新刊紹介:「前衛」2021年3月号

 「前衛」3月号について「興味のある内容」のうち「俺なりに何とか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
特集『東日本大震災から10年』
◆大災害の時代にどのように向き合うか:コロナ禍の下で迎えた東日本大震災10年(岡田知弘*1
(内容紹介)
 内容的には新刊紹介:「経済」2021年2月号 - bogus-simotukareのブログで紹介したコロナ禍でどうなる地方活性化|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる(岡田氏が出演)とかぶるところがありますのでコロナ禍でどうなる地方活性化|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじるの紹介で代替します。大事なポイントは「トップダウン」ではなく地域に密着した復興を目指すべきと言うことです。


東日本大震災の復興行財政の検証と今後の課題:大震災10年を考える(宮入興一*2
(内容紹介)
 現実の復興を1)トップダウン、2)開発指向型の傾向があると批判した上で、ボトムダウンによる「生活支援としての復興」を主張している。
参考

コロナ対策で復興対策が後回しに 予算不足を持ち越し 改正震災関連法が成立:東京新聞 TOKYO Web2020年6月6日
 復興庁の設置期限を二〇三〇年度末まで十年間延長することを柱とした震災復興関連の改正法が、五日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。政府は総額約三十二兆円に上る東日本大震災の復興予算のうち、足りない一兆四千億円を日本郵政株などの売却益でまかなう方針だったが、今回の改正で売却期限を二〇二七年度まで延長し、財源不足を持ち越した。識者からは、新型コロナウイルス対策の陰で、復興対策が後回しにされているとの批判が出ている。
 政府は、二〇一一年度から二〇二五年度までの復興予算の合計を三十二兆円台後半と見積もり、そのうち四兆円を日本郵政株を売却して充てる方針だったが、現段階での売却益は二兆八千億円にとどまる。子会社・かんぽ生命保険の保険販売を巡る不祥事で株価が下落し、売り時を逸したためだ。
 東京メトロ株は、二千億円程度の売却益を想定していたが、ともに株を保有する東京都との間で、売却の可否を巡る議論が進んでいない。両社の株売却がはかどらず、復興財源に一兆四千億円の穴があいたままとなっている。
 株の売却以外の財源で穴を埋めるためには、法改正が必要だが、今回の改正には盛り込まれなかった。
 復興予算に詳しい愛知大の宮入興一名誉教授(財政学)は「新型コロナ対策で巨額の予備費を用意できるのなら、震災復興に対しても予備費を充てればよい。株売却にこだわらず、必要な事業に財源が回るようにすべきだ」と指摘。「新型コロナで震災の影が薄くなってしまった。被害が大きく復興事業が長期化した地域が最後まで残されてしまっている」と懸念する。


◆震災後10年の学校の変化を辿る(野坂優)
(内容紹介)

◆清水睦美*3他『「復興」と学校:被災地のエスノグラフィー』(2013年、岩波書店
◆徳水博志『震災と向き合う子どもたち』(2018年、新日本出版社
◆清水睦美他『震災と学校のエスノグラフィー』(2020年、勁草書房

を題材に、震災復興において学校の果たす役割について論じられていますが小生の無能のため、詳細な紹介は省略します。


◆岩手:一人一人のくらしと命を守り復興を―成果と課題(斉藤信*4
◆宮城:被災者置き去りの「創造的復興」から「人間の復興」へ(日本共産党宮城県会議員団)
◆福島:終わらぬ福島原発事故と被害、原発ゼロの実現を(宮本しづえ*5
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

【岩手】
東日本大震災10年/復興状況・課題・要望は/達増岩手県知事・戸羽陸前高田市長と志位委員長がオンライン会談
東日本大震災10年/志位委員長 被災地とのオンライン会談/被災者に寄り添う支援 継続・強化を

【福島】
主張/福島原発汚染水/海洋放出の決定を強行するな
3・11 10年へ 避難者4.2万人/災害公営住宅 福島の入居者 6割「生活回復まだ」
主張/福島原発事故10年/原発ゼロへの扉をひらく年に


◆戦前日本における「学問の自由」と学術会議問題(土井洋彦*6
(内容紹介)
 「戦前日本における」というタイトルで想像が付くでしょうが、戦前昭和の学問弾圧事件として滝川事件(1933年)、天皇機関説事件(1935年)、河合栄治郎事件(1938年)、矢内原忠雄事件(1938年)、津田左右吉事件(1940年、津田左右吉の著書が発禁処分)が紹介されています。
 なお、重要なポイントとしては滝川も美濃部も河合も矢内原も津田も、別に「左翼ではない」ということですね(津田は『神がかりの皇国史観神武天皇を実在扱いするなど)』には否定的な実証派とはいえ天皇制支持者です)。もちろん左翼なら弾圧して良いという話ではありませんが、リベラル派(後述しますが河合について言えばリベラル派と言えるか怪しいですが)とはいえ保守派の彼らが弾圧されたという点に注意が必要でしょう。
 特に、河合にいたっては旧民社党や産経が「反共イデオローグの雄」として持ち上げるような人物です(河合の弟子の多くが旧民社のイデオローグとして活動した)。
 産経らの河合持ち上げについては

