高世仁に突っ込む(2020年10/11日分)

日本とシリア 共生の挑戦 - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 《共働きの我が家にあって、ラドワンは家事も育児もノータッチで、それについて夫婦で協力するという発想すらない》。
 《ラドワンが期待するのは、私(由佳さん)がシリア人の妻のようであることだ。毎日外出することなく家にいて、丁寧に掃除、洗濯、育児をし、いつなんどき帰宅しようとも、すぐに美味しい食事を用意してくれること・・》(P241-242)
 うわ、こりゃ大変だなあ・・・
 普通なら「もういや!離婚!」となるだろうに。
 しかし、ここからが由佳さんのすごいところで、《それぞれの視点、価値観がある》と実に冷静に賢く事態を見つめるのだ。

 いやいや「他の件はともかく」『妻に専業主婦であることを望む』なんてのは『昔の日本の常識』であって日本人にとっては珍しくないですすよねえ。
 未だに日本会議なんかそう言う価値観ですし。

 異文化との共生・・言うはやさしいが、なかなか難しい。
 私はこの本を、その興味深い実践記録として読んだ。

 「言うはやさしいが、なかなか難しい」とはいえ、「安倍の入管法改正による移民受け入れへのシフト」などによって、もはや日本社会は「異文化と共生せざるを得ない時代」になっています。
 まあ、
1)「在日朝鮮・韓国人」を「日本社会に抱え込んだ時点」でつまりは「韓国植民地化(1911年の韓国併合)」以降は「在日朝鮮・韓国人」という「異文化」との共生は必要だったし
2)沖縄やアイヌも「異文化」と評価するなら、「北海道開拓時点(1869年の北海道開拓使設置以降)」「琉球処分時点(1879年の沖縄県設置以降)」から「沖縄人やアイヌ」という「異文化」との共生は必要だったし
3)相撲界でのハワイ出身力士(高見山小錦、曙、武蔵丸)の受け入れ以降は「ハワイ出身力士」と言う異文化と「相撲界」という「日本社会」の共生は必要
だったんですが、それを無視しても、近年の外国人の増加により、もはや日本社会は「異文化と共生せざるを得ない時代」になっています。
 「異文化と共生せざるを得ない時代であること」についてはNHKの特集ページ外国人“依存”ニッポン 共生社会の課題や問題を探る|NHKが勉強になるかと思います。
 外国人“依存”ニッポン 共生社会の課題や問題を探る|NHKについては以前、拙記事今日の中国関係ニュースほか(11/2分)(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログ外国人“依存”ニッポン 共生社会の課題や問題を探る|NHKに掲載された地方自治体で増える外国人 「救世主は留学生」|外国人“依存”ニッポン 共生社会の課題や問題を探る NHKと言う記事を紹介しました。
 あるいは
1)以前、拙記事で確か取り上げた「埼玉県川口市芝園団地
2)アフリカ系日本人のプロスポーツ選手の先駆け(の1人)だった - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が紹介する「生島淳*1の指摘」などももはや日本社会は「異文化と共生せざるを得ない時代」になっていることを示しています。

【外国にルーツを持つ選手(相撲以外)】
大坂なおみ
 2018年、2020年全米女子テニス・シングルス優勝、2019年全豪女子テニス・シングルス優勝
ケンブリッジ飛鳥
 2016年リオ五輪4×100mリレー銀メダル。
ダルビッシュ有
 プロ野球選手(日本ハムファイターズテキサス・レンジャーズロサンゼルス・ドジャースシカゴ・カブス
ベイカー茉秋
 2016年リオ五輪男子柔道90キロ級金メダル

外国出身力士
【モンゴル出身】
 鶴竜横綱)、白鵬横綱)、照ノ富士(東前頭筆頭、元大関)など
ジョージア出身】
 栃ノ心(東前頭四枚目、元大関
ブルガリア出身】
 碧山(西前頭七枚目、元関脇)

と「ハーフの選手」あるいは「外国から来た選手」が「日本スポーツで活躍する今」、異文化共生はもはや不可避の訳です。
 なお、「日本社会と外国人の共生」については拙記事
新刊紹介:「歴史評論」3月号(その1) - bogus-simotukareのブログ
新刊紹介:「歴史評論」3月号(その2:今井正『キクとイサム』、森村誠一『人間の証明』について、ほか:ネタバレあり) - bogus-simotukareのブログ
新刊紹介:「歴史評論」3月号(その3:最近のハーフのスポーツ選手について:追記あり) - bogus-simotukareのブログも参照頂ければ幸いです。

*1:著書『スポーツルールはなぜ不公平か』(2003年、新潮選書)、『世紀の誤審:オリンピックからW杯まで』(2004年、光文社新書)、『駅伝がマラソンをダメにした』(2005年、光文社新書)、『アマチュアスポーツも金次第』(2007年、朝日新書)、『スポーツを仕事にする!』(2010年、ちくまプリマー新書)、『浅田真央はメイクを変え、キム・ヨナは電卓をたたく』(2012年、朝日新書)、『箱根駅伝・新ブランド校の時代』(2012年、幻冬舎新書) 、『箱根駅伝・勝利の方程式:7人の監督が語るドラマの裏側』(2013年、講談社+α文庫)、『箱根駅伝・勝利の名言:監督と選手34人、50の言葉』(2014年、講談社+α文庫)、『箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ』(2015年、文春文庫)、『奇跡のチーム:ラグビー日本代表南アフリカに勝つ』(2019年、文春文庫)など。フリーアナウンサー(元TBSアナウンサー)で芸能事務所「生島企画室」会長の生島ヒロシは実兄(生島淳 - Wikipedia参照)