高世仁に突っ込む(2020年11/30日分)(追記あり)

コロナ禍を寅さんだったら何て言うかな - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 2015年に国連総会で採択されたSDGs=持続可能な開発目標は、将来の世代の暮らしを持続可能な形で改善することをめざすもの

 まあ「例は何でもいい」ですが、SDGsとは「温暖化ガスの削減*1」「プラスチックの再利用」「フードロスの削減」「できる限り自動車を使わない(徒歩や自転車)」など要するに「環境に配慮した経済成長」つう話ですね。「環境を破壊する経済成長」は「持続可能ではない」わけです。
 最近話題になった「レジ袋の有料化(エコバッグの利用促進)」なんかもこの一環です。
 例のグレタ・トゥーンベリさんが「(エコロジー的な意味で問題が大きい)飛行機はできる限り使わない→可能な限り鉄道を利用する」なんて言ってたのもそう言う話です。
 まあ「言うは易し、行うは難し」ですね。
 一般論、総論としては「SDGs=持続可能な開発目標=環境に配慮した経済成長」に誰も反対しない。
 「環境保護なんかどうでもいい、とにかく経済成長すればいいんだ」と公言する人間は今時まず居ない。
 しかし各論になると話は別になってくるわけです。今までの生活を「エコロジー的な意味」で変えないといけないわけでそれは決して楽ではない。例えば「エコバッグを毎回用意する」のは面倒と言えば面倒です。
 「まあ、例は何でもいい」のですが、例えば「今のままの肉(あるいは魚)の消費でいいのか」なんてのも「SDGs」に入るんでしょうね。まあ小生、人並みに「トンカツ」「ビフテキ」「ハンバーグ」「フライドチキン」とか肉料理大好きですが。あるいは回転寿司なんかも大好きです。
 ただ、海の魚を漁で捕ってきたり、ジビエだと話は別*2ですが、「畜産肉(トンカツ、ビフテキなど)」や「養殖の魚(回転寿司の養殖マグロ、サーモン)」つうのはご存じの方も居るでしょうが、「人間が食べられる穀物」を豚、牛、鶏にやったり、養殖マグロは「人間が食べられるサバや鰯」を餌にするわけでそう言う意味では「食料の無駄遣い」です(まあマグロに限らず、寿司ネタになる養殖サーモンだって、養殖の鯵やサバだって話は同じでしょう)。
 SDGs的な意味で「あまりよろしくない」。インド13億とか、中国10億とか、それだけの人間に全員、畜産肉や養殖マグロを食べさせるなんていったら環境的な意味でかなり問題がある。
 そこで「肉や魚を食べる量を減らそう」「もう大豆から作る人造肉とかでまかなうしかないんじゃないか」「いっそ肉食わなくても、いいじゃないか。タンパク質なら大豆とか植物性でもいい」とかいう話も出てくる。
 この間テレビを見ていたら「これからの時代は(SDGs的な意味で)昆虫食も不可避ではないか」なんて言っていてぎょっとしましたけどね。
 まあ日本でも「珍味としての昆虫食」はあります。本多勝一氏などは子どもの頃よく昆虫を食べていたそうですが、最近「エコロジー的な意味」で話題になってるのはそう言うレベルじゃないですからねえ。
 で、そこで「そうか、SDGs的な意味ではもう昆虫食も仕方ないのか。今まで食べてなかったものも食べざるを得ないのか。あまり気が進まないけど環境保護のためには仕方が無いな」「いやそもそも肉なんか食わなくていいんだ。タンパク質なら大豆とか植物性でもいい」とか皆が思うかと言ったらそうでもないでしょう。そういう難しさはある。

 このご時世で、自宅にいる時間が長くなり、テレビを観ることも増えている。

 「このご時世(コロナ自粛)」というよりも高世の場合「ジンネットが潰れて無職になったから」でしょうねえ。高世にとって「無職なので毎日が暇です」ということは屈辱的すぎて絶対に言いたくないのでしょうが(苦笑)。

 50作目の新作公開を年末に控えた去年夏の、松竹社員向けの「山田洋二監督に訊く」と題する講演で、山田監督は後輩を前に、寅さんと現代を語った。
 その中でとても印象に残ったところがあったので紹介したい。
 司会が『男はつらいよ』が作られたのは高度経済成長のピークのころだといって、俵万智が寅さんを詠んだ歌を披露した。
◆自己責任、非正規雇用、生産性、寅さんだったら何て言うかな  俵万智
 寅さんと自己責任、寅さんと非正規雇用、寅さんと生産性・・・。
 まるで生産性なんかない男だから(笑)
 一生、非正規だし(笑)
 責任もとらない男だな(爆笑)
 はみ出した人間なんだね。はみ出した人に寛容だったんじゃないかな、この映画がヒットした時代っていうのは。
 だから、(映画が)69年にはじまって、70年代は日本で一番充実した時代、あのころ日本人が一番幸せだったんじゃないかな、戦後から今まで見てるとね。
 あの時代に比べると、(いま)日本ははるかに窮屈になってきてるよ。表現の自由だってどんどん自由なこと言えなくなってきてるよね。