第二自民党あるいは自民党補完政党もしくは極右政党の解党・壊滅的打撃を嘆く産経新聞 - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
民社党の不運といえば、まだある。民社党の学者支援集団の民主社会主義研究会議に集まった蝋山政道や関嘉彦、猪木正道などは人間的にも学者としてもすぐれた人々だったが、蝋山の盟友で、関や猪木の師だった河合栄治郎を欠いたことは痛手だった。河合は1944年に53歳で早世し、戦後は故人。

 1960年に設立した党について、1944年に亡くなった人物の死を嘆いたってはじまらんでしょ(呆れ)。結党の十何年前に亡くなった人の名前を持ち出すって、どういう神経しているんですかね。

>河合は社会党のブレーンだった大内兵衛向坂逸郎と同世代だが、知名度と影響力で河合のほうが、はるかに上である。河合を欠いたことも民社党のプレゼンスには不運だった。

 別に河合と比較して、大内、向坂が知名度が低いとか影響力が低いなんてこともないと思いますけどね。単に筆者が民社党が好きで、社会党と大内、向坂が嫌いなだけでしょう(笑)。ていいますか、1944年に亡くなった人と、1980年代まで生きていた人たちの戦後政治への影響力なんて、そもそも比較すること自体が野暮でしょう。
 それにしても、産経界隈の人たちって、河合をものすごく評価していますね。なにしろ東京大学名誉教授の平川祐弘氏などは、「河合と尹にみる日韓言論の桎梏」という記事で、
>早世しなければ河合栄治郎は戦後日本の首相に選ばれた人である。
とまで書いているくらいです。え、戦後日本に学者出身の首相が出る可能性は低かったんじゃないの、って言う気がします。

や湯浅博*7の著書『全体主義と闘った男 河合栄治郎』(2019年、産経NF文庫)を紹介しておきます。
 しかし
1)「戦前、軍部や、民間右翼と戦った」と河合のことを持ち上げながら何故か、学術会議問題で菅の無法を擁護
2)河合を「戦前ファシズムと戦った」と持ち上げながら、何故かあの戦争を「アジア解放の聖戦」と美化し、あの戦争に対する批判を「反日自虐史観」などと罵倒
3)河合同様、迫害を受けた滝川、津田、美濃部、矢内原についてまるで触れない
産経や旧民社の連中は理解に苦しみますね。
 そして「政治的立場としては恐らく河合など大嫌いでしょう」がこういう記事で「河合(まあ、戦前に弾圧食らったことは事実ですので)についても一応簡単に触れる点*8」は「共産党(その程度には寛容)と旧民社(狭量の極み)の違い」といえるでしょう。
 なお、参考文献としては比較的入手しやすい以下のもの(新書や文庫など)をあげておきます。

【滝川事件】
◆伊藤孝夫*9『瀧川幸辰』(2003年、ミネルヴァ日本評伝選)
◆松尾尊兊*10『滝川事件』(2005年、岩波現代文庫)
天皇機関説事件】
◆山崎雅弘*11『「天皇機関説」事件』(2017年、集英社新書)
河合栄治郎事件】
◆松井慎一郎*12河合栄治郎:戦闘的自由主義者の真実』(2009年、中公新書)
矢内原忠雄事件】
◆将基面貴巳*13『言論抑圧:矢内原事件の構図』(2014年、中公新書)
 話が脱線しますがこれで『将基面』(しょうぎめん)と読むそうです(将基面貴巳 - Wikipedia参照)。 珍名の一種と言って良いでしょう。
◆赤江達也*14矢内原忠雄:戦争と知識人の使命』(2017年、岩波新書)

参考
【滝川事件】
赤旗
滝川事件から考える「学問の自由」/社会部長 三浦誠
「学問の自由守れ」貫く/滝川事件と「赤旗(せっき)」/弾圧に反対 運動を鼓舞
任命拒否 滝川事件とそっくり/衆院法務委 藤野議員「言論弾圧の政治に未来ない」


憲法審査会レポート⑤「203臨時国会:菅政権下の改憲策動を許さない」(佐々木森夢)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

主張/菅自公政権の発足/布陣も「安倍政治」そのものだ2020.9.17
 見過ごせないのは、総務会長に佐藤勉*15衆院憲法審査会長、政調会長に(ボーガス注:安倍政権下で第二次安倍内閣文科相自民党選対委員長などを歴任した安倍氏の子飼い)下村博文・前自民党改憲推進本部長が就任したことです。“改憲シフト”と言える布陣です。菅政権発足にあたって自民・公明の両党が確認した政権合意(15日)では、改憲の「審議を促進する」ことが盛り込まれました。菅政権の改憲策動の危険は軽視できません。

主張/憲法公布75年の年/改憲許さず立憲主義の回復を2021.1.10
 菅首相は、改憲派ジャーナリスト*16櫻井よしこ氏との新年の対談(「産経」3日付)で、自民党は自主憲法制定という旗を掲げており、「改憲に向けて進むのは当然」「しっかりと挑戦したい」と主張しました。
 菅首相は、昨年の政権発足の際、自民党役員・国会人事で改憲推進の布陣を敷きました。党改憲推進本部長に改憲強硬派の衛藤征士郎・元衆院副議長を就任させ、衆院憲法審査会長には細田博之*17・元自民党幹事長を起用しました。


