今日の産経ニュースほか(2020年10月19日分)

つくる会の意味不明なツイッター

新しい歴史教科書をつくる会【公式】
 雑誌『正論』12月号に掲載の勝岡寬次氏の論文「文科省は『不正検定』に手を染めたのか」。(ボーガス注:文科省は不正などしていない、つくる会の非難は間違っているという)その内容もご都合主義的な論調で失笑ものだが、それよりなぜ正論は、このような何の益にもならない、つまらない論文を掲載したのか、これが出て誰が得をするのか。それを考えると、おのずと背景が見えてきます

 うん、でつくる会はこの「つまらない意味不明なツイート」で要するに何を言いたいのかな?。はっきりと「雑誌『正論』の発行元である扶桑社こそが不正検定の黒幕だ!」と言いたいならそう言えばいいのに。でも、まあ、扶桑社(産経グループ)と全面戦争する度胸は恐らくつくる会にはないでしょうが。


文科省の「不正検定」を擁護する勝岡寬次氏の論文について令和2年(2020年)10月9日
 久しぶりのつくる会サイト更新です。

 歴史認識問題研究会の機関誌『歴史認識問題研究』第7号(令和2年9月18日発行)の巻頭に、同会事務局長・勝岡寛次氏の「自由社教科書不合格問題と欠陥箇所の『二重申請』問題」と題する論文が掲載された。この論文は、令和元年度の文科省による教科書検定で、つくる会が推進する自由社の『新しい歴史教科書』が「一発不合格」になった問題を取り上げ、次のように結論づけた。即ち、文科省自由社を不合格にしようとする悪意などなく、ただ淡々と検定作業を行った結果、自由社の歴史教科書には誤字脱字を含む多くの誤りがあり、あまりに杜撰な作り方をしたために不合格となったのであって、文科省による「不正検定」はなかった、と。

 歴史認識問題研究会というのは「つくる会日本教育再生機構の同類のウヨ団体」であり勝岡ももちろん「西尾幹二藤岡信勝八木秀次などの同類ウヨ(南京事件否定論者、河野談話否定論者)」です。勝岡『韓国・中国「歴史教科書」を徹底批判する:歪曲された対日関係』(2001年、小学館文庫)、『韓国と歴史は共有できない:日韓歴史共同研究のまぼろし』(2002年、小学館文庫)、『抹殺された大東亜戦争:米軍占領下の検閲が歪めたもの』(2005年、明成社)、『沖縄戦集団自決・虚構の「軍命令」:マスコミの報道ではわからない県民集団自決の真相に迫る!』(2008年、明成社)、『「慰安婦」政府資料が証明する「河野談話」の虚構』(2014年、明成社)、『安倍談話と朝日新聞慰安婦問題と南京事件はいかにして捏造されたか』(2015年、双葉社)などの極右著書があります(勝岡については例えば勝岡寛次 - Wikipedia参照)。
 興味深いのは「つくる会」を信じればそんなウヨの勝岡が「つくる会は間違ってる、文科省は不正検定などしていない」と文科省を擁護し、それにつくる会がマジギレてると言うことですね。

 勝岡氏は平成18年(2006年)4月までつくる会の理事であった。しかし、そうすると、勝岡氏はつくる会のイメージにダメージを与える効果しかなく、論理的に成り立たない論文をなぜ書いたのか、全く不可解である。

