今日の産経ニュース(2020年11月1日分)(副題:祝『大阪市廃止阻止』)

 副題を中心に色々書いてみたいと思います。・
◆祝『大阪市廃止阻止』
 正直不安だったのですが、大接戦とは言え、何とか「前回同様阻止できたようで何より」。やはり

・説明会動画の市ホームページからの削除(お前ら維新のした説明会だろ!。当初掲載してただろ!。反対派から批判されて、まともに反論できず、都合が悪いから削除か!。お前らのした説明会ってそんなお粗末なのか!)
・市財政局の試算に「コストが増えるのに都構想を実施するのか」と反対派の批判が集中するや、松井市長が「間違っていたと発表して謝罪しろ」と財政局長を恫喝。そもそも「大阪市トップ」松井の同意なしに「部下である財政局」が試算を発表できるわけもないのに、そして反対派の批判が集中する前までは松井も発表を容認していたのに、市財政局長のみ謝罪会見させ松井は「知らぬ存ぜぬ」。あげく「間違っていた」と発表しても「正しい数値」は市財政局からも維新からも出ず

という無茶苦茶が影響したのでしょう。それでも前回同様、1万数千票の差でしかないことには、都構想支持者の馬鹿さに絶句しますが。
 とはいえこの選挙結果からは「維新支持層ですら多くが都構想を支持してないこと」がわかります。
 次は「三度目の住民投票」などないようにする必要がありますね。
 そのためには最終的には「大阪府、市与党からの維新の下野」が必要でしょうが。
 「饅頭が怖い、次はお茶が怖い」ではないですが次は「11/4にトランプ落選のグッドニュース」を聞きたいものです(追記:当初「11/3」と書きましたが投票は11/3でも、開票結果が分かるのは11/4見込みとのことなので書き直しました)。
 まずは色々とツイートやブログ記事などを紹介しておきます。

【主張】大阪都構想「反対」 改革議論を今後に生かせ - 産経ニュース
 所詮産経なので

・賛成票も相当数が投じられた。全体を見れば単なる現状維持でよいということにはなるまい。地盤沈下が言われてきた大阪を改革せよという声が強いことを、反対派も直視しなければならない。
・都構想は別としても、大阪の改革への発言で気後れする必要はない。二重行政の無駄も確かにあるだろう。是正のための建設的な提言を続けるべきである。
 反対派、賛成派の対立が今後にしこりを残すようなことがあってはならない。双方がノーサイドの精神で、都構想を機に起こった改革議論を今後の大阪に生かしていくべきだ。

などと露骨に「維新にかばい手」です。維新が衰退することをよほど恐れてるらしい。なお、「反対派」は「都構想には利益がない」と言っているだけで「現状のままで善い」などとは一言も言ってないので産経の物言いは詐欺でしかない。
 また「ノーサイド」つうなら前回否決されたのに反対派の反対意見を無視して「今回、住民投票を強行した維新」の方こそ「ノーサイドではなかった」のに産経も良くも言ったもんです。


住民投票 行政区の高齢化率で賛否分かれる - 産経ニュース
 維新信者は「老害」呼ばわりしそうですが、仮にそれが事実*1でも
1)老人の一票も若者の一票も価値に変わりはしない
2)若者もいずれは老人になる
3)産経記事にも書いてありますが金持ちの老人も勿論世の中にはいますが、「サラリーマン時代に高額所得者ではなく、当然、退職後、収入や貯金があまりなく年金に頼る生活弱者の老人(もちろん病気がちの人も多い)」も多く、そうした老人にとって、「大阪市の行政サービスが今より落ちる可能性がある」など「反対意見も多数ある」上に「明確なメリットを維新が示すことが出来ない」「維新の都構想」のような「リスキーで博打的な代物」に賛成票を投じる気にならないのは当然の話(一方、若者の場合「老人への同情の念」「自分もいずれは老人になるという認識」がなければ、そうした不安を感じず、賛成に傾く傾向がもしかしたらあるのかもしれない)
と言う意味でそうした「老人差別」は全く間違っています。そもそも維新信者のよう連中が「シルバーデモクラシー」「老害」などと悪口するのは「老人票の多く(それも若年層の票に比べて多くの票が)が自分たちの批判に回ったときだけ」ですし。
 なお、ネット上では「高齢層の反対の多さ」を「維新シンパの言うようなしがらみだの頭の固さだのではなく、維新以前を知ってるかどうかではないか。維新になってから政治が酷くなったという実感が維新以前を知らない若年層より強い人が多いのではないか」という指摘があり、「なるほど」感がありました。