◆少人数学級:「重要な前進」から、本格的な前進へ(藤森毅*18
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。しかし今回は「40人→35人(しかも小学校のみ)」であり志位氏は「中学、高校も含め、35人から30人へ更に引き下げることを目指す」としています。
主張/少人数学級/中学高校含め本格的な実施を
みんなでつくりだした重要な前進 一刻も早く30人学級を/少人数学級で志位委員長


特集「コロナ禍の下での困難に抗する」
◆コロナ禍の克服は、格差是正でこそ:労働組合の役割を考える(黒澤幸一*19
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

2020 職場のたたかい/コロナ解雇撤回させた
 コロナ禍を口実に600人に事実上の解雇が打ち出されたタクシー会社、ロイヤルリムジングループ(東京)で、傘下の目黒自動車交通の労働者に対する退職強要を撤回し、減車により雇用を維持することで全労連傘下の自交総連の労組と合意。不当な退職強要を職場からの共同ではね返し、労組の存在意義を示しました。

コロナ禍 大幅賃上げを/政治変える春闘へ
 JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)の三木陵一委員長はコロナ禍で残業代も減るなか「8時間労働で生活できる大幅賃上げの緊急性が高まっている」と強調。コロナ便乗リストラとたたかい、雇用を守る体力のある大企業の責任追及を訴えています。
 日本医労連は医療・介護労働者の大幅増員や公立・公的病院の拡充を掲げ、「いのち守る署名」の国会採択を目指しています。

春闘共闘が単産・代表者会議/コロナ禍 労組が声あげ職場・政治を変えよう
 全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は14日、東京都内でオンラインを交えて単産・地域代表者会議を開きました。
 あいさつした小畑雅子代表幹事(全労連議長)は、コロナ危機は「無為無策・逆行する対策をすすめた菅政権の失政」と批判。国民のいのちと暮らしを守る立場にたっていないと指摘し、「春闘で国民のいのちを守れ、生活保障に税金を回せの声をあげていこう。総選挙で政治を変えていこう」と述べました。


◆コロナ禍、生活相談によせられるSOSから見えてくるもの:生活困窮支援の現場から(小林美穂*20
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

コロナで住む場所や仕事を失った人たちを支援 「コロナ禍の東京を駆ける」出版 - 毎日新聞
 新型コロナウイルスの影響で、住む場所や仕事を失った人たちのSOSが後を絶たない。現場に駆けつけ支援している一般社団法人「つくろい東京ファンド」スタッフの小林美穂子さん(52)らが11月末に「コロナ禍の東京を駆ける」(岩波書店)を出版した。ワーキングプアの人らが生活保護を申請する際に同行したり、アパート探しに付き添ったりする様子を通して、「公助」の現状と課題をつづった。
「つくろい」は2014年設立。中高年男性を中心とするホームレス当事者ら向けの個室シェルターや、懐具合が寂しくても利用できる「カフェ潮の路」を運営し、彼らの生活再建を支えてきた。だが、コロナ禍でカフェは3月から段階的に休業。4月上旬、緊急事態宣言でネットカフェが休業要請の対象になると、メール相談フォームを設けた。
(この記事は有料記事です。)

[新著の余録]■コロナ禍の東京を駆ける 小林美穂子さん 「生きたい」 全力で肯定 | 沖縄タイムス紙面掲載記事 | 沖縄タイムス+プラス
「ステイホーム」を求められても、住む家がない-。新型コロナウイルス危機に伴う緊急事態宣言が出された昨年4月、ネットカフェで暮らしながら働く人々が住む場所と仕事を同時に失った。
(この記事は有料会員限定です。有料プランに登録すると、続きをお読み頂けます。)

1 門外漢が見た貧困の実情と福祉事務所の実態(小林美穂子)〈コロナ禍の東京を駆ける〉 | コロナ禍の東京を駆ける | web岩波
 ホームレス状態の人に雑誌販売の仕事を提供する「ビッグイシュー」でインターンをしたのが、支援団体と関わるようになった最初の一歩だった。2009年のことである。その後、別の支援団体のスタッフ経験を経て、「一般社団法人つくろい東京ファンド」へ。2017年からは、つくろいシェルターを経て地域生活を始めた人たちの食とつながりを支え、また就労の場としての居場所「カフェ潮の路(しおのみち)」をオープンし、責任者となった。
(中略)
 現在、生活保護を利用しながら無料低額宿泊所に入所している人が全国で3万人以上いると言われている。全国の路上生活者は約4000人。そして、生活保護は利用せず、仕事をしながらネットカフェ生活をしている若い層の人たちが、都内だけで約4000人。
 住環境が脆弱な人たちがこれだけいる日本で、住まいの貧困を解決するような画期的な制度はいまだ出てこない。そんな中、新型コロナウィルスが日本に上陸した。
 緊急事態宣言からの自粛要請で、休業するネットカフェが続出。これまでネットカフェで何とか生活をしてきた4000人が路上に押し出されてしまう。大変なことになった!!
 ということで、この続きは、『コロナ禍の東京を駆ける』でぜひどうぞ。現場のリアルを知っていただけましたら本望です。


◆インタビュー『「学生アルバイト白書」からみえるコロナの下での学生の実態と思い』(川村雅則*21
(内容紹介)
 今回の前衛記事は「学生アルバイト白書」10冊目 コロナと生活 2割が「休退学考える」 北海学園大学教授 川村雅則さん「赤旗」1/5 - ようこそ 日本共産党杉戸町議員団へ! 新型コロナ感染爆発・医療崩壊ストップ 暮らしといのち守る(2021-01-05)が紹介する「川村教授への赤旗インタビュー記事」をより詳細にしたものといえます。
 実際の所どうかは分かりませんが、インタビュー自体は同じインタビューで「赤旗(党機関紙)記事」では簡潔にまとめ、「前衛(党機関誌)記事」では「より詳細に書いた」ということかもしれません。

