免田栄さんが死去 死刑囚で初の再審無罪 熊本の一家４人殺傷 - 産経ニュース
ひとまず、ご冥福をお祈りします。しかし死刑存続派が免田事件のような死刑冤罪の問題を無視することにはいつもながら腹が立ちます。海外の場合も死刑廃止のきっかけは死刑冤罪です。
たとえば英国だとエヴァンス事件（被告人の死刑判決確定→死刑執行後に真犯人が判明）という有名な冤罪があり、これが英国の死刑廃止を決定づけたとも言われます。エヴァンス事件が典型ですが死刑の場合「執行してしまうと償いようがない」と言う点が他の冤罪と大きく違います。
死刑執行後の「死後の名誉回復」「（遺族が居る場合の）遺族への金銭補償」にどれほどの意味があるのか。
なお、再審無罪判決が出た日本の死刑冤罪としては、免田事件の他に財田川事件、松山事件、島田事件があります（これらは俗に『昭和の四大死刑冤罪事件』といわれる）。財田川事件については鎌田慧『死刑台からの生還』(2007年、岩波現代文庫)という著書があります。ちなみに鎌田氏にはこれ以外にも冤罪関係では『弘前大学教授夫人殺人事件』(1990年、講談社文庫)、『狭山事件の真実』(2010年、岩波現代文庫)、『残夢：大逆事件を生き抜いた坂本清馬の生涯』(2015年、講談社文庫)の著書があります。
他にも死刑冤罪の疑いが指摘される日本の事件としては、
◆熊井啓『冤罪・帝銀事件』などで知られる帝銀事件
獄中で病死
◆ハンセン病差別事件としても批判される菊地事件
既に死刑が執行済み。菊地事件は地名（事件のあった菊池市）による命名。被告人の名前から藤本事件とも呼ばれる。
◆江川紹子『名張毒ブドウ酒殺人事件』（岩波現代文庫）が取り上げた名張毒ブドウ酒殺人事件
獄中で病死
◆訪日したローマ教皇（法王）主催のミサに「再審請求が認められ保釈中の袴田氏」が出席したことで話題になった袴田事件
◆大森勝久氏が被告人の北海道庁爆破事件
現在、再審請求中。
「元・新左翼」大森氏の現在のトンデモ極右ぶりについてはたとえば大森勝久氏の新しい論文です: 荒木和博BLOG参照。
などがありますね（これらの多くは日弁連やアムネスティインターナショナルなどが再審請求を支援している（していた））。
また、死刑冤罪ではないですが死刑判決が出てもおかしくなかったであろう再審無罪の冤罪事件としては足利事件があります。
【参考：袴田事件】
記者のこだわり：袴田元被告のローマ教皇ミサ参列はなぜ実現したのか - 毎日新聞2019.12.14
11月に来日したフランシスコ・ローマ教皇が東京ドームで執り行ったミサに、1966年の「袴田事件」で死刑が確定し、2014年の再審開始決定で釈放された袴田巌元被告（83）が招待された。世界に死刑廃止を呼びかける教皇の来日を機に、日本の死刑廃止を目指す日本弁護士連合会と、袴田さんの姉秀子さん（86）がそれぞれのルートで教皇側に働きかけ、ミサ参列が実現した。袴田さんの再審請求は現在、最高裁の判断を待つばかり。今回のミサ参列には、死刑廃止に向けた機運を高めるとともに、世界的影響力のある教皇との関わりを示すことで再審請求を動かしたいという両者の強い思いがあった。
◆教皇との面会は実現せず
しかし、教皇が演説で死刑制度に触れることはなく、袴田さんと個別に接触することもなかった。
◆救いを求めカトリック信者に
袴田さんは1966年に静岡市（旧静岡県清水市）のみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして、強盗殺人容疑などで逮捕・起訴された。取り調べに対して当初は否認したが、逮捕から20日目に「自白」した調書を取られた。その後、静岡地裁の初公判で否認に転じたが、地裁は死刑を言い渡し、1980年に最高裁で1審判決が確定した。
この頃から、袴田さんは拘置所内で神父の教誨（きょうかい）を受けるようになり、面会などでも神にすがるような言葉を頻繁に使うようになった。
「古今東西、宗教が人間を支えた部分は大きい。それは謙虚な気持ちで合掌し、信ずるものを得るところに大きな救いがあるからだ」。
袴田さんは1984年10月の日記で、信仰する理由をこうつづっている。そして、同年12月24日に洗礼を受けてカトリック信者になった。
袴田さんを支援する浜松市のNPO代表理事、安間孝明さん（62）は「無実を訴える中で死刑が確定し、この世に少しの希望も持てなくなった。だからこそ、目に見えない神に望みをつないだのでは」と推測する。
