「珍右翼が巣くう会」メンバー・黒坂真に突っ込む(2021年1月17日分)

◆黒坂のツイート

黒坂真リツイート
 宮本徹議員は、北朝鮮による拉致問題などの委員会で朝鮮労働党による政治犯公開処刑、収容所連行について取り上げることができますか。
◆宮本徹*1
 第204回国会がスタート。特別委員会の設置について、維新がすべて反対。災害特、拉致特、消費者特、復興特、原子力特などなどそれぞれ、(ボーガス注:常設委員会から、特別に重要課題を)切り出して対策を議論するためにできた経過があります。

 やれやれですね。「朝鮮労働党による政治犯公開処刑」なんてもんを国会で取り上げて欲しいなら「反共ウヨの黒坂が敵視する共産党の宮本氏」ではなく「黒坂の支持政党・自民の議員」にでも依頼したらどうなのか。
 そもそも北朝鮮問題になど言及してない、「特別委員会の存在を全否定し、全ての廃止を主張する維新はおかしい」という宮本氏ツイート*2に対して何でそんなリツイートになるのか(なお、維新の主張には自民、公明、立民、共産など、ほとんどの与野党が応じないため、従来通りの特別委員会が設置される見込みです)。
 そもそも維新の「ほとんどの特別委員会は開催時間が常設委員会よりずっと少ない」「そもそも常設委員会で議論すれば事が足りるのでは無いか」という「特別委員会・全否定論」「特別委員会・全部廃止論」では黒坂らウヨが「その存在意義を認めているはずの拉致特別委員会」も否定され、廃止されるわけで黒坂の立場ならここは「宮本氏へのくだらない因縁付け」よりも前に「維新はふざけるな!」「拉致特別委員会は廃止すべきではない!」とツイートすべきでは無いのか。
 それとも黒坂も「拉致特別委員会なんか要らない」と言う「維新と同じ立場」なのか。それとも「反共ウヨ」黒坂にとって「何よりも大事なことは共産党への言いがかり」「反共仲間の維新は批判したくない」であってそのためなら「拉致特別委員会が廃止されても一向に構わない」のか。
 それはともかく、もちろん自民だって「朝鮮労働党による政治犯公開処刑」なんてもんを国会では取り上げません。理由は簡単で「取り上げても意味が無いから」です。日本の国会で論じるのは「日本の政治」であって「外国の政治問題」が取り上げられるのは「日本の政治問題に関わりがある限りにおいて」です。黒坂は「日本共産党北朝鮮に融和的だ」とデマ中傷したいようですが。
 それにしてもウヨ政党の維新が「ウヨの救う会が激怒しかねない拉致特別委員会廃止論(まあ維新の場合、拉致特別委員会だけで無く全ての特別委員会廃止論ですが)」を放言するとは意外です。

黒坂真リツイート
 吉岡正史さん。(ボーガス注:日本国政府は)戦争だけは絶対に始めてはいけない、と日本人が念じると習近平金正恩が感動して軍拡をやめますか。

 おいおいですね。「侵略への専守防衛ならともかく、日中戦争、太平洋戦争を行った戦前日本のように自分から攻撃を仕掛けて、戦争を始めてはならない。それは違法な侵略だ」「戦後、そうした侵略を国民が許さなかったことは日本の誇りだ(吉岡氏)」というとこういう意味不明な因縁を付けるのが黒坂です。絶句しますね。
 黒坂は「時と場合によっては、真珠湾攻撃のような形で日本から戦争を始めて構わない」とでも言う気なのか。自民党支持者ですら余程の極右でもない限り「日本から戦争を始めて何が悪い」などとは言わないでしょうに。

黒坂真リツイート
 池内さおりさん*3公娼制度があった時代に、男性が性産業で性的労働サービスを購入する事は性暴力ではありません。

 何度も同じ事を書いてて飽きつつあるのですが改めて書いておきます。
 まず第一に慰安婦制度を「性暴力」と批判してるのは池内氏のような日本共産党員だけではない。
 韓国、台湾政府も、国連のクマラスワミ報告書、マクドガル報告書も、米国下院決議も、河野談話も、「吉見義明氏*4林博史*5ら研究者(秦郁彦*6のような歴史修正主義者を除く)」も全てそうです。
 そういう「日本共産党と関係ない個人、団体」も批判する話「慰安婦問題」で日本共産党員・池内氏に因縁をつける黒坂はおよそまともではない。
 第二に「慰安婦制度と公娼制度」は違います。前者の方がより違法性が強い。
 黒坂の物言いは「暴力団闇金融サラ金」「暴力団の闇カジノと公営ギャンブル」を同一視するレベルの暴論です。
 第三に「公娼制度」は単純に「法的、道義的に問題ない」「性暴力でない」といえる存在ではない。だからこそ戦後、売春防止法によって公娼制度は廃止されたわけです。
 もちろん「風俗営業法に基づく性風俗産業」は「事実上、公娼制度の復活」ですが、少なくとも建前では「公娼制度とイコールではない」。
 もちろん「性風俗産業」に限らず、「建前」がそうだからといって「実質もそうだ」とは必ずしも言えませんが、「建前がそうだ」ということは無視していい話ではない。

*1:衆院議員。日本共産党中央委員

*2:ちなみに委員名簿 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会によれば衆院拉致特別委員会に所属する共産党議員は笠井亮氏です。

*3:衆院議員。日本共産党中央委員。個人サイト池内さおりホームページ

*4:中央大学名誉教授。著書『草の根のファシズム』(1987年、東京大学出版会)、『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年、岩波ブックレット)、『毒ガス戦と日本軍』(2004年、岩波書店)、『焼跡からのデモクラシー:草の根の占領期体験(上)(下)』(2014年、岩波現代全書)、『買春する帝国:日本軍「慰安婦」問題の基底』(2019年、岩波書店)など

*5:関東学院大学教授。著書『沖縄戦と民衆』(2001年、大月書店)、『BC級戦犯裁判』(2005年、岩波新書)、『シンガポール華僑粛清』(2007年、高文研)、『戦後平和主義を問い直す』(2008年、かもがわ出版)、『戦犯裁判の研究』(2009年、勉誠出版)、『沖縄戦 強制された「集団自決」』(2009年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『沖縄戦が問うもの』(2010年、大月書店)、『米軍基地の歴史』(2011年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『裁かれた戦争犯罪:イギリスの対日戦犯裁判』(2014年、岩波人文書セレクション)、『暴力と差別としての米軍基地』(2014年、かもがわ出版)、『日本軍「慰安婦」問題の核心』(2015年、花伝社)、『沖縄からの本土爆撃:米軍出撃基地の誕生』(2018年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)など。個人サイトWelcome to Hayashi Hirofumi'

*6:秦の慰安婦関係の著書としては『慰安婦と戦場の性』(1999年、新潮選書)、『歪められる日本現代史』(2006年、PHP研究所)、『現代史の虚実:沖縄大江裁判・靖国慰安婦・南京・フェミニズム』(2008年、文藝春秋)、『慰安婦問題の決算』(2016年、PHP研究所)など。