参考

「ブラックバイト」道内でも後絶たず 長時間労働、残業代不払い、正社員並みの責任… 北海学園大生が「白書」 実態浮き彫りに:北海道新聞 どうしん電子版2020/02/15
 学業と両立が難しくなるような長時間や過酷な労働を強いられる「ブラックバイト」が社会問題となる中、道内でも被害に遭う学生が後を絶たない。北海学園大生がまとめた「学生アルバイト白書2019」からも、残業代の不払いや休憩時間を取らせてもらえないなど、不当な働き方を強いられている実態があらためて浮き彫りになった。
 ブラックバイトは、中京大の大内裕和*22教授(教育社会学)が4年前、ブラック企業になぞらえて名付けた。「残業代を支払われない」「一方的に急なシフト変更を命じられた」など、法令違反や学生が学業に支障をきたすほどの労働を強いられる状況をいい、社会問題になっている。
 学生アルバイトの実態について毎年ゼミ生とともに調査・研究している北海学園大の川村雅則教授(労働経済学)は「今の学生のアルバイトは、親世代が経験した補助的な存在ではなく、店を1人で任されたり、ノルマを課されたりして、基幹労働力と化している。企業の正社員が減らされる中、正社員並みの仕事と責任を求められるようになっている」と指摘する。
 学生アルバイトでも商品などの発注業務や施錠、現金の管理まで任され、真面目な学生ほど「自分が抜けると業務に支障がでる」と思い込み、追い詰められる現状があるという。
 学生アルバイト白書は、川村教授のゼミ生が毎年作成している。19年版は、ゼミ生25人が北海学園大の1部と2部(夜間)の学生計1184人を対象に昨年10~11月にアンケートを行い、今年1月にまとめた。
 白書によると、大学入学後、アルバイトをした経験があるのは全体の92%で、1週間の勤務時間は「15~20時間未満」が最も多かった。アルバイトでの悩みや困った経験(複数回答可)では、「人手不足」(37%)、「急に早あがりや休みになる」(33%)、「急な出勤、勤務の増」(28%)、「求人情報の内容と労働条件が異なる」(23%)といった回答が多かった。
 労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低1時間の休憩を労働者に与えるよう定めているが、「1日に9時間労働しても1分も休みがない(居酒屋)」「1日の労働時間が11時間(コンビニ)」などの声もあった。
 このほか「有給休暇が取れない(飲食店)」「タイムカードを切った後に働かされる(飲食店)」など労働条件に法的な問題があっても、ワークルールを知らなかったり、疑問に思ってもアルバイトという弱い立場上、口に出せなかったりする状況も浮かび上がった。
 白書の作成に携わった小川佳那子さん(2年)は「学生も労働に関する法律や権利を学ぶ必要がある」と話し、個人でできる自衛策として「雇用契約書や労働条件を確認したり、困った時には労働組合や弁護士など専門家に相談することが大事」と呼びかける。
 白書は川村教授のホームページ(http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/education.top.htm)で公表している。

コロナ危機・克服のヒント:非正規雇用維持 現場の声不可欠 北海学園大教授・川村雅則氏 /北海道 - 毎日新聞2020年7月3日
◆記者
 新型コロナウイルスの経済への影響で休業や失業が問題になっています。
◆川村
 総務省の統計で、非正規雇用の従業員数は2020年3月の2150万人から4月には2019万人と131万人減、5月は多少改善しましたが、2045万人で前年同月比52万人減と雇用が急激に減少しました。安易な非正規雇用者の解雇や派遣切りも行われていると推測できます。
 また、休業している労働者は全国で423万人。これも5月は改善していますが、前年の約3倍。経済が容易に回復せず先行きが見通せない中、休業者が失業者に転じる可能性があります。
(この記事は有料記事です。)

コロナで大学生のバイト収入減 休業手当なく生活直撃 北海学園大生調査 - 毎日新聞2020年12月31日
 アルバイト収入の減少など、新型コロナウイルスの感染拡大が北海道内の大学生にも深刻な影響を与えている現状が、北海学園大(札幌市豊平区)の学生による調査で浮き彫りになった。【山下智恵】
 調査は、同大の川村雅則教授(労働経済学)が指導するゼミの学生がまとめた「学生アルバイト白書2020」。毎年実施し、今回で10回目。10月22日から11月1日まで実施し、有効回答は609人。例年通りのアルバイトや経済状況に加え、新型コロナの影響なども質問した。
(この記事は有料記事です。)


◆コロナ禍の障害ある子どもの生活困難と家族の願い:「休校・生活制限等による障害児とその家族の生活困難・ニーズ調査」から(小野川文子*23
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

