今日の産経ニュースほか(2020年10月17日分)(追記あり)

菅首相「肝煎り」3閣僚、グイグイ動いた1カ月(1/2ページ) - 産経ニュース
 産経がはんこ廃止(河野行革相)、携帯料金値下げ(武田総務相)、デジタル庁(平井デジタル担当相)を「菅の看板政策」として持ち上げようとしていることは分かりますが、「どれ一つとして実態も成果もろくに無い(単に菅がアバウトな方針を示し、それに基づいて、検討会をつくるなど、河野らが動き始めただけ→行政手続きでのはんこが実際に廃止されたわけでも、携帯電話料が下がったわけでも、デジタル庁が出来たわけでも無い)」なので「無理な持ち上げ」でしかない。
 まあ、たった1ヶ月で「目立った成果は出ない」かもしれませんが、であるならば産経のような無理な持ち上げをしなければいいだけの話です。
 なお、「産経には興味が無い」のか、はたまた「菅自身が本当は興味が無い」のかはともかく菅がぶち上げた「不妊治療への保険適用拡大(担当は田村厚労相や坂本少子化等担当相)」は何故かこの記事では取り上げられていません。

 「4割値下げ」へのハードルは高い。公定価格ではない携帯料金を政府が指示することはできず、政策面で取り得る手段は限られている。

 おいおいですね。つまりは菅は「口から出任せを放言した」と言うとんでもない話です。
 普通の人間は「4割引き下げる」といえば「携帯電話料にかかる税金を引き下げる」など「何らかの具体的プランがある」だろうと思うでしょうが、「5割引き下げは無理だろうが、3割引き下げではインパクトに欠ける。4割ならなんとか可能だろうしインパクトもある」程度の「思いつき」でしかなかったようです。


NZ総選挙、与党圧勝 コロナで手腕…アーダン首相続投へ - 産経ニュース
 例えば韓国でもコロナ対応が評価されて選挙で与党が圧勝したので「コロナ対応で支持率を高め選挙でも勝利」は、「世界的には良くある光景の一つ」です(個人的には「コロナばかりに注目が集まって他が軽視されてないか?」という危惧を若干感じるところですが)。
 しかし「米国」「日本」「ブラジル」は逆に「政権与党がコロナを舐めた対応で、蔓延させたため」に韓国やニュージーランドなどとは違い、逆に支持率が大幅ダウンするという「世界的にも珍しい惨状」が出現したわけです。安倍は辞任に追い込まれ、トランプは再選が危ぶまれる事態になっています(もちろんトランプ批判派の俺はバイデンの当選を希望しています)。


中曽根元首相の合同葬、しめやかに…政界関係者ら644人参列 - 産経ニュース

 天皇、皇后両陛下、上皇ご夫妻の使いが拝礼し、秋篠宮ご夫妻をはじめ皇族方が供花された。また、安倍晋三前首相ら歴代首相、立憲民主党枝野幸男代表ら野党党首、外国の要人らが献花を行った。

 「元総理」でしかないのにまあ随分と大げさに行ったもんです。それにしても「中曽根の葬儀に巨額の税金を投入していいのか」「学校や裁判所に弔意を強制するのはおかしい(立憲主義に反する)」という批判があり、志位共産党委員長は欠席を表明したのに枝野は出席だそうです。
 改めて「何が立憲民主党だ。何がまっとうな政治だ。葬儀に様々な批判があることを知りながらよくも出席できたもんだな」と心底呆れます。
 それにしても「安倍前首相ら歴代首相」「枝野代表ら野党党首」って「ら」に当たるのは一体誰なんでしょうか?(記事に掲載された写真に寄れば安倍以外では森、小泉元首相が出席したようですが)
 なお、高世などは「天皇や前天皇のリベラル性」をやたら評価しますが彼らのリベラル性は「所詮この程度のもん」です。別に彼らに「中曽根への弔意強制や、葬儀への巨額の税金投入を批判しろ」とはいわない。
 問題は、むしろ「天皇や前天皇のリベラル性」をやたら評価する、高世のような男の「歪んだ、事実に反する皇室認識」にあります。所詮「立場上、権力者に刃向かえない皇室」の「リベラル性」などというものは高世が高評価するほど大したもんではありません。