 いずれ直すでしょうが高世も大監督「山田洋次」の名前を堂々と「山田洋二」と書き間違えないで欲しいですね。高世だって「高瀬仁」なんて書き間違えられたら不愉快でしょうに(苦笑)。
 まあ、それはともかく。
 「1970年代」についての山田の物言いは割り引くべきでしょう。
1)高度成長の終わりぐらいで日本の景気も結構良かったし、映画界もまだ元気だった。しかし1980年代以降は「一時バブル景気(1986~1991年)があったものの」それを除けばそんなに景気が良くない。
2)山田が寅さんを開始した頃で、山田も寅さんで色々冒険できた
3)(共産党支持者の山田にとって)革新自治体(東京の美濃部知事(1967~1979年)、京都の蜷川知事(1950~1978年)、大阪の黒田知事(1971~1979年)など)が存在し、共産党の羽振りが良かったこと
→ただし1980年代は一転して『いわゆる反共社公合意(1980年)*3による社共共闘の崩壊→共産党を除く与野党協議』『中曽根長期政権(米国でもレーガン、英国でもサッチャーという右派政権が登場)』『ソ連のアフガン侵攻(1979年)、北朝鮮ラングーン事件(1983年)、大韓機爆破事件(1987年)、中国の天安門事件(1989年)などで日本国内の反共の風潮が強まる』『ライバル社会党土井たか子ブーム』などで共産党的にも苦しい状況になる
といった点で「意識的でアレ、無意識的でアレ」1970年代を美化する気持ちが働いてることは否定できないでしょうね。
 1970年代には

西山太吉毎日新聞記者が佐藤内閣によって国家公務員法違反で起訴され、毎日新聞退社に追い込まれた西山事件 - Wikipedia

があるので「表現の自由」限定でもそんなにバラ色ではないわけです。


【参考:昆虫食】

昆虫食スタートアップ、表参道に蚕バーガー店 :日本経済新聞2020/1/17
 昆虫食のスタートアップ企業、エリー(東京・中野)は20日、東京・表参道に蚕を原料に使ったハンバーガー店を開く。タンパク質が豊富な蚕をペースト状にして牛肉と混ぜてパテにする。香ばしくエビやカニのような風味がするという。顧客にアンケート調査し、今後の商品開発や市場開拓に役立てる。
 出店は3月末までを想定するが、反響次第では継続も検討する。
 今回の出店は市場開拓の意味合いが強い。月100万~150万円の売り上げを見込む。

<環境視点>昆虫食、世界が注目 人口増対応 タンパク源:東京新聞 TOKYO Web2020年11月13日
・将来の食料危機に備え、世界中で「昆虫食」が注目されている。昆虫は、肉に代わりうる優れたタンパク源。日本でも、見た目ではコオロギやカイコなどと分からず、味にもこだわった食品が登場している。
名古屋市中村区の名鉄百貨店内にある雑貨店「無印良品」の一角に十一日、「コオロギせんべい」が山積みされた。一袋(五十五グラム、百九十円)に約三十匹分の粉末が使われている。初めて購入した女子大学生(21)は「人気商品と聞いた。一度食べてみたかった」と笑顔で話した。
◆肉よりエコ
 無印良品を展開する良品計画(東京)は五月、コオロギせんべいをネットストアで発売した。七月から全国の一部店舗で店頭販売も開始。各店とも入荷するたびに一週間ほどで完売するという。
 開発したきっかけは昨年秋にフィンランドに出店した時、同社食品部の神宮隆行さん(55)が現地スタッフからコオロギの菓子を紹介されたこと。ローストしたコオロギに塩やチョコレートがかかっていて「エビっぽい味でおいしい。慣れれば見た目も気にならず、興味を持った」と振り返る。
 昆虫料理研究家の内山昭一さん*4(70)=東京都日野市=によると、欧州では昆虫食が急速に広まっている。国連食糧農業機関が二〇一三年、世界人口の増加によって、重要な栄養素のタンパク質が不足する恐れを指摘し、対策として食用昆虫の飼育を挙げたからだ。昆虫は豚や牛などの家畜と比べて餌や水、排出する温室効果ガスが少なく、環境負荷が低い。例えば一キロのタンパク質を生産するのに、牛肉だと十キロの餌が必要だが、コオロギなら一・七キロの餌で済む。
 良品計画も「食料問題を考えるきっかけに」と昆虫食の商品化に乗り出した。昨年に誕生した徳島大発のベンチャー企業グリラス」が原料のコオロギを飼育し、粉末にして提供。取締役会長で同大大学院助教の渡辺崇人さん(35)は「食用にふさわしい高品質の物を提供できるよう管理している」と力を込める。
◆健康にいい
 「昆虫は甲殻類に近い。エビやカニのアレルギー対応ができ、昆虫の加工に理解がある工場を探すのに苦労した」と神宮さん。せんべいの製造を引き受けた愛知県南知多町の「山三商会」取締役の野口賢吾さん(36)は「十年先を見据えた取り組みに共感し、挑戦してみようと考えた」と話す。
 内山さんによると、国内では現在、食用昆虫を扱う企業が十社近くある。カイコを原料とした「シルクフード」を研究開発するエリー(東京)社長の梶栗隆弘さん(34)は食品メーカーに勤務した経験から昆虫食に注目。中でも、日本で古くから養殖が盛んなカイコを選んだ。「ナッツや豆のような味で癖がない。軟らかくペーストにでき、ケーキなどの生地にも練り込める」と梶栗さん。京都大との共同研究で、食べた人の血糖値を下げたり、整腸に作用したりする成分が含まれていることも分かったという。カイコと牛肉を50%ずつ配合したパテのシルクバーガーや、シルクピザなどを一〜七月に東京の臨時店舗で販売し、評判を呼んだ。梶栗さんは「今まで受け入れられなかったものを受け入れてもらうのは簡単ではない。最初が肝心」と話す。

