今日の産経ニュース(2021年2月9~11日分)(追記あり)

【本郷和人の日本史ナナメ読み】やはり「鎖国」はあった(下) 「国と国」重要な外交の有無(1/3ページ) - 産経ニュース
 今日の産経ニュースほか(2021年1月17日分) - bogus-simotukareのブログで取り上げた【本郷和人の日本史ナナメ読み】再考「鎖国はなかった」論(上) 島国ゆえに成立した独自性(1/3ページ) - 産経ニュースの続きです。
 さて「鎖国はあった」という本郷の表現には違和感がありますね。
 問題は「江戸時代の外交政策鎖国と表現すべきかどうか」という話です。鎖国というのは「分析概念」であって「事実そのもの」ではない。
 「米ソの対立を冷戦と表現すべきか」「いわゆる1955年体制保守本流吉田学校)という概念は日本政治分析に有効か」「統制派、皇道派という概念は昭和陸軍分析に有効か(統制派、皇道派はそもそも自称では無く他称です)」「戦前昭和期の日本をファシズムと見るべきかどうか」と言うような話です。
 「事実そのものではない」のだから「あった」「なかった」というのは表現としておかしい。
 事実そのものなら「神武天皇(あるいは山本勘助)は実在の人物か」などという話になりますが、鎖国とはそう言う話ではない。
 いわゆる「鎖国」当時の日本は
1)国民の自由な海外往来や外国貿易、あるいは外国人の自由な日本来航を認めなかったが
2)「出島」限定で中国、オランダと交易していた
3)また、対馬藩を通じて朝鮮との交流もあった
わけです(ひとまず、幕府が公認しているわけではない「薩摩藩琉球王国を使った密貿易」や、「松前藩とロシアの関係」は論じません)。
 こうした「事実認識の大筋」については「鎖国概念否定論」も否定しているわけではない。
 そして「国が3つ(中国、朝鮮、オランダ)」に限定され、場所も出島などに限定されていたが、外国と交易関係が全くなかったわけではない。
 「外国との関係がゼロ(全く関係なし)か100(制約がない)か」でいえば「ゼロではないが100でも無い状態」だったわけです。
 これを「少なくとも幕末以降は一般に多くの人間によって鎖国と表現されてきた」という歴史を重視して「鎖国」と表現するか、「鎖国と呼ぶと外国との関係がゼロと誤解されかねないから良くない」として鎖国以外の言葉(海禁と呼ばれることが多い)で表現するかは「価値観の問題」であって是非はともかく、そう簡単に答えが出る話でもないし「価値観の問題」なので「絶対に正しい結論」なんてもんもそもそもありません。


【産経抄】2月11日 - 産経ニュース

 韓国南部、釜山で4月に行われる市長選では、(ボーガス注:野党側が打ち出した)釜山と九州を結ぶ海底トンネル構想が選挙の争点に浮上している。

 「争点?」ですね。当然ながら「九州と結ぶ」以上、日本側との合意が必要であり、それがなければ現実性は皆無です。そして今のところ「野党が突然(人気取りのために?)ぶち上げただけ」で日本側との合意は無く、現実性皆無です。かかる費用を考えれば今後、日本側が乗り気になるかもわからない。釜山市民もこんなものを理由に野党支持などしないのでは無いか。


東京女子医大、対策違反の感染は「無給」 職員に通知 - 産経ニュース
 何らかのペナルティが必要だとしても「減給」ではなく、休業期間限定でも「無給」とするのは「罰として重すぎて違法」と判断される可能性があるかと思います。


国民・玉木代表、森会長辞任の意向「円滑に体制の再構築を」 共産・小池書記局長は「深い反省と謝罪を」 - 産経ニュース

 共産党小池晃書記局長もツイッターで「辞任は世論の力だが、これで『一件落着』にしてはならない」と主張。

 全く指摘の通りで「菅政権や山下JOC会長などが当初『辞任の必要は無い』と森氏をかばったこと」「従って世論の批判が無ければ森氏は辞めなかったであろう事」は森氏が辞めようとも軽視できません。


組織委の森会長辞任意向 政権に痛手、五輪開催に向け調整困難に - 産経ニュース
 「辞める考えはない」と居直った森氏を菅政権が擁護したことにより「痛手となった」のであり、1)森氏が批判直後に即座に辞任していれば、あるいは2)菅政権が森氏をかばわず、会長に居座ろうとする森氏に即座に辞任要求していれば「痛手にはならなかったであろう」ということは指摘しておきます。

 組織委幹部は「五輪をつぶし、政権をひっくり返したい人たちの政局含みの動きが際立っている」といらだちを強めた。

 「森会長辞任」は確かに「五輪中止論(ひいては森氏を会長に担ぐ菅政権への批判)」を助長するかもしれません。しかし1)辞任論者は必ずしも「中止論者では無いこと」、2)森氏が残留しようがコロナ蔓延が深刻であれば今年の実施は断念せざるを得ないこと、3)森氏をかばえばかえって「中止論や菅政権批判を助長しかねないこと」、4)(3)と言う理由から結局、森氏が辞意表明に追い込まれたことを考えれば、森氏擁護は全く馬鹿げていました。

