「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年2/25分:荒木和博の巻)

大澤孝司さんについて【調査会NEWS3403】(R03.2.26): 荒木和博BLOG

 私は既に大澤さんの現場(佐渡市)には何度も行っていますが、今回特に気になったのはレーダーサイトとの関係でした。佐渡の西岸、春日崎には昭和23年(1948)に米軍が部隊を展開し、その部隊は朝鮮戦争休戦後の昭和29年(1954)には金北山山頂に移駐、その後航空自衛隊に移管されています。だからこそ大澤さんの失踪*1や曽我さん母子の拉致、また昭和47年(1972)の工作員が逮捕された宿根木事件なども起きたのだと思います。

 大澤氏は「特定失踪者」であり政府認定拉致ではないので論外ですね。もちろん曽我さんのように実際に拉致された方は佐渡に居ますが、「拉致とレーダーサイトが関係ある」なんてことを荒木は証明できていませんし、そんなことは仮に事実でも「拉致被害者の日本帰国」と何ら関係ない。「拉致の犯行動機」なんか知ったところで拉致被害者が帰国できるわけでも何でもない。

 松原仁・元拉致問題担当大臣も「大澤さんと藤田進さん(川口)については(ボーガス注:松原の大臣)在任中、拉致されて北朝鮮で健在であると認識していた」と語っています。

 「だったら大臣時代(野田内閣)に認定しろよ。救う会相手にデマほざいてんじゃねえ!」つう話です。松原みたいな「クズでバカ」が党所属議員なんですから俺は立民なんて支持する気にはまるでなりませんね。まあ、「最大野党」立民がそういう「ダメ政党」だからこそ安倍政権長期化だったわけですが。

 ところで救う会の時代、つまり調査会ができる前、ということですが私は大澤さんのことを拉致として取り上げるのに消極的でした。
 これは実は先日救う会の元会長代行だった小島晴則さん*2に言われて思いだしたのですが、まだ北朝鮮が「わが国は拉致など全くしたことがない。でっち上げだ」と言っていた当時のこと。救う会の事務局長だった私は「もし違っていたら北朝鮮や日本国内のそちら側の勢力に口実を与えることになる」と考えていたように思います。
 実際金正日が拉致を認める2年前、平成12年(2000)1月にはそれまで9年余にわたって柏崎市の男に監禁されていた三条市の少女が発見されていました。一時はこの少女も北朝鮮による拉致ではないかとの話があったこともあり*3北朝鮮はほらみたことかと「拉致はでっち上げ」とする材料で盛んに宣伝材料に使いました。

 そうしたまともな考えが今や「特定失踪者が国内で発見されても平気で居直る」ようになるのだから呆れて二の句が継げませんね。
 つうか、この荒木文章は「大澤さんら特定失踪者は北朝鮮拉致か疑わしい」と自白しているのも同然の文章であり「お前は何を言っているんだ?」ですね。
 しかし忘れてましたが、そういえばそんな少女いましたねえ。

新潟少女監禁事件 - Wikipedia
 監禁期間が約9年2か月という長期にわたっていたことや、事件に関わる新潟県警の不祥事(賭け麻雀問題などのこと)が発覚したことなどから社会的注目を集めた。また、犯人が長期の引きこもり状態にあったことから、同様の状態にあった男が同年(本事件発覚後)に起こした西鉄バスジャック事件とともに、引きこもり問題の社会的認知度を大きく高めた事件ともなった。新潟県の県紙『新潟日報』(新潟日報社)は、2000年の「県内10大ニュース」の1位および、「国内10大ニュース」の8位として、本事件とそれに関連する県警の不祥事を選出したほか、第一審・控訴審の判決が言い渡された2002年(平成14年)には「県内10大ニュース」の6位として本事件を選出した。
◆事件をモチーフとした作品
残虐記(2004年)
 桐野夏生*4のミステリー小説。9歳の時に誘拐され男と1年余りの監禁生活を送った経験を持つ女流作家が、出所した男からの手紙を受け取ったことをきっかけとして、事件の内容と自身の来し方を綴った私小説残虐記」の原稿を残し失踪するところから物語が始まる。2004年度の柴田錬三郎賞を受賞。
◆完全なる飼育 赤い殺意(2004年)
 若松孝二監督による映画。『完全なる飼育』シリーズの6作目。少女が男に10年間監禁されている山奥の一軒家に、殺人を犯し逃走中の男が逃げ込み、奇妙な三角関係が始まるという物語。監禁男を佐野史郎*5が演じた。

