今日の産経ニュースほか(2020年10月25日分)

臨時国会26日召集 菅首相初の国会論戦 学術会議人事も焦点に - 産経ニュース
 ということで明日からやっと「国会開会」です、菅がどんな演説をし、野党各党がどんな代表質問を刷るのかといったところですね。
 もちろん野党各党が「学術会議任命拒否問題」を質問することだけは「ほぼ確実」ですが。


首相立ち往生なら解散も 枝野氏、学術会議会員任命めぐり - 産経ニュース
 あえて言えば「立ち往生してやけくそ解散」するなら「ある意味、まだマシ」です(解散を望んでるわけではありません)。菅では「学術会議の件は居直ればいい。多くのマスコミはパンケーキ食事会で抱き込んでる」「とにかく宣伝していたデジタル庁と不妊治療の保険適用拡大を実現させてからでないと俺の手柄がないからそれまでは解散しない」の可能性も高いかと思います。


実現しない外資土地買収規制、「私権」が壁に 問われる政府の本気度 - 産経ニュース
 あえて言えば、壁になってるのは産経の言う「私権制限の合法性」などという法律問題ではなく「かえって地方経済が死亡するのではないか」という経済の話でしょう。「国内企業が買わないから外国企業が買う」「その状況下で規制などかけたら誰も買い手がない恐れがある」ということがどうして産経には分からないのか。


【浪速風】学術会議問題 右から左への反動 - 産経ニュース
1)「任命拒否された人間」は「安倍批判派」ではあっても必ずしも左派ではない
2)任命拒否を批判する野党各党も必ずしも左派ではない
3)野党各党に比べれば「説明が不十分」などぬるい批判だが、石破元幹事長など自民党からも批判がある、と言う意味で「左傾」云々などと言うのはデマでしかありません。


【あめりかノート】古森義久 日本学術会議にGHQの影 - 産経ニュース
 タイトルからしてばかばかしい。GHQの影響があったら何なのか。GHQ統治下に出来た物は、何も「日本学術会議」に限らず「産経が大好きな日米安保」であれ何であれ、大なり小なりGHQの影響はあります。
 かつ「日本学術会議の前身」にあたる「学術研究会議 - Wikipedia」という組織が戦前から存在(フランスの科学アカデミー (フランス) - Wikipediaがモデルだと言われる)して「戦前からある程度の自主性、独立性を認められていた(もちろん限界がありましたが)」のだから、日本学術会議について「GHQガー」で説明することは悪質なデマでしかない。


「創生日本」が再始動、安倍氏「平成24年総裁選は本当にドキドキ」 - 産経ニュース

 安倍晋三前首相が会長を務める自民党の保守*1議員連盟創生日本」は25日夜、東京都内のホテルで会合を開いた。第2次安倍内閣発足以降ほぼ休眠状態にあったが、首相を辞任した安倍氏を慰労する目的で議連メンバーが呼びかけた。
 会合には、安倍氏のほか、加藤勝信*2官房長官衛藤晟一*3前沖縄北方担当相、稲田朋美*4前幹事長代行ら約20人が出席。今後、安倍氏が講師役を務める勉強会を開催するなど活動を再開させる方針を確認した。

 「やはり病気辞任は嘘だったのか」ですね。
 安倍としてはあの辞任は
1)コロナ失政で支持率が低迷する中、反転攻勢の兆しが見えない。このままではレイムダックで退陣になりかねないし、それでは後釜が石破になりかねない、そんなのは嫌だ
2)首相になったが、「欧米や中韓など対外関係」「野党やマスコミからの批判」への配慮から思ったほど「右翼的な本心」が好き勝手言えたわけではなかった。靖国参拝も一回しか出来なかった(ホワイト国除外などの「安倍の無法」には怒りを禁じ得ませんが、安倍的にはそういうことになるのでしょう)。むしろ無役に戻って好き勝手言いたい
という話にすぎなかったのでしょう。確かに「モリカケ批判」「コロナ失政批判」などのストレスで体調は崩してはいたのでしょうが、健康面という意味でなら「続けようと思えば続けられた」でしょう。
 「戦前の浜口*5首相(右翼テロで瀕死の重傷)、戦後の石橋*6首相(脳梗塞で倒れる)」「在任中病死した大平*7、小渕*8首相」のような「マジの体調不良」のケースでは明らかにない。しかし、安倍の父「晋太郎」は「マジで末期ガンだった」のを「政治力衰退」を恐れて、隠し通したのに、息子が「嘘の病気辞任」をし、その後何事もなかったかのようにこれとは「なんともかんとも」です。
 そしてさすがに安倍も「再々登板」など考えてないでしょうが

