今日の産経ニュース(2020年12月29日分)

世界で広がる新型コロナ後遺症被害 急がれる原因究明 治療法開発(1/2ページ) - 産経ニュース
 ということで「コロナには後遺症がある上、その治療法も現時点では確立していない」のでコロナを「風邪と同一扱いしたり」「高齢者や基礎疾患がなければ死ぬこともなく怖くない病気」などとする一部の暴論は論外です。
 三密回避、マスク着用、石けんなどでの手洗い(あるいは手のアルコール消毒)、うがいなどで感染を回避できるならそれがベストです。とはいえ、もはや「東京で900人越え」となると「感染予防に最善を尽くすが感染しても仕方がない(死ぬとは限らない、最悪でも、死ななければいい)という諦めも一方では持たざるを得ない」気すらしてきますが。


森田健作知事4選不出馬表明、地球史の一時代がチバニアンに 千葉の1年(1/3ページ) - 産経ニュース
 「俺の願望込み」ですが、モリケンの前任知事・堂本暁子*1
が「社会党参院議員→新党さきがけ参院議員」であり、「ある種のリベラル性」を有していたことを考えれば「野党共闘でそれなりにまともな候補」を立てて、自公に勝利することも「全くの不可能」とはいえないのではないか。その点、野党各党の努力を期待したい。


【正論】稀に見る時代と社会変革の兆し 名古屋市立大学教授・松本佐保 - 産経ニュース

・国内政治での大きな出来事は、安倍晋三*2首相の辞任であろう。
・外交への評価は高く、世界の首脳から惜しまれた。「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」と言われ、欧米だけでなく中東やアフリカ諸国との外交にも時間を割いたからである。特に世界中の多くの首脳が苦手とした人物、しかし日本にとって最も重要なパートナー、米大統領トランプ氏との接近に、無理難題を突き付けられながらも、成功したことである。

 「安倍応援団」産経新聞なら予想の範囲内ですが良くもここまでデタラメなことが書けるもんです。この松本教授が「まともな研究者とはおよそ言えないこと」がこの文でよく分かります。そもそも「政治学者の端くれ」とはいえ、『バチカン近現代史』(2013年、中公新書)、『熱狂する「神の国アメリカ:大統領とキリスト教』(2016年、文春新書)、『アメリカを動かす宗教ナショナリズム』(2021年2月刊行予定、ちくま新書)という著書でわかるように『欧米政治(特に米国政治)とキリスト教の関係』を研究テーマとする松本氏は「バチカンが国際政治に与える影響」「キリスト教原理主義とトランプ共和党の関係」などならともかく「日本外交への国際的評価」など明らかに専門外であり、こんなコラムを書くこと自体が変ですが。
 リップサービスならともかく本心で「安倍の退任が残念だ」なんて首脳はいないでしょう。安倍は何ら有能な政治家ではないからです。以前も書きましたが「鳩山*3内閣の日ソ国交正常化」「佐藤*4内閣の沖縄返還、日韓国交正常化」「田中*5内閣の日中国交正常化」のような「特筆すべき外交成果」は安倍には何一つない。
 この産経コラムですら「トランプと仲が良かった」などという「成果とは言えないこと」を成果にする無様さです。例えば「米国との関係が良かったが故に佐藤内閣は沖縄返還に成功した」のような成果がなければ「仲が良い」なんて何ら成果ではない(そもそも本当に仲が良かったのかも疑問ですが)。
 かつ「コロナ失政(対応を誤ってコロナが蔓延)」や「モリカケ桜を見る会などの不祥事発覚」時点で外国首脳は「いつ安倍政権が崩壊してもおかしくない」と思っていたことでしょう。普通の国ならどちらも「即刻退陣しておかしくない問題」だからです。
 実際に日本でも「金脈疑惑」で田中内閣が、リクルート事件で竹下内閣が退陣している。
 「コロナ失政」と「モリカケ、桜などの不祥事発覚」でも「日本史上最長期間の内閣=安倍政権」とは恥ずかしい限りです。そして外国首脳が「政治的不祥事やコロナ失政を割り引いても安倍は有能な外交家であり退任したら惜しい」と思っていたとはとても思えない。
 いやもしかしたら「安倍が無能だから安倍が首相で居続ければ、日本の政治的地位は落ち続けるだろう。我々にとっては有り難い。だから安倍退陣が残念だ」と思っていた首脳はいるかもしれませんが(半分は安倍と安倍信者への皮肉ですが半分は本気です)。


「釣りキチ三平」誕生の背景描く 元産経記者、矢口高雄さん評伝 - 産経ニュース

 元産経新聞記者の藤沢志穂子さん(53)が、11月に亡くなった漫画家、矢口高雄さんの評伝を出版した。評伝のタイトルは「釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝」(世界文化社、1760円)。矢口さんが出身地の秋田県で勤めていた銀行を辞め、漫画家への転身を決意するまでの心境の変化にも触れているほか、多くの原画を掲載した。
 藤沢さんは平成28~31年に産経新聞社の秋田支局長を務めた。その際、矢口さんの漫画のキャラクターが地元の秋田で愛され続けていることを知り、東京都内などでインタビューを重ねたという。
 現在、県立広島大職員の藤沢さんは「矢口さんは地方の価値、課題を発信し続けた人。作品の魅力はもちろん、漫画文化を後世につなげようと尽力した姿を知ってほしい」と話している。

