今日のしんぶん赤旗ニュース&産経ニュース(2021年2月18日分)(横溝「悪魔の手鞠唄」、クリスティ「アクロイド殺し」、相棒シーズン19・第16話「人生ゲーム」の一部ネタばらしがあります)

自民幹部会合に女性参加 二階氏/ただし発言権はなし
 TBSラジオ森本毅郎スタンバイ(2/17放送)」でも司会の森本氏が

・議決権どころか、発言権すらないのなら何のための出席なのか?。
・二階幹事長は「女性議員の勉強のため」といったそうですが「出席している男性議員が女性議員に政治の勉強をさせてやってる(だから議決権も発言権も無くていい)」てそれこそが女性を下に見る差別じゃないんですか?
・二階幹事長は完全に感覚がずれてますよ。森元首相女性差別発言を契機に「女性に開かれた自民党」を目指すて、どこが開かれてるんですか?。海外マスコミなんかもむしろ二階氏らに批判的ですよね
(一言一句正確なわけでは無く俺の要約です)

などと呆れていましたが、そういうことです。


君が代、停職取り消し確定 不起立の都立学校元教諭 - 産経ニュース
 「権力(自民党政権)の犬」に堕落した最高裁では何ら不思議ではありませんが怒りを禁じ得ませんね。
 「自民党の長期政権(最高裁判事が自民の報復を恐れてへいこらするということ、あるいは自民にへいこらするような輩が判事に任命されると言うこと)」や「日本人の人権意識の低さ」「戦前に対する無反省さ」がこうした嘆かわしい状況を生んでるわけです。
 まあ「自民党の長期政権」と「日本人の人権意識の低さ」「戦前に対する無反省さ」は「卵とニワトリのような関係」にあるといっていいでしょう。


島根知事の聖火リレー中止発言 自民・竹下氏「不用意で注意する」 - 産経ニュース
 批判ならともかく「注意」とは何様のつもりでしょうか。知事は別に国会議員の部下ではありませんが。そして今日のTBSラジオ森本毅郎スタンバイ』で

島根県知事に賛同するかどうかはともかく、コロナは終息していないのだから、暴論などでは無く一理ある。一部の聖火リレー賛成派が悪口雑言するほど簡単に切って捨てて良い意見では無いと思う。
・もちろん聖火リレーをしたい人、見たい人は居るでしょう。その気持ちは分からないでもないですが、緊急事態宣言で不要不急の外出を現在、事実上禁止してるのに、中止を検討しないのはおかしくないかという話ですよね。極論すれば聖火リレーしなくても五輪は出来るわけですから。単にお祭りムードを盛り上げるために聖火リレーをやってるにすぎないからそう言う意味では聖火リレーは不要不急ですよ。
(一言一句正確なわけでは無く俺の要約です)

などと評価していましたが俺も同感です。


ラグビー理事会で批判なし 森喜朗氏の女性蔑視発言で岩淵専務理事 - 産経ニュース

 日本ラグビー協会岩渕健輔専務理事は17日、オンラインで開いた理事会後に取材対応し、元会長で、女性蔑視発言*1の責任を取って東京五輪パラリンピック組織委員会会長を辞任する意向を表明した森喜朗氏について「謝罪をされて撤回されている。(ラグビー協会としては)多様性を大切にしながら、しっかり協会運営もしていかないといけない」と話し、理事会で批判の声が出なかったことを明らかにした。
 関係者によると谷口真由美氏、稲沢裕子氏ら出席した女性理事らからは、森氏に関する意見は出なかったという。

 過去の

森氏の発言「もしかして、私のこと?」 日本ラグビー協会の稲沢理事 質問止められたことも:東京新聞 TOKYO Web2021年2月6日
 東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長による発言について、日本ラグビー協会の稲沢裕子理事の主な一問一答は次の通り。(兼村優希)
◆記者
 森会長の「女性がたくさん入る理事会は時間がかかる」との言葉をどう受け止めた。
◆稲沢
 『女性が増えると発言が長いから、増やすのは大変だろう』という議論の組み立ては事実と違う。むしろ、異質なものが入ることで議論は活性化する。今まで当たり前だったものが、改めて基本的なところから問い直すと、本当は必要ないことかもしれない。女性が入ることで議論が始まるものもある
◆記者
 森会長に女性蔑視の考えはあったと思うか。
◆稲沢
 森さんには、蔑視するという意識はないと思う。ただ、そもそも日本には、『女性は話が長い』と思いがちな風潮が根強くある。そうした女性に対するアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)の一側面ではないか。

森氏が代弁した「ラグビー村」の論理は 女性理事の視点:朝日新聞デジタル2021年2月11日
 東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長が女性蔑視発言をめぐり辞任する方向となった。森氏から「(会議が)今までの倍時間がかかる」と名指された日本ラグビー協会。理事の1人、谷口真由美さん(45)に、森氏の辞任について聞いた。
『(ボーガス注:発言直後の)1週間前に辞めてたら、ここまで追い込まれた引き際にならなかったかもしれません。情勢を見誤った印象です。』

森氏辞任「新しい顔にすげ替えて終わりではいけない」ラグビー協会理事の谷口真由美氏 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン2021年2月12日
 東京五輪パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長の問題の発言は、女性理事が増えた日本ラグビー協会を指して飛び出したものだった。女性理事の一人で、ジェンダー法などが専門の法学者、谷口真由美さん(45)が11日、取材に応じた。
 谷口さんは「新しい顔にすげ替えて終わりではいけない。森さんだけの責任にすると本質を見誤る」と警告する。問題を根っこから検証し、研修の実施など再発防止の取り組みを求める。「誤った価値観を組織として改め、いまだに残る性差別構造を変えてもらいたい」と注文を付けた。