◆首相退任後も「自民党内最大派閥・田中派ボス」として一定の政治的影響力を保持し続けた(大平や中曽根*9の総裁就任は田中の支援が大きいとされる)と言われる「目白の闇将軍」田中元首相
◆首相退任後も実弟佐藤元首相、子分・福田元首相、女婿・安倍晋太郎*10を通じて一定の政治的影響力を保持し続けたと言われる岸元首相
◆首相退任後も「自民党内最大派閥・竹下派ボス」として一定の政治的影響力を保持し続けたと言われる竹下元首相

のような「政治力を今後も保持したい」とは思ってるのでしょう。そのためには「安倍が干し続けていた石破*11」のポスト安倍は絶対に阻止する必要があったわけです。


バイデン政権が仮に発足したとしても「表面的取り繕い」に過ぎず、人種差別意識が地下化するだけで社会総体は何も変わらない;キレイゴトとしてのリベラリズム・「良識派」批判: 白頭の革命精神な日記
 以前も別記事で批判したことがありますが、いつもながらこの御仁には「はあ?」ですね。
 確かにバイデンが勝利したところで「トランプを生み出した政治や社会の構造」が途端に消えてなくなるわけではない。また残念ながらバイデンが勝利するにせよ、それは「ダブルスコアなどの圧勝ではないだろう」と見られています(そもそもバイデンの勝利自体が「その可能性は高い」と見られていても「絶対にバイデンが当選できる」といえるほどの堅い話ではありません。民主党も「ヒラリーが当選する」と見られていたのに敗北した前回選挙の再現をおそれて、最後の最後まで油断しない構えです)。また、バイデンや民主党自体が「トランプや共和党よりはマシ」とはいえ「何の問題点もない」わけではもちろんない。
 しかし、そこで「仮にバイデンが勝利したところで全てがバラ色になるわけではない。さらなる政治運動が必要だ。我々バイデン支持者もそのことははっきり自覚しておくべきだ。バイデン勝利に必要以上に浮かれてはならない(それ以前にバイデン勝利もまだ未確定であり、バイデン勝利のために最後まで油断は禁物だが)」というならともかく、「バイデンが勝とうが負けようが大した意味は無い(バイデン政権が仮に発足したとしても「表面的取り繕い」に過ぎず、人種差別意識が地下化するだけで社会総体は何も変わらない;キレイゴトとしてのリベラリズム・「良識派」批判: 白頭の革命精神な日記の主張)」と言い出すのは暴論でしかありません(阿部治平も以前、「安倍が辞任しようが、後釜が誰になろうが、政権交代せず、自民党から後釜が出るのならば大した問題ではない」と似たような暴論を吐いていましたが、「政権交代しても意味が無い」というのだからこの方の方が阿部より酷いでしょう)。バイデンが勝利した方が「今よりはましな、より良いアメリカにはなる」でしょう。
 ただし
1)それが「100点満点のアメリカ」でない事
2)政治改善のためにさらなる政治運動の取り組みが必要であること
は確かです。しかし1)、2)は当たり前ですが「バイデンが勝とうが負けようが大した意味は無い」と言う話ではありません。
 そしてバイデン勝利を望む人々も多くはこの方の無茶苦茶な強弁とは違い、「バイデンが勝利すれば全てはバラ色」と思うほど脳天気でもない。
 特に「当初はバイデンではなくサンダースなど別の政治家を民主党予備選で、大統領候補として支持していた人間」はそうでしょう。
 断っておけばもちろんそうした「当初はバイデン以外(例えばサンダース)を支持していた人々」も多くは「サンダースが勝利すれば全てはバラ色」と思うほど「脳天気でもなかった」でしょう。そもそも「ホニャララが当選すればそれだけでバラ色、何の問題も無い」と思うほど脳天気な人間はそうは居ない。
 例えば大統領となったバイデンが失政を犯せば「共和党に政権が回ってくる可能性」は充分あるし、その場合の共和党大統領選当選者が「第二のトランプでない」と言う保証もありません。
 この方の物言いだと、例えば

