今日の産経ニュース(2021年1月19~21日分)

赤旗勧誘は不許可 滋賀・甲賀市「秩序維持に支障」(1/2ページ) - 産経ニュース
 無茶苦茶な反共行為も大概にしろと全く腹が立ちます。


【正論】教科書の「従軍慰安婦」削除を 教育研究者・藤岡信勝 - 産経ニュース
 何故、安倍首相(当時)、萩生田文科相コンビが「慰安婦記述を復活させたのか(日中、日韓関係への配慮?。それにしては慰安婦問題での韓国への態度は無茶苦茶ですが)」はともかく、もちろんこうした藤岡らつくる会の反発は予想済みでしょう。それでも安倍、萩生田コンビが復活させた以上、藤岡らの「削除しろ」などという要望が通る可能性はまず無いでしょう。まあ、通したら通したで「慰安婦記述のある教科書の著者」がおそらく行政訴訟を起こすでしょうが。

第一に、「従軍」とは軍属を指す呼称で、「従軍看護婦」「従軍僧侶」はいましたが、「従軍慰安婦」というものは存在しません。

 のっけから嘘八百です。「従軍」とは必ずしも「軍属」を意味しません。とはいえ、昨今の研究書は

【著者名順(著者名が同じ場合は出版年順)】
林博史『日本軍「慰安婦」問題の核心』(2015年、花伝社)
◆吉見義明『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)
◆吉見義明『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年、岩波ブックレット)
◆吉見義明『買春する帝国:日本軍「慰安婦」問題の基底』(2019年、岩波書店)

ということで明らかに「従軍慰安婦」と言う言葉にこだわってないので藤岡の物言いは「そもそも研究者は従軍慰安婦なんて言葉に最近はこだわってないけど?」で終わる話です。

 それは戦後の1970年代につくられた造語です。

 例えばその理屈なら「鎖国はどうなるんだ?」と言う話です(まあ、例は鎖国で無くても何でも良いのですが)。以前、今日の産経ニュースほか(2021年1月17日分) - bogus-simotukareのブログでも指摘しましたが

鎖国 - Wikipedia
鎖国」という語は、江戸時代の蘭学者である志筑忠雄(1760年〜1806年)が、1801年成立の『鎖国論』において初めて使用した

のであり、「鎖国政策」が開始された徳川家光時代には鎖国という言葉は存在しません。
 あるいは「弥生土器」はどうなるのか(弥生土器 - Wikipedia参照)。
 「弥生町」で最初に見つかったから「弥生土器」のわけですが、もちろん弥生土器がつくられた弥生時代に「弥生町」なんて地名は存在しません。

 第二に、「朝鮮・中国・フィリピンなどから」と書かれていますが、肝心の日本が抜けています。日本人が最も多く、半数を占めていました。

 やれやれですね。本気で「日本人慰安婦のことも書け」と思ってるわけでは無いでしょう。なお、通説では最も多いのは「朝鮮・韓国」であって日本ではありません。

 平成19年3月16日、(ボーガス注:第一次)安倍晋三内閣は、辻元清美衆議院議員が提出した質問主意書に対し、閣議決定された答弁書において「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである」と回答しました。

 「政府が発見した資料」と言っている点が安倍らしい姑息さです。「吉見義明氏が発見した資料にはあるかもしれないが、我々政府が発見した資料には無かった」という詭弁論法でしかありません。また慰安婦の違法性は何も「軍や官憲によるいわゆる強制連行」に限定されるもんでもない。
 例えば「だまして連行した場合」だって違法なわけです。「いわゆる強制連行」だけが問題だというなら「だまして連れてきた有本恵子は拉致ではない」「暴力的に連行した横田めぐみのような場合だけが拉致なのか」といえば、そうでないのだから藤岡らウヨのデタラメさには心底呆れます。