きょうの潮流 2021年1月13日(水)
 一斉休校中も学校が再開してからも「子どもにとって学校って何だろう、と毎日考え続けていました」。障害がある子どもの母親の話です
▼オンラインで開催された、第20回全国障害児学級&学校学習交流集会での一コマです。予定が見えないと不安な息子は休校中も「夕飯は何?」「明日は何をするの?」と聞いてくる。親としてただあせるばかりで手いっぱいだった、と振り返ります。
▼4月の始業式。「また学校に行ける」と送りの車の中でハイになっていた息子を前に、来週から再び休校だと告げられず涙しました。
「人の表情を見て取る子なので、不安にさせないよう必死でした」。
 再開後も行事中止など残念やがっかりの連続ですが、それでも楽しみに過ごす姿が。「友達や先生のコミュニケーションで成長するのが、この子たちの一番の学び」と学校の意味をかみしめています。
▼休校や生活制限は何をもたらしたのか。北海道教育大学釧路校特別支援教育研究室がその実態を調査。「破壊行動が増えた」「身辺自立面でできていたことができなくなった」など発達面に大きく影響しました。
▼さらに深刻だったのは、「てんかんの発作が増えた」「音や光の過敏の進行」など病気や障害が悪化したことでした。「(ボーガス注:フォローアップ体制も整備せずに)安易に一斉休校にした罪は非常に大きいし、問題は今も続いている」と准教授の小野川文子さん。「学校は子どもの命も守る場だ」と訴えます。

くらしナビ・社会保障:障害ある子どもの心身に影響 - 毎日新聞2021年1月28日
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う全国一斉休校で生じた生活環境の変化が、障害がある子どもたちの心身に影響を及ぼしている――。
 北海道教育大釧路校の小野川文子准教授(特別支援教育)らが家族を対象に行ったアンケートでこうした状況が浮かび上がってきた。ストレスが原因とみられる病気の悪化のほか、発達への影響に関する声が家族から寄せられた。小野川准教授は、学校が持つ機能の重要性を指摘する。
(この記事は有料記事です。)

トピックス【新型コロナウイルス感染症に関わる休校・生活制限による障害児とその家族の生活困難・ニーズ調査報告】 | 釧路校|国立大学法人 北海道教育大学2020年12月9日
北海道教育大学釧路校特別支援教育研究室では、「新型コロナウイルス感染症に関わる休校・生活制限等による障害児とその家族の生活困難・ニーズ調査」を実施しました。
 東京都および埼玉県の一部と北海道の特別支援学校に在籍する児童生徒の保護者を対象に実施され、562 人(有効回答数 549)から回答を得ました。
 今回の調査では、学校休校中の子どもたちに深刻な影響を及ぼしていることが示されました。この間行なわれてきた調査と同様、運動不足やテレビやネットへの依存傾向、睡眠や食生活の乱れが多くみられました。そのことが体重の増減、体力の低下、中性脂肪値の高さにつながり、健康を脅かしています。また、行動制限によるイライラやパニックといった行動面での影響が上位を占め、自由意見でも、「パニック」「自傷行為」「暴力的行動」「便いじりなどの自己刺激」が増え、「コミュニケーション力の低下」「身辺自立面での後退」等、発達面での影響も多く、さらには「てんかん」「音や光の過敏の進行」など病気や障害の進行もみられ、深刻な状況がうかがわれます。そのような状況は、学校再開後もすぐには改善せず、「登校できない」「生活リズムが改善しない」といった声も多くあがっており、その影響が長期にわたっていることが示されました。
 家族の状況では、保護者、とりわけ母親の多くは子どもの介助を含め養育全般を担っていることから、「隔離生活などできない」「自分が倒れられない」といった精神的に張り詰めた状態であり、自由意見では、「不眠」「精神的にも体力的にも限界」「自らの通院もできなかった」などが寄せられています。また、「預け先がない」などによって就労困難となり「仕事を辞めた」というケースはもちろん、「中学部だからとテレワークが認められなかった」など、感染予防として呼びかけられていたテレワークすら障害児の場合は困難であることも示されました。平時においても障害児を育てる保護者は就労困難、健康破壊、そして孤立しやすい状況にある中、今回のコロナ禍によってますます深刻さが増しています。これまでの福祉・教育の脆弱性が一気に浮き彫りとなり、さらに障害児家庭を追い込んでいます。
 環境の変化に敏感かつ弱い障害児の場合、ダイレクトにその影響を受け、子どもの健康や発達に顕著に現れるかと思いますが、障害のない子どもの場合はある程度まで「自分で我慢し、コントロールしている」とするならば、時間の経過の中でその影響が徐々に現れてくると予測されます。したがって、今回の障害児やその保護者の状況は決して、障害児固有の問題ではなく、全ての子どもたちにとっても重要な問題提起となると考えています。少しでも多くの皆様にコロナ禍における障害児やその家族の状況をご理解いただき、今後の対応や支援体制の充実につながりますことを願っております。
 なお、調査結果と概要とまとめは、北海道教育大学特別支援教育プロジェクト・ほくとくネットに掲載されています。
 こちら http://hokutoku.net/  


ジェンダー覚書―The personal is political『ケアが導く新しい民主主義』(飯田洋子*24
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

日本共産党創立98周年記念講演会/心こもったビデオメッセージ
同志社大学大学院教授 岡野八代さん*25
 私はケアと民主主義といった研究をしていますけれども、この間、看護師、保育士、介護士の方、多くの女性たちが就く仕事に過重な負担がかかりながらも、あまりこれまで評価されてこなかった必要な仕事。共産党にはぜひ、コミュニスト(communist)のCと、ケア(care)のC、そしてもう一つ、コンサーン(concern)、人に配慮することのC。このトリプルCであと2年後の100周年を、さらに活気づいた日本共産党として迎えていただきたいと思います。