安保闘争で岸*12が退陣しようが後釜の池田*13、佐藤*14自民党出身で長期政権だから大した意味は無い
ロッキード事件で田中*15が退陣しても後釜の三木*16、福田*17自民党出身だから大した意味は無い
リクルート疑惑で竹下*18が、女性スキャンダルで宇野*19が退陣しようが、後釜の海部*20自民党出身だから大した意味は無い
◆短命に終わったので過去の政権交代(細川*21、羽田*22内閣や民主党政権)には大した意味は無い
オバマが黒人初の大統領になろうが、後釜のトランプは「白人至上主義者」だから大した意味は無い
◆前回の都構想住民投票で反対派が勝利しようが、維新が府知事、市長であり続けたから大した意味は無い
◆金銭疑惑で猪瀬*23や舛添*24都知事を退任しようが、後釜の小池*25は非常識右翼だから大した意味は無い
◆コロナ失政などで安倍が退陣しようが、後釜の菅は「第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官」という安倍の側近だから大した意味は無い
◆今回(11/1投票)の大阪都構想住民投票で維新が勝利しようが、敗北しようが、大阪の府知事や市長は維新のママだから大した意味は無い

などと言うことにもなりかねませんが、これまたそんな物言いは間違っているでしょう。
 もちろん「日本での政権交代が何故短命に終わったのか」「何故オバマの後が寄りによって白人市場主義のトランプなのか」などの反省は必要です。「民主党政権オバマ」に「そうした事態を引き起こす問題があった」ということでしょうが、それは「日本での政権交代が無意味だった」「オバマの大統領就任が黒人の地位向上という意味で無意味だった」などという意味とは違う。
 「11/1の大阪都構想住民投票」で反対派が勝利しようとも「維新から府知事、市長ポストを奪い失脚させない限り、闘いは終わりません」が、それは「11/1の住民投票結果がどうでもいい」という話とは違う。
 そもそも「一気に物事を変化させる」などということは通常できないのに、漸進的な変化しか通常、無理なのに全く何を言っているのかという話です。「漸進的な変化を過大評価してはならない。更なる取り組みが必要だ」ならともかく、この方の発言は「漸進的な変化」の「価値の全否定」であり「悪しき冷笑主義」でしかないでしょう。


大阪都構想で菅首相「沈黙」 維新と蜜月、自民府連は反対 - 産経ニュース
 「沈黙」と言う部分が重要ですね。沈黙の理由は色々あるでしょうがその一つは「維新が勝つという絶対の保証がないから」沈黙の訳です。


大阪都構想、賛成43・3% 反対43・6% - 産経ニュース
 維新批判派、都構想批判派としては、拮抗していることに不快感と悲しみを禁じ得ませんが、
1)拮抗していること(賛成派が反対派を圧倒はしていないこと)
2)前回調査(1ヶ月前の9月調査)では賛成派の方が反対派を10ポイントも上回っていたが、今回拮抗したこと(つまり賛成が大幅に減り、反対が大幅に増えたこと)にひとまず希望を感じます。今後は「反対派をどれほど増やせるか」と「その反対派をどれほど実際に投票させられるか」でしょう。
 いずれにせよ、この状況からは「維新支持者ですら賛成派が少なく、反対派が多いこと*26」が予想されますし、したがって、「都構想阻止の可能性も充分ある(もちろん確実に阻止できると言える状況ではないので最後まで奮闘が必要ですが)」とはいえるでしょう。現時点では「拮抗状態ではなく、賛成派が反対派に大幅な差をつけていたら」かなりきついものがありますのでそれに比べたら喜ばしい状況ではあります。


表現の自由、限度あり 影響に責任―カナダ首相:時事ドットコム
 イスラムを挑発してるとしか思えないマクロン・フランス大統領と比べ、トルドー・カナダ首相は実にまともです。
 もちろん「安易な表現規制は良くない」ですが、とはいえ「イスラム差別、挑発としか思えないシャルリーエブド」は「表現の自由の範囲外だ」と俺は思います。