『本多勝一はこんなものを食べてきた』│昆虫食通販 バグズファーム
 ジャーナリスト本多勝一さんの少年時代、信州伊那谷を舞台にした漫画です。87の食べものにまつわるエピソードと共に、伊那谷の自然が魅力的に描かれています。
 伊那谷は長野県南部に位置する天竜川沿いの盆地で、ザザムシでおなじみの、言わずと知れた(?)昆虫食のメッカです。
 ゴトウムシ(カミキリムシの幼虫)は一番おいしい昆虫といわれ人気が高かったそうです。
 私もカミキリムシの幼虫が一番おいしいと思っています。脂肪分が多く、例えるならマグロのトロのような味がします。当時はおかずの一品に使われるというより、子供のおやつになることが多かったようです。

【追記】
 そういえば「SDGs」で「河野太郎のアホ発言」を思い出しました。

なんとも幼稚で愚劣でばかげたことだ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 あまりの愚劣さに言葉もないですね。それで今度は、自民党議員や政府高官からも、こんな居直りと言い訳が語られる始末。
>一部マスコミは、安倍総理がイバンカ基金に57億円、と。これは、先のG20において公約し、すでに発表済の話であり、それを安倍総理からイバンカ氏にあらためて申し上げただけの話。しかも、その財源は、外貨準備金と米国債であり、このような時に特定の使途がみとめられている資金だ。
途上国の女性起業家が直面する制約を解消することを目指す世界銀行のファシリティを「イバンカさんの基金」などと言って貶す人がいるのはSDGsに対する世の中の理解がまだまだ足りない証拠だ。


 いや、だからあんたたちが誤解するように仕向けたんじゃないかよ。ていいますか、これは現実性のない仮定ですが、この件について特に異論や不審である旨の発言なり意見が出なかったら、これはこのままじゃないですかね。政府高官なり与党議員なりからこんなばかげた言い訳はされないでしょう。菅原にしても河野にしても、こんな幼稚で愚劣な居直りをしたかどうか。しなかったんじゃないの。

 河野太郎*5の言ってることがあまりにも酷いので「何がSDGsへの理解が足りないだ!。手前、なめてんのか!」と腹が立ったので覚えていたのですが、何で洋平氏も息子をあんな「クズでバカ」に育てちゃったんですかね。今回の学術会議問題でも完全に菅にへつらってるし、安倍内閣外相時代は悪名高い「次の発言どうぞ!」だし。
 俺的には「息子がアレだからな、河野洋平*6も実はろくでもないゴミ野郎なのかもな」と思わずには居られないですね。
 まあ、その点、福田康夫*7なんかは「男は黒豹」発言などを割り引いても、今の自民党内においてはかなりまともな政治家でしょう。

*1:そこで「温暖化ガスの少ないエコな発電が原発」などと言い出す産経などウヨ連中には心底呆れますが。

*2:もちろんそんなもんでは供給量に限りがあるから畜産、養殖するわけですが。

*3:社公合意については例えば1980年の「社公合意」とは?参照

*4:著書『楽しい昆虫料理』(2008年、ビジネス社)、『昆虫食入門』(2012年、平凡社新書)、『昆虫は美味い!』(2019年、新潮新書)など

*5:第三次安倍内閣国家公安委員長、第四次安倍内閣外相、防衛相などを経て菅内閣行革相

*6:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長など歴任

*7:森、小泉内閣官房長官を経て首相