「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年11/20日分:荒木和博の巻)

浜崎真嗣さんの「フィンランディア」【調査会NEWS3361】(R02.11.20) : 荒木和博BLOG

 浜崎さんは日本ビクター(当時*1)の社員で、平成12年(2000)*21月6日東京日野市のアパートから失踪しました。当時25歳でした。
 その浜崎さんの九州大学オーケストラとビクター両方の先輩にあたる村岡輝雄元武蔵工大*3教授は長年浜崎さんのことに取り組んでこられました。
 以下少々長くなりますが村岡先生がCDのジャケットに書かれた文章を許可を得て全文転載します。CDは一般のレコード店で購入できます。
「KSHKO-82 追悼・マエストロ 荒谷俊治 シベリウスフィンランディア』他」(2,667円+税 ディスクユニオン取扱い)

 「CDは一般のレコード店で購入できます」といったところで、「店にCDが置いてある」わけではなく、お取り寄せになるようです。
 何せ

荒谷俊治/シベリウス:交響詩「フィンランディア」他
◆お取り寄せの商品となります
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◆商品の紹介
・これらのCDに対して日本の評論家は恐らく相手にしないと思いますが、私が外国でプロの音楽家や音楽専門家にお聴かせして、これらが学生オーケストラの演奏だと思った人は誰もいませんでした。

なんてのがこのCDです。指揮をした荒谷氏自身は荒谷俊治 - Wikipediaということでウィキペディアにも項目があり、また(惜別)荒谷俊治さん 「アラヤン」と慕われた指揮者:朝日新聞デジタルという追悼記事もある「それなりに有名なプロの指揮者」のようですがさすがに学生オケでは大して評価に値しないと言うことでしょう。

[2] 正月休みに突然失踪した九大フィルの後輩
 2000年1月7日、正月休みが明けて本務の日本ビクター㈱研究所の仕事始めに臨んだ翌日、兼務している本社の人事部に出社したら同僚から「八王子工場勤務の浜崎真嗣(はまさき・まさつぐ)君が独身寮から失踪した」と聞かされた。
 彼はビリアードが趣味で、退社後に会社近くのビリアード場に度々出掛けていた。
 同僚で彼と一緒にビリアード場に行った者は居ない*4
 ビリアード場に調べに行ったら、その直後に閉鎖*5された。
 ビリアード場のオーナーは北朝鮮関係者であった。
 実行者は日本ビクターを含む工業団地の工場や研究所に勤務する優秀な技術者の拉致を計画し、ビリアード場を開設してそこを拠点に技術者の情報を収集してやがて浜崎君を拉致対象に絞り込み、彼の居所や行動パターンを調べ上げて正月休み明けに拉致を実行したと考えている。
 浜崎君とビリアード場で親しくなっていた拉致実行者の一人が突然浜崎君の部屋を訪れて何か緊急事態を告げて独身寮の外に連れ出し、寮の通用口の側に停めていた車に数人掛りで押し込んで車を発進させ、車の中で浜崎君から暴力的に銀行カードを奪って暗証番号を聞き出し、銀行カードを手にした拉致実行者の一人が最寄りのJR中央線豊田駅から東京駅に向かってそこで銀行ATMから現金を引き出し、更に羽田空港から函館に行ってそこの銀行のATMで預金を全額引き出して浜崎君が自分の意志で北海道に向かった様に偽装した。そして他の拉致実行者達はそのまま中央道、北陸道を通って金沢方面に向かい能登半島の何れかの地点から工作船北朝鮮の何れかに向かったと推察している。彼は今年で46歳、恐らく軍事施設か情報インテリジェンス施設で諜報活動に従事させられているのではないかと想像している。

 荒木のお仲間なら「予想の範囲内」ですが村岡氏もすさまじいトンデモですね。
1)失踪者・浜崎氏はビリヤード愛好家
2)浜崎氏が通っていたビリヤード場のオーナーが北朝鮮関係者(在日朝鮮人と言うことか?)
3)浜崎氏失踪後にビリヤード場が閉店
という「だけ」の話から浜崎氏失踪は北朝鮮拉致でビリヤード場のオーナーが拉致実行犯の一味と主張したら「キチガイ」と思うのが普通の人間でしょう。
 そもそも浜崎氏の失踪について北朝鮮拉致どころか「自発的失踪でも、事故でもなく、犯罪に巻き込まれた」と見なす根拠もどこにもない(なお、過去の特定失踪者の中には「国内で発見された」上に「自発的失踪」だった人間が複数います)。
 そしてどう見ても、「そのビリヤード場関係者と浜崎氏がトラブっていた」「失踪直前にそのビリヤード場で浜崎氏が目撃された」など、「失踪とビリヤード場をつなげられるまともな話」が出てこない。
 正直、村岡氏の「専門分野である音響工学」においても彼がまともな見識の持ち主か疑いたくなります。
 そもそもいくら「CDの演奏メンバーの一人」が浜崎氏であっても、このCDはオーケストラ演奏であり、「浜崎氏の個人演奏ではない」。
 浜崎氏の失踪にCDジャケットで触れること自体が異常でしょう。そして触れても何がどうなるわけでもない。
 まあ、「まともな情報提供を求める文章」でもCD購入者からそんな情報提供がある可能性は皆無ですが、「ビリヤード場のオーナーが北朝鮮工作員の一味」なんて与太ではなおさら情報提供があるわけが無い。

*1:「当時」となっているのは現在「日本ビクターが存在しないから」です。ケンウッドと日本ビクターが統合し現在はJVCケンウッドとなっています(JVCケンウッド - Wikipedia参照)

*2:2000年と言えば「安明進証言&拉致被害者家族会結成(1997年)の3年後」で「小泉訪朝(2002年)の2年前」です。こんな時期の失踪が北朝鮮拉致の可能性はまずないでしょう。とはいえ荒木と仲間たちは「小泉訪朝後の失踪」すら特定失踪者認定してますが。

*3:武蔵工業大学は2009年に東京都市大学に改名しています(東京都市大学 - Wikipedia参照)。

*4:同僚と「仕事以外での付き合い」がそもそも無かったのか、付き合いはあったが「ビリヤードのつきあいはなかったのか」が気になるところです。

*5:まあ、「客が不入りで商売が成り立たない」「オーナーが高齢化し、後継者がいない」などで閉店されることは何ら珍しくない。閉店について「北朝鮮工作員」云々と疑うまともな根拠は恐らく何一つないでしょう。