今日の産経&中国ニュースほか(2021年1月11日分)

【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら】森繁久彌さんの戦慄すべき予言 - 産経ニュース

「オヤジの書いた随筆の中にびっくりするような一節があったんです。そのことをお伝えしたいと思いまして…」
 昨年の暮れ、唐突にこんな連絡をいただいた。連絡の主は森繁建(たつる)さん(78)である。オヤジとは、平成21年に96歳で亡くなった俳優にして文人森繁久彌さんだ。
 くだんの随筆のタイトルは「アニサキス」。昨年完結した〈森繁久彌コレクション全5巻〉(藤原書店)の第1巻『道-自伝』に収められている。
 日本人の多くがバブル景気に浮かれ、その一方でエイズを恐れ、パニックすら発生していた昭和62年、74歳の森繁さんはすし屋で(食中毒の原因となる)アニサキスが寄生していたサバを食べて腸閉塞となり、御園座の舞台を降板して開腹手術を受けるはめになった。
《二十一世紀の或る日、私たちはアニサキスのような目に見えるものでないミクロの世界の-それもエイズB型肝炎の数百倍も強い豪敵に攻められ、人類の大半はあえなく全滅させられるのではないかと、ひとり慄然としたことだ》
 「個人的な体験をいつもの調子でつづりながら、最後にいきなりこの一節でしょう。新型コロナウイルスが人間を攻め続けている現在の世界を予言しているようで驚いてしまいました。オヤジが当時どんなつもりで書いたのか、私には見当もつかないんですよ」と建さん。

 「はあ?」ですね。
 森繁だってその分野の専門家ではないし、これを「サーズやマーズ、新型コロナを予言した」と見るのは正気ではありません。
 「面白い偶然ですね」と笑い飛ばすのならまだしも。


「数字で読む中国経済」 新宿会計士 « ニュース « 公益財団法人 国家基本問題研究所

金融評論家の新宿会計士氏は1月8日(金)、国家基本問題研究所企画委員会において、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員と意見交換した。
【概要】
 貿易統計を見る限り、中国が日本にとっての顧客でなく、寧ろ日本が中国にとっての顧客といえる。

 新宿会計士なる「名前からしてうさんくさそうな御仁」の物言いには吹き出しそうになりました。
 一体どういう理解をすれば「中国が日本にとっての顧客でない」などというとんでもない話になるのか。
 「日本が中国相手に貿易赤字を出してるから、中国など日本の顧客でない」といいたいようですが、それはトランプの「米国は欧米や日本相手に貿易赤字を出してるから、欧米や日本など米国の顧客ではない」とほとんど同じ物言いです。桜井らはそうしたトランプ流の物言いを支持するのか。
 「だから日本なんか米国にとってはどうでも良い国なんだ」「むしろ我々米国人は日本人にカネをぼったくられてきた。日本製品に高額関税をかけて米国製品の使用を増やすべきだ。やり方が汚い日本人を今こそ懲罰すべきだ」と米国ウヨが言ったら桜井らは賛同するのか。


【世界の論点】EU・中国の投資協定 中国の巨大市場をEUは捨てる気がない(1/3ページ) - 産経ニュース
 反中国の産経にとっては我慢がならないのでしょうが、ある意味当然の話です。


日本人の対中感情悪化原因|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 「日本を追い越そうとする韓国経済への恐怖」「戦争責任問題(慰安婦、徴用工、靖国など)での無反省」「領土ナショナリズム*1竹島)」によって「安倍、菅政権が韓国敵視」し、「安倍、菅政権と同類の右翼的思想」ないし「安倍、菅政権の恫喝への屈服」から日本メディアの多くが「嫌韓国報道」を垂れ流すが故に「日本人の対韓国感情が悪化した(韓国では無く日本にもっぱら非がある)」というのが「浅井氏の長年の指摘」であり、俺も同感です。
 そして浅井氏は「日本人の対中国感情の悪化」についても「日本を追い越そうとする中国経済への恐怖」「戦争責任問題(慰安婦、徴用工、靖国など)での無反省」「領土ナショナリズム尖閣)」といった「対韓国と全く同じ構造がある」と評価し、故に「日本人の対中国感情が悪化した(中国では無く日本にもっぱら非がある)」としますが、これまた俺も同感です。
 もちろんこれは「中国に人権問題が無い」とか「中国のコロナ対応に問題が無かった」とかいう話ではない。
 そうではなく「人権問題(ウイグルチベットなどの少数民族問題など)」「コロナ」云々とは「そのほうが中国に悪口しやすいが故の話」にすぎず、ほとんどの日本人にとって「本心ではない」というのが「浅井氏の指摘」であり、俺も同感です。
 そもそも人権問題なら「サウジ政府による反体制派ジャーナリスト暗殺」「ミャンマーロヒンギャ問題」などいろいろあるのに「何故中国だけ騒ぎたてるのか」と言う話です。大体「アイヌ問題」を抱える日本人が「それについてろくに向き合わない」癖にどの面下げて「中国の少数民族問題」について偉そうなことが言えるのか?
 コロナにしても「今の日本での蔓延」は中国云々よりも「安倍、菅政権の無策」による面が大きいのであって、批判するならむしろ「安倍、菅政権を批判すべき」でしょう。
 ウヨが中国非難ネタにしたがる「尖閣」にしても「中華民国時代から領有権主張がされており、台湾政府も領有権主張していること」「日中の経済関係を考えればそれを犠牲にしてまで中国が尖閣侵攻するとは思えないこと」を考えれば、「尖閣での中国批判」の多く(中国が軍事侵攻するかのようなウヨの放言が典型的ですが)も「極めて不当なもの」というべきでしょう。


