高世仁に突っ込む(2020年12/23日分)

安倍政権は日本の民主主義を食い尽くした - 高世仁の「諸悪莫作」日記(12月22日付記事)
 タイトルから分かるように今日の高世記事も拉致はなぜ見過ごされてきたのか6 - 高世仁の「諸悪莫作」日記(12月7日付記事)の続きではありません。高世もいい加減(つづく)としている拉致はなぜ見過ごされてきたのか6 - 高世仁の「諸悪莫作」日記(12月7日付記事)をほったらかしにしないでとっと終わらせたらどうなのか。(つづく)としているけど「本当は終わったのか?」「それとも終わっては居ないが、続けることを忘れてるのか?(事実上終わってるのと同じ)」と聞きたくなります。
 そして「安倍はモリカケ桜を見る会、河井元法相夫妻疑惑、アベノマスク疑惑(ユースビオ疑惑)、持続化給付金疑惑(電通疑惑)、伊藤詩織さんレイプもみ消し疑惑などの公私混同、政治私物化、犯罪行為で日本の民主主義を破壊した」とまで言うなら未だに安倍を持ち上げ続ける家族会に批判を加えたらどうなのか。
 いつまで高世は横田早紀江などにへいこらし続ければ気が済むのか。

そういうことであるなら、小泉元首相、田中均氏、蓮池透氏らに陳謝する用意くらいはあるんだろうな - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 「会社への影響」を理由にして主張を鈍らせたってのは、世の中そんなものだとは思いますが、それも「どうもなあ」です。ジャーナリストというものは、基本的には、組織(国家、地方公共団体、大企業、大手マスメディア、なんらかの圧力団体ほか)や個人(強者ばかりでなく個人的なしがらみのある人物もふくむ)の圧力をはねのけて、事実に基づいて記事なり番組なりを制作するものでしょうに。安倍晋三自民党の手先である櫻井よしこや阿比留瑠比ほかの連中はしょせん「自称ジャーナリスト」にすぎません。この連中は、「政治活動家」「右翼活動家」でしかない。
(中略)
 そして高世もしょせんこいつらと同類じゃないですか。そういわれて「あんな狂信者たちと自分を一緒にするな」と激怒するのなら、これからのジャーナリスト活動で、高世は違うということを証明してくれるしかないでしょう。期待はしていませんが、一応推移は私なりに観ていくつもりです。

という高世への非難には全く同感です。
 高世は「リベラルや左派ぶってる手前」、さすがにこのように「たまに安倍批判はします」が絶対に「安倍を持ち上げ続けた横田早紀江ら家族会は非難しない」のだから全くインチキです。