 まさか「50歳定年」ではないでしょうから早期退社ですね。まあ、確かに産経に定年まで勤め続けても大してメリットはないでしょう。
 なお、「初の評伝」であり「正伝がないのに外伝とは何?」ですがそこは「堅苦しくない書きぶりの評伝=外伝」と言う意味合いでしょう。

参考

「釣りキチ三平」矢口高雄さんの評伝発売 「カジカ」釣りが原点、名付けの秘話も:東京新聞 TOKYO Web2020年12月19日
 評伝では全国的釣りブームをおこした「釣りキチ三平」の制作の経緯を紹介。秋田の貧しい農村の小作農家に生まれた矢口さんにとって、川でハゼに似たカジカを食事のおかずにするため、漁具で刺したのが「釣り」の原体験。「三平」の名前は、「カムイ伝」などの代表作を持ち、矢口さんがあこがれた漫画家白土三平さんから取ったなどのエピソードを盛り込んだ。

「読者に見放されたら」人気絶頂期、矢口高雄さんの葛藤:朝日新聞デジタル2020年12月21日
 11月に81歳で亡くなった秋田県横手市出身の漫画家矢口高雄さんや関係者にインタビューを重ねた評伝が19日、出版された。筆者は元新聞記者の藤沢志穂子さん(53)。
 評伝のタイトルは「釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝」(世界文化社、四六判240ページ、1600円、税別)。
 産経新聞の秋田支局長として2016年10月に着任した藤沢さんは、主人公の三平君がスーパーの商品や各地のポスターにあふれていることに驚いた。矢口さんが漫画の原画保存にも取り組んでいることに興味を抱き、矢口さんに取材したのが最初だった。
 以来、東京の自宅や秋田県内で30回以上本人に電話や対面でインタビューを重ね、矢口さんにゆかりがある多くの関係者にも取材した。
 とりわけ印象深いのは、漫画家として上京する前に勤めた銀行の同僚でもあった友人と、矢口さんの交流だという。超売れっ子だった時期も秋田に帰ると、同宿して枕を並べ、「読者から見放され、食っていけなくなったらどうしよう」と不安を口にした。農村にこだわった作品を描き続けたい思いと、人気が出ないと打ち切られる怖さ。葛藤が伝わってきたという。
 豪雪地帯の自宅から下宿していた高校時代は貧しくて食べられなかったラーメンを、秋田に戻ると必ず食べたというエピソードも知り、故郷への複雑な胸中を垣間見た気がした。
 また、「原画保存の意義や作品の魅力を客観的に描きたい」と、同時代に活躍した漫画家や研究者、当時の担当編集者に話を聞いた。評伝では、美術館の原画の保存活動が漫画の文化的価値を高めることにつながる、といった専門家の見方も紹介している。

https://twitter.com/yaguchi_takao/status/1340938737560080384
矢口高雄
釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝』が重版になりました。(矢口の次女 かおる)
世界文化社
 『釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝』が発売から3日で重版決定!
 本書では作品の貴重な原画も多数収録。元新聞記者の藤澤志穂子さんが、足掛け5年、30回を超えるご本人と関係者への多くのインタビューを通じて見えてきた、矢口氏の人生を振り返ります

追悼・矢口高雄氏「釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝」12月19日発売 - GAME Watch
【推薦帯のコメントを紹介】
「『マタギ』は30年位したら『マンガで学ぶ文化遺産』みたいな感じで読まれる」 【里中美智子*6氏】
「故郷に帰ると『矢口高雄先生くらいにならないと』とよく言われた」 【きくち正太*7
「自然の風景を描く際には『釣りキチ三平』を傍らに置いて参考にしてきた」 【東村アキコ氏】

*1:TBS記者として、1980年、報道ドキュメンタリー「ベビーホテルキャンペーン」で日本新聞協会賞(1981年度)を受賞。1989年、第15回参議院議員通常選挙日本社会党公認で比例区から出馬し、初当選。1994年、社会党を離党し、新党さきがけに入党。その後、さきがけを離党し、参議院クラブ(後に無所属の会に改称)に入党。2001年、千葉県知事選挙に出馬し初当選。2009年まで2期8年務めた。著書『生物多様性』(1995年、岩波同時代ライブラリー)、『堂本暁子のDV施策最前線』(2003年、新水社)など(堂本暁子 - Wikipedia参照)

*2:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官などを経て首相

*3:戦前、田中義一内閣書記官長、犬養、斎藤内閣文相など歴任。戦後、日本民主党総裁、自民党総裁、首相など歴任

*4:運輸次官から政界入り。自由党幹事長、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*5:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*6:原文のまま。たぶん「里中満智子(現在、日本漫画家協会理事長)」の誤記でしょう。

*7:ウィキペディアによれば矢口氏、きくち氏ともに秋田県横手市出身。