【参考：菊地事件】
特別法廷「違憲」判決確定へ 元患者側控訴せず―熊本：時事ドットコム2020.3.11
ハンセン病患者とされた男性が隔離施設に設置された特別法廷で裁かれ死刑となった「菊池事件」の審理の違法性が問われた訴訟で、原告の元患者らは１１日、控訴しない方針を表明した。熊本地裁判決は審理の違憲性を認めたが、原告の請求は棄却したため、被告の国側は控訴できない。このため、一審判決が確定することになった。
訴訟は、検察が菊池事件の再審請求をしないのは違法として、元患者が国に損害賠償を求めていた。
菊池事件で「再審請求」 特別法廷での裁判めぐり―熊本地裁：時事ドットコム2020.11.13
ハンセン病患者とされた男性が隔離施設の特別法廷で裁かれ死刑となった「菊池事件」で、元患者と弁護団は１３日、熊本地裁に対し、一般国民を請求人とした再審を求める文書を提出した。
元患者側は７月、菊池事件の再審請求を求める検事総長宛ての要請書を熊本地検に提出したが、回答はなかった。弁護団によると、再審請求を求め、全国から１２０５人の委任状が集まった。
弁護団の一人は「憲法１６条の請願権を行使し、直接裁判所に再審請求する。こうした前例はない」としている。
【参考終わり】
米軍ソマリア撤退を命令 トランプ氏、約７００人 - 産経ニュース
撤退の是非はともかく、こうしたことは「退任間近の大統領」が次期大統領を無視してやるべきことではない。「退任間近の大統領」がやるべきことは「以前から決まっていたことの継続」など「できる限り次期大統領の政治的決定を制約しない形」に制約されるべきでしょう。まあ、トランプの場合、未だに「不正選挙→裁判闘争」を放言しているのでそれ以前の話ですが。さすがに「本気で逆転勝利狙い」ではなく「大統領として退任間近まで好き勝手やることの正当化」「裁判費用を口実にした政治資金集め（そして裁判敗訴確定後も、金は返さずに政治資金に流用する）」なのでしょうが。
【主張】コロナ対策 菅首相の言葉は響いたか - 産経ニュース
産経すら酷評する菅の記者会見です。酷評の理由は簡単で「新型コロナに対する新たな政府対応」が示されたわけではなく「過去の政府対応についての改めての説明」「外出自粛などの国民への改めての要請」、つまり「以前の主張の改めての繰り返し」しかなかったからです。産経ですら「現状の対策で問題は無い」とは思っておらず「東京をgotoから除外すべき」としているので酷評するのも当然です。
３１年間ありがとう！キートン山田さん…「ちびまる子ちゃん」ナレーション卒業 - 産経ニュース
「そういえばちびまる子ってそんなにやっていたのか？」感がありますね。なお、ちびまる子ちゃんも卒業…キートン山田が声優引退へ - 芸能 : 日刊スポーツによれば「声優引退」だそうです。
「声優初期（本名の山田俊司時代）の代表作」ですね。これでわかるように当初のキートンは二枚目キャラを良くやっていた。
コメント欄でも「破れかぶれ」さんからそうした二枚目キャラとして「ベルサイユのばら（アラン）」の指摘があります。
しかし、若手の台頭などで、次第に二枚目キャラでお声がかからなくなり、「まる子のナレーション」のような三枚目キャラが多くなり、芸名も「バスター・キートン」から名前をとった「キートン山田」に改名したわけです。
話が脱線しますが、「バスター・キートン→キートン山田」みたいな命名（？）としては
【バスター・キートン】
◆益田喜頓（コメディアン、1909～1993年）
◆マスター・キートン（浦沢直樹の漫画）
【ダニー・ケイ】
◆谷啓（コメディアン、1932～2010年）
なんかがあります。
なお、以前読んだ雑誌のインタビューに寄れば、キートンは「三枚目キャラを演じることが増えることには当初は抵抗があった」とか。
ちなみに、「サイボーグ００９」（００４役）ですが
サイボーグ009 (アニメ) - Wikipedia
◆テレビシリーズ第1作（NET（現・テレビ朝日）、1968年）
・大竹宏*1→内海賢二
◆テレビシリーズ第2作（テレビ朝日、1979～1980年）
・キートン山田（ただし、当時は山田俊司）
◆テレビシリーズ第3作（テレビ東京、2001～2002年）
・飛田展男
だそうです。