 確かに勝岡は過去には「つくる会のメンバー」でした。しかしつくる会に内紛があった際に勝岡は「つくる会自由社教科書の編集団体)」を去り、つくる会と対立する、八木秀次(現在、安倍が設置し、菅も現時点では存続させた審議会『教育再生実行会議』の委員)が会長を務める「日本教育再生機構育鵬社教科書の編集団体)」のメンバーになったので、勝岡が現在においてこのようなつくる会批判文章を書くことは「全く不可解」どころか「大変良く理解できること」です。
 つまりは勝岡は「育鵬社日本教育再生機構の立場」の人間であり、だからこそ「育鵬社日本教育再生機構をアシストし、自由社つくる会を叩き潰すため」にこのようなことを言ってるわけです。
 つまりは勝岡の言動は仮に「つくる会の言うような不正検定があったとしても」その黒幕は「育鵬社日本教育再生機構八木秀次一味)や産経新聞」「産経などの要請を受けて動いた萩生田文科相や安倍首相」であるということを示しています。
 しかし滑稽なのはつくる会が勝岡について「間違いを認めて謝罪せよ!」といっても、勝岡の文章を掲載した歴史認識問題研究会は非難しないことです。勝岡の「研究会事務局長」という立場を考えれば「研究会機関紙への勝岡論文掲載」は勝岡個人の見解と言うより「研究会の公的見解」と見るべきでしょうに。
 そして未だに文科省相手に行政訴訟を起こさないことも滑稽ですね。
 勝岡からすれば「俺を小物と舐めてかみついてるだけだろ!」「お前ら、俺に噛みつくより、行政訴訟を起こして、萩生田や安倍に噛みついたらどうなんだ?」ですね。そして「萩生田や安倍」に噛みつけないつくる会に対して勝岡が「間違いを認めること」はないでしょうね。既に勝岡や歴史認識問題研究会はつくる会を「安倍、萩生田に見すてられた負け犬」「日本教育再生機構育鵬社教科書の編集団体、八木秀次が会長)に負けた負け犬」「俺たちはつくる会など見すてて安倍や萩生田、日本教育再生機構育鵬社とつきあっていこう」と完全になめてかかってるでしょう。そしてそんな「負け犬状態」をどうにかする気概も能力ももはやつくる会には無いでしょう。こんな勝岡への非難文章を書いたところで、勝岡は無視するでしょうし、それにつくる会は何も出来ないわけです。このままではつくる会が崩壊し、「日本教育再生機構」に飲み込まれる日も遠くないのではないか。

 文科省の丸山洋司初等中等教育局長(当時)は、令和元年11月5日の検定結果申し渡しの日に、問題の40箇所を直せば年度内に再申請出来るようにしてやると文科省側から取引を持ちかけたが、執筆者側は頑なにこれを拒否したから不合格になった、という趣旨のことを国会議員などに語っていたことが確認されている。そのような取引を自由社文科省側から持ちかけられた事実はないし、そもそも「一発不合格」処分には修正の機会や教科書調査官との協議の機会が与えられていないのだから、この説明自体が虚偽なのだ。

 と言いつのり、丸山氏への懲戒処分まで主張するつくる会ですが、萩生田文科相は「つくる会が非難するような、そのような事実は認められなかった」として丸山氏を懲戒処分するどころか、その後、彼を「初等中等教育局長」から文科省事務方ナンバー2の「文科審議官」に出世させました(例えば丸山洋司 - Wikipedia文科省ナンバー2、初のノンキャリに 丸山洋司氏が就任:朝日新聞デジタル参照。幹部名簿:文部科学省でも「事務次官」の次に「丸山氏の名前が出てくる」ので「彼が事務方ナンバー2だ」ということがわかります)。このままなら当然ながら丸山氏は順当に「文科事務次官文科省事務方ナンバー1)」になるでしょう。丸山氏が「次の事務次官」含みで文科審議官になっても、それでも萩生田批判できない無様なつくる会です。

【参考:丸山氏について】

文科省局長に抜擢“ノンキャリの星”の正体と人事の裏側|日刊ゲンダイDIGITAL2019年7月4日
 文科省は2日、初等中等教育局長にノンキャリア出身の丸山洋司官房審議官(57)を充てる人事を発表した。同省でノンキャリアが局長に就任するのは初となる。
 天下り斡旋問題や現役局長の受託収賄事件を受けた「人事慣行の見直し」の中で、「財務や補助金事業に関する専門性と人柄が評価された」(文科省担当記者)という。
 まさに「ノンキャリの星」だが、省内でささやかれている抜擢理由はそれだけじゃない。加計問題をめぐる“論功行賞”人事だ。私学助成課長だった丸山氏は昨年6月、加計問題を追及する野党ヒアリングに出席。野党議員から「行政にウソをついた学園の私学助成は適切なのか」と問われると、「国として注視していきたい」などとノラリクラリ。加計学園をかばい続けたという。
 元文科官僚で京都造形芸術大客員教授寺脇研氏は「キャリアかノンキャリアかの区別なく、実力主義で評価されるのは、非常に良いこと」と、丸山新局長の能力を評価しつつ、こう続ける。
「初等中等教育局長は、文科省の中で最重要ポストです。これまでは、(ボーガス注:キャリアが)審議官からいくつかの局長を経て、初等中等教育局長になるのが通例でした。このタイミングで慣例を無視し(ボーガス注:局長を経験していないノンキャリアの丸山氏を初等中等教育局長に抜擢し)た人事が行われた理由は、政権と距離を置く省内のキャリア官僚に『盾突いたら将来はないぞ』と思わせるためではないか」
 政権の意向を忖度する官僚は引き上げ、逆に歯向かう官僚は冷や飯を食わせるのが安倍官邸のやり方だ。金融庁でも「老後2000万円問題」の報告書をまとめた審議会担当局長の退任があっさり決まった。
 文科省に限らず、このままじゃあ、霞が関官庁は官邸のヒラメ官僚ばかりになる。