 今年物故された方に、歴史家で東京大学の名誉教授の坂野*1潤治氏*2がいる。専門は日本近代政治史で、東大社会科学研究所長も務めた。

訃報 2020年 - Wikipediaによれば今年は

【1月2日】
上原正三
 脚本家。『帰ってきたウルトラマン』のメインライターとして知られる。
【1月18日】
宍戸錠
 俳優。
【1月19日】
重光武雄辛格浩
 ロッテグループ創業者。
【2月5日】
カーク・ダグラス
 俳優。アカデミー主演男優賞には『チャンピオン』(1949)、『悪人と美女』(1952)、『炎の人ゴッホ』 (1956年)の3作品でノミネートされたがいずれも受賞に至っていない。
【2月8日】
小林直樹
 東大名誉教授(憲法学)。著書『憲法第九条』(2002年、岩波新書)など。
【2月11日】
野村克也
 元プロ野球選手(南海)。選手引退後も南海、ヤクルト、阪神楽天の監督を歴任。「パリーグ初の三冠王、戦後初の三冠王を達成したこと(日本初の三冠王は戦前で、巨人の中島治康)」「九回のホームラン王を達成したこと(現在でもパリーグ最多記録。なおホームラン王最多記録は王貞治の一五回)」などでも知られる。
【3月3日】
勝目梓
 小説家。なお、生前の氏が月刊前衛に登場し、びっくりさせられたのも今となっては「良い(?)思い出」です。何せ芸風が「大藪春彦」とかそっち関係(エロとバイオレンス)の方ですからね。
 ググったら若林さんに期待します/都知事選/著名人アピール賛同広がる/井上ひさし、勝目梓、松村禎三さんら 520氏に(2003年4月3日)、各界著名59氏が表明/「日本共産党の躍進に期待します」(2005年8月23日)、日本共産党の躍進に各界著名人が期待/いっせい地方選挙(2007年3月22日)にも勝目氏の名前が出てきますね。まあ、勝目氏ももともとは純文学の方のようですが(その点は芥川賞受賞作家でありながら、エロ小説に転じた宇能鴻一郎に似ています)。
【3月4日】
ハビエル・ペレス・デ・クエヤル
 国連事務総長、ペルー首相を歴任
【3月9日】
今井清一
 横浜市立大学名誉教授。著書『昭和史』(遠山茂樹*3藤原彰*4との共著、1955年、岩波新書)、『大空襲5月29日:第二次大戦と横浜(新版)』(1995年、有隣堂)、『横浜の関東大震災』(2007年、有隣堂)、『濱口雄幸伝(上・下)』(2013年、朔北社)、『関東大震災と中国人虐殺事件』(2020年、朔北社)など
古賀俊昭
 元都議(自民党)。元都議会拉致議連会長。古賀のクズぶり、外道ぶりについては、たとえばこんなクズ野郎が「都議会拉致議連会長」なのだから、拉致問題が世間から嫌がられるのも理の当然だ(古賀俊昭の死に寄せて) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照。
【3月21日】
◆加戸守行
 元文科官僚(リクルート疑惑で高額接待を受けていたことが発覚し、官房長を退官に追い込まれる)。退官後、日本芸術文化振興会理事長、JASRAC理事長などを経て愛媛県知事。「第二次安倍内閣教育再生実行会議議員」、「美しい日本の憲法をつくる愛媛県民の会」実行委員長、日本会議愛媛県支部相談役に就任するなど極右で知られる。
増岡弘
 声優。俳優。代表作として、日本テレビアニメ「それいけ!アンパンマン」(ジャムおじさん役)、フジテレビアニメ「サザエさん」(フグ田マスオ役)。
宮城まり子
 女優。歌手。ねむの木学園園長
【3月28日】
李英和*5
 関西大学教授。李については李英和氏の死があまり報じられないことが、対北朝鮮や拉致問題への関心の実情ではないか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)李英和氏の死についての記事がいまさらアクセスが多かったことに、「どうもなあ」と思った - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照
【3月29日】
志村けん
 コメディアン。ドリフターズメンバー(コロナ感染による死去)。
山本博文
 東大教授(日本近世史)*6
【4月23日】
岡江久美子
 女優(コロナ感染による死去)。
【5月20日
塚本三郎
 元民社党委員長。国家基本問題研究所理事、頑張れ日本!全国行動委員会愛知県本部顧問など右翼団体の役員を歴任。
【6月5日】
◆川崎富作
 川崎病の発見者として知られる医師
横田滋
 元拉致被害者家族会会長
【7月2日】
桑田次郎
 『まぼろし探偵』『月光仮面』『8マン』などで一世を風靡した漫画家
【7月10日】
◆朴元淳
 ソウル市長。セクハラ疑惑を苦にして自殺。
【7月30日】
李登輝
 元台湾総統
【8月10日】
◆渡哲也
 俳優。元石原プロ社長。
【8月23日】
渡部恒三
 いわゆる竹下派七奉行の一人。中曽根内閣厚生相、海部内閣自治相・国家公安委員長、宮沢内閣通産相など歴任
【9月10日】
村上正邦
 宮沢内閣労働相、自民党参院幹事長、参院議員会長など歴任。いわゆるKSD事件で有罪判決を受け政治的に失脚。
【10月4日】
高田賢三
 ファッションデザイナー(コロナ感染による死去)
【10月31日】
ショーン・コネリー
 俳優。映画『007』シリーズの初代ジェームズ・ボンド役で有名。1987年に『アンタッチャブル』でアカデミー助演男優賞を受賞
【11月12日】
小柴昌俊
 東大名誉教授。2002年ノーベル物理学賞受賞者。
【11月20日
矢口高雄
 漫画家。代表作『釣りキチ三平
【11月25日】
ディエゴ・マラドーナ
 元サッカーアルゼンチン代表チーム選手。元サッカーアルゼンチン代表チーム監督。 
【12月5日】
◆免田栄
 死刑冤罪事件「免田事件」の元被告人
【12月7日】
有馬朗人
 東大名誉教授。東大理学部長、総長、小渕内閣文相(科技庁長官兼務)など歴任。
小松政夫
 コメディアン
【12月17日】
林家こん平
 落語家。元「笑点」メンバー
【12月23日】
なかにし礼
 作詞家、作家。2000年に小説『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞。作詞家としての代表作として細川たかし北酒場』(1982年、日本レコード大賞受賞)など。
【12月27日】
羽田雄一郎
 野田*7内閣国交相民主党参院幹事長、民進党参院幹事長などを経て立憲民主党参院幹事長。羽田孜*8元首相の息子(コロナ感染による死去)。
【12月29日】
ピエール・カルダン
 フランスの著名なファッションデザイナー
【12月31日】
◆中村五木
 熊本県天草市長(急性心筋梗塞)。天草市は当分の間、金子邦彦・副市長が職務を代理すると発表。公職選挙法の規定により、市選挙管理委員会中村市長の死亡が届けられて50日以内に市長選が実施される。