「大阪都構想」住民投票 反対多数 与野党などの反応 | 選挙 | NHKニュース

 自民党の森山国会対策委員長は、NHKの取材に対し、「大阪市がなくなった場合、どのような自治体の形になるのか、住民の皆さんが想像しにくかったことが要因ではないか。 菅政権や国政への影響はないと思う」と述べました。

 まあ予想通りの反応ですね。明らかに菅は維新に肩入れしたにもかかわらず「大阪自民が反対派であること」から「自民には関係ない」でごまかす算段の訳です。
 ただし産経ですら

大阪都構想再び反対 菅首相の政権運営にも影響 - 産経ニュース
 首相は1日夜、今回の結果について、周囲に「国政ではない」と語り、政権運営への影響を否定した。
 しかし、地域政党大阪維新の会」と国政政党の維新双方で代表を務める松井一郎大阪市長は令和5年春の任期満了をもって政界引退すると表明し、松井氏に近い首相には痛手だ。国政で維新が勢いを失えば、憲法改正や重要政策での共闘も効果が限られ、政権運営上のメリットは薄れる。

として別記事で「影響が全くないことはあり得ない」としています。

 公明党の斉藤副代表は、NHKの取材に対し、「大阪市という歴史ある街への愛着がこうした結果につながったと感じている。党の考えが浸透しきらず、厳しい結果となったので、要因を分析したい」と述べました。
一方、国政への影響については、「個別のテーマに対する判断が、自民・公明両党の間で分かれただけであり、影響は及ばない」と述べました。

 自民(菅は維新に肩入れしたが大阪自民は維新を批判)と違い、公明は「地元、中央共に露骨に維新に肩入れ」したが故に「国政への影響はない」としながらも「公明党支持層への影響はない」とはいえないわけです。何せ明らかに公明支持層から反対票が投じられている。
 産経も

大阪都構想再び反対 菅首相の政権運営にも影響 - 産経ニュース
 先月18日には山口那津男代表が大阪に入り、松井氏と街頭で賛成を訴えた。当初は「ローカルの話」(幹部)と静観していた山口氏が乗り込んでも結果につながらなかったことで、「党へのダメージは大きい」(中堅)との声も上がる。

と別記事で書いています。
 なお、「コロナ禍」というのは明らかに反対票に影響したでしょうね。何もない時期ならともかく、こんな時期に組織の大幅変更なんて普通はしません。


「力不足」と松井氏 自民、阻止できて安堵―大阪都構想:時事ドットコム
 松井の場合「力不足」といってもそれは本心ではなく恐らく「口から出任せ」でしかないですからね。かつその「力不足」を「まともな手法で克服する」のではなく「嘘でも何でもいいから勝てばいい」ですから全く論外です。
 なお、「投票率の違い」などあるので単純比較できませんが、前回が「約1万1千票差」、今回が「約1万7千票差」ですから単純に数だけ比較すれば「反対票が増えてる」わけです。公明党を「自主投票から支持」に態度変更させても、少なくとも「反対派を大幅に減らし、賛成派を大幅に増やすこと」には維新は失敗しました。


「大阪都構想」再び否決 松井大阪市長 任期全うし政界引退へ | 選挙 | NHKニュース

 松井市長は、「けじめをつけなければならない」と述べ、2年半残る任期を全うして、政界を引退する意向を表明しました。
大阪都構想」の賛否を問う住民投票の結果です。
▽「反対」69万2996票。
▽「賛成」67万5829票。
反対多数で「都構想」は否決されました。
 維新の会にとっては、看板政策とも言える「大阪都構想」が2度にわたって否決された上、結党当時から、中心メンバーとして党を率いてきた松井氏が(ボーガス注:2020年内や2020年度内ではなく任期満了の2年半後とはいえ市長辞任、)政界引退の意向を表明したことで、ダメージは避けられない情勢です。