 日刊ゲンダイや寺脇氏の指摘が事実なら「加計学園問題で安倍や萩生田の意向に沿って動いた丸山氏」が検定問題で「安倍や萩生田の意思に反する行為」をするわけもないでしょう(まあ、日刊ゲンダイの指摘に関係なく、安倍や萩生田の意向に反する動きを文科官僚がするわけがないし、そんな動きをされて安倍や萩生田が黙ってるわけもないのですが)。それにしても日刊ゲンダイの指摘が事実なら「加計問題で安倍をかばい続けた」つくる会連中も全くもって滑稽です。

文科省ナンバー2、初のノンキャリに 丸山洋司氏が就任:朝日新聞デジタル2020年7月21日
 文部科学省は21日、省の事務方ナンバー2にあたる文部科学審議官(事務次官級)に丸山洋司・初等中等教育局長(58)を起用する人事を発表した。
 萩生田光一文科相は21日の閣議後の会見で、丸山氏について「初等中等教育分野の各種政策を始め教育行政全般に精通している」と紹介し、「適材適所を基本とした人事を行った」と述べた。

 朝日も指摘してるように「文科審議官=ナンバー2」なのでこのまま行けば、つくる会が悪口雑言する丸山氏が事務次官になるという「つくる会にとって何とも皮肉な話」になります。しかしつくる会も『自分らが悪口する丸山氏』を昇格させた上「適材適所」という萩生田を何一つ批判できないのだから全く無様です。
【参考終わり】

 雑誌『正論』編集部は、この種の文科官僚の説明を真に受けて、同誌6月号で「文科省批判と再検定要求の前に」と題するつくる会への批判論文を編集部名で書いた。

 「真に受けて」と言う辺りがつくる会らしい姑息さで失笑物ですね。『正論』編集部、つまり産経グループは何も「文科官僚にだまされたわけでは無く」、産経グループ・育鵬社をアシストするために「自ら主体的につくる会つぶしに乗り出してる」のですが、それをつくる会は面子から認められないわけです。まあ「真に受けた(だまされた)」のだとしても、『正論』編集部が「つくる会の抗議」を無視し続けてる時点でもはや「真に受けて」で済む話ではないのですが。

 前川喜平・元文科事務次官は、令和2年2月21日、自由社不合格の一報を聞いて早速、「Good job!」とツイッターに書き込んでいたのである。

 やれやれですね。俺も「アンチつくる会」の立場から「good・job!」だと思います(過去にそのようなブログ記事も確か書いています)。
 しかし、当然ながらそれは「一介のサラリーマンにすぎない俺」があの検定結果に政治的影響力を及ぼしたという話ではありません。前川氏にしたって話は同じです。退官し「天下りもせず」、もはや一市民となった彼に教科書検定をどうこうする力は無いでしょう。そもそも「愛知県の公立学校での前川氏の講演」に対して「自民党ウヨ議員の圧力」で文科省が「嫌がらせ目的のなんちゃって調査」を公立学校にした時点で「前川氏にもはや文科省への影響力など存在しない(少なくとも自民党の政治力に対抗できるほどの影響力は存在しない)」ことは誰の目にも明らかです。検定結果について影響を及ぼしてるのは明らかに萩生田文科相だろうに全くつくる会はこの期に及んで萩生田批判が出来ないわけです。まあ、しかし産経もわかりやすい連中ですね。産経にとって重要な話だと「学術会議の任命拒否は不当じゃ無い!」としつこいのに、つくる会不合格だと「つくる会とのお付き合い程度にしか記事を書かず」、やる気が無いことが見え見えですからね。
 「不合格の黒幕は恐らく産経だ」ということが大変わかりやすい。
 そしてそんな産経にろくに抗議できないつくる会も本当にわかりやすい連中です。「産経に喧嘩を売ることが出来ないふぬけ」だと言うことが大変わかりやすい。


