今日の産経ニュース(2020年10月11日分)

【主張】慰安婦像の撤去 韓国の「反日」阻む外交を - 産経ニュース
 まあ、ばかばかしいですね(もちろん産経が)。
 ドイツの銅像撤去は「何故、日本の因縁に屈する」「なんとドイツは弱腰なのか」と俺には腹立たしいですが、ドイツ側の建前においては「日独友好関係への配慮」です。決して「河野談話は間違ってる」「慰安婦戦争犯罪や人権侵害では無い」なんて話では無い。
 もちろん米国サンフランシスコ市など「他国にある銅像」が全てなくなったわけでも無い。米国下院決議や国連クマラスワミ報告、マクドガル報告も未だに有効です(撤回されてない)。
 日本の公式見解は未だに「河野談話であって撤回されてない」。
 安倍や菅らの主張はあくまでも「河野談話アジア女性基金で反省したのに銅像造るなんて嫌がらせだ」という代物にすぎません。
 そのような安倍らの物言い自体が無反省の極みですし、安倍らが「河野談話を可能ならば廃棄したいができないだけであること」は見え透いていますが。
 今回の銅像撤去の件は、例えば
【中国と英国】

中国の李首相訪英 「札束」と「雪辱」外交の脅威
 中国の李克強*1首相の英国・ギリシャ訪問が16~21日の日程で始まった。これに先立ち、中国側が英国家元首エリザベス女王との面会を要求、「応じないなら訪問を取りやめる」と恫喝していたことが英紙タイムズのスクープで明らかになっている。
 キャメロン英首相は2012年5月にチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談。しかし、中国の態度は極端に厳しくなり、キャメロン首相はダライ・ラマ14世と会談しないことに合意した上で、ようやく13年12月の訪中を実現させた。
 この際、李首相との「夕食」が約束されていたのに、中国に到着するわずか24時間前にキャンセルが中国側から通告された。最終的に「昼食」がセットされ、英国側は何とか体面を取り繕うことができた。中国の恫喝外交を体験済みのキャメロン首相は今回、李首相の機嫌を損ねないようエリザベス女王との面会をセットしたようだ。

【中国とスペイン】

江沢民氏らに逮捕状、中国がスペイン大使に「深い懸念」表明 - ロイターニュース - 国際:朝日新聞デジタル
 スペインの裁判所が中国の元首脳らに対しチベットでの大量虐殺に関与した容疑で逮捕状を出す決定をしたことを受け、中国外務省はスペインの駐中国大使を呼び懸念を表明した。スペイン外務省などが明らかにした。

スペイン、江沢民氏の訴追中止へ - 産経ニュース
 AP通信などによると、スペインの全国管区裁判所は23日、江沢民*2国家主席ら中国の元指導者5人に対するチベット自治区での「ジェノサイド(民族・集団の計画的抹殺)」容疑の訴追について却下する判断を示した。捜査は中止となる見通しだ。
 江氏らの訴追では、スペイン国籍を持つ亡命チベット人らの告発を受け、同裁判所が昨年11月、江氏のほか、李鵬*3元首相、喬石*4・元全国人民代表大会常務委員長(国会議長)らの逮捕状を発布。今年2月には国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を要請した。
 だが、中国の激しい反発を受けたスペインのラホイ*5した。政権は、国外の人道犯罪を国内で裁けるとした「普遍的管轄権」の適用を厳格化する制度改正を実施。同裁判所の判事らはこれを遡及適用し、訴追却下することを賛成多数で支持した。

【中国とドイツ】

【世界を読む】中国に「ひざまずく」西洋、筆頭はノルウェー…劉暁波氏の死が炙り出した新しい世界の“対中規範”(3/4ページ) - 産経WEST
 ドイツで7月7~8日に開かれたG20首脳会合は闘病中だった劉氏についてほとんど取り上げず、メルケル*6独首相は訪独した習近平*7国家主席と動物園でパンダのお披露目に立ち合って蜜月ぶりを見せつけたが、首脳会談では劉氏について公式には取り上げなかった。
 のちにメルケル氏が習氏に、劉氏のドイツでの治療を認めるよう伝えていたことが明かされたが、中国の体面を傷つけないことに腐心していることが明白だ。