を考えるに「批判が無かった」とは信じられませんけどねえ。
 ぶっちゃけ赤字強調した部分、「森さんに女性差別の意図はなかったと思いますし、あの年代の人(森は1937年生まれ)にはそういうアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)が普通にあるので森さんばかりを責められない(要約)」つう趣旨の稲沢発言は大分「森に甘い」ですが、それにしたって批判ではあるでしょう。
 結局「既にマスコミ(東京新聞(稲沢氏)、朝日、読売新聞(谷口氏))の取材に対して森氏について批判的な話をした。あれ以上、何か言って森氏をことさらにつるし上げる気は無いby稲沢、谷口」を「特に批判が無かった」と強弁してるだけじゃ無いか。
 稲沢氏や谷口氏がそうした対応なら「理事会でもガツンと言えば良いのに」と個人的には思いますがそれは「特に批判が無かった」と表現していい話では無いでしょう。
 まあ、正直、あの暴言は

◆人間、誰だってアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)はあるよ。「無意識の偏見」がない人間なんてこの世にいない

で済むレベルの話ではないと思いますので「稲沢氏も森批判したことは評価するけど『甘くねえか?』とは思います」が。
 いや我々が

◆人間、誰だってアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)はあるよ。「無意識の偏見」がない人間なんてこの世にいない。森発言を「他人事」と思わず「他山の石」にしよう

つうなら話は別ですけどね。
 ちなみにこうした「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)」を上手く使って読者をだましにかかるのがミステリのいわゆる「ミスディレクション」ですね。
 典型的には「アクロイド殺し」のような叙述トリックですが。叙述トリックつうのは一時話題になった

ごはん論法
◆質問者
 朝ご飯は食べたか?
◆回答者
 ご飯は食べていません
→ご飯(白米)は食べてないがパンなら朝食べた。朝ご飯は食べてないとは一言も言ってないが誤解する方が悪い。俺は嘘はついてない。

的なミステリのミスディレクションです(ご飯論法については、例えば推薦と招待、使い分ける首相 識者「これこそご飯論法」 [桜を見る会]:朝日新聞デジタル「ホテル」「など」連発 首相は開き直った 「ご飯論法」上西教授と聞いた代表質問 | 毎日新聞参照)。
 ミステリの「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)」としては「探偵が犯人の訳がない」「子どもが犯人の訳がない」「書かれてることは基本的には全て客観的事実*2」とかいろいろあります(具体的な小説名を挙げられるほど詳しくないし、あげるとネタバレになるのでしませんが)。
 横溝「悪魔の手毬唄 - Wikipedia」の「顔のない死体」も通常の「顔のない死体」トリックと思わせておいて「実はそうではない」ので「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)」による「ミスディレクション」ではあるでしょう。
 そういう意味で「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)」がない人間はいない。人間には「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)」があるから「ミステリのミスディレクション」が上手く成り立つ。
 問題はその「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)」が

◆女性がいる会議は無駄に時間が長くなる(今回の森発言)
◆同性愛は病気であり、治療すれば直る
イスラム教はテロリストを生み出す危険な宗教だ
日本共産党は中国の香港デモ弾圧を「同じ共産党仲間」として容認してる

などという「差別や迫害など、社会に害悪をうむ、容認できないレベルの偏見、思い込み」だと放置できない、批判する必要がある、つう話です。わかりやすい例では「ミステリのミスディレクション」がそうですが、「差別や迫害など、社会に害悪をうむ、容認できないレベルの偏見、思い込み」でなきゃ「勝手に思い込んでれば良い」で済む話ではある。
 昨日、視聴したテレビ朝日『相棒』も

第16話「人生ゲーム」2021年2月17日(水)|ストーリー|相棒 season19|テレビ朝日
 顔に殴られたアザのある少年を見かけ、(ボーガス注:学校でのいじめや親による虐待を疑い)声を掛けた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、思い掛けず「友だちを助けて下さい!」と頼まれる。そんな中、近年急激に成長している激安スーパーの創業者・小峰(鎌倉太郎)の小学生の息子が誘拐される事件が発生。ところが、小峰は警察に介入されたくない理由でもあるのか、一向に通報する様子がない。それでも、異変を察知した右京と亘は、伊丹(川原和久)や角田(山西惇)らの協力をあおぎ、手分けして捜査を始める。誘拐に荷担していると思われる男・安村(今野浩喜)をマークする右京。沈黙を守っている小峰家の動向を探る亘。

というので「友達=誘拐された少年」かと思いきや*3最後の落ちが「そうではない(ただし、もちろん「助けを求めた少年」の「友達」は誘拐事件に関係があり、誘拐事件は全くの無関係というわけではない)」と言うミスディレクションでまんまとだまされました(「友達」が誰かはネタばらししませんが)。

*1:当初「女性蔑視と批判される発言」と「奥歯に物の挟まった記事だった産経」も森辞任後は「女性蔑視発言」と書くことにためらいがなくなったようです。

*2:これに対し「嘘は書いてないが、故意に書かなかった事実がある(書かないことで読者の誤読を狙った)」「嘘は書いてないから一応読者に対してはフェアだ」という叙述トリックの典型が『アクロイド殺し』ですね。「アンフェアだ」と言う批判が勿論あります。

*3:実際、最後の落ちが来るまではそう思わせる描写で話が続いていきます。「友達」の名前が番組冒頭で明かされないことに「?」という疑問は多少はありましたが、まさかそれが「友達=誘拐された少年」と誤解させるための「ミスディレクション」だとは思いもしませんでした。