 河野洋平官房長官談話は撤廃されていませんが、(ボーガス注:第一次安倍内閣の)閣議決定は「より格の高い決定」で、河野談話はすでに上書きされているのです。

 河野談話を安倍が撤回しないが故に、必死に編み出した詭弁ですね。よくもまあこんな詭弁を思いついたもんです。ある意味「感心」します。「その情熱をもっと建設的な方向に使え」と言いたくなります。
 もちろん「河野官房長官談話」が宮沢内閣以降の「歴代の内閣(安倍、菅を含む)」によって「踏襲されている」以上、苦しい詭弁でしかありません。
 大体その藤岡の理屈なら第二次安倍内閣発足時に、藤岡らが安倍に「河野談話撤回を求める必要はなかった」わけです。

河野洋平官房長官談話は撤廃されていませんが、(ボーガス注:第一次安倍内閣の)閣議決定は「より格の高い決定」で、河野談話はすでに上書きされているのです。

ということで「第一次安倍内閣で既に河野談話は事実上撤回されています!。改めて第二次安倍内閣で撤回する必要は無い」で済む話です。もちろん藤岡らは第二次安倍内閣発足当初、そんなことは何一つ言わなかった。すぐにでも安倍が撤回すると期待して「撤回せよ!」といったもののいつまで経っても撤回しないのでこういう詭弁が出てきたわけです。
 また、おそらく安倍や菅に「藤岡氏は第一次安倍内閣閣議決定で事実上、河野談話が撤回されたというがその理解で正しいのか?」と聞けば「そうです、正しいです」とはさすがに言わないでしょう。

 昨年11月18日、最高裁判所は、元朝日新聞記者・植村隆氏の上告を退け、名誉毀損(きそん)で訴えられた櫻井よしこ氏の、1・2審における勝訴判決が確定しました。これによって、「従軍慰安婦」の記述は、検定後に新たに生じた「最高裁判所判例」にも反していることになります。

 そもそも裁判所は「植村記事を虚偽と、桜井氏が認識したことに当時としては過失は無かった*1」としてよしこを勝たせたのであって、むしろ「植村記事に虚偽など無かった」というのが裁判所の認定です。
 たとえて言うなら「治療法としては結果的に間違っていたが、当時の医学水準では安部帝京大副学長に過失は無かった→無罪*2」としたエイズ薬害刑事訴訟一審判決(なお検察が控訴して二審審理中に安部氏が病死したので判決は未確定で終了)について「裁判所が安部氏の血友病治療を医学的に正当なもので間違いなど無いと認めた」とデマを飛ばすような行為が藤岡のやってることです。
 まあ、そもそも仮に「植村記事に虚偽があったとしても」、河野談話にせよ、米国下院決議にせよ、国連クマラスワミ報告にせよ、国連マクドガル報告にせよ、米国下院決議にせよ、吉見義明氏や林博史氏の研究にせよ、慰安婦を違法とする主張は「植村記事だけを根拠にしているわけではない」のでデマも甚だしいですが。

 文科大臣は、発行者に対し右の訂正申請を勧告することができます。つくる会などの申入書は「従軍慰安婦」削除の「訂正申請勧告」を文科大臣に求めたものです。ところが1月8日、文科省教科書課は当方に回答し、検定審議会の「学術的・専門的な審議の結果、検定意見は付されなかったものですので、記述の訂正を当該発行者に勧告することは考えておりません」と回答を寄越しました。
 私たちは、大臣に要望したのであり、教科書課の回答は求めていません。

 おいおいですね。萩生田が担当部署である教科書課に指示して回答案をつくらせ、それを萩生田が決裁しているのだから「教科書課の回答=萩生田の回答」です。萩生田自らが「藤岡らつくる会の元にはせ参じて説明すること」でも藤岡らは期待していたのかもしれませんが、萩生田にとってつくる会などもはや「水に落ちた犬」でしかありません。そこまで大事に扱う必要など、どこにもない。もはや「ウヨ業界での主流派」は育鵬社でありつくる会では無いわけです。正直「そんなに文句があるなら行政訴訟しろ」と言う話です。


