今日の中国ニュース(2020年12月5、6日分)

【正論1月号】チャイナ監視台 中国は米大統領選をどう見たか 産経新聞台北支局長 矢板明夫(1/3ページ) - 産経ニュース

 米大統領がバイデン氏に変わった場合、米中関係はどう変わるか。報道では、どちらが勝ってもアメリカの中国に対する厳しい姿勢は変わらない、だから中国ははじめから静観しているのだ、といった見方がありました。

 まあ人権面での中国批判はバイデンも変わりませんし、「トランプほどやり方は無茶苦茶ではない」でしょうがバイデンが中国の経済発展に危機意識を持ち何とか対抗したい(いわゆる米中貿易摩擦)と思ってる点も変わりませんからね。かつ選挙結果について中国がどうこうできる話でもない。
 結局「トランプが勝てば今のままの反中国路線が続く。バイデンが勝てば変化があるだろう。違法の疑いの強い行為すらためらわないトランプほど無茶苦茶ではないだろうが、過大な期待は出来ない(とりあえずバイデン政権が誕生したからの様子見)」という「静観の態度」以外にないでしょう。


日本人の対中感情悪化の原因(中国専門家分析)|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 もちろん中国に人権問題(香港、チベットウイグル等)などの問題が無いとは「俺も浅井先生も」言いません。よほどの中国シンパでない限りそんなことは誰も言わない。
 しかしそれ「だけ」を「日本人の対中感情の悪化理由」として「日本人の対中感情の悪化は中国が全て悪い」とはとてもいえないのは浅井先生*1も指摘の通りです。
 まず第一に、人権問題が理由ならミャンマー、サウジなど他にも人権問題を抱えてる国があるのに何故中国だけが非難されるのかと言うことです。
 あるいは「人権問題」を理由に中国を批判する連中の中に「南京事件否定論河野談話否定論の産経」「アイヌ民族否定論の日本会議」など「反人権的な主張」をするウヨ連中がいるのはどういうことなのかと言ってもいい。人権云々が中国批判の理由ならそんな不自然なことはあり得ない。
 第二に、「日本人の反中国」は「日本人の嫌韓国(例えば、徴用工判決や慰安婦像に逆ギレした安倍のホワイト国除外)」と共通する点があるのでは無いかと言うことですね。
 つまりは「戦争責任問題での中韓に対する居直り」や「経済的に発展し日本を既に越えた、あるいは越えようとする中韓への反発」と言う話です。
 第一、第二の要素を考えれば「日本人の対中感情の悪化理由」について「中国に人権問題があるから悪い、日本には問題は無い」などとは一言も言えないことは浅井先生ご指摘の通りだと思います。そうした「中国への責任転嫁」は浅井先生も言うように日中友好の妨げになるだけでなく、「日本の加害責任(対中国に限らない)を直視すること」の妨げにもなります。
 にもかかわらず、多くのマスコミが第一の問題、第二の問題に触れず、ただただ中国に否定的な報道しかしないこと(産経など右派メディアの場合は明らかに故意にそうした反中国を煽っていますが)を嘆く浅井先生です。


台湾 中国のコロナ対策描く絵本 許可申請ないと発行禁止へ | 新型コロナウイルス | NHKニュース
 蒋介石独裁時代かと言いたくなる酷さですね。「中国のコロナ対応は素晴らしい」という絵本程度で何でそんなに精神的余裕がないのか。
 以前、西村京太郎の十津川警部シリーズで「犯人が人質を取ってセスナ機で台湾に逃亡したこと」に「日台間には国交がなく、犯罪者引渡条約もない。手続きに手間取ってる間に犯人が逃げてしまう」と頭を抱えた十津川が「人質の機転」で救われるという話があったのを思いだしました(作品名は覚えていませんが落ちから考えるに1972年の日中国交正常化以降、1987年に戒厳令が解除される以前の設定)。
 人質は「中台間が緊張関係にあること」を思い出し、犯人の手荷物にこっそり「毛沢東語録(どっからそんなもん入手したんだという話はひとまずおきます)」を入れ、「台湾入管」がそれに気づいて、身柄拘束することを狙い、それが見事に当たったわけです(もちろんこれはあくまでも西村のフィクションなので当時の台湾において実際にそんなことがあり得たかは分かりません)。
 まあ、昔はともかく、今時、台湾入国者が「毛沢東語録」を仮に持っていてもまさか身柄拘束はしないでしょうが、そのくらい今回の台湾当局の対応は非常識でしょう。
 仮に絵本に「中国美化のための事実歪曲」があるとしても、その点を批判すればいい。それが日頃「台湾と中国は違う」と蔡英文が自画自讃してる「民主主義」という話ではないのか。 

*1:元外務官僚。日本大学教授、明治学院大学教授、広島市立大学広島平和研究所所長、大阪経法大学客員教授を歴任。著書『日本外交』(1989年、岩波新書)、『新しい世界秩序と国連』(1991年、岩波セミナーブックス)、『外交官』(1991年、講談社現代新書)、『「国際貢献」と日本』(1992年、岩波ジュニア新書)、『「国連中心主義」と日本国憲法』(1993年、岩波ブックレット)、『ここが問題新ガイドラインQ&A』(1997年、青木書店)、『茶の間で語りあう 新ガイドライン』(1998年、かもがわブックレット)、『中国をどう見るか?』(2000年、高文研)、『集団的自衛権日本国憲法』(2002年、集英社新書)、『戦争する国しない国』(2004年、青木書店)、『13歳からの平和教室』(2010年、かもがわ出版)、『ヒロシマと広島』、『広島に聞く 広島を聞く』(以上、2011年、かもがわ出版)、『すっきりわかる! 集団的自衛権』(2014年、大月書店)、『日本政治の病理:丸山眞男の「執拗低音」と「開国」に読む』(2020年、三一書房)など