「珍右翼が巣くう会」メンバー・黒坂真に突っ込む(2020年11月8日分)

黒坂真
 中村正男さん*1。昔の大阪の日本共産党を語るなら、朝鮮人党員の存在を記述すべきではないでしょうか。

 どうも黒坂的にはこれが「嫌がらせのつもり」のようですが、どの辺りが黒坂的に「嫌がらせ」なのかはよくわかりません。
 もちろん黒坂の思惑に関係なく、金天海など「在日朝鮮人日本共産党員」の存在は従来、等閑視されていたようです(中村氏が等閑視しているのかどうかはともかく)。
 しかし、今後、研究を進めるべき重要な要素だと思います。というか近年、ついに研究が各方面で始められたようですが。
 小生も以前

新刊紹介:「歴史評論」7月号 - bogus-simotukareのブログ

「戦後日本共産党史研究の現段階」大阪産業労働資料館特別研究員・黒川 伊織 | 論壇
 六全協に至るまでの日本共産党史の研究とは、一方で在日コリアンコミュニスト(そして華僑のコミュニスト)による運動経験を研究することでもあるといってよい。実際、戦後再建された日本共産党の最高幹部のなかには、金天海*2・金斗鎔*3ら戦前からの運動経験をもつコリアンのコミュニストがいたし、1949年2月には、在日本朝鮮人連盟*4の方針により多くの在日コリアン共産党に集団入党していた。

黒坂真に突っ込む(2020年6月7日分) - bogus-simotukareのブログ

黒坂真
 日本共産党本部の皆さん。昭和30年まで日本共産党員だった在日朝鮮人の中に、日本共産党の幹部だった方々が沢山いたこと、その中には昭和30年以後朝鮮労働党に入って工作員として活動した方々が沢山いたことを直視すべきです。

 言ってる意味がさっぱり分かりません。直視とは何の意味なのか。
 過去において『日本共産党在日朝鮮人が党員として参加していたこと』と今の北朝鮮国家体制と何の関係があるのか。
 なお、そうした在日朝鮮人として一番有名なのは金天海でしょうか?
 金天海 - Wikipediaによれば

樋口雄一*5『金天海:在日朝鮮人社会運動家の生涯』(2014年、社会評論社

という評伝があるようです。

「「戦後革新勢力」の奔流:占領後期政治・社会運動史論1948-1950」(大月書店) - bogus-simotukareのブログ
■第12章 「解放」後在日朝鮮人運動と「二重の課題」(鄭栄桓*6
 前著の終章「戦後革新運動への展望」において、編者・五十嵐氏は「革新運動史研究においては在日朝鮮人問題が手薄であり本格的研究が必要」「たとえば金天海(日本共産党中央委員)をどう評価するかという問題は決して軽い物ではない」と言う趣旨の記述をしていたが、こうした課題に少しでも答えようとした物が本論文であろう。
・在日本朝鮮人連盟(朝連。現在の朝鮮総連の前身)の運動が取り上げられている。
・筆者の言う「二重の課題」とは「民族的課題」と「階級的課題」である。
筆者の理解では「民族的課題」の観点から、朝連を左傾化していると批判したのが民団であり、「階級的課題」の観点から「民族的課題は階級的課題に解消される」と、朝連を批判したのが金斗鎔(当時、日本共産党中央委員候補、朝鮮人部副部長)であった。
 これに対し、朝連は「二重の課題」の重要性を主張した。

ということで金天海に簡単に触れたことがあります。

黒坂真リツイート
 カクサン部長さん。日本共産党も、職員の人事移動の理由は明らかにされないと、赤旗記者から別の部署への異動を命じられて辞めた萩原遼さんが明言していました。
◆カクサン部長
 学術会議「任命拒否」。説明は日ごと変わり、突っ込まれると「人事のことは控えます」
 今日の共産党・小池議員の質問では、ついに何を聞かれてるかも理解できない様子に。
 「官房長官と同じです」の答弁にいたっては「○○ちゃんと同じ」レベル。
 これが一国の総理なのか。

 おいおいですね。「だから菅が学術会議議員の任命拒否の理由を語らなくてもいい」なんて詭弁が通用すると本気で黒坂が思ってるなら正気では無いですね。まあ、単に「共産党への嫌がらせ」でしょうがそれにしても黒坂は異常です。
 そんなのは「日本共産党の対応も不当なんじゃないの?」「つうか日本共産党の支持者じゃないよね、あんた?」「日本共産党職員の人事異動と学術会議議員任命の扱いを一緒にしないといけない理由がどこにあるの?」と反論されて終わりになる話です。そもそも菅を批判してるのが何も共産党だけではない。
 というか菅もこうはっきりと「菅首相は任命拒否理由を語ってないがそれでも構わないんだ」と言われてはかえってありがた迷惑でしょう。