などがなくなりました。コロナ感染により志村けん岡江久美子羽田雄一郎の三氏が死去されています(名前は俺の興味関心から適当に挙げました)。加戸や古賀、塚本三郎村上正邦李英和のような「トンデモ極右」「クズ」「外道」(村上の場合は裁判所お墨付きの犯罪者)には追悼の言葉など「義理でも言う気はありませんが」他の方については「心よりご冥福をお祈りします」。
 そういえば「都議会拉致議連会長だった古賀」も今年物故してるわけですが、いかに拉致議連メンバーとは言え「非常識右翼過ぎて好意的には取り上げづらい(実際、後述しますが高世は一回だけですが古賀を批判しています)」が「古賀批判して救う会や家族会の反発を買うのも怖い」ということで、古賀の死について高世が「今回の坂野の死去」とは違い取りあげずに逃げたことは言うまでもありません。
 ちなみに高世は朝鮮人虐殺否定論の横行を危惧する - 高世仁の「諸悪莫作」日記(2020年9月6日)で

2017年3月、都議会で自民党古賀俊昭都議が、墨田区横網町公園朝鮮人追悼碑には朝鮮人6千人が殺されたとあるが、この数字には根拠がないと追及した。

と古賀を批判はしていますが、そんな古賀が「都議会拉致議連会長だったこと」には何一つ触れないし、古賀同様の「関東大震災での朝鮮人虐殺」否定派である「小池*9都知事批判や工藤美代子批判に絡めての批判で古賀批判はこの高世記事のメインではない」のだからまあデタラメです(高世的にはこのレベルですら「古賀批判したんだから評価しろ!」なのかもしれませんが)。古賀のような下劣な輩が拉致議連幹部であること(まあ他にも平沼赳夫*10とか松原仁*11とか色々いますが)を高世ら「自称・拉致被害者家族支援者たち」が容認したことがいかに問題だったか言うまでも無いでしょう。今の「拉致敗戦」も「蓮池透氏の家族会退会」も理由の一つは明らかにそれです。
 いつもながら高世も呆れたバカです。高世には「とっとと故郷の山形に隠居しろよ、ゲス野郎。二度と表舞台に出るな」と言う言葉を贈りたい。

 10月14日に進行性胃がんで83歳で死去と死亡記事にあったが、『選択』7月号の坂野氏の巻頭インタビュー《安倍政権は日本の民主主義を食い尽くした》を読んでいたので、ちょっと驚いた。もう病気が進んでいたときだろうから、遺言のつもりで取材に答えたのではないか。そう思って再読すると、迫ってくるものがある。

 と言う高世ですが坂野(高世が紹介する文章を読む限りでは坂野のことを何一つ評価できないので呼び捨てにします)の主張は「後で思う存分悪口雑言する予定」ですが、はっきり言って俺の認識では「事実や論理に反するトンデモ主張」なので「このバカ爺、なんでこんなに馬鹿なことを抜かしてるんだろう?」「何でこんなアホ爺のくだらない寝言を高世は評価できるんだろう?」「こんなんでも東大教授になれるの?。まあ、藤岡信勝小堀桂一郎、酒井信彦のようなトンデモウヨも東大教授だし仕方が無いのか?」という感想しかないですね。「迫ってくるもの」なんか何もなく、「病死する前の発言ならもうすこしまともなこと言えよ、爺」という否定的感想しかない。
 正直、坂野の主張があまりにもとんでもないので「会員制雑誌」、つまり書店で売ってない「選択」なんてマイナー雑誌しか載せてくれないのではないのか。
 それにしても坂野の顔写真については「こんなみすぼらしい貧相な顔(顔が痩せこけている上に醜いしみだらけ)を乗せるくらいなら健康なときの写真を載せれば良いのに」と思いますね。いやー坂野の親族や弟子、ファンは俺のような人間には「坂野先生を馬鹿にするな!」と怒るのかもしれませんが、俺はどうしても「何だ、この馬鹿?」と思うとついつい悪口雑言してしまう「狭量な性格」ですので。
 まあ、例のid:Mukkeなら「東大名誉教授の坂野氏に失礼だ」と言い出すのでしょうが、俺は東大名誉教授だろうが何だろうが「バカだと思う奴」には悪口することにしています。