ということで当時はビッグニュースだったんですが、その後、

新潟少女監禁事件 - Wikipedia
 千葉刑務所に収監された犯人は、2015年(平成27年)ごろに刑務所を出所し、2017年(平成29年)ごろに千葉県内で病死した。

という事については特に目立った報道もされずに今や多くの方が俺のように事件のことを忘れてるのではないか(新潟少女監禁事件 - Wikipediaによれば少女発見は小泉訪朝2年前の2000年)。そう言う少女が「よりにも寄って新潟県にいた」のに「特定失踪者」なんてデマをほざいた荒木も相当のバカでクズですが。
 「俺が特定失踪者認定した人間が新潟の少女みたいに後で国内で発見されたらどうしよう」と思わないんだから気が違っています。実際、国内で40人も発見されますが。なかには足立区女性教師殺人事件 - Wikipedia(遺体発見は小泉訪朝から2年後の2004年)のような「殺害されており犯人は北朝鮮と何ら関係なかった(犯人は女性教師が勤務する学校の男性職員)」というとんでもない話さえありました。
 ちなみに「話が脱線しますが」この足立区女性教師殺人事件 - Wikipediaは「消滅時効の起算点がいつか」と言う意味で「重要な判例が出た事件」として有名でもあります。
 実は「不法行為の民事賠償責任」は原則として「不法行為の発生時から20年の消滅時効」と言うのが民法の条文です。ところがこの条文を機械的に適用すると足立区女性教師殺人事件 - Wikipediaでは「遺体の発見時」には「既に不法行為(殺人)の時期から20年が経過しており、消滅時効が当然に成立」します。
 実際、一審、二審では遺族の賠償請求が20年の消滅時効成立で認められなかったのですが、最高裁は「原則は不法行為から20年の消滅時効」だがこの事件では「不法行為の実行者が分からなかった以上、民事賠償請求のしようが無く、原則を適用するのは不適切」とし消滅時効の起算点を「遺体の発見時」として消滅時効の成立を認めず損害賠償請求を認容しました。
 ちなみに新潟少女監禁事件 - Wikipediaですが犯行の異常性もさることながら、少女発見の報告を受けた新潟県警幹部が、すぐに捜査の指揮を執ること無く、当時、ホテルでの宴会を続けたこと、しかもその宴会場所で賭け麻雀をしていたことが発覚し、「こんな重大事件の報告を受けながら、捜査の指揮も執らずに宴会を続行するとは危機意識が足りない!(そういえば森政権の支持率が大幅ダウンしたのもえひめ丸事故の報告を受けながらすぐには対応せずゴルフを続行したことでした)」「警察幹部が賭け麻雀という違法行為をするとはどういうことなのか?(黒川東京高検検事長が辞任に追い込まれたのもそういえば賭け麻雀でした)」などと批判を受けたあげく、県警が幹部処分と謝罪会見に追い込まれたことでも有名な事件です。


工作員(スパイ)は無くならないし全部無くす必要もないという話(2月25日のショートメッセージ): 荒木和博BLOG

 令和3年2月25日木曜日のショートメッセージ(Vol.329)。工作員というのは敵国であってもときに利用出来る可能性があるという話です。まあウイルスと同じであまり迷惑をかけるときは駆除*6し、使えるときは使うのも必要(日本は駆除の方はほとんどやってこなかった*7のですが)。あと、こちらから仕掛けることも必要、というお話し。