 首相は橋本聖子五輪相に森氏をいさめるよう指示し、自身も国会審議で「五輪・パラリンピックの重要な理念である男女共同参画とは全く異なるものであり、あってはならないものだ」と強調。各閣僚も記者会見や国会審議では森氏の発言を批判する立場を取り、森氏を追いつめる結果ともなった。

 「謝罪したから辞めなくても良いと思う」「やめるかどうかは組織委員会と森氏が決めること」としながらもさすがに「発言それ自体」を「何の問題も無い」とはいえなかったわけです。


立民・枝野代表、森会長辞意「遅きに失したが辞めないよりマシ」 - 産経ニュース
 枝野の言葉「遅きに失したが辞めないよりマシ」「(森氏を菅政権やJOCが当初擁護したことによって、森氏個人の問題では無く)われわれも含めて日本社会が抱えている問題(の表れと言うことが露呈した)」に付け加えることはないですね。


【阿比留瑠比の極言御免】森元首相たたきの政治的思惑 - 産経ニュース
 女性差別発言をしてはならない立場の人間が差別発言をしたから「会長辞任論が出てるだけの話」なのに、菅政権が森氏をかばってるから、一方、野党がそれに批判的だからと言うだけで「詭弁で森氏をかばおう」というのだからいつもながら阿比留の馬鹿さには呆れます(追記:結局、森氏は辞意を表明しました)。


森会長発言で群馬・山本一太知事「国益損ねた」「辞任したほうがいい」 - 産経ニュース
 自民党出身の山本がこう言い出すのだから、森氏が辞めるかどうかはともかく、森氏らが甘く考えていたほど、事態は簡単には終息しそうにありません(追記:結局、森氏は辞意を表明しました)。


二階氏「いちいち論評加える必要ない」 橋本五輪相「不適切」指摘に - 産経ニュース
 「五輪担当相」で「男女共同参画担当相」という橋本の立場上、「五輪精神に反する森氏の女性差別発言」「森氏を擁護する二階氏のアホ発言」を批判しないわけにいかない。批判しなかったらそれこそ「五輪担当相と男女共同参画担当相の資格はない」と世論(特に野党など政府批判派)の批判を浴びるのですが、「橋本ごとき小物が、元首相の森氏や、幹事長の俺様に対して何様だ」という価値観なんでしょう。
 二階氏という人間は残念ながら「若造や陣笠の言うことでも筋が通ってれば受け入れる」という御仁ではないわけです。
 なお、二階発言については麻生ですら二階氏の「瞬間的」発言は「敬意を欠いていた」 麻生副総理 - 産経ニュースとして橋本同様に批判的です。従って二階氏は麻生に対しても「麻生の野郎、何様だ」と思ってるでしょうねえ。ただし「五輪担当相が初入閣」の橋本はともかく、「元首相で現副首相、派閥ボス」の麻生にはそこまで言えないだけの話です。


「女性蔑視する人でない」森会長発言で静岡知事 - 産経ニュース
 森氏をかばいようのない話で、かばおうとする気持ちは理解が出来ませんね。そもそも問題は「主観的に蔑視かどうか」ではなく「客観的に差別かどうか」なんですが。
 「例は何でもいい」ですが、たとえば「ホモを差別する気は無かった、冗談のつもりだった」と言えば、フジテレビの「保毛尾田保毛男」は正当化できるのか。そう言う話では無いわけです。森氏を批判したくないならせめて黙ってたらどうなのか。


【政界徒然草】支持率低迷でも起こらない「菅降ろし」 その3つの理由 - 産経ニュース
 起こらない理由の一つは「未だ支持率が30%台」ということでしょう。安倍もモリカケ、桜で一時は30%台まで落ち込みましたが居直り続け、20%台には下がらず、何とか40%台前半程度に盛り返し「史上最長政権」となった。だからこそ菅には「居直れるだけ居直ろう」という思いが恐らくある。
 また「最大野党・立憲民主党の支持率が低迷していると言うこと」「石破がずっと干されてること(現在では石破への支持率はそれほど高くない)」「安倍時代から政権幹部である二階幹事長、麻生副総理・財務相が菅を支え続けてること」「菅が『ワクチンでコロナが治まれば支持率が盛り返せる』と支持率低下やコロナ蔓延を舐めてること」なども理由ではあるでしょう。
 裏返せばこうした事情が少しでも狂えば、つまり「支持率が20%台突入」「石破や立民への支持が高まる」「変異種ウイルスのためにワクチンによってもそう簡単にコロナが終息しない」「(事情が何であれ)二階や麻生が菅を見すてる」などでいつでも菅おろしは発生するでしょうね。