新春対談/同志社大学教授 岡野八代さん/日本共産党委員長 志位和夫さん
◆岡野
 保育士は、一般職に比べれば月10万円も月収が低い。
 コロナ禍で、医療従事者、介護関係者、教育に携わる人たちが、これほどの悲鳴を上げていますが、一切耳を傾けないような政治。こんなことが政治家としてというよりも、人としてあっていいのだろうかぐらいの怒りを感じています。
◆志位
 コロナ危機のもとで、いまおっしゃられたケア労働が、どんなにとうとい仕事なのかということを、みんなが思い知りました。同時に、そういう労働を政治が粗末に扱っている。これもはっきりしました。
 医療機関がたいへんな赤字で苦しんでいます。医療従事者のボーナスが夏も冬もカットされるという事態が起こっています。看護師さんにしても、たとえばコロナ専門のICU(集中治療室)では、連続数時間も防護服を着ての過酷な労働です。心身ともにくたくたになっている。ところがボーナスがカットになる。これはどう考えてもおかしい。
 それから岡野さんが言われたように、保育、介護、障害福祉、ここで働く方の賃金が一般の労働者に比べて月約10万円も少ないわけです。専門職ですから、本来、高くて当たり前なのに、逆に低いという実態があります。そのために深刻な人手不足になっています。その矛盾もコロナ危機で噴き出しました。
 ですから私たちは、コロナ危機の教訓も踏まえて、「新しい日本をつくる五つの提案」(別項)を提唱したのですが、第一の提案「新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくる」の冒頭に「ケアに手厚い社会をつくる」ことを掲げたのです。
 岡野さんとせっかく今日、お会いする機会ができたので、これ(ジョアン・C. トロント著、岡野訳『ケアするのは誰か?:新しい民主主義のかたちへ 』(2020年、白澤社))を読みました。
 それで、このケアの問題、岡野さんが言われていること、とても共感が持てることがたくさんあって、私たちの科学的社会主義の立場から、ケアの問題にどうやって接近していったらいいのだろうかとずいぶん考えました。
◆岡野
 とくにこのコロナでこんなふうにケアワーカー、エッセンシャルワーカーの人たちに光があたった。皮肉ですけれども、自分の研究上これまで考えてきたことが、多くの人たちに伝わっている感じがしていて、志位さんにも読んでいただける本を書けたというのは、研究者冥利に尽きます。


◆暮らしの焦点『リストラ策に抗する闘いの砦の役割を果たす電機・情報ユニオン』(米田徳治*26
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
日立 解雇手続きに不備/電機・情報ユニオン 厚労省に指導要請/畑野衆院議員 しいば氏同席2019.4.23
NEC 雇用守る指導して/電機・情報ユニオン 政府に要請/倉林議員同席2019.5.11
技術者退職強いるな/ルネサスリストラ 労組が政府要請2019.6.20


◆スポーツ最前線『天理大が初王座、桐蔭学園は二連覇:コロナ禍越えた大学、高校ラグビー』(大野晃)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
天理大学にとっては、最大の敵は自分たちかもしれない(ラグビー大学選手権決勝) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

絶望の1カ月、乗り越えて日本一 天理大ラグビー部 - 一般スポーツ,テニス,バスケット,ラグビー,アメフット,格闘技,陸上:朝日新聞デジタル(篠原大輔)
 昨年8月に新型コロナウイルスクラスターが発生し、活動休止を余儀なくされた天理大ラグビー部。約1カ月のブランクを経て、全国大学選手権で初優勝した。その軌跡を追った。
 1月11日、天理大にとって3度目となる全国大学選手権決勝。55―28で早稲田大を下し、初の日本一に輝いた。
 すべては8月12日に始まった。練習が始まってすぐ、集合がかかった。
 「○○が陽性やった」
 まさか。仲間の新型コロナウイルス感染を知らせる言葉にショックを受けた。練習は打ち切られた。
 全部員168人が同じ寮で暮らしてきただけに、感染は広がる。4日後、奈良県は県内3例目のクラスター(感染者集団)が発生したと発表。最終的に62人の部員が陽性と診断された。
 部員たちは寮を出て病院やホテル、自宅へ。練習再開のめどは立たず、秋のシーズンがどうなるかという不安が濃くなる。一方で大学や天理市には、彼らを誹謗中傷するメッセージが届いた。部外の学生たちが教育実習の受け入れ先の学校、あるいはアルバイト先から不当な差別を受けた。
 すると並河健天理市長と永尾教昭・天理大学長が記者会見し、「それは違う」と訴えてくれた。小松節夫監督はあちこちに頭を下げてくれた。ほかの部の学生たちが激励の動画を送ってくれた。
 「心に染みました。前を向く原動力になりました」と松岡主将。
 9月2日に寮が再開し、10日から約1カ月ぶりに練習が再開。部員たちは感謝を込め、週1回、朝に天理駅前栽駅周辺に分かれて掃除をした。
 日本一をとるために、もう足踏みはできない。寮では18畳の3人部屋を2人にし、3人以上の滞在は禁じた。天理市外には出ず、手洗い・消毒・マスク着用も、より徹底した。