読売・渡辺氏「私の師、唯一の友人」 中曽根氏合同葬に弔辞寄せる - 産経ニュース
 仮にも新聞社幹部が「自民党・政府主催の葬儀」に対し、中曽根追悼の弔辞を送る。
 それが読売新聞社内に「菅政権批判なんか出来ない」との忖度を産んだり、読売新聞社外に「所詮、読売など自民党応援団」との否定的認識を産んだりしないと、ナベツネが考えてるなら全く非常識です。おそらく「そのような忖度や認識が生まれても構わない。俺が率いる読売が自民応援団で何が悪い」がナベツネなのでしょうが。「中曽根遺族のみ」による葬儀ならともかく「自民党・政府主催の葬儀」になった時点でナベツネにまともな常識があるのならば弔辞など送らないのが当然です。


【産経抄】10月17日 - 産経ニュース

 14日には、森友学園に関する決裁文書の改竄(かいざん)問題で、自殺に追い込まれたとされる財務省近畿財務局職員の元上司の音声データが公開された。

 そもそもこの音声データの公開は

「もちろん佐川さんの判断です」 森友自殺訴訟 財務局元上司の音声提出:東京新聞 TOKYO Web
 学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当していた元財務省近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=が決裁文書改ざんを強制され自殺したとして、妻雅子さん(49)が国と佐川宣寿(のぶひさ)元国税庁長官に計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、俊夫さんの元上司が改ざんや国有地値引きの背景を雅子さんに語ったとする音声データ記録を原告側が大阪地裁に提出したことが、分かった。
 原告側によると、音声は俊夫さんの自殺1年後の2019年3月、近畿財務局統括国有財産管理官だった元上司が雅子さんと面会した際のやりとり。元上司は「改ざんは佐川さんの判断」などと述べていた。

ということで「再調査を求め、国相手に提訴した赤木氏の未亡人の国賠訴訟での公開(未亡人側の公開)」だと言うことに触れない点が産経は姑息ですね。未亡人が安倍前首相や菅現首相(前官房長官)、麻生財務相に批判的なことを隠したいわけです。
 なお、未亡人は安倍をかばうために公開したわけでは無論ありません(そもそも未亡人相手の弁明で官僚が「安倍の犯行」と公言するわけも無いでしょう)。
 つまり、元上司は「自分には安倍首相からの直接の働きかけは無かった」としたものの「佐川理財局長から働きかけがあった」「国有地にゴミが埋まってるから安くしろと言われた」「自分に対して局長からはゴミが埋まってるから安くしないといけないという具体的な根拠は何ら示してもらえなかったが、立場上、上司の命令を疑うわけにも行かなかった」と言ってるわけです(さすがに「何の問題も無い」とはいえずこの程度の釈明はせざるを得なかった)。しかしゴミは勿論なかった。つまりはこの音声データの公開は「佐川が値引きの不正に関わっていた」と言う指摘です。そして「だからこそきちんと再調査して佐川をちゃんと懲戒処分しろ」と未亡人は主張しているわけです(それを「不正の主犯」だろう安倍も菅も麻生も拒否し続けていますが)。
 そう言う音声データを詭弁を弄して安倍免罪に悪用する。産経は完全に気が狂っています。

▼「安倍さんとかから声がかかっていたら正直(国有地を)売るのはやめている」
「忖度(そんたく)みたいなのがあるみたいなことで消すのであれば絶対消さない。あの人らに言われて減額するようなことは一切ない」。
 元上司は改竄の背景に、安倍氏の意向や忖度があったことをきっぱりと否定している。