 6分40秒程度の動画です。タイトルだけでうんざりですね。どこの誰が「日本国内のスパイをあらゆる手段を使って摘発すべきだ」なんてことを言ってるのか。少なくともそんなことは拉致解決(拉致被害者の帰国)に何一つ関係ないので「拉致問題の解決」という意味では誰もそんな話はしてない。荒木は一体誰に「反論(?)」をしているつもりなのか。
 もちろん「利用出来るとき、使えるときは使う」「こちらから仕掛ける」などといったところで荒木は「拉致解決の具体的で現実的な話」など全くしません。
 実際、今回の動画で荒木は工作員(スパイ)よもやま話(2月24日のショートメッセージ): 荒木和博BLOGについて「そんな話と拉致の解決と何の関係があるのか?」と動画視聴者から突っ込まれたと述べています。俺も工作員(スパイ)よもやま話(2月24日のショートメッセージ): 荒木和博BLOGに対して同様の突っ込みを「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年2/24分:荒木和博の巻) - bogus-simotukareのブログでしましたが。
 「荒木動画の視聴者」などまず確実に「荒木の同類右翼」でしょうがそんな連中ですら「拉致の解決と何ら関係ない話」をどや顔でする荒木のアホさにはうんざりだったのでしょう。
 で荒木は「そんな話と拉致の解決と何の関係があるのか」と言う突っ込みに今回の動画で「反論したつもり」らしいですが「利用出来るとき、使えるときは使う」「こちらから仕掛ける」などといったところで具体性皆無なので何ら「反論になってない」。
 今回も「そんな話と拉致の解決と何の関係があるのか」と言う突っ込みは不可避でしょう。
 結局、荒木が動画説明文に「具体的なこと」を何一つ書けないのも、もちろん「利用出来るとき、使えるときは使う」「こちらから仕掛ける」などという「何の具体性もない空理空論」だからです。
 まさかとは思いますが、拉致解決に何ら役立ってない「しおかぜ放送」、「風船飛ばし」だのを「こちらから仕掛けてる」と強弁する気でしょうか。しかし「利用出来るとき、使えるときは使う(いわゆる逆利用)」に至って意味が全く想像がつきません。
 実現可能性を無視すれば「相手に嘘の情報を流して攪乱する」つうのは「逆利用」の一例でしょう。
 例えば「実際にそんなことがあったか知りません」が大河ドラマ毛利元就』では「尼子氏の重臣が毛利と内通している」というデマ情報を毛利氏が流して、疑心暗鬼に駆られた尼子氏が重臣を謀殺するなんて「逆利用」話がありました。
 もちろん1)手強い重臣に死んでもらいたい、2)しかしできれば重臣殺害は尼子氏にやってもらい、家臣の尼子氏への失望を生んで、毛利氏への離反を産みたいつう話の訳です。実際ドラマでは、毛利氏の謀略にまんまとはめられた尼子氏が滅亡一直線の訳ですが。
 しかし、拉致問題においてそもそもそんな事をどうやってやるのか。
 そしてそんな逆利用がどう「拉致の解決につながる」のか。

*1:「特定失踪者」認定している大澤さんについて「失踪」と書き、「政府認定拉致被害者」曽我さん母子のみ「拉致」と書くことで事実上、自らの「特定失踪者認定の信憑性のなさ」を認めている荒木です。

*2:確か、救う会の内紛で追放されたかと思います。荒木も事実上「内紛で事務局長辞任(救う会追放)」だったわけですが「特定失踪者問題調査会、予備役ブルーリボンの会」を立ち上げて救う会とのつながりを何とか維持してるわけです。

*3:というかこの頃から、救う会が根拠レスで国内の失踪者(例:2000年に発見された新潟の失踪少女)を勝手に北朝鮮拉致認定していたと言うことです。そういう「インチキ拉致認定が本格化する」のは小泉訪朝後に荒木が「特定失踪者問題調査会」を立ち上げてからのことですが。そう言う意味では小泉訪朝前に、北朝鮮拉致疑惑について信憑性を疑う意見があったのは明らかに「荒木ら救う会の自業自得」という面があります。

*4:1951年生まれ。1984年に 『愛のゆくえ』がサンリオロマンス賞佳作となりジュブナイル作家としてデビュー。1993年、『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞を受賞しミステリ作家に転身。その後も、1998年に『OUT』で日本推理作家協会賞を、1999年に 『柔らかな頬』で直木三十五賞を受賞するなど受賞歴多数(桐野夏生 - Wikipedia参照)。

*5:1955年生まれ。1975年、劇団「シェイクスピア・シアター」に創設メンバーとして参加。1980年、唐十郎主宰の「状況劇場」に移り、1984年まで在籍。1986年に林海象監督の一般公開デビュー作となる『夢みるように眠りたい』の主役で映画に初主演した。1992年、TBSドラマ『ずっとあなたが好きだった』の桂田冬彦(冬彦さん)を演じたことでブレイク。冬彦役の影響から、「知的ながらもどこか狂気を宿した演技」での起用が多い(佐野史郎 - Wikipedia参照)。

*6:いかに工作員とは言え、仮にも人間相手に「駆除」とは常軌を逸してますね。駆除とはゴキブリやネズミ、熊などといった動物(いわゆる害虫、害獣)相手に使う言葉で、多くの場合「殺害」を意味する言葉でしょうに。

*7:「駆除」が「スパイ摘発」を意味するならもちろん「宮永スパイ事件」(1980年)などの摘発はされています。「ほとんどやってこなかった」なんて事実はない。