インタビュアー
 河井克行、案里夫妻が公職選挙法違反容疑で逮捕されました。
坂野:
 目を疑った。なぜこんなことが、よりによって今の世の中に出てくるのか。明治、大正、昭和の時代でも、封筒で現金を配るということはなかった。仮にカネを渡すのでも、もっと巧妙な手段があった。この行為には倫理性のかけらもない。政治のどこかが狂っている。

 いやいや過去の選挙でも、伊藤栄樹「秋霜烈日」(朝日文庫)で取り上げられた(つまりは伊藤氏が捜査に関わったと言うことですが)鮎川義介*12公選法違反(買収)は伊藤著書によれば、相当酷い物だったそうですし、この種の買収行為に前例がないわけではありません。
 ただし「固い地盤を持ち当選確実な現職・溝手氏*13」をくだらない私怨から党総裁の安倍*14が引きずり下ろし、当選が難しい新人・河井案里を立てた上、その不利を挽回するため露骨な買収に走る、なんてのは確かに前例がないかもしれませんが。
 以下も同様ですが、安倍の無法を非難するのは結構ですが、過剰に「昔は良かった」と坂野が言い出すのは勘弁して欲しいもんです。
 戦前にせよ、「安倍政権以前の戦後」にせよ

【戦前】
◆与党・憲政会(当時は第一次若槻*15内閣)の総務・箕浦勝人*16、野党・政友会の前幹事長・岩崎勲、野党・政友本党の総裁・床次竹二郎*17ら大物政治家の名前が浮上した松島遊郭疑獄
◆鉄道大臣小川平吉*18の名前が浮上した五私鉄疑獄
【戦後】
西尾末広*19前副首相が起訴され芦田内閣が崩壊した昭電事件(但し後に西尾には無罪判決)
佐藤栄作*20自由党幹事長、池田勇人*21自由党政調会長の名前が浮上し、吉田*22首相が指揮権発動で捜査を潰した造船疑獄
◆映画化された石川達三の小説「金環蝕」の元ネタである九頭竜川ダム疑惑池田勇人首相の名前が疑惑の政治家として浮上)
◆田中*23元首相、橋本*24官房長官が起訴されたロッキード事件
◆岸*25元首相が議員引退に追い込まれたダグラスグラマン疑惑
◆中曽根*26前首相、竹下*27首相、宮沢*28蔵相、安倍晋太郎*29幹事長、渡辺*30政調会長ら政権幹部の名前が浮上し、竹下内閣が崩壊。後継首相に傍流の海部氏*31が急遽就任したリクルート事件
◆橋本*32元首相、青木*33官房長官、野中*34官房長官の名前が浮上した日歯連疑惑

など政治家の汚職は山ほどあるわけです。

インタビュアー
 戦後民主主義は失敗ですか?
坂野:
 そもそも戦前に民主主義がなかったという考えが間違っている。
 1925年には、25歳以上の男性の普通選挙制が導入*35され、政友会や民政党政党政治も存在した。大正デモクラシーだ。戦前には、吉野作造美濃部達吉といった知識人、濱口雄幸*36高橋是清*37といった政治家*38が続々と現れた。今、こういうスケールの人たちは、どこにいますか?*39
 政治学者の丸山眞男さん*40(故人・東京大学名誉教授)が、「戦前の日本は真のデモクラシーではない」と唱え、戦後民主主義の寵児になった。
 ところが、戦争責任をすべて戦前の知識層に背負わせて、「民主主義は戦後になって生まれた」とすると、どうしても根っこのないもの、思想のないものになってしまう。「戦後民主主義」が当初言われたほど、輝かしいものにならなかったのもこのためだ。

 坂野の馬鹿さには「はあ?」ですね。
 天皇主権で、「特高警察が小林多喜二を虐殺」し、無謀な侵略で1945年の敗戦に突入した戦前日本のどこが「まともな民主主義」なのか?
 不敬罪治安維持法、枢密院、貴族院や元老など「反民主的制度の存在した戦前日本」のどこが「まともな民主主義」なのか?
 俺的には