【中国とノルウェー

【世界を読む】中国に「ひざまずく」西洋、筆頭はノルウェー…劉暁波氏の死が炙り出した新しい世界の“対中規範”(1/4ページ) - 産経WEST
「彼女はまるでサケ売り商人のようだった。人権や劉氏について一言も触れることはなかった」
 今年4月はじめ、ノルウェーの首相として10年ぶりに北京を訪問したソルベルグ首相について、中国の著名な民主活動家がノルウェー紙アフテンポステンにこう話したという。
 中道右派ソルベルグ*8政権は昨年末、平和賞でこじれた中国との関係を修復し、約6年ぶりに正常化させた。「中国の核心的利益を高度に重視する」とうたった共同声明は、中国の体制転換にかかわる民主化問題については口を閉ざすことを意味し、屈服に近いと国内でも批判を浴びた。
 しかし、かつてノルウェーの独壇場だった養殖サーモンの対中輸出はカナダやチリに立場を奪われ、多数の経済人を引き連れた首相は失った貿易の機会を取り戻そうと、必死だったに違いない。平和賞の選考委員会はノルウェー政府と表裏一体だとして、中国市場からの締め出される事実上の制裁を受けていたのだ。
 6月末、劉氏*9が肝臓がんで刑務所の外の病院で治療を受けているとのニュースが突如、世界を駆けめぐった。ソルベルグ氏にとってそれは極めてタイミング悪く現れた、悪夢のような踏み絵となった。対応次第では中国との関係が再び悪化する危険があり、踏みつければ人権国家としての面目は丸つぶれにもなる。
 ノルウェーのメディアなどによると、ソルベルグ氏は極力目立たぬようにして難局を乗り切ったようだ。
 米独が治療のための受け入れなどを表明してアピールする中、沈黙を保ち続けた。国内で「沈黙は中国政府に対する同意のサインだ」との批判も出たが、動かなかった。7月13日、劉氏が死去して初めて「非常に深い悲しみ」を表明して故人の功績をたたえる一方、中国政府への言及は注意深く排除していた。
 「ノルウェーの中国との関係正常化が試されることになった」。
 中国研究家のチチャン・ルル氏は英ノッティンガム大にある中国政策研究所への寄稿論文でこう指摘。「実験は成功し、ノルウェーはコストいらずの経済制裁で簡単に影響を及ぼせる国だとわかった。この成功は将来の、より広い地域に対して中国の政策を強要する舞台を用意することになった」という。

【中国とウイグル、香港問題】

国連、ウイグル問題で攻防 欧米日本など23カ国「拘束停止を」 中国支持派は54カ国 - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
 中国が新疆ウイグル自治区少数民族ウイグル族を大規模拘束している問題について、日本や米英など23カ国が29日、国連総会第3委員会で、中国に対して懸念を示し、恣意的な拘束をやめるよう求める共同声明を出した。これに対抗してロシアやパキスタンなど54カ国は中国を支持する声明を発表。ウイグル問題で加盟国が賛否の立場に分かれ、応酬を繰り広げた。
 中国を支持する共同声明にはエジプト、ボリビアコンゴ民主共和国などが名を連ねた。ベラルーシの代表が声明で「(施設では)すべての民族グループに対する基本的人権が守られている」と強調。中国の張軍国連大使は演説で、中国を支持する国が上回ったことを念頭に「米国の主張は不人気だ。米国やその他の数カ国は国際社会に対抗し、これ以上間違った道を進むべきではない」と自らの政策の正当性を主張した。
 また中国と同調する約20カ国が演説に臨み、「内政干渉する口実に人権問題を利用してはならない」(ミャンマー)といった指摘が目立った。