【産経抄】10月19日 - 産経ニュース

 同僚には歴史小説、時代小説のファンも多い。何かお薦めの一冊は?と聞いて教えられたのが、伊東潤さん著『城をひとつ』(新潮文庫)だ。すでにお読みの方も多いと思うが、遅まきながら手に取った。戦国時代、北条氏を支えた謎の軍師一族を5代にわたって描く。
 ▼冒頭、「城をひとつ、お取りすればよろしいか」と始まり江戸城攻略などの物語が進んでいく。おもしろいのは、合戦で城を奪うのではなく、商人や僧、医者などに化け敵の懐に入り、現代でいえばインテリジェンスを駆使して、戦わずして奪う。
 ▼戦国時代でも、力と力のぶつかり合いだけではない、合戦前の根回しで勝敗が決することに興味を持ったのが、作者の執筆動機だという。こじつけだと怒られそうだが、現代の外交にも通じるかなと一気に読んだ。
▼折しも菅義偉首相が初の外遊に出かけた。東南アジア諸国連合ASEAN)議長国のベトナムと、インドネシアを訪問する。
 先に中国の王毅国務委員(外交担当)兼外相がASEAN諸国を回っている。対して「自由で開かれたインド太平洋」構想で連携を広げる上でも意義ある外遊と期待したい。
 したたかな外交が必要なときだ。
 『城をひとつ』には「敵を攻めるのではなく、敵の心を攻めるのだ」とある。

 やれやれですね。いつもながら産経には呆れます。
 ホワイト国除外などという無法で日韓関係を悪化させるわ、島が帰る見込みも無いのにロシアに経済援助したあげく、プーチンに「島を返す気は無い(持って回ったいい方だが、言ってることはそういうこと)」とコケにされるわ、第二次安倍以降の自民党政権のどこが「したたかな外交」「敵を攻めるのではなく、敵の心を攻めるのだ」なのか。
 一方で「経済支援を熱望する敵(?)・北朝鮮の心を『国交正常化後の経済支援の約束(日朝平壌宣言)』で攻めた」ことで拉致被害者を取り戻した「したたかな外交」小泉*1訪朝を「たった5人の帰国か」などと因縁つけて、あげく対北朝鮮経済制裁をやらせて、事実上無意味にする。
 そして「自由で開かれたインド太平洋」構想なんて「反中国的な代物」にベトナムインドネシアが賛同するわけも無い。とはいえ、菅の面子を潰すわけにも行かないので「(一般論としてなら)自由で開かれた太平洋には反対しません」「でも反中国はノーサンキュー」という態度に終始するに決まってる。
 産経の言う「したたかな外交」て単に「アンチ中国、アンチロシア、アンチ北朝鮮(最近はそれプラス歴史認識問題でアンチ韓国)」でしかないですからねえ。それ全然「したたか」じゃ無い。「したたか」ってのは「国益のためには他のことはあえて全て犠牲にする(拉致被害者救出を最優先にした小泉訪朝などそうでしょうが)」つうスタンスでしょうよ。
 「中国やロシアや北朝鮮(最近はそれプラス歴史認識問題で韓国)が気にくわないから悪口する」「中国や韓国は戦前日本の悪口は言うな!」なんて態度のどこが「したたか」なのか。産経の行為は感情論で国益(貿易の利益など)を破壊してるだけです。
 そう言う意味では産経が悪口する「宮沢*2内閣の天皇訪中や河野談話」のほうが「隣国との関係改善」と言う意味でよほど「したたかな外交」「敵を攻めるのではなく、敵の心を攻めるのだ」に該当するでしょう(例は何でもいいですが)。

 中曽根康弘*3元首相の内閣・自民党合同葬に際し、田久保忠衛杏林大学名誉教授は本紙に寄せた談話で「“田舎者”だった日本の外交を一人前の外交にした」と中曽根外交を評し