花園プレーバック:第100回:桐蔭学園が初の連覇達成 史上最多63校参加の記念大会 - 毎日新聞
 100回の節目を迎え、史上最多の63校が出場した記念大会は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、全試合が無観客で開催された。桐蔭学園(神奈川)が決勝で京都成章に快勝し、2大会連続3回目、東日本勢として相模台工(神奈川)以来26大会ぶりとなる連覇を成し遂げた。
 桐蔭学園は伝統の精度の高いパスやバックスの素早い展開に加え、平均体重100キロ超の重量FWでも相手を圧倒した。大阪朝鮮との準決勝、京都成章との決勝は同点で折り返したが、後半に縦横無尽の連続攻撃でトライを重ねて突き放した。
 連覇は第89~91回大会(2009~11年度)で3連覇した東福岡以来9校目(12回目)。桐蔭学園は春の全国選抜大会(20年度は中止)も3連覇中で、前年度は夏の7人制も含めた「高校3冠」を達成。黄金時代の到来を予感させた。
 準優勝の京都成章は13回目の出場で初の決勝進出。複数の選手が間髪入れずにタックルを繰り返す、代名詞の「ピラニアタックル」を軸に、安定した防御が光った。攻撃では大型ロックの本橋の突破力が印象的だった。


文化の話題
◆映画『おかかたちが日本を動かした:映画『大コメ騒動』』(伴毅)
(内容紹介)
 寺内内閣内閣総辞職に追い込んだ米騒動を描いた映画『大コメ騒動』の紹介。「おかかたち」とは「お母たち」ですね。

参考

世紀の決起 リアル映す 大コメ騒動 富山出身・本木監督が秘話:北陸中日新聞Web
 大正時代、都市部の生活水準が向上し、白米の消費が伸びたことで米価が上昇。投機筋の買い占めが起きた。米を買えなくなった富山の漁村では、出稼ぎで不在の男衆に代わり、働きながら家を守る女性たちが立ち上がった。「女軍米屋にせまる」「女一揆」などとの見出しが躍った扇情的な新聞報道は、社会に不満を持つ人々を触発し、各地での暴動や抵抗運動へと波及。富山は米騒動始まりの地として、歴史に刻まれた。
 映画は聡明な三児の母、いと(井上真央)を主人公に、しゅうとめのタキ(夏木マリ)、浜の女房たちのリーダー(室井滋)ら女性の団結を描く。
 全国に広がった米騒動の収束には、スペイン風邪の流行が影響したとされる。新型コロナウイルスの猛威真っただ中での公開となり、時代性の重なりに奇縁を感じる。


◆写真『「モンローの皺:ある城下町の行方*27」(英伸三*28)』(関次男)
 写真集『「モンローの皺:ある城下町の行方』の紹介。
参考

モンローの皺 ある城下町の行方 英伸三写真集の通販/英 伸三 - 紙の本:honto本の通販ストア
 雑居ビルのピンクの壁に飾られたマリリン・モンローの写真。だが、風雨に晒されているうちに、表面加工が劣化して白い線が走り、モンローの顔に皺が寄った。気がつけば、一帯もすっかりさびれ…。中津の町を写し撮った写真集。

英伸三写真集『モンローの皺 ─ある城下町の行方─』現代写真研究所出版局刊 | 地方・小扱い書誌近刊☆新刊案内
 大分県中津市は、瀬戸内海の周防灘に面した県北の中心都市。
 二〇二〇年四月七日、七都道府県に緊急事態制限が発令され、シャッターをおろした東京や大阪の商店街の映像が連日テレビで流された。その光景は本書の中津の商店街と同じである。
 さびれてしまった地方都市に住む人たちは、どんな気持ちで見ていただろう。
 都市で働く地方出身者は、帰省もかなわぬまま、ふるさとの姿と重ねあわせたのではないか。
 街なかから映画館、書店、楽器店、喫茶店、洋装店、呉服屋、履物屋などが姿を消し、一番中津らしい活気をみせてなん軒もあった魚屋も、町外れの大型スーパーの中に入ってしまった。


◆美術『戦争を超えた芸術家の友情:岡本太郎とクルト・セリグマン』(武居利史)
(内容紹介)
 川崎市岡本太郎美術館で開催されたクルト・セリグマンと岡本太郎|川崎市岡本太郎美術館の紹介。

クルト・セリグマンと岡本太郎|川崎市岡本太郎美術館
 岡本太郎(1911-96)はパリに滞在中の1933年、前衛芸術家の団体アプストラクシオン・クレアシオン協会に参加し、多くの芸術家たちと親しく交わり、とりわけクルト・セリグマン(1900-62)とは同協会員の中でも最も深く交流を持ちました。
 1935 年には、セリグマン、岡本、ヴュリアミの3人によりパリで展覧会が開催され、それをきっかけに「ネオ・コンクレティスム」(新具象主義)が提唱されました。
 また1936年、セリグマンがアルレット夫人と共に東京を訪問した際、パリの岡本太郎は、父・一平に歓待するよう依頼し、一平の手配によってセリグマンは銀座・三越百貨店にて個展を開催しました。それを機に「ネオ・コンクレティスム」は日本で脚光を浴び広く知られることになります。
 1939 年、ユダヤ系であるセリグマンはドイツ・ナチスの侵攻を察知し、活動の拠点をアメリカ・ニューヨークへ移します。1940 年代以降、セリグマンはパリ時代の芸術家仲間をニューヨークに次々に招いて紹介し、ニューヨーク派シュルレアリストの重鎮として活躍しました。
 彼の尽力により、岡本太郎も同地で1953 年にニューヨークで個展を開催しています。
 その後、1951年開催の読売アンデパンダン展(第3回日本アンデパンダン展)におけるマーク・ロスコジャクソン・ポロックなど27 名のアメリカ人芸術家の出品、また1956 年開催の「世界・今日の美術展」8名16点の出品も岡本とセリグマンの友情により実現されたものです。
 本展は、岡本太郎の盟友であるクルト・セリグマンの作品を岡本の作品とともに紹介し、岡本芸術の形成過程を探ると共に、両者の友情によって第二次世界大戦後の日本の美術界にもたらされた影響の意義について検証する展覧会です。