外務省、マクロン仏大統領のイスラム関連の法案に抗議 | TRT 日本語

 外務省から書面で出された声明では、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が12月9日に閣議に提出することになっている「分離主義対策」法案によりフランスに「啓蒙されたイスラムが創設される」と発言したことが振り返られた。
 声明では、この法案の基礎を成す精神はフランスの問題に解決をもたらすのではなく悲惨な結果の原因になると考えられると述べられた。
 声明では、
「いわゆるイスラムの『啓蒙』を口実に『欧州イスラム』や『フランス・イスラム』といった概念を導入して移民社会を規律できると考えることは、人道的かつ法的考慮とは逆の方向に行動するという意味になる」と見解が述べられた。
 マクロン大統領は先週、「フランスで共和国のパートナーになるためにはイスラムの再編が必要である」と述べている。

 エルドアン政権の指摘が事実ならフランスの態度は「フランスが非難していたはず」の中国政府のいわゆる「イスラムの中国化」と何一つ変わらない「イスラムのフランス化」なのでマクロン政権に呆れざるを得ません。もちろん「細部では違いがありますが」、『我々は悪くない。悪いのは歪んだイスラムだ、歪んだイスラムを我々が是正する』という態度は中国もフランスも変わらないわけでそんなマクロン政権が中国批判など「アホと違うか?」と言う話でしょう。

【参考:イスラムの中国化】

イスラム教を「中国化」 党が指導、5カ年計画を推進:朝日新聞デジタル2019年1月7日
 中国で、社会主義の価値観に合わせてイスラム教を「中国化」する5カ年計画が進められることになった。習近平(シーチンピン)指導部の意向を受けた中国イスラム教協会が計画をつくり、各地に伝達した。近く概要を公表する見通しだ。
 計画期間は昨年から2022年までの5年間。習指導部が提唱する「新時代の中国の特色ある社会主義思想」を徹底し、党の指導に従う内容となるという。
 信者が集まるモスクで、中国の法律や社会主義の価値観を教える講座を開いたり、模範的なイスラム教徒の物語を伝えたりして、イスラム教徒を正しい方向に導くとしている。教材も使われるという。

習氏「イスラム教の中国化を」 ウイグルの教育強化主張:朝日新聞デジタル2020/09/27(北京=高田正幸)
 習氏は演説で、「正しい国家観、歴史観、民族観、文化観、宗教観を確立」するための教育を強化するよう指示。「イスラム教の中国化を堅持せよ」と語り、ウイグル族などイスラム少数民族の信仰を党の指導の下に置き、党指導部が唱える社会主義的価値観と融合させるよう求めた。

【参考終わり】


マクロン氏は「治療必要」 トルコ大統領、仏は猛抗議 - 産経ニュース
 マクロンイスラムに対する対応は「極めて差別的な物ではないか」と思うので、正直、エルドアンを非難する気にあまりなりません。
 特にマクロンがそうした「イスラムへの強権的対応」をしている理由は
1)新型コロナ失政でついに緊急事態宣言をする羽目になる
2)その結果支持率が30%台後半にまで低迷
3)そこで「イスラムに寛大な態度を示したら、イスラムテロを恐れる世論の反発で支持率が更に落ちるかもしれない」ということのようですからね。
 「安倍の嫌韓国」「トランプのイスラム差別」とレベル的にはほとんど変わらない愚劣な話です。それでよくもまあ「中国のウイグル統治」がイスラム差別などと非難できたもんです。

ムハンマド風刺画で斬首されたフランス教師は「表現の自由」の殉職者に祭り上げられた(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース
・「表現の自由」はフランス共和主義の礎です。とは言うものの、新型コロナウイルスパンデミックで社会の分断が深まる中、イスラム教徒の感情を逆なでする「表現の自由」を強調するより、宗教・民族間の融和を呼びかけることの方が重要ではないのでしょうか。
・フランスのイスラム社会にフラストレーションが溜まっていることは容易に想像できます。コロナによる経済低迷と失業問題も人の心に暗い影を落としています。そんな時にシャルリエブドに掲載されたムハンマドの風刺画を持ち出すのは火の中に爆弾を放り込むのと同じです。