 あれだけ維新が滅茶苦茶でも賛成が多数いることには絶句しますが、ひとまずは良かった。
 「任期全うし」て辺りが「だせえ、前回投票での橋下市長(当時)と違って今すぐ辞めないのか」ですね。どうみても可能ならば「事情が変わった」で2年半後に約束を反故にするであろう事(それが無理でも『大阪市特別顧問』など、何らかの形で政界に残ることを画策すること)が見え透いている。
 「タレントに戻ればいい」「今すぐ辞めないとむしろ『地位に固執してる』とイメージが悪くなる」という橋下と違い、「市長を辞めたら、行き先がない松井」は今すぐ辞めるなんて出来ないわけです。
 しかし「維新ってバカ?」ですね。いや「批判派としては」バカである意味「助かる」んですが、都構想なんて前回敗北したことで分かるように「維新支持層ですら支持者は多くはない」わけです。そんなもんに「敗戦のリスクを犯してまで」ここまで固執する理由は何なのか?。
 「都構想反対派の反対運動を舐めてる」「公明や菅の肩入れを過信した(前回は公明は自主投票だが今回は支持に鞍替え)」というのもあるんでしょうが、「利権でもあるのか?(維新の有力スポンサーの某実業家が大阪市廃止による利権あさり計画に固執してる、など)」と疑いたくなる。
 なお、「維新に比べればダメージは少ない」でしょうが「維新を利用して自らの政治に利用しようとした」公明や菅のもくろみが挫折したことも良かった。
 また、今回の結果からは恐らく「公明支持層から多数の造反が出たこと」も予想できます。「前回自主投票で、今回賛成になった理由に正当性がまるで無い、選挙協力が維新から受けられればそれでいいのか、納得できないから反対by公明支持者」つうことです。


大阪市廃止の住民投票、否決が確実に - kojitakenの日記

わたなべ結:日本共産党衆院選大阪3区(住吉、住之江、西成、大正)予定候補、日本共産党准中央委員
 今日はゆっくり寝れる。
 そう思ったけど、あかん。
 泣けてくる。
 色んな意味で泣けてくる。
 大阪市を守りきった嬉しさと安堵。分断された傷や街の雰囲気。
 対立や分断ではなく、大阪を良くしたいという一致点を土台に市民参加で、市民の思いを繋いでいく。
 そんな政治、政治家が必要やと思う。

日本共産党木津川南地区委員会
 市民の良識で大阪市を守り抜くことができ安堵。


◆「大阪都構想」という呼び名自体が詐欺的だと思う
 実際には「大阪市廃止、特別区設置」にすぎませんからねえ。
 それにしても、「防衛装備移転(武器輸出のこと)」「外国人材(移民労働者のこと)」とか安倍政権になってからその種の「ネーミングでごまかしを図る手法」が目立ってきた気がしますね(他にもあると思いますが、思いついた物を上げた)。第一次安倍でも「家族団らん法案(ホワエグ法案のこと)」でしたし。手法自体が汚いし、そもそも「意味がかえって分かりづらい」(まあ、反対意見を増やさないために、あえて、わかりづらくしてるのでしょうが)。
 で、政府機関が「安倍、菅らの命令で」
防衛装備移転三原則|外務省
防衛装備庁 : 防衛装備・技術協力について
外国人材の活躍推進|成長戦略ポータルサイト
法務省:外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策
など、「防衛装備移転(武器輸出のこと)」「外国人材(移民労働者のこと)」を使うのは「ある意味仕方が無い」。
 マスコミまで
【防衛整備移転】
ベトナムへの防衛装備品移転や技術協力 具体的検討へ 岸防衛相 | 菅内閣発足 | NHKニュース
防衛装備をベトナムに輸出 首相、訪問時に協定署名へ :日本経済新聞
日越首脳、防衛装備移転へ合意 アジア3カ国目、中国けん制―短期往来へ運用開始:時事ドットコム
【外国人材】
「特定技能」外国人材をマッチング 出入国在留管理庁 :日本経済新聞
というのはやめてほしいですね。
 そういえば日本政府が「これからはローマ法王ではなくローマ教皇と呼びます」「これからはグルジアでなくジョージア(以下略)」としたら、マスコミ各社が横並びで「教皇」「ジョージア」でしたしねえ。まあ「教皇」「ジョージア」の場合は「そもそもローマ教皇庁法王庁)やジョージアグルジア)政府がそう呼んでくれと各方面に依頼していた」ので結果的には問題ないんですが「政府が決めたらそれに従う」て独裁国家でもないのに勘弁して欲しいですね。マスコミの自主性はないのか。


【大阪都構想】維新・公明会見 2度目の正直か早くも熱気 - 産経ニュース
 「賛否は拮抗している」のに「維新と合同記者会見」とは、随分と公明も踏み込んだもんです。敗戦したら目も当てられないと思うんですけどね。「賛否が拮抗していた、前回は敗北」ですから、まさか公明だって「賛成派が勝てる」と確信してるわけでもないでしょうに(追記:賛成派が敗北しました)。「敗北しても合同記者会見で維新に恩を売ることはプラスになる」という判断なのか。