*1:京都大学名誉教授。京都橘大学教授。著書『日本資本主義と農村開発』(1989年、法律文化社)、『一人ひとりが輝く地域再生』(2009年、自治体研究社)、『震災からの地域再生』(2012年、新日本出版社)、『「自治体消滅」論を超えて』(2014年、自治体研究社)、『公共サービスの産業化と地方自治』(2019年、自治体研究社)、『地域づくりの経済学入門(増補改訂版)』(2020年、自治体研究社)など

*2:愛知大学名誉教授。著書『東日本大震災・復興の検証:どのようにして「惨事便乗型復興」を乗り越えるか』(編著、2016年、合同出版)など

*3:日本女子大学教授。著書『ニューカマーの子どもたち』(2006年、勁草書房

*4:岩手県議(日本共産党)。公式サイト斉藤信のホームページ

*5:福島県議(日本共産党)。公式サイト宮本しづえのかけ歩き

*6:日本共産党学術・文化委員会責任者(党中央委員兼務)。著書『変革の立場と傍観者の論理:丸山真男「史観」批判』(共著、1994年、新日本出版社

*7:国家基本問題研究所主任研究員。産経新聞客員論説委員。著書『中国が支配する世界:パクス・シニカへの未来年表』(2018年、飛鳥新社)、『アフターコロナ・日本の宿命:世界を危機に陥れる習近平中国』(2020年、ワック文庫)など

*8:ただし、メインはやはり河合よりも滝川と美濃部ですが。まあ滝川はともかく「親と子は別人格」とはいえ、共産党は美濃部の息子・亮吉氏を都知事として担いだことがありますしね。

*9:京都大学教授。著書『大正デモクラシー期の法と社会』(2000年、京都大学学術出版会)など

*10:1929~2014年。京都大学名誉教授。著書『大正デモクラシー』(2001年、岩波現代文庫)、『大正デモクラシー期の政治と社会』(2014年、みすず書房)など

*11:著書『日本会議:戦前回帰への情念』(2016年、集英社新書)、『〔増補版〕戦前回帰:「大日本病」の再発』(2018年、朝日文庫)、『歴史戦と思想戦』(2019年、集英社新書)など

*12:聖学院大学教授

*13:ニュージーランド・オタゴ大学教授。著書『ヨーロッパ政治思想の誕生』(2013年、名古屋大学出版会)、『愛国の構造』(2019年、岩波書店)など

*14:関西学院大学教授。著書『「紙上の教会」と日本近代:無教会キリスト教の歴史社会学』(2013年、岩波書店)。なお矢内原は「無教会キリスト教」の立場の人物として著名です。

*15:麻生内閣総務相

*16:よしこはジャーナリストとはとても言えないでしょう。しかしよくもまあ、よしこなんぞと対談できるもんです。

*17:細田派ボス。小泉内閣官房長官自民党幹事長(麻生総裁時代)、総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*18:日本共産党文教委員会責任者(党中央委員兼務)。著書『教育の新しい探究』(2009年、新日本出版社)、『いじめ解決の政治学』(2013年、新日本出版社)、『教育委員会改革の展望』(2015年、新日本出版社)、『教育勅語を読んだことのないあなたへ:なぜ何度も話題になるのか』(共著、2017年、新日本出版社

*19:全労連事務局長

*20:つくろい東京ファンドメンバー。「カフェ潮の路」コーディネーター。著書『コロナ禍の東京を駆ける:緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(編著、2020年、岩波書店

*21:北海学園大学教授。著書『日本の保育労働者』(共著、2015年、ひとなる書房)

*22:著書『教育基本法改正論批判』(2003年、白澤社)、『民主党は日本の教育をどう変える』(2010年、岩波ブックレット)、『ブラックバイトに騙されるな!』(2016年、集英社クリエイティブ)、『奨学金が日本を滅ぼす』(2017年、朝日新書)、『教育・権力・社会:ゆとり教育から入試改革問題まで』(2020年、青土社)など

*23:北海道教育大学准教授

*24:日本共産党ジェンダー平等委員会事務局次長

*25:著書『法の政治学』(2002年、青土社)、『シティズンシップの政治学(増補版)』(2009年、白澤社)、『フェミニズム政治学:ケアの倫理をグローバル社会へ』(2012年、みすず書房)、『戦争に抗する:ケアの倫理と平和の構想』(2018年、岩波書店)など

*26:電機・情報ユニオン委員長

*27:2020年、現代写真研究所出版局

*28:写真家。日本リアリズム写真集団代表理事。現代写真研究所所長。公式サイト英伸三の写真