今日の中国ニュース(2020年10月17日分)

◆I濱Y子*1のツイートに突っ込む

I濱Y子
 私が授業でこの風刺画に言及した際、一瞬みせようかなと思ったけど、万一↓こうなったらヤバイのでやめといたのは正しい判断であった。歴史教師やんのも命がけやな
仏で男が教師の首切断 授業でムハンマド風刺画見せる 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News

 「どういう文脈で言及したんよ、I濱?」ですよねえ。しかし「イスラム差別を助長する危険性を恐れた」ならまだしも「テロ対象になったら嫌だから」て「本当にこの女は人権感覚が欠如してるな(呆)。お前にとって、チベット仏教だけがそんなに大事か?」ですね。
 それにしても

仏で男が教師の首切断 授業でムハンマド風刺画見せる 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
 学校の保護者がAFPTVに語ったところによると、男性教師は授業でムハンマドの風刺画を見せる前に、イスラム教徒の生徒に退出を促していた。「(男性教師は)イスラム教徒の生徒に『教室を出なさい。皆さんの気分を害したくない』と告げていた」と語った。

つうのも事実なら酷い話ですよねえ。この教師はクズ過ぎでしょう。別にこの教師がクズだからといって「殺されても仕方が無い」とは言いません。クズだろうと殺されていい人間はいない(死刑の問題はひとまず無視します。ここでは「大量殺人鬼のクズでも死刑反対」と言う話をしているのでは無く、あくまでも「違法殺害」に話を限っています)。しかし、そんなんがイスラム教徒の生徒に対する配慮になると本気で思ってるのか。
 「自分らの居ないところでイスラムへのヘイトスピーチをしてないだろうか?」という恐怖感を、イスラムの生徒が感じるかもしれないという良識も無いのか。そんな恐怖感を感じさせてまで風刺画とやらを見せる必要がどこにあるのか。

I濱Y子
 つまり中国の力が及ぶところではまともな歴史研究ができない*2ということ。ナショナリズムが燃えさかっている国はどこも歴史が自己愛でゆがむんだよね
中国が圧力「チンギスハン」を削除せよ 仏博物館、企画展延期に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 中国検閲で「チンギスハンとモンゴル帝国」展が見送りに フランスの博物館「歴史と文化消す狙い」と批判 - 産経ニュース
 仏のチンギスハン展検閲問題「中国が歴史書き換え要求」 館長に聞く - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
 「モンゴル」「帝国」の文言削除を要求…仏のチンギス・ハーン展、中国検閲で延期 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン
など、この件を報じる記事(ググった限りでは、そもそもこの件を報じる日本語記事自体があまり多くないのですが)を読んでも

◆なんで中止したの?。中国の協力が得られないと開催できないの?
◆つうか協力相手国があるとしたら中国よりもモンゴルじゃないの?
◆「中国の抗議内容」や「それに対する博物館側の反論」が今ひとつよく分からんな

ということで「???」で事情がさっぱり分からないのでコメントはしません(もちろん中国の行為が学問の自由の侵害なら批判しますが)
 がそれはさておき。
 I浜の言う「ナショナリズムが燃えさかっている国はどこも歴史が自己愛でゆがむ」に

ケント・ギルバート中華思想を妄信する中国人と韓国人の悲劇』(講談社)、山野車輪マンガ嫌韓流』(晋遊舎)、李栄薫『反日種族主義』(文藝春秋社)などの嫌韓国本が発売されてる
◆徴用工判決や慰安婦像に逆ギレした安倍がホワイト国除外という無法を韓国相手に実行した

日本が入るのか聞きたいところですね。彼女は過去にその種の「日本右翼」批判を何一つしていませんので、恐らく入らないのでしょうが。何せ「南京事件否定論河野談話否定論のデマ極右・高世クリニック」がチベット応援団面しても何一つ高須を批判しない馬鹿がこの女ですから。
 中国に悪口する前に「日本の歪んだナショナリズム」のことを少しは顧みたらどうなんですかね。
 あるいは「学問の自由ガー」と抜かすなら、今、ホットな話題である「日本学術会議議員の任命拒否問題」について何かコメントでもしたらどうなのか。


【主張】首相の東南ア訪問 平和と繁栄へ声そろえよ - 産経ニュース

 日本とASEANは40年以上にわたり、アジアの平和と繁栄のため、信頼関係、協力関係を築いてきた。新型コロナウイルス感染拡大後の対面での首脳外交再開の場ともなり、訪問先として妥当な選択である。