自民・二階幹事長、河井案里被告に有罪判決「コメント控える」 - 産経ニュース
 「彼らがそのような不正をやっていたとは本当に知らなかったが、不明を恥じる」くらい言うかと思いきやノーコメントとは全く卑怯な御仁です。


【主張】農水省の癒着構造 政府は進んで実態解明を - 産経ニュース
 政治家が逮捕起訴されたにのも関わらず「農水省ガー」と言う辺り産経らしいくだらなさです。問題は官僚よりも政治家でしょうに。


孔子廟訴訟、大法廷で弁論 政教分離で憲法判断へ - 産経ニュース
1)那覇市の目的は勿論儒教儒学)振興ではなく、観光振興(中国人観光客の呼び込み)
2)日本国内において儒教儒学)や「儒教創始者孔子」はあまり宗教や宗教家とは認識されてないこと
 江戸時代日本において朱子学儒教の一種)が官学の地位にあったこと、儒学者である新井白石(6代将軍・家宣、7代将軍・家継のブレーン)、室鳩巣(8代将軍・吉宗のブレーン)が幕府高官として活躍したこと、教育勅語儒教の影響を受けていることなどは有名な話です。
3)戦前猛威を振るった「国家神道」ならともかく日本において儒教による「他宗教への人権侵害」などまず考えられないこと
4)原告は反中国ウヨ(そしてアンチ『オール沖縄那覇市政での与党)』)であり、政教分離云々は何ら本心ではないこと(そもそも原告は靖国首相参拝を求める類のウヨであること)
を考えると「完全な無償であること」を考慮しても「政教分離に反するとまでは言えないのでは無いか」つう気が個人的にはします(ただし一審、二審では政教分離違反を認定し那覇市が敗訴)。
 いずれにせよ政教分離訴訟というと「津地鎮祭訴訟」「殉職自衛官・山口護国神社合祀訴訟」「箕面忠魂碑訴訟」「首相(中曽根、小泉、安倍)靖国参拝訴訟」「愛媛玉串料訴訟」と神道がらみの訴訟が多いところ、珍しい訴訟ではあります。


二階氏「私が聞きたい」 衆院北海道2区補選擁立断念めぐり - 産経ニュース
 選挙の最高責任者のはずの幹事長が何とも無責任です。
 そもそも「アキタフーズ疑惑による吉川衆院議員(自民)辞職による衆院選北海道補選、コロナによる羽田参院議員(立民)死去による参院選長野補選で、野党に二連敗したら(コロナ問題での批判で政権支持率も低迷しているので)政局になる(菅おろしになりかねない)」という下村政調会長発言に「政調会長は選挙の担当ではない」と不快感を表明した御仁が、都合が悪くなると「地元が決めたことだ(俺は何故、擁立しないのか事情なんか知らない)」と逃げ腰になるとは何とも無責任です。
 結局、下村発言に「余計なこと言うな」「馬鹿にするな」「選挙の最高責任者は幹事長の俺だ、下村じゃない」と反発はしてみたものの、長野補選では「親子二代の羽田支持者&コロナ死去による同情票」で勝てそうにない、北海道でも「アキタフーズ疑惑への批判&コロナ失政による政権支持率低迷」で勝てそうに無いとみて逃げたわけで、皮肉にも「負けたら政局になる」という下村発言を事実上「認めてしまっています」。
 ただし、北海道と言えば「娘は自民だが、自らは維新」という鈴木宗男の政治力が大きいわけで「鈴木の子飼いを無所属で立てて当選させた上で自民入りさせる」という「インチキの危険性」はゼロではありません。
 この点、何とか野党が一本化して欲しいところですが、とはいえ「参院選補選(現在の埼玉県知事・大野の参院議員辞任、県知事選出馬による)」で「トンデモウヨの上田(前埼玉県知事、現在、参院議員)に事実上、一本化」みたいなことはやめてほしいところです。

*1:そうした認識の是非はひとまずおきます。俺は不当だと思いますが。

*2:そうした認識の是非はひとまずおきます。