 「いくら何でも中曽根を持ち上げるためにそこまで言うか?。明らかにデマだろ」「具体的に中曽根にどんな外交成果があるのよ?」ですね。
 戦前は無視するとしても、「中曽根以前の」戦後の「鳩山一郎*4」「石橋湛山*5」「岸信介*6」「池田勇人*7」「佐藤栄作*8」「田中角栄*9」「三木武夫*10」「福田赳夫*11」「大平正芳*12」「鈴木善幸*13」といった歴代自民党首相に失礼にもほどがある。
 大体、中曽根なんて「ロンヤス関係」などといってレーガン*14との親密さをアピールしただけでしょうよ。外交的に中曽根に何の成果があるのか。
 一方、中曽根以前の首相だと

鳩山一郎
 日ソ国交回復と日本の国連加盟
佐藤栄作
 日韓国交正常化と沖縄返還
田中角栄
 日中国交正常化
福田赳夫
 日中平和友好条約締結

などの外交成果があるわけです。


核ごみ調査に重い住民負担 寿都町長「最低10市町村は手を挙げてほしい」(1/3ページ) - 産経ニュース
 そんな泣き言を言うなら最初から立候補するなと言いたくなりますね。
 しかし「当選の可能性が低くなる(金がもらえる可能性が低くなる)」のになんで「他にも立候補して欲しい」と言い出すかと言えば既に「町を二分する対立が起こってる(町民や町議会議員の大多数が賛成しているわけでは無い)」「町の商品が売れなくなるなどの風評被害(?)が起こってる」からです。
 しかしそれは「町長が自分の責任で解決すべき事」であって「立候補自治体が増えれば、俺だけが悪者扱いされなくなる」なんて話じゃ無いでしょう。そもそも立候補自治体が今後増える可能性もほとんどないし。そんな泣き言を言うくらいなら立候補は今からでも撤回したらどうか。


【主張】国連人権理事会 選定基準の厳格化を図れ - 産経ニュース

 悪い冗談では済まない由々しき事態だ。
 国連総会は13日の選挙で、人権理事会の理事国に中国やロシア、キューバなどを選出した。
 香港の国家安全維持法(国安法)の施行やウイグル族など少数民族への組織的迫害、反体制派の活動家らへの弾圧など中国やロシアのような強権国家が、世界の人権状況改善を使命とする人権理事会入りするという。聞いて呆(あき)れるではないか。
 国連の活動を監視する非政府組織「国連ウオッチ」は、これらの国の選出を「放火犯を消防隊に入れるようなもの」と批判した。また、来年からの3年間を任期とする今回の改選で、非民主国家が人権理(47カ国)に占める割合は現在の5割から6割に増える。
 人権理では今年9月に一般討論が行われ、ベネズエラなど多数の国が香港の国安法を支持するなど、自由と民主主義を掲げる欧米諸国とは逆の意見表明が相次いだ。人権を踏みにじる国をもてはやす現状は看過できない。
 このため、人権理は当選には193カ国の国連全加盟国の過半数の賛成を必要とするなど選出基準を厳しくした。それでも問題国家が理事国入りしてしまうのは、改選国と立候補国の数がほぼ同じという無風状態にあるからだ。
 一方、4カ国を選ぶアジア太平洋枠では5カ国が立候補し、サウジアラビアが落選した。政権の関与が疑われるジャーナリスト殺害事件が影響したとされる。
 改選数を上回る国が立候補し、選挙に健全な競争が持ち込まれれば、問題国家が排除される可能性は高くなる。こうした動きを強めていかねばならない。
 中国は4年前に行われた前回から得票数を2割減らしたが、やすやすと選出された。人権理には人権侵害国を資格停止にできる規定があるが、国連総会で3分の2の賛成が必要だ。ハードルを下げるよう見直さねばならない。