という木村正人の「マクロン批判」には全く同感です。


自民、現実厳しいと指摘 野党は歓迎、核禁止条約 - 産経ニュース
 発効したからといって「全てが劇的に変わるわけではなく更なる取り組みが必要ですが」、批准した諸外国を高く評価すると共に先ずは喜びたい。
 それにしてもいつもながら自民党のデタラメさには腹が立ちます。
1)核廃絶には反対しない、と口先ではいいながらも
2)条約には日本政府として署名せず、今回の発効も評価せず
3)一方で、核廃絶のための何の代替案も出さないというのは無責任の極みです。
 「野党の与党批判」に対して因縁を付ける際に「代替案ガー」という「自民信者のウヨ連中」も自民の「核廃絶には反対しないが核禁止条約には賛成できない。しかし代替案はない」については批判しないのだからデタラメです。自民も、自民信者連中も単に「核を廃棄する意思のない米国」に調子を合わせてるだけでしょう。
 それにしても

 立憲民主党福山哲郎*27幹事長は「アジアの安全保障や北朝鮮の状況を考えると、核の傘との両立*28をどうするのか。非常に難しい」と課題を挙げた。

と言う福山は一体何が言いたいのか。「安倍の明治150年式典」に出席して恥じない右翼政治家なので、立憲民主内部において自民同様の「条約の意義」否定論を公言し「日本の条約批准(参加)に反対すること」が危惧されますね。ちなみに、俺は福山が幹事長である限り、立憲民主党を支持する気はかけらもありません。「先ずは福山が幹事長を辞めろ、話はそれからだ」ですね。福山が幹事長を「辞めただけ」ではたぶん支持しませんが「辞めもしない」野ではなおさら支持なんかしません。
 なお

・野党からは「(ボーガス注:条約の発効を)歓迎すべきだ」(馬場伸幸日本維新の会幹事長)との声が相次いだ。
・国民民主党岸本周平*29幹事長代理は条約参加を求めた。

と言うのは意外ですね。自民応援団「維新や国民民主」では「舌先三寸(まあ、これらの発言がどれほど本心かは疑問符がつきますが)」ですら、自民の反発をおそれて、「発効歓迎」「日本も参加すべき」とはいえずに「福山と似たり寄ったりのこと」を言うかと思っていましたが。


山形県知事、4選出馬表明 12年ぶり選挙戦の見通し - 産経ニュース
 吉村美栄子 - Wikipediaを見れば分かりますが
1)初当選(2009年):野党共闘候補として、民主党社民党共産党が擁立し、自民党公明党が支持する現職の齋藤弘 - Wikipedia知事を破り当選
2)再選(2013年):野党共闘候補として、民主党社民党共産党が支援を継続。自民、公明は「吉村支持派(決して少数派とは言えないレベルの数)」と「不支持派」に分裂。
 到底、自公で候補を擁立できる状況ではなく、自主投票。吉村氏以外に候補者がなく無投票再選
3)三選(2017年):再選時と同じ構図で無投票三選
です。
 「えーと、市町村長選ならまだしも、知事選で無投票再選、三選て他に聞いたことがないんだけど?」ですね。
 そもそも山形は「加藤紘一*30の選挙区があること」などでわかるように別に「自民党が弱い」わけでもない(まあ、「小沢一郎*31の岩手」など、自民党が弱い県でも普通は知事候補を立てますが)。ということは「自民党的に一応容認できる政治」なんでしょうが、でありながら共産党が不満を表明し、吉村支持を辞め、対立候補を擁立したり、自主投票にしたりしないのも興味深いところです。
 とはいえ、さすがに「四選」となると自民から対立候補を出す動きが出てきたようです。

 現職の女性知事は他に小池百合子東京都知事のみとなっている。

 「ああ、そういえばそうだなあ」ですね。北海道の高橋知事(現在は自民党参院議員)、千葉の堂本知事*32、滋賀の嘉田知事(現在は参院議員(野党共闘)、地域政党チームしが代表)、大阪の太田知事(現在は自民党参院議員。第三次安倍内閣で厚労大臣政務官)、熊本の潮谷知事*33といった女性知事は皆退任し、後釜は全て男性のわけです(Category:女性都道府県知事 - Wikipedia参照)。
 それにしても

・高橋氏:元経産キャリア官僚
・小池氏:自民党衆院議員からの鞍替え
・堂本氏:新党さきがけ参院議員からの鞍替え
・太田氏:元通産キャリア官僚
・潮谷氏:前知事に副知事に抜擢された後に前知事が急病死し、事実上の後継候補