 そりゃ仮にこの元上司が「安倍の関与を知る立場」にあったとしても、立場上「安倍の関与があった」とはいえないでしょう。そんなことを言えば安倍に報復されるし、安倍の報復を恐れないような性根の座った人間なら、「部下の赤木氏」が自殺することも無かったでしょう。
 こんなもんは安倍の関与が無かったことの証拠には全くなりません。
 そもそも、元上司の地位では「安倍の関与については分からない(元上司レベルの小物には安倍からの指示は直接はない)」「佐川の関与しか知らない」のだとしてもそれは「安倍による佐川への命令」の事実を否定しないわけですし。

▼むしろ、改竄に至るまで追い詰められた理由をこう明かした。
「少しでも野党から突っ込まれるようなことを消したいということでやりました」
「少しでも作業量を減らすためにやった」。
 野党の国会での追及や資料請求、ヒアリング要請の洪水を避けるためだったのか。

 「はあ?」ですね。
 安倍は悪くない、安倍の命令は無い、しかし佐川の命令はあった、そして「野党から(佐川局長が)批判されたくなかった」「だから改竄した」てそれ素直に考えれば「佐川の個人的犯行」ということにしかならないんですが。まさか産経は「突っ込む野党が悪いから、佐川が改竄しても問題ない」「改竄したけど佐川は悪いことは何一つしてない。野党の突っ込みは言いがかりだ」とでも強弁する気なのか。公文書の改竄なんて行為が正当化できるわけが無いでしょうよ。
 そもそも「野党の突っ込みがつらいから改竄した」と言う人間・佐川が「首相の圧力には抵抗できる」とは「はあ?」ですね。
 こう言ったら何ですが「人事権も予算権限も持ってない野党」の追及に音を上げる人間が「人事権も予算権限も持ってる首相の命令には刃向かえる」なんてそんな変な話は無い。
 そして「安倍が全く関係ない犯罪」でありながら、検察は佐川らを起訴しないわ、安倍はろくに佐川ら関係者を懲戒処分しない(当初は逆に佐川を国税庁長官に出世させていた)わ、未亡人が「森友問題について情報公開を求めても拒否して、ついに激怒した未亡人が国賠訴訟を起こす」わ、なんて変な話がどこの世界で通用するのか。
 いずれにせよ、この「元上司の発言が正しいとする根拠」は「正しいと強弁したいらしい」産経ですら提出できません。一方で「前川氏の加計告発」のような安倍に都合の悪い証言者は根拠レスで否定ですから呆れます。

▼野党やマスコミは安倍氏夫人の昭恵さんも標的とし、執拗(しつよう)に証人喚問に応じるよう求めた。反省も示さず、いまなお正義の味方面する彼らの鉄面皮が理解できない。

 近畿財務局職員の自殺を「野党やマスコミの安倍夫妻への言いがかりのせい」「安倍夫妻は悪くない」と話をねじ曲げるいつもの産経です。
 自殺した職員の未亡人が再調査を求め、国相手に賠償訴訟を起こしてること、彼女が「再調査を拒否する菅や麻生」を批判してることを無視してよくもこんなふざけたことが書けるもんです。
 彼の自殺について触れずに逃げるのならともかく、触れた上で「野党や朝日新聞のせいで自殺した」とはどれほど鉄面皮で恥知らずなのか。いずれにせよ、未だに産経は「森友追及」を恐れてるわけです。何一つ真実は明らかになっていませんからね。
【追記その1】