外国人差別はあったものの、『関東大震災での朝鮮人虐殺』レベルの残虐事件がなかった
◆無謀な戦争を外国相手にやらかして多数の死人を出さなかった

だけ戦後民主主義の方がよほど「坂野が美化したいらしい戦前民主主義」より「まともな民主主義」だと思いますが。

 「戦後民主主義」が当初言われたほど、輝かしいものにならなかった

のは坂野の言うような「寝言」ではなく「退位すらしなかった昭和天皇」「賀屋興宣(戦前、第一次近衛内閣、東条内閣で蔵相。元戦犯。無期刑を受けるが後に仮釈放され政界に復帰。池田内閣法相、自民党政調会長(池田総裁時代)など歴任)」「岸信介(戦犯容疑者、安倍晋三の祖父)」などが典型的ですが「戦前軍国主義にルーツを持つ右翼政治家ら」が戦後も政治力を持ち続け「戦前の負の遺産」を戦後に持ち越したからでしょうに。
 安倍が正当化しようとする「靖国」「徴用工」「慰安婦」すべて「戦前日本の負の遺産」でしょうよ。何でそれで坂野は戦前民主主義を美化できるのか。

戦前には、吉野作造美濃部達吉といった知識人

という坂野ですが、丸山だって吉野や美濃部への評価はもちろんしています。丸山もさすがにそこまでバカじゃない(正直、丸山に悪口する坂野って自分が『丸山ほどのビッグネームになれなかった醜い嫉妬』があるんじゃ無いか。坂野とはその程度の小人物ではないのか。つまりは発達障害、精神障害の可能性のある有名人はかなりいるようだ(映画やドラマの登場人物にも、それをうかがわせるキャラクター多し) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が紹介する『村上春樹に悪口する某編集者』の同類ではないのか)。
 しかし美濃部が弾圧された天皇機関説事件などで、吉野らが結局「政治力を失った」のが戦前日本だったわけです。当然「結局、1945年の敗戦に突入した戦前日本民主主義には重大な欠陥があった」「戦後民主主義はその欠陥を是正しなければいけない」という立場に丸山が立つのはある意味当たり前ではないのか。そもそもそう言う立場に立ったのは丸山「ただ一人」というわけではもちろんありませんし。
 というか、安倍を支持するような連中がそんな高尚(?)な話をしてるわけもないでしょうよ。連中は「戦前民主主義云々」「丸山真男云々」なんて高尚な話などしておらず、「うちの地元の先生が箱物を立ててくれたから支持する」「その先生が自民党所属だから自民党を支持する」程度の話しかしない。
 というか「戦後民主主義を評価する人間(戦前日本に批判的な人間)」だって丸山に限らず、「何から何まで戦前全否定」と言う人間もまず居ないでしょうに、坂野は何を馬鹿なことを言ってるのか。
 例えば「戦前の暗黒政治の中で山本宣治は命を賭けて戦った(日本共産党など)」なんてのは立派に「戦後民主主義は戦前にある種のルーツ(この場合は山本宣治)がある」つう話の訳です。
 戦前は獄中にいた共産党幹部の徳田球一宮本顕治がわかりやすいですが彼らは戦前から活動してるわけです。

インタビュアー:
 戦後世代は、「欧米型の市民社会」という概念も教えられました。
坂野:
 うん。ただ、今の(ボーガス注:バイデン不正選挙論など明らかなデマまで飛ばす?)トランプ大統領を見て、「米国は民主主義だ」と誰が思うのだろうか。最近の(ボーガス注:EU離脱騒動でのドタバタ振りで?)英国政治の動向を見て、「素晴らしい民主政治だ」とも思わないだろう。
 欧米のような市民社会がなくても、日本は「ないなりの民主主義」でやってきた。無理に「市民社会」を真似しようとすると、民主党政権のようになってしまう。

 民主主義として欠陥だらけの戦前日本を美化する坂野のような馬鹿野郎に「欧米の民主主義にも問題がある」なんて言う資格は全くないでしょう。坂野には山縣有朋*41が死去したときに「アンチ山県」の石橋湛山*42が吐いたという言葉「死もまた社会貢献(平たく言えば『バカが死んで本当によかった』という意味)」という言葉を贈呈したい。
 それにしても

無理に「市民社会」を真似しようとすると、民主党政権のようになってしまう。

という坂野の主張は俺には意味不明ですね。
 「沖縄米軍基地県外移設公約を反故にし、それに反対した福島少子化等担当相を更迭する」「八ッ場ダム建設中止公約を反故にする」「消費税増税しない公約を反故にし消費税を増税する」など「自民党政治と大して変わりが無かった民主党政権」のどこが「市民社会の真似」なのか。
 鳩山内閣国交相菅内閣外相だった前原が一番わかりやすいですが、民主党政権には前原のような「自民党と見分けがつかない政治家(当然市民運動出身でもない)」がゴロゴロ居たのに坂野は何を馬鹿なことを言っているのか?