という辺りが「ある意味げんなり」ですね。まあ男性首長だって「市民団体からのたたき上げ」みたいな人間は日本では少ないですが、「行政書士だったという吉村知事」「京都精華大学教授だった嘉田知事」を除けば「政界や官界でそれなりに功成り名遂げてから県知事に転身したエリート女性ばかり」ですからねえ。


【書評】『日本人は論理的でなくていい』山本尚著 日本を世界一の国に - 産経ニュース
 「合理主義を否定する感情論の本なのか?」とタイトルだけで読む気を無くさせるタイトルですね。

 著者、山本尚氏*34ノーベル化学賞の候補者*35だと帯にある。

 と言うのが事実ならば、「科学者に書評させる」のが自然でしょうが「評者・櫻井よしこ」というのだから「唖然」です。よしこは「科学ジャーナリスト」といえる人間でもないですしね。
 まあ、「版元:産経新聞出版」ということは、この本、もしかしたら「異常な右翼本にすぎない」のかもしれません。
 ノーベル生理学・医学賞(1962年)の一人であるジェームズ・ワトソンが

ジェームズ・ワトソン - Wikipedia
 優れた業績の反面、問題発言が多いことでも知られる。
 2007年10月14日、「黒人は人種的・遺伝的に劣等である」という趣旨の発言が英紙サンデー・タイムズに掲載された。同紙によるとインタビューにおいてワトソンは「アフリカの将来については全く悲観的だ」「(我々白人が行っている)アフリカに対する社会政策のすべては『アフリカ人の知性は我々と同等である』という前提で行われているが、それは間違いである」「黒人従業員の雇用者であれば、容易にそれを納得できるだろう」などと語ったという。この報道は欧米で大きな波紋を呼び、結果として、ワトソンはコールド・スプリング・ハーバー研究所を辞職に追い込まれ、名声は地に堕ちた。2019年1月2日のPBSのドキュメンタリー番組でも同様の発言を行い、同研究所の名誉職を剥奪された。

という暴言の主であることでも分かるように「学問的才能」は必ずしも「人格のまともさ」を意味しません(まあ、山本氏が産経が言うほどの研究能力の持ち主かどうかにそもそも疑問符がつきますが)。

 日本学術会議の会員になれなかったと抵抗している先生方にも読んでほしい一冊である。

 「はあ?」ですね。何の関係があるのか。
 もし、山本氏が「菅の任命拒否を支持するようなこと」を書いてるのならそれは、山本氏がおかしい(そんなことが書いてあるとはとても思えませんが)。
 もし「菅の任命拒否」についての記述など何も書いてないのによしこがこんな事を言ってるのなら「無茶苦茶な書評をするよしこ」と「そんな書評を載せる産経」がおかしい。


ベネズエラ野党指導者出国 秘密裏にスペインへ - 産経ニュース

 「政権与党の締め付けがすごかった。また、与党を支持する同盟国的な立場の外国(野党はキューバやロシアの名前を挙げている)の力もすごかった」(野党寄りの立場)
 「結局、政権批判派の力は、彼らが自画自讃するほどではなく弱かった(何故支持が弱かったのはともかく)。国民の支持の弱さを欧米からの支援で乗り切ろうとした外国頼みが問題だった」
 「上手い戦術で戦えば勝てたところ、戦術に失敗した」
 (与党寄り、あるいは与党寄りではないものの、野党に批判的な立場)

のうち「どう評価すべきか」はともかく、ひとまずは「野党がある種の敗北を喫した」ということになるんでしょうね。
 「ロペス氏以外の野党指導者の多くはベネズエラにとどまっている」ようですが、少なくとも短期のスパンでは野党の勝利はないでしょう。


【気になる!】文庫『野呂邦暢(くにのぶ)ミステリ集成』 - 産経ニュース
 野呂邦暢 - Wikipediaでわかりますが野呂自身は「ミステリ的な作品」も書いた作家であって「江戸川乱歩」「松本清張」「横溝正史」のような「狭義のミステリ作家」ではありません。
 こうした「狭義のミステリ作家ではない作家」の「ミステリ的な作品」としては他にも