黒坂真リツイート
 福山和人さんは、日本共産党の32年テーゼを御存知でしょうか。その時代の共産党員が大日本帝国を破壊すべく内乱を起こそうとして武装していた事を直視すべきです。共産党員の逮捕、投獄は当たり前です。
◆福山和人
 若い人たちは知らないかもしれないが、こういうことは知っておいてほしい。
美濃部達吉の手紙見つかる 「天皇機関説問題」で迫害 愛媛 | 憲法 | NHKニュース
 戦前のいわゆる「天皇機関説問題」で迫害を受けた憲法学者美濃部達吉の手紙が愛媛県内で保管されていたことが分かりました。手紙はみずからの学説について「迫害を受けることは心外だ」と記され、専門家は当時の美濃部の心境を伝える貴重な資料だとしています。

 やれやれですね。天皇機関説問題についてのまともなコメントができないなら黙ってればいい物を、「福山氏は日本共産党支持者らしいから日本共産党に悪口すれば嫌がるだろう」などという考えから「福山氏のツイート」と全く関係ないリツイートをして恥じないのだから黒坂の馬鹿さにはいつもながら呆れます。
 そもそも美濃部はもちろん「共産党員ではない」し天皇機関説ももちろん、マルクス主義と関係があるわけでも無いので、黒坂が「戦前のマルクス主義研究(河上肇の経済学、野呂栄太郎歴史学など)への弾圧」を正当化する場合によく使う詭弁「危険思想のマルクス主義が弾圧されても当然」は「美濃部への弾圧正当化」には使用できないのですがねえ。
 もし黒坂が天皇機関説を「危険思想だから弾圧されて当然(戦前の美濃部弾圧派の立場は勿論そう言う物ですが)」といいたければはっきりそう言うべきですが、そう言えない上に「美濃部は共産党員ではない」のに「美濃部の弾圧」の話に対して「共産主義ガー」と言い出すのだから頭痛がしてきます。

黒坂真リツイート
 ハン・ヨンスクさん。北朝鮮の国会で、議員が金正恩に何かの質問をできるでしょうか。
https://twitter.com/yongsuk_h/status/1324009340051714050
◆한영숙
@yongsuk_h
 これ!
 私がみた今日のNHKのニュースではスルーされていました。総理はしどろもどろ。

 やれやれですね。
1)菅が「学術会議問題」での立憲民主党・辻元氏の質問についてしどろもどろであること
2)それをNHKが菅擁護のためにろくに報じないこと
を批判するハン氏に対して、まともに反論できないなら黙ってればいい物を、「ハン氏は朝鮮総連構成員らしいから北朝鮮に悪口すれば嫌がるだろう」などという考えから「ハン氏のツイート」と全く関係ないリツイートをして恥じないのだから黒坂の馬鹿さにはいつもながら呆れます。まあ「辻元議員の質問に首相はちゃんと答えてる。ハン氏の認識は間違いだ」といえない時点で、黒坂は「語るに落ちています」ね。
 菅もありがた迷惑でしょう。

*1:日本共産党大阪府委員会副委員長

*2:1899年生まれ。大韓帝国(現在の大韓民国慶尚南道蔚山郡出身。1922年に来日。1928年に朝鮮共産党日本総局責任秘書に就任。戦後、在日本朝鮮人連盟最高顧問、日本共産党政治局員、中央委員、朝鮮人部長など歴任。1950年に北朝鮮に帰国し、朝鮮労働党中央委員、社会部長など歴任。1970年の朝鮮労働党第5回大会で金の名前が中央委員名簿から消えて以降はその所在がよく分かっていない。

*3:日本共産党朝鮮人部長だった金天海の下で朝鮮人部副部長を務めた。

*4:朝鮮総連の前身団体

*5:著書『戦時下朝鮮の農民生活誌:1939~1945』(1998年、社会評論社)、『戦時下朝鮮の民衆と徴兵』(2001年、総和社)、『日本の朝鮮・韓国人』(2002年、同成社)、『日本の植民地支配と朝鮮農民』(2010年、同成社)、『戦時下朝鮮民衆の生活』(2010年、緑蔭書房)、『植民地支配下の朝鮮農民』(2020年、社会評論社

*6:明治学院大学教授。著書『朝鮮独立への隘路:在日朝鮮人の解放五年史』(2013年、法政大学出版会)、『忘却のための「和解」―『帝国の慰安婦』と日本の責任 』(2016年、世織書房