日本語の読めない記者が書いたの? 森友公文書改ざん 音声データ巡る新聞記事のデタラメ(相澤冬樹) - 個人 - Yahoo!ニュース
 17日付けの産経新聞産経抄というコラム。赤木俊夫さんの上司だった池田靖氏の音声データから以下の部分を取り上げました。
「安倍さんとかから声がかかっていたら正直(国有地を)売るのはやめている」
「忖度みたいなのがあるみたいなことで消すのであれば絶対消さない。あの人らに言われて減額するようなことは一切ない」
「少しでも野党から突っ込まれるようなことを消したいということでやりました」
 産経抄はこれらの発言について、安倍前首相の意向や忖度を否定するもので、むしろ野党の追及を避けるためだったと解釈しています。その上で、このように結論付けました。
「野党やマスコミは安倍氏夫人の昭恵さんも標的とし、執拗に証人喚問に応じるよう求めた。反省も示さず、いまなお正義の味方面する彼らの鉄面皮が理解できない」
 私も理解できません。このコラムを書いた記者の日本語能力が。このコラムを載せた新聞編集長の知性と理性が。
 池田氏は確かに上記のように発言しています。だけど考えてみて下さい。近畿財務局の職員である池田氏に対し、安倍首相(当時)が直接声をかけてくるということがありうるかを。そんなことあり得ないでしょう。もしも首相がその意向を伝えるとすれば、首相官邸の秘書官らを通じて財務省幹部に伝えてくるでしょう。記者じゃなくてもわかる、あたり前のことではないですか。
 そしてこの発言は、部下に改ざんという不正行為をやらせた当時の上司が、命を絶った部下の妻に対して、一周忌の直後に自宅に訪れて語ったものです。つまり、謝罪と言い訳なのです。すべて聴くとわかりますが、申し訳ないという気持ちの傍らで、何とか責任逃れをしたいという本音が伝わってきます。
 だから、発言のすべてをそのまま真実と受け取るわけにはいきません。何が信用できて何がうそかは、森友事件についてこれまで明らかになっている事実や、池田氏と赤木俊夫さん、赤木雅子さんとの人間関係を踏まえて慎重に読み解く必要があります。その上で、何が重要で何を伝えるべきかを判断する。それをするのが記者の仕事です。
 このコラム氏は(ボーガス注:安倍首相を免罪したい安倍信者である)自分の都合のいいところだけ発言を切り取っています。
 こういう記事が出ると、私は赤木雅子さんにチクることにしています。この時も記事をLINEで送ったら、しばらくして、
「産経さん。大丈夫ですよ、私はちゃんとわかってますから。誰が夫を追い込んだのかを。日曜の朝ゆっくり起きたら、夫が墨をする音と匂いがして。そこにコーヒーの香りがして。そんな日常を私たちから奪い取ったのは野党ではないですよ」
 どうしてこんなに気の利いた文章をすっと書けるのでしょう? 産経抄の執筆陣にいかがでしょう? 産経さん。

【追記その2】
【新聞に喝!】事実とは“真逆”の報道 作家・ジャーナリスト・門田隆将(1/2ページ) - 産経ニュース
 門田の文章も産経抄と同レベルの詭弁ですが、それについては既に上で批判しましたので改めては批判しません。


「もちろん佐川さんの判断です」 森友自殺訴訟 財務局元上司の音声提出:東京新聞 TOKYO Web

 佐川氏側は「公務員が違法に損害を与えた場合、賠償責任があるのは国で、公務員個人は責任を負わないことが判例で確立しており、原告の主張は失当だ」と反論している。

 佐川の言い訳がものすごくみっともないですね(佐川の主張の法的是非はひとまず置きます)。
 犯罪容疑で起訴された人間が「俺は犯罪などやってない」というのではなく「仮にやっていたとしてももう時効だ、起訴は違法だ」と言うくらいみっともない。本当に「時効が成立していて起訴が違法」だとしても、こんなことをそれなりの公職にある人間が言ったら「何だ、あいつは(呆)」が世間の評価でしょう。佐川の場合も同じです。
 これが仮にも元キャリア官僚の言うことなのか。
 「法的責任(賠償金支払い)の追及さえ逃れられればそれでいい」のか。自らの潔白を訴える気も無ければ、自らの過ちを詫びる気も無いのか。