を控えてるからという要素が大きいでしょうが、ウヨの安倍、菅政権ですら「武漢」云々などと言う馬鹿なことは言いません。
なお、新型コロナの症状は肺炎に限定されないので「肺炎」呼ばわりは不適切でしょう。中国誹謗、差別の思惑しか無い「武漢」呼ばわりが不適切なのは言うまでも無い。
いずれにせよ「お前らウヨの価値観(反中国)を勝手に日本人の価値観にするな」「拉致救出運動に参加するには手前らの反中国に同調しなきゃいけないのか、ふざけんな」て話です。
なお、新型コロナのために活動しづらいのは事実でしょうが、拉致について言えば既に「巣くう会右翼以外は無関心」な運動であり、マスコミもろくに報じていません。プロ野球、大相撲などスポーツ大会が一時は無観客試合であったような話とはまるで違います。
2020年8月、国際信用評価会社であるピーチが今年の北朝鮮の経済成長率をマイナス8.5%に下方調整したと発表しました。
いつもの「安保理制裁ガー」「台風直撃ガー」「新型コロナ感染ガー」「だから北朝鮮崩壊」の「崩壊するする詐欺」です。
全く「何度目だナウシカ」ならぬ「何度目だ、政権崩壊論」ですね。
中露の経済支援を考えれば崩壊の可能性は低いでしょう。かつ「政権崩壊と拉致被害者救出と何の関係があるんだ?」「巣くう会、家族会の目的は北朝鮮政権打倒なのか?」と言う話です。
呆れて二の句が継げませんね。南北朝鮮統一と拉致問題解決と何の関係があるのか。しかも「韓半島の自由統一」とは「韓国主導の統一」、それも「韓国軍の北朝鮮侵攻による武力統一もあり得る」という極右的な物騒な代物でとても支持できる話では無い。全く拉致の解決集会で「韓半島の自由統一への支持を要求する」なんてふざけるのも大概にしろという話です。
*1:著書『東アジア動乱:地政学が明かす日本の役割』(2015年、角川oneテーマ21)など
*2:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領
*3:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相
*4:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官を経て首相
*5:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経てて首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相
*6:竹下内閣官房長官、自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相
*7:鈴木内閣労働相、自民党政調会長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣文相を歴任
*8:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相、自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相
*9:中曽根内閣防衛庁長官、宮沢内閣官房長官、自民党政調会長(河野総裁時代)、幹事長(橋本総裁時代)など歴任
*10:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相
*11:戦前、岸信介・東条内閣商工省の下で商工次官。戦後、岸の誘いで政界入り。岸内閣官房長官、池田内閣通産相、外相、佐藤内閣外相、通産相、自民党政調会長(池田総裁時代)、総務会長(佐藤総裁時代)、副総裁(田中、三木総裁時代)など歴任
*12:小泉内閣防衛庁長官、福田内閣防衛相、麻生内閣農水相、自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任
*13:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)など歴任
*14:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相、民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)などを得て立憲民主党代表
*15:著書『草の根のファシズム』(1987年、東京大学出版会)、『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年、岩波ブックレット)、『毒ガス戦と日本軍』(2004年、岩波書店)、『焼跡からのデモクラシー:草の根の占領期体験(上)(下)』(2014年、岩波現代全書)、『買春する帝国:日本軍「慰安婦」問題の基底』(2019年、岩波書店)など
*16:著書『歴史としての社会主義』(1992年、岩波新書)、『金日成と満州抗日戦争』(1992年、平凡社)、『歴史としての野坂参三』(1996年、平凡社)、『北朝鮮:遊撃隊国家の現在』(1998年、岩波書店)、『朝鮮戦争全史』(2002年、岩波書店)、『テロルと改革:アレクサンドル二世暗殺前後』(2005年、山川出版社)、『ある戦後精神の形成:1938〜1965』(2006年、岩波書店)、『日露戦争 起源と開戦(上)(下)』(2010年、岩波書店)、『これだけは知っておきたい日本と朝鮮の一〇〇年史』(2010年、平凡社新書)、『北朝鮮現代史』(2012年、岩波新書)、『領土問題をどう解決するか』(2012年、平凡社新書)、『「平和国家」の誕生:戦後日本の原点と変容』(2015年、岩波書店)、『慰安婦問題の解決のために』(2015年、平凡社新書)、『アジア女性基金と慰安婦問題:回想と検証』(2016年、明石書店)、『米朝戦争をふせぐ:平和国家日本の責任』(2017年、 青灯社)、『レーニン:二十世紀共産主義運動の父』(2017年、山川出版社世界史リブレット人)、『ロシア革命』、『スターリン批判・1953〜56年:一人の独裁者の死が、いかに20世紀世界を揺り動かしたか』(以上、2018年、作品社)、『安倍首相は拉致問題を解決できない』(2018年、青灯社)、『韓国併合110年後の真実:条約による併合という欺瞞』(2019年、岩波ブックレット)、『朝鮮戦争70年』(共著、2020年、かもがわ出版)など
*17:「拉致問題の解決を実現する」ではなく「早める」などという「いくらでも言い訳可能な物言い」であるところが全く姑息です。