芥川龍之介藪の中 - Wikipedia*36』(講談社文庫)
有馬頼義『四万人の目撃者*37』(光文社文庫
大岡昇平事件 (小説) - Wikipedia*38』(新潮文庫創元推理文庫
水上勉*39雁の寺 - Wikipedia*40』(文春文庫)、『飢餓海峡 - Wikipedia*41』(新潮文庫

などいろいろあります。


【主張】中国の「抗米援朝」 平和への脅威はどちらだ - 産経ニュース
 習主席が、中国の朝鮮戦争参戦を正当化する演説をしたことは韓国にとっては「脅威」云々という産経です。
 しかしその理屈なら

・「韓国植民地支配」を「日本のおかげで近代化が出来た」と正当化
日中戦争を「中国の抗日運動が悪い」と居直り
・太平洋戦争を「アジア解放の戦争」あるいは「ハルノートで日本を挑発した米国が悪い」などと居直り
・沖縄集団自決について「日本軍の強制はなかった」とデマで日本軍を免罪

など「侵略戦争、植民地支配の美化」「戦争被害、戦争犯罪矮小化」をする人間が複数、与党議員にいること、しかもその中には「前首相である安倍」「現政調会長である下村」のような幹部政治家もいる日本も戦争被害国(欧米や中韓、東南アジア)、被害者(沖縄県民など日本人も含む)にとっては「脅威」であるという認識が出来ない「アホの産経」です。まあ、産経もそう言うデマ右翼の仲間ですが。
 しかも中国の場合
1)朝鮮戦争参戦を決めた当時の党主席・毛沢東は今も「建国の父」として顕彰されている。朝鮮戦争での『中国参戦』批判は毛沢東批判になりかねず批判しづらい
2)朝鮮戦争を今も正当化する北朝鮮との外交関係上、批判しづらい
3)朝鮮戦争は未だ建前では終戦していない(建前上は停戦であり、38度線も国境ではなく停戦ラインです)。「終戦したこと」で「過去の事件」となり歴史的評価がしやすい他の戦争(日清・日露戦争第一次大戦、第二次大戦(日中戦争、太平洋戦争を含む)、ベトナム戦争旧ソ連のアフガン戦争など)とは性格が異なる
という「朝鮮戦争・中国参戦を批判しない」、「それなりに理解できる要素」がある。
 日本において「侵略戦争、植民地支配の美化」「戦争被害、戦争犯罪矮小化」を与党議員が行うことについて、中国のような「理解できる要素」がどこにあるのか。
 日本は「少なくとも建前においては」、東条英機A級戦犯を裁き、死刑などの判決で処罰した東京裁判を受け入れ、「日中国交正常化」においては「仮に不十分だとしても」中国相手に日本の侵略の非を認めました。国連も「連合国5大国(米英仏中ソ(ソ連は現在ではロシア))」が常任理事国であることで分かるように「枢軸国(日独伊)に非があった」という前提で成り立っています。そう言う国連に日本が加盟しながら「日中戦争、太平洋戦争美化」など許されることではない。論理上は「そういうことがしたいなら国連から脱退しろ」と言う話です。
 「日米安保の是非はひとまず置きます*42が」、日米安保にしても「太平洋戦争で日本と戦った米国」はあの戦争をもちろん「米国は悪くない、日本が悪い」と認識しており、その前提で日米安保も成り立っている。「あの戦争は正しかった」と強弁するのならば論理上は「そういうことがしたいなら日米安保は廃棄しろ」と言う話です。

 北朝鮮が苦境を脱する道は核・ミサイル戦力を放棄し、日本人拉致問題を解決する以外にあり得ない。米国との交渉に真摯(しんし)に取り組むべきなのに、中国の後押しが北朝鮮の翻意を阻んでいる。
 米国の対中圧力を分散するために北朝鮮を盾にするような習政権の態度は平和を乱すばかりだ。直ちに改めなくてはならない。

 皮肉にも「中国の北朝鮮支援(ただし『支援額が一番多いのは中国』とはいえ北朝鮮を支援してるのは中国だけでなくロシアもそうですが)」が「日本の経済制裁」を無意味にしていることを事実上認めている産経です。
 そして中国に「北朝鮮支援などやめろ!」という産経ですが「そう言うだけ」で日本として「どうやって中国をそういう方向に持って行くか」を語らないのですから、単に中国に「悪口雑言してるだけ」の馬鹿話です。
 まあ、中露は「緩衝国としての価値」を北朝鮮に認めていますので産経の言うような方向に動くことはまず無いでしょう。
 なお、俺個人は「核廃棄や日本人拉致解決が北朝鮮の体制保証の前提(まあ実際には産経には体制保証の考えは全くないでしょうが)」とする産経と考えが逆で「体制保証を先行させること」でしか、核廃棄や日本人拉致解決はない、と見ています。