坂野:
 民主党政権の誕生は、都市型野党にとって50年に一度の勝利だったが、思い切った政策を出せずに、守りに入ってしまった。

 坂野の言う「都市型野党」「50年に一度の勝利」の意味がさっぱり分かりませんし、「民主党政権」のどこが「守りに入った」のか。単に「政権を取ることだけが目的でまともに政治を考えていなかった」がゆえに「菅首相談話」など一部を除いて「自民党政治をほとんど踏襲した(典型的には基地県外公約を反故にした沖縄問題)」としか俺には見えません。
 そんなのは「守りに入った」なんて「ご立派な物」ではまったくない。

 日本の伝統的民主主義というのは、あまり魅力があるものではないが、国際政治の嵐の中で、なんとか生き延びていくのではないか。

 おいおいですね。「今まで何とかやってきたからこれからもなんとかやってけるんじゃないの?」とは随分と「主体性のない投げやりな態度」です。まあ、「ガンで死が間近に迫っていた」からこそ坂野も投げやりになっていたのかもしれませんが。
 しかし、坂野を真似して

・今の(ボーガス注:バイデン不正選挙論など明らかなデマまで飛ばす?)トトランプ大統領を見て、「米国は民主主義だ」と誰が思うのだろうか。最近の(ボーガス注:EU離脱騒動でのドタバタ振りで?)英国政治の動向を見て、「素晴らしい民主政治だ」とも思わないだろう。
・欧米のような市民社会がなくても、中国は「ないなりの人民民主主義(?)」でやってきた。世界に冠たる経済大国になった。無理に「市民社会」を真似しなくてもいい
・中国の伝統的な人民民主主義(?)というのは、あまり魅力があるものではないが、国際政治の嵐の中で、なんとか生き延びていくのではないか。

と言ったらたぶん「明らかにアンチ中国」高世や「恐らくアンチ中国」坂野は「中国の一党独裁を擁護するのか!」と「怒り出すんだろうな」つう気はします。俺の理解では高世や坂野の「日本政治に対する物言い」って「中国に対するそう言う物言い」と何が違うのかよく分かりませんが。全く違わないのに「日本には甘々」で「中国には厳しい」だけのダブスタじゃないのか。
 ちなみに俺の理解では
1)半分は「サウジやエジプトなどの独裁を容認しながら、中国を独裁呼ばわりするダブスタな欧米や日本の政府、社会」への「批判、皮肉」として
2)半分は「現実から乖離したきれい事言ったって現実的には力が無い」「漸進的な民主化が現実的だ」「昔に比べれば中国はずっと民主化してるし、経済的にも豊かになっている。長い目で見れば権利は明らかに向上している。一部の反中国分子(極右だけではなく、朝日新聞日本共産党・志位執行部なども含む)の物言いはあまりにも問題がありすぎる」という「ある意味本音、本心として」

・今のトランプ大統領を見て、「米国は民主主義だ」と誰が思うのだろうか。最近の英国政治の動向を見て、「素晴らしい民主政治だ」とも思わないだろう。
・欧米のような市民社会がなくても、中国は「ないなりの人民民主主義(?)」でやってきた。無理に「市民社会」を真似しなくてもいい
・中国の伝統的民主主義(?)というのは、あまり魅力があるものではないが、国際政治の嵐の中で、なんとか生き延びていくのではないか。

に近いことを
「西側デモクラシー」と「中国デモクラシー」の違い|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2019.9.16
「中国的民主」とは何か|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2020.5.2
「人民」と「中国的民主」|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2020.5.27
中国の「全過程民主」|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2020.6.13
中国共産党統治に対する中国人の満足度|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2020.7.20
などで言っているのが浅井基文氏です(詳しくは浅井記事をお読み下さい)。そんな浅井氏は例えば阿部治平、澤藤統一郎、田畑光永など「リベラル21の反中国分子」連中には「ただの中国びいき」と否定的にしか見なされてないようですが、俺個人は正直浅井先生の中国認識には大いに共感します(坂野や高世の日本政治評価には全く共感しませんが)。
 「高世の坂野評価」風に言えば「浅井先生の中国政治論」については

