今日の産経ニュース(2021年1月4日分)(追記あり)

衆院解散・総選挙「秋のどこか」 首相、会見後「秋まで」に訂正 - 産経ニュース
 「五輪を花道に解散したい(それが一番選挙に有利では無いか??)」という本音が出てしまったようですが
1)コロナの蔓延で五輪が開催できるか分からない
2)「五輪まで解散がない」と思われると「今後の政権支持率や政治情勢にもよる」が、解散を使った政治的牽制が難しくなり「ならば菅おろししても何ら問題ない」ということで与党内の菅おろしを助長しかねない、また野党に対しての解散を使った政治的牽制*1もできない
ということに「後で気づいて」言い直す菅です。
 まあ、お粗末ですね。


【正論】年頭にあたり 「新しい中世」の到来に備えよ 文芸批評家・新保祐司 - 産経ニュース
 記事タイトル「新しい中世」でググる新しい中世 - Wikipediaがヒットし、

田中明彦『新しい中世:相互依存の世界システム』(2017年、講談社学術文庫)

といった著書の存在も分かりますが、新保は別に深い話をしているわけでもない。
 ここでの「新しい中世」は「米国のいわゆる覇権国家としての地位からの転落」「いわゆるパックスアメリカーナアメリカの平和)の終了」「しかしアメリカに変わる覇権国は存在しない状況(遠い将来はともかく、EUも『EU内の先進国である英仏独など』も中露も日韓も米国に変わる覇権国にはならない状況)」とでも理解すれば十分です。
 で「ということは日米安保万歳だけでは今後はやっていけない」「中韓露、EU諸国など、米国以外との国の関係が重要になってくる」という話になりそうなもんですが、そうはならないところが産経らしい。

 我々日本人にとっては、今年は「新しい武士道」の形成が始まる年となる。

 「自分とお仲間だけしか意味が分からないこと」を言ってどや顔する産経文化人のトンデモ振りは今年も健在です。
 「新しい武士道」とは何か?、なぜそれが「新しい中世(米国の国際的地位の低下)」への備えなのか?、は最後まで読んでもさっぱり分かりません。


【異論暴論】正論2月号好評販売中 先人に倣う 貫くべき日本の基軸 - 産経ニュース

 戦後、マルキシズムが大学や論壇を跋扈し、今も影響力を持つことは日本学術会議の顛末を見ても明らか

1)任命拒否された学者たちは「安保関連法や特定秘密保護法違憲と批判した」などの理由で拒否されたのでありマルキストだから拒否されたわけでは無く、実際、拒否された中にはどう見てもマルキストではない人間もいる
2)任命拒否を批判した人々も「立憲民主党代表の枝野」のように明らかにマルキストでない人間もいる
3)マルキストであることがまるで正当な任命拒否理由になるかのような物言いはおかしい
4)戦後の「自民党に批判的な学者たち」は必ずしもマルキストではない(例:吉田茂に「曲学阿世」云々と誹謗された南原繁
と言う意味でデマとしか言い様がない産経文章です。

 昭和初期の「左*2」やその後の軍部を中心とした「右」の全体主義の双方に抵抗した河合栄治郎

 河合を持ち上げながら「河合を攻撃した右翼」と同レベルの「自民党の学術会議攻撃」を応援する産経はデタラメにもほどがあると言うべきでしょう。そもそも、ここで河合の名前しか出ず、「滝川事件の滝川幸辰」「著書が発禁処分を受けた津田左右吉」「天皇機関説事件の美濃部達吉」(いずれも河合のような極右ではないものの、左派では無く保守派)の名前が出ないこと自体が変ですが。「河合の弟子たちが旧民社のイデオローグという極右(つまり産経の同類)」だから河合を持ち上げてるに過ぎないからそうした変なことになるわけです。


【政治デスクノート】衆院解散は春か初夏か「追い込まれ」か すべてにリスクつきまとう - 産経ニュース
 最低限「コロナが終息しなければ」1)解散すべきでないという意味でも、2)批判を恐れて菅は解散しないだろう(野党も同様の理由で解散など求めないだろう)という意味でも終息の見通しがない現時点で「解散など論じるのは馬鹿げています」。


【主張】緊急事態宣言 首相は早期発令の決断を ワクチンの接種開始も急げ - 産経ニュース
1)菅首相、西村担当大臣、尾身会長、小池都知事などは明らかに緊急事態宣言発令に現時点では乗り気ではない
2)枝野立民党代表など野党の一部から「(東京、愛知、大阪など感染者数増加が深刻な地域に限った上でだが、)緊急事態宣言発令」を求める声が出てきた
ということで「自民応援団、アンチ野党」産経は「経済への悪影響も危惧されるので緊急事態宣言については慎重に判断したい」位にとどめるのかと思いきや意外な社説です。
【追記】
 昨年末までは明らかに「緊急事態宣言発令に消極的な菅政権」が1/4になるや「今週中(木曜頃)に発令の予定」とはびっくりです。
 1月1~3日の感染者数で考えを変えたのか?

*1:とはいえ、「自民応援団」維新や国民民主、特に支持率がずっと低迷の国民民主はともかく、そんな牽制で立民、共産、社民、れいわも菅批判を手控えないでしょうが

*2:そもそも戦前の「左」のどこが全体主義なのか。権力を握ってるわけでもない戦前の日本共産党全体主義の訳もない。