 「ベトナムインドネシア訪問」の何が「他国への訪問」と比べて「妥当」なのか意味がさっぱり分かりません。
 いずれにせよ産経としては
1)国会も開かないで菅は不要不急の外遊なんかしてるんじゃねえよ!
2)せめて外遊するなら関係が良くない韓国が一番最初だろ!、いつまで菅は日韓関係を破壊すれば気が済むんだ!
つう批判をよほど気にしてるんでしょう。

 日本とベトナムインドネシアが航行の自由などで、声をそろえることが重要である。
 この3カ国は東・南シナ海で、海洋覇権の動きを強める中国の脅威に直面している。中国の無法行為の阻止に向けはっきり分かるメッセージを発してもらいたい。

 そんなもんにベトナムインドネシアが加担するかは疑問ですね。勿論ベトナムインドネシアにとって中国が重要な貿易相手国だからです。

 中国は、先に王毅国務委員(外交担当)兼外相がASEANのうち5カ国を訪問した。狙いは「インド太平洋」構想への反対表明と、個別の加盟国の取り込みである。
 王毅外相はカンボジアで、ワクチンの優先提供を約束し、フン・セン首相から「核心的利益に関わる問題で、引き続き中国を支持する」との発言を引き出した。
 マレーシアでは、「インド太平洋」構想を北大西洋条約機構NATO)にたとえ、「平和と発展の将来を損なう」と批判した。

 5カ国とは「タイ、カンボジアシンガポール、マレーシア、ラオス」だそうです。
 つまりは産経が強弁するのと違い「意見対立は無論ある」がASEAN諸国は産経のような反中国路線では無いと言うことです。
 ある意味当然でしょう。近隣諸国であり、重要な貿易相手国でもある中国をいたずらに敵視してASEAN諸国に何の利益があるのか。

 構想は国際ルールを守ることで平和と繁栄をともに享受するのが主眼であり、軍事同盟を目指すものではない。
 カンボジアのような「親中」国にも受け入れ可能な当たり前の考えである。それが中国包囲網にみえるのは、中国が国際ルールを守らないからだ。

 やれやれですね。考えの是非はともかく「自由で開かれたインド太平洋」構想は「目的からして」中国封じ込め以外の何物でも無いでしょうよ。当然、中国が反発するのは「ある意味」当然であり、「中国包囲網にみえるのは、中国が国際ルールを守らない」なんてのは完全な詭弁です。
 むしろ「当たり前の考えを敵視」と言うなら産経の

A級戦犯が合祀された靖国への政治家(特に首相や閣僚)参拝への批判に「内政干渉だ」と逆ギレ
南京事件資料のユネスコ世界遺産登録に「反日だ」と逆ギレ
◆男女平等の観点から女帝導入を勧告する国連に「反日だ」と逆ギレ

のほうがよほど該当します。「戦前日本の侵略や男尊女卑(男女不平等)が批判されるのは国際常識」であり、それが「反日に見える」のは「産経が戦前日本の侵略や男尊女卑を未だに美化している時代錯誤だから」でしょう。大体「女帝導入否定」って「ならばどうやって皇室の維持をしていく」のか。

 日本は、多く*3が戦後独立を果たしたASEAN諸国の国造りに、政府開発援助(ODA)などを通じ多大な支援を行ってきた。

 だからといって産経のような反中国路線にお付き合いする義務はASEAN諸国にはありません。
 そもそも日本も「単純な善意」で支援したわけでは無く「東南アジアへの経済進出」と言う思惑があったし、東南アジアに政府援助をしたのも日本だけではもちろん無い。

*1:早稲田大学教授。著書『清朝チベット仏教』(2011年、早稲田大学出版部)、『ダライ・ラマと転生』(2016年、扶桑社新書)など

*2:と言う物言いは「中国に存在する歴史資料も用いて」中国研究を行う研究者に対する侮辱以外の何者でも無いでしょう。かつ「中国以外なら研究が自由か」と言えばそんなに話は単純では無い。吉見義明氏の慰安婦研究なんかわかりやすい例ですが「その社会の恥部」に対する研究は中国に限らず楽なもんじゃないでしょう。たとえば、以前「未だにインドネシアでは930事件研究はタブーに近い」なんて話を雑誌記事で読んだ覚えがあります。

*3:「多く」と書くのはタイは戦前から独立国だからです。