 実に「反中国、反ロシア」産経らしいですね。
 「人権後進国人権委員会理事国にー」といってもそこで悪口雑言されるのは中露、特に中国だけです。
 つまりは「中露が選出されなければ何も言わなかった」、そう考えていいでしょう。
 いつもながらデタラメな産経です。そういうのは人権擁護って言わない。
 まあ、現実的な策は「立候補国を増やすこと」でしょうね。産経も書いてるように「立候補国が少なくて楽な選挙」だから中国が当選するという面はあるでしょう。
 産経が言う「人権侵害国」とやらを「資格停止に出来る」なんて制度を緩和し「そもそも中国の立候補を不可能にする」なんてことが可能とも思えません(適切かどうかも議論の余地があるでしょう)。
 大体、韓国辺りが「日本はホワイト国除外などという無法を行う人権侵害国」として「日本の資格停止」を申し立てたら産経はなんと言うんですかね?(いや聞かなくても分かりますが)
 俺個人は「ホワイト国除外」なんてのはそのくらいの対抗措置を打たれても文句言えない無法だと思っています。
 しかし皮肉なのは産経が「中国は孤立している」という主張が「嘘だ」と事実上認めてることですね。
 いかに「立候補国が少なくて楽な選挙」とはいえ、産経が言うほど「中国が孤立していたら」当選はしないでしょう。

 日本は2年前に脱退した米国の復帰を呼びかけ、選出基準の厳格化を主導すべきだ。

 呼びかけたって応じないでしょうよ。何せトランプ政権は「人権委員会は不当に米国やイスラエルを非難している」、つまり「人権委員会は絶対に米国とイスラエルを非難するな」なんて無茶苦茶な理由で脱退していますのでね。米国に復帰して欲しかったら「トランプの大統領選落選(バイデンの当選)」、これ以外にはないでしょう。しかし産経はそうは主張しないわけで「本当に米国に復帰して欲しいのか?(虚言じゃ無いのか?)」「まさか国連に米国の無法な要求を丸呑みしろというのか?(そんなことはすべき行為では無い)」と問いただしたくなります。
 なお、米国は今回の中国選出を「俺たちの脱退が正しいことが証明された」といつもながらの暴論です。本気で現状を変えたかったら、脱退するのでは無く残るべきでしょうに。かつ脱退理由の本音はそんなきれい事では無く「人権委員会は不当に米国やイスラエルを非難している」、つまり「人権委員会は絶対に米国とイスラエルを非難するな」なんて無茶苦茶な理由ですからね。

参考

国連人権理事会の理事国に中国が再び選出される--人民網日本語版--人民日報
 中国は13日の第75回国連総会で国連人権理事会の理事国に再び選出された。任期は2021年から2023年まで。中国は数多くの加盟国の支持に心から感謝するとともに、同じく選出された国々に熱烈な祝意を表した。
 中国は一貫して人権の促進と保護を強く重視しており、中国の特色ある人権発展の道は大きな成果を挙げている。中国は過去4回理事国に選出された。中国側は今回の選出を契機に、引き続き多国間主義を断固として支持し、国連憲章の趣旨と原則を断固として守り、人権理事会の活動に深く関与し、国際的な人権交流・協力を積極的に推進し、人権問題の政治利用*15ダブルスタンダード*16という誤ったやり方に旗幟鮮明に反対し、国際人権事業の健全な発展の促進に一層の貢献をしていく。

*1:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相

*2:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*3:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*4:戦前、田中内閣書記官長、犬養、斎藤内閣文相など歴任。戦後、日本自由党総裁、日本民主党総裁、自民党総裁、首相など歴任

*5:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相を経て首相

*6:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*7:大蔵次官から政界入り。自由党政調会長、吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*8:運輸次官から政界入り。自由党幹事長、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*9:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*10:国民協同党書記長、委員長、片山内閣逓信相、改進党幹事長(重光総裁時代)、鳩山内閣運輸相、自民党幹事長(石橋総裁時代)、政調会長(岸総裁時代)、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣経済企画庁長官、自民党政調会長、幹事長(池田総裁時代)、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*11:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*12:池田内閣官房長官、外相、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、蔵相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*13:池田内閣郵政相、官房長官、佐藤内閣厚生相、福田内閣農林相、自民党総務会長(佐藤、田中、大平総裁時代)などを経て首相

*14:カリフォルニア州知事を経て大統領

*15:ウイグル問題などで中国への非難のこと

*16:中国を人権問題で非難しながら「ジャーナリスト暗殺疑惑のサウジアラビア」など「欧米にとって都合のいい国の人権侵害」はろくに非難しない欧米のデタラメな態度のこと。