*1:保守というより極右ですが。

*2:第二次安倍内閣官房副長官、第三次安倍内閣一億総活躍等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)、第四次安倍内閣厚労相などを経て菅内閣官房長官

*3:第二~四次安倍内閣首相補佐官、第四次安倍内閣沖縄・北方等担当相を歴任

*4:第二次安倍内閣行革相、第三次安倍内閣防衛相、自民党政調会長、幹事長代行(第二次安倍総裁時代)など歴任

*5:加藤高明、第1次若槻内閣蔵相、第1次若槻内閣内務相などを経て首相

*6:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相などを経て首相

*7:池田内閣官房長官、外相、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、蔵相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*8:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相

*9:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*10:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)などを歴任

*11:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*12:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*13:大蔵次官から政界入り。自由党政調会長、吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*14:運輸次官から政界入り。自由党幹事長、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*15:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*16:国民協同党書記長、委員長、片山内閣逓信相、改進党幹事長(重光総裁時代)、鳩山内閣運輸相、自民党幹事長(石橋総裁時代)、政調会長(岸総裁時代)、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣経済企画庁長官、自民党政調会長、幹事長(池田総裁時代)、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*17:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*18:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*19:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*20:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相などを経て首相

*21:熊本県知事、日本新党代表を経て首相

*22:中曽根、竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、細川内閣副総理・外相などを経て首相

*23:副知事を経て都知事

*24:第一次安倍、福田、麻生内閣厚労相を経て都知事

*25:第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を経て都知事

*26:正直、都構想に反対ならいい加減、維新支持を辞めろと思いますが

*27:鳩山内閣外務副大臣菅内閣官房副長官民主党政調会長(海江田代表時代)などを経て立憲民主党幹事長

*28:ここで『核の傘の両立』とためらいなく言える福山には唖然です。何故そこで「米国に核廃棄を強く求める」といえないのか。

*29:野田内閣経産大臣政務官などを経て現在、国民民主党幹事長代理(選対委員長兼務)

*30:中曽根内閣防衛庁長官、宮沢内閣官房長官自民党政調会長(河野総裁時代)、幹事長(橋本総裁時代)など歴任

*31:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党党首、自由党党首、民主党幹事長など歴任

*32:堂本暁子のホームページによれば現職は「男女共同参画と災害・復興ネットワーク代表」、「女子刑務所のあり方研究委員会委員長」という市民団体役員のようです。

*33:社会福祉法人慈愛園公式サイトによれば現職は社会福祉法人慈愛園理事長。

*34:名古屋大学名誉教授(山本尚 - Wikipedia参照

*35:と言うのが事実かどうかは不明です。

*36:1950年に黒澤明が『羅生門』のタイトルで映画化。ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、黒沢の名が世界に知られることとなった。

*37:1959年に日本探偵作家クラブ賞(現在の日本推理作家協会賞)を受賞

*38:1978年に日本推理作家協会賞・長編賞を受賞。また、1978年に映画化され日本アカデミー賞最優秀監督賞(野村芳太郎)、最優秀脚本賞新藤兼人)、最優秀主演女優賞(大竹しのぶ)、最優秀助演男優賞渡瀬恒彦)など受賞。

*39:ただし水上の最初の出世作『海の牙』(現在は『双葉文庫日本推理作家協会賞受賞作全集』に収録)は1961年の日本探偵作家クラブ賞(現在の日本推理作家協会賞)を受賞しており、当初の水上は「推理小説作家」扱いされていました(水上勉 - Wikipedia参照)。

*40:1961年上半期の直木賞を受賞

*41:1965年に映画化され毎日映画コンクール監督賞(内田吐夢)、脚本賞鈴木尚之)、男優主演賞(三國連太郎)、女優主演賞(左幸子)、男優助演賞(伴淳三郎)など受賞

*42:俺個人は廃止派です。