人権理事会の途上国代表ら、香港・新疆問題で中国への支持表明_中国国際放送局
 現在開催中の国連人権理事会第45回会議で25日に行われた一般討議では、複数の国の代表が香港および新疆の問題において中国を支持することを表明しました。
 ミャンマー代表は「ダブルスタンダードな対応と問題の政治化が、発展途上国の政府による問題解決への努力に損害を与えた。そこには、新疆地区のテロリズムや過激派への中国の対応と、香港特区での安定回復への取組みが含まれる」とし、いかなる国も人権理事会を政治目的で利用すべきでないと求めました。
 また、発言に立った朝鮮代表は、香港と新疆に関する問題において、中国への内政干渉を直ちにやめるよう関係国に求めました。
 さらに、ベネズエラ代表は特定の国が新疆問題に関して根拠のない非難を行っていることに断固反対すると表明し、「中国新疆ウイグル自治区は深刻なテロリズムと過激派による脅威にさらされ、現地の人々の生存権、健康権、発展権は深刻に侵犯された。中国新疆自治区政府はテロ取締りに前向きに取り組み、新疆人民を力強く守っている。これは評価されるべきである。また、中国香港特別行政区は暴力によるデモに対しても終始法律を守って対応している。香港国家安全維持法は法治の精神に合致し、香港の安定と『一国二制度』の円滑な実施にプラスとなる」と述べました。

香港、新疆問題で中国への支持表明多数 外交部が評価_中国国際放送局
 多くの国が国連総会第3委員会の一般討論演説で香港、新疆問題における中国の立場を支持し、それに呼応したことについて、外交部の華春瑩報道官は9日、「それぞれの国には是非を正確に判断する基準があることを物語っており、少数の西側諸国が香港や新疆問題に付け込んで中国を中傷しようとする企みは再び失敗に終わったことを意味する」と話しました。
 これまでのところ、(ボーガス注:中国の主張を支持する立場で)57の国が香港問題に関する共同発言に、48の国が新疆問題に関する共同発言にそれぞれ署名しました。パキスタンキューバが関連諸国を代表して共同発言を行い、「中国による『香港国家安全法』の導入と施行は『一国二制度』の長期かつ安定した発展に資し、香港の繁栄と安定の維持に資し、香港の幅広い住民の法的権利と自由が安全な環境の下でより良く保障されている」と示しました。
 華報道官はまた、「これらの国は中国の新疆が法に基づいて、テロや原理主義への対応や各民族の人々の人権の保障で一連の措置を講じたことを称賛し、人権問題の政治問題化とダブルスタンダードに断固として反対し、中国に対して、いわれなき非難と理由もない干渉を行うことに断固として反対することを表明している」と示しました。

なんかと違いはありません。産経はこれらについて「中国の主張の正当性が国際社会に認められた」というのか。
 恐らくそうは言わないでしょう。
 「中国の経済力に世界各国が屈服した」と非難するでしょう。今回のドイツの銅像撤去とて話は変わりません。「日本の経済力にドイツが屈服した」にすぎない。全く「大好きな菅自民」と「大嫌いな中国共産党」では「やってることが同じでも扱いが違う」んだからいつもながら産経はデタラメです。

*1:中国共青団中国共産主義青年団)中央書記処第一書記、河南省長、河南省党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*2:電子工業大臣、上海市長、上海市党委員会書記などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*3:電力工業大臣、副首相(国家教育委員会主任兼務)、首相(党中央政治局常務委員兼務)、全国人民代表大会常務委員長など歴任。

*4:中国共産党対外連絡部長、党組織部長、副首相、党中央規律検査委員会書記・党中央政法委員会書記(党中央政治局常務委員兼務)、全国人民代表大会常務委員長など歴任

*5:アスナール政権公共行政大臣、教育文化大臣、内務大臣、第一副首相、国民党党首、首相などを歴任

*6:コール内閣婦人・青年担当相、環境・自然保護・原子力安全担当相、キリスト教民主同盟(CDU)幹事長などを経て首相

*7:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*8:ボンデヴィーク内閣地方行政・地域開発相、保守党副代表などを経て首相。ブルントラント首相(首相退任後、WHO事務局長)以来となるノルウェーで二人目の女性首相(エルナ・ソルベルグ - Wikipedia参照)

*9:1955~2017年。2010年ノーベル平和賞受賞者。著書『現代中国知識人批判』(1992年、徳間書店)、『天安門事件から「08憲章」へ』(2009年、藤原書店)、『「私には敵はいない」の思想』(2011年、藤原書店)、『最後の審判を生き延びて』(2011年、岩波書店)など