【大阪都構想】住民投票出口調査 賛否が拮抗 - 産経ニュース
【大阪都構想】住民投票、締め切られる 深夜に大勢判明 - 産経ニュース
 あれほど無茶苦茶な代物で「賛否が拮抗(事前世論調査出口調査からの予想)」とは維新支持者の馬鹿さにげんなりしますが何とか、大阪市廃止を阻止したいところです(追記:大阪市廃止が阻止できました)。


【大阪都構想】投票率は62・35% 前回より4・48ポイント低く - 産経ニュース
 維新にとっても「維新批判派」にとっても、選挙結果はもちろん重要な意義を持つ上に「賛否は拮抗している」ので「意外」というのが率直な感想です。


【米大統領選】バイデン氏最終盤も優勢 トランプ氏逆転に望み - 産経ニュース
 トランプ批判派にとって大変嬉しいニュースではあるものの
1)前回もヒラリー優勢の事前報道だったが、トランプが勝利した
2)バイデン優勢とは言え、ダブルスコアなどの圧倒的な差がついているわけではない
と言う意味で全く安心できない情勢です。
 とはいえ前回とは違ういい点は「民主党支持層が全く油断してない」という点ですね。前回は「どうせヒラリーが当選するんだから棄権する」という「ヒラリーに批判的な民主党支持層(サンダース支持者など)も多かった→それがトランプ当選の一因になった」と聞きます。今回はそれはほとんどあり得ないでしょう。


安倍前首相 憲法改正「もう言い訳は通用しない」 野党を牽制 - 産経ニュース
 病気辞任だったはずなのに「このような言動」でそれが虚偽であることを露呈する安倍です。
 いずれにせよ、安倍が何を言おうとあまり影響はないでしょうねえ。また「影響があるようならば」、野党は「菅改憲は事実上、安倍改憲」という態度をとり、安倍の希望するような話にはならないでしょう。


【産経抄】11月1日 - 産経ニュース

 庶民の間にはやったアサガオも、元をたどれば御家人たちが拝領屋敷で栽培に励んだものである。おのが仕事に「天職」と胸を張るどころか、あまたの下級武士は「手に職」をつけて糊口(ここう)をしのいでいたのが実相らしい(『大江戸 武士の作法』小和田哲男監修)。
▼財政事情の厳しい藩ほど「内職のすゝめ」は盛んだったと聞く。コロナ禍にあえぐ現代の企業とどこか重なって見えなくもない。世界的な移動の制限により打撃を受けた航空会社*2などでは、働き場のない従業員を異業種*3に出向させる「雇用シェア」が目立ってきた。
▼会社員*4歌人でもあった島田修二の一首を思い出す。
〈サラリーの語源を塩と知りしより幾程かすがしく過ぎし日日はや〉
 米塩の資を得るために流す汗の尊さを改めて思う。

 御家人(1万石以下の徳川家家臣で将軍に謁見する権利がないもの。石高は低い)は旗本(1万石以下の徳川家家臣で将軍に謁見する権利があるもの。御家人に比べ石高は高い)や大名と違い、石高が低い上、無役(町奉行などの役職に就いてない)のものが多いため、こうなるわけです。
 役職に就いていなければ幕府からの俸給はないし、いわゆる「役得」もない。
 なかには経済的苦境に耐えきれずいわゆる「御家人株売買」を行う御家人も出てきます(但し法的には違法行為なので通常「養子縁組の持参金」などを偽装する)。勝海舟の先祖なども「御家人株売買」で町人から武士になっている。
 島田の歌については以下の記事を紹介しておきます。

一首鑑賞 » Archives » わが書きし記事のたぐひや日日の排泄に似てただ忘れたき
 島田の代表作であるが、この一首も退職前後を詠んだ「渚の日々」の一連によるものである。古代ローマ軍の兵士の給料の一部が塩として払われたという故事、それを知ってよりのサラリーマン生活がなぜすがしく過ぎたのだろう。自分は今まで会社に属するということは何か、(ボーガス注:読売新聞記者として)記事を書くということは何かということを考えて来たが、実は仕事とは命に必要な塩を得るための純な労働ではなかったか、そういうことにふと気付くのである。

*1:追記:投票した若年男性(20~30代)の過半数が賛成票だったことは事実のようですが1)若年層でも女性は逆に反対票が多数、2)反対票を投じた若年男性もいるという意味でもこうした「老害」主張には問題がありすぎます。

*2:日本航空全日空のこと

*3:日本航空全日空の発表に寄れば「KDDI(携帯電話)」、「成城石井(高級スーパー)」「ノジマ(家電量販店)」、「パソナ(派遣業)」など

*4:島田修二 - Wikipediaによれば読売新聞社