日本の新型コロナ・ウィルス対策の致命的問題点|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 以前から浅井氏が指摘していることですし、他にも多くの人間(例:高世仁)が指摘していますが、何が日本の問題かと言えば「PCR検査が少なすぎること」ですね(他にも病床不足など色々ありますが)。
 PCR検査が少なすぎるから「感染者(特に無症状感染者)の隔離」が十分出来ず「無症状感染者からの感染拡大」の恐怖に怯える。
 その結果「三密防止」「マスク着用」など「個人個人の努力に依存する点が大きくなってしまう」。
 結果、「いつまで経っても感染が終息しないし、経済も当然回復しない」。
 中国にせよ、台湾にせよ、韓国にせよ、その他どこにせよ「日本よりましな状態の場所」は全て「日本よりずっとPCR検査をしているし、だからこそ隔離によって、日本よりずっと無症状感染者からの感染拡大を防止できている」。
 だからこそ浅井氏などが「PCR検査増加」を主張するにもかかわらず安倍、菅政権は「詭弁を弄して、いつまで経ってもPCR検査増加に積極的に乗り出さない」。もはや浅井氏や高世仁などが嘆くようにコロナ蔓延は「PCR検査を抑制する安倍、菅政権による人災」といっていいでしょう。そうした人災を助長している(つまり安倍、菅政権に対してPCR検査増加をさせることができない)我々日本国民も「人災の被害者」であるだけでなく「愚かな加害者、共犯者」といっていいでしょう。


【外交安保取材】30年後に誇れる対中外交を - 産経ニュース

 1989年6月4日の天安門事件に関する外交文書が公開され、日本政府*2が中国に対し融和的な姿勢を終始貫いていた事実が明らかになった。誤りであったことは現在の中国の姿が雄弁に語っている*3。翻って、今の政府は30年後に誇れる対中外交を展開しているだろうか。

 約30年前の「天安門事件」後の「産経曰く『日本政府が中国に対し融和的な姿勢を終始貫いていた事実』(1989年、宇野*4内閣)」「一旦停止した対中国ODAの再開(1990年、海部*5内閣)」「天皇訪中(1992年、宮沢*6内閣)」などへの産経の悪口雑言ですね。
 俺は「宇野、海部、宮沢内閣などの対応」を支持するので「産経と違い」誇りに思っていますが。
 むしろ産経の方こそ

1)
河野談話」などで築き上げてきた日韓友好を破壊した上、むしろ「韓国ビジネスを行う日本企業へのダメージが大きく」、また「WTO違反行為の疑いも濃厚」な「ホワイト国除外、フッ化水素水輸出規制」と言った安倍、菅の対韓国外交
2)
 日露友好条約締結、北方領土返還を一時はぶち上げたものの、結局尻すぼみに終わった安倍の対ロシア外交

などを「今の時点ですら誇れるのか?」と聞きたくなります。俺は既に「今の時点で恥だと思っています」が。

*1:領土主張自体は勿論不当ではありません。問題は相手の主張を「不当」と決めつけ、交渉の余地を無くし、あげく相手を「悪魔化して批判する」という歪んだ領土ナショナリズムです。この点では浅井氏が批判するように「自民、公明は論外」として「野党各党(共産党を含む)」にも問題があるかと思います。

*2:当時は宇野内閣

*3:と言うのは産経の勝手な決めつけに過ぎません。そもそも「日本が宥和的な態度を取らなければ欧米が厳しい態度を取って、中国の民主化が進んだ」なんて保障はどこにもありません。むしろ「日本のおかげで中国が経済大国になって良かった(まあ日本の力だけではないし、もちろん「日本企業が儲けるため」という要素も大きいので恩に着せることではありませんが)。多くの中国国民の生活が楽になった」と「日本の中国への経済支援」に誇りを感じてしかるべきでしょう。

*4:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*5:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相などを経て首相。首相退任後も新進党で党首

*6:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相