(ボーガス注:中国政治についての)深い問題提起である。  

と俺は思っています。

深い問題提起である。  

 ということで高世とは違い、俺は坂野の主張については「事実や論理に反する寝言」「聞くだけ時間の無駄」としか理解していません。坂野が亡くなったことを「惜しい」とも全く思わない。浅井先生が亡くなったら「浅井ファン」として深く嘆くと思いますが。浅井先生には長生きをして頂き、大いに健筆を振るって欲しい、と思います。

*1:ウィキペディアによれば「さかの」ではなく「ばんの」。死去したのは今年の10月14日です。

*2:著書『昭和史の決定的瞬間』(2004年、ちくま新書)、『明治デモクラシー』(2005年、岩波新書)、『未完の明治維新』(2007年、ちくま新書)、『近代日本の国家構想:1871‐1936』(2009年、岩波現代文庫)、『日本政治「失敗」の研究』(2010年、講談社学術文庫)、『明治国家の終焉:一九〇〇年体制の崩壊』(2010年、ちくま学芸文庫)、『日本近代史』(2012年、ちくま新書)、『西郷隆盛明治維新』(2013年、講談社現代新書)、『近代日本とアジア:明治・思想の実像』(2013年、ちくま学芸文庫)、『〈階級〉の日本近代史:政治的平等と社会的不平等』(2014年、講談社選書メチエ)、『近代日本の構造:同盟と格差』(2018年、講談社現代新書) 、『明治憲法史』(2020年、ちくま新書)など

*3:1914~2011年。横浜市立大学名誉教授。著書『明治維新と現代』(1969年、岩波新書)、『明治維新天皇』(1991年、岩波セミナーブックス)、『明治維新』(2000年、岩波現代文庫)、『戦後の歴史学と歴史意識』(2001年、岩波モダンクラシックス)など

*4:1922~2003年。一橋大学名誉教授。著書『南京大虐殺』(1988年、岩波ブックレット)、『南京の日本軍:南京大虐殺とその背景』(1997年、大月書店)、『天皇の軍隊と日中戦争』(2006年、大月書店)、『餓死した英霊たち』(2018年、ちくま学芸文庫)、『中国戦線従軍記:歴史家の体験した戦場』(2019年、岩波現代文庫)など

*5:著書『在日韓国・朝鮮人参政権』(1993年、明石書店)、『北朝鮮 秘密集会の夜』(1996年、文春文庫)、『朝鮮総連と収容所共和国』(1999年、小学館文庫)、『極秘潜入:金正日政権深奥からの決死レポート』(2003年、小学館)、『暴走国家・北朝鮮の狙い』(2009年、PHP研究所)など

*6:著書『参勤交代』(1998年、講談社現代新書)、『長崎聞役日記:幕末の情報戦争』(1999年、ちくま新書)、『鳶魚で江戸を読む:江戸学と近世史研究』(2000年、中公文庫)、『島津義弘の賭け』(2001年、中公文庫)、『対馬藩江戸家老:近世日朝外交をささえた人びと』(2002年、講談社学術文庫)、『江戸お留守居役の日記:幕末期の萩藩邸』(2003年、講談社学術文庫)、『切腹』(2003年、光文社新書)、『江戸城の宮廷政治:熊本藩細川忠興・忠利父子の往復書状』(2004年、講談社学術文庫)、『徳川将軍と天皇』(2004年、中公文庫)、『日本史の一級史料』(2006年、光文社新書)、『お殿様たちの出世:江戸幕府老中への道』(2007年、新潮選書)、『学校では習わない江戸時代』(2007年、新潮文庫)、『徳川将軍15代』(2011年、小学館101新書)、『史料が語る犯科帳の真実:江戸のお白洲』(2011年、文春文庫)、『これが本当の「忠臣蔵」:赤穂浪士討ち入り事件の真相』(2012年、小学館101新書)、『「忠臣蔵」の決算書』(2012年、新潮新書)、『歴史をつかむ技法』(2013年、新潮新書)、『大江戸御家相続』(2016年、朝日新書)、『格差と序列の日本史』(2016年、新潮新書)、『東大教授の「忠臣蔵」講義』(2017年、角川新書)、『江戸の「事件現場」を歩く』(2017年、祥伝社新書)、『家光は、なぜ「鎖国」をしたのか』(2017年、河出文庫)、『流れをつかむ日本史』、『武士の人事』(以上、2018年、角川新書)、『「関ヶ原」の決算書』(2020年、新潮新書)など

*7:鳩山内閣財務副大臣菅内閣財務相、首相、民進党幹事長(蓮舫代表時代)などを経て現在、立憲民主党最高顧問

*8:中曽根、竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、新生党党首、細川内閣副総理・外相などを経て首相。首相退任後も太陽党党首、民政党党首、民主党幹事長など歴任

*9:小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)などを経て都知事

*10:村山内閣運輸相、森内閣通産相小泉内閣経産相たちあがれ日本代表、維新の会代表代行、次世代の党党首など歴任

*11:野田内閣で国家公安委員長

*12:1880~1967年。日産コンツェルン創始者満州重工業開発総裁、帝国石油社長、石油資源開発社長などを歴任(鮎川義介 - Wikipedia参照)

*13:第一次安倍内閣国家公安委員長

*14:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*15:第三次桂、第二次大隈内閣蔵相、加藤高明内閣内務相などを経て首相

*16:第二次大隈内閣で逓信

*17:原、高橋内閣内務相、政友本党総裁、犬養内閣鉄道相、岡田内閣逓信相など歴任

*18:加藤高明内閣司法相、田中義一内閣鉄道相など歴任

*19:社会党書記長(片山委員長時代)、片山内閣官房長官、芦田内閣副総理、民社党委員長など歴任

*20:運輸次官から政界入り。自由党幹事長、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*21:自由党政調会長、吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*22:戦前、天津総領事、奉天総領事、駐スウェーデン公使、外務次官、駐伊大使、駐英大使など歴任。戦後、東久邇、幣原内閣外相を経て首相

*23:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*24:池田内閣建設相、佐藤内閣官房長官、建設相、運輸相、自民党総務会長(佐藤総裁時代)、幹事長(田中総裁時代)など歴任

*25:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(いずれも鳩山一郎が総裁)、石橋内閣外相などを経て首相

*26:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*27:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*28:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。

*29:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*30:福田内閣厚生相、大平内閣農水相、鈴木内閣蔵相、中曽根内閣通産相自民党政調会長(竹下総裁時代)、宮沢内閣副総理・外相など歴任

*31:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相などを経て首相。首相退任後も新進党党首。

*32:大平内閣厚生相、中曽根内閣運輸相、自民党幹事長(宇野総裁時代)、海部内閣蔵相、自民党政調会長(河野総裁時代)、村山内閣通産相などを経て首相

*33:小渕、森内閣官房長官自民党参院幹事長、参院議員会長など歴任

*34:村山内閣自治相・国家公安委員長小渕内閣官房長官自民党幹事長(森総裁時代)など歴任

*35:ということはそれ以前は「納税額による制限選挙だった」ということですし、それ以降も戦後になるまで「女性には参政権はなかった」わけです。

*36:加藤高明、第一次若槻内閣蔵相、第一次若槻内閣内務相などを経て首相。首相在任中に右翼に狙撃され重傷を負い首相を退任。その翌年に狙撃での傷が元で病死

*37:原、高橋、加藤高明、第一次若槻、田中義一、犬養、斉藤、岡田内閣蔵相、首相など歴任。岡田内閣蔵相在任中に二二六事件で暗殺される。

*38:まあ「選択」がウヨ系の雑誌だというのもあるのでしょうがここで「山本宣治」など左派政治家の名前が何一つ出ないあたり、坂野とは「ウヨ学者」なのでしょう。

*39:俺個人が「左派であることによるひいき目」があることは勿論否定しません。また彼らに「欠陥がない」とも言いませんが、土井たか子社会党委員長、社民党党首を歴任。故人)、不破哲三共産党書記局長、委員長など歴任)、宮本顕治共産党書記長、委員長など歴任。故人)などという人物は充分「スケールの大きな戦後政治を代表する人物」だと俺は思っています。

*40:著書『忠誠と反逆:転形期日本の精神史的位相』(1998年、ちくま学芸文庫)など

*41:陸軍卿、内務卿、第一次伊藤、黒田内閣内務相、首相、第二次伊藤内閣司法相、枢密院議長など歴任。元老の一人。

*42:戦前、東洋経済新報主幹。戦後、吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相などを経て首相