今日の産経ニュースほか(2021年3月3日分)

つくる会ニュース|新しい歴史教科書をつくる会

 「新しい歴史教科書をつくる会」と「慰安婦の真実国民運動(加瀬英明代表)」は、2月24日、山川出版社従軍慰安婦」記述が検定に合格した問題について抗議の声を上げるべく、都内で緊急集会を開催しました。
 最後の決議文朗読では、萩生田文科大臣に対して、今後も強く記述の削除を求めていくことを宣言しました。

 大臣経験者である「高市早苗自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣総務相)」「原田義昭(第四次安倍内閣環境相)」が一応「大物」ではあるのでしょうが、まあ「国会議員5名が登壇(うち2人は野党の維新、3人が与党の自民)」てのは明らかに「ウヨ議員連中」から見すてられてますね。
 「つくる会」連中としては「自民党政調会長にして、第二次安倍内閣文科相(つまり文教族議員)の下村」にでも来て欲しかったでしょうが、来ないわけです。
 それにしても、萩生田に削除を求めても、『僕(萩生田)は(削除を)やりません、僕はやりません、山川が好きだから(百一回目のプロポーズ風に)』と萩生田が要望を拒否したらどうするのか、と言う話です。普通は「行政訴訟、この道しかない(自民のアベノミクス宣伝風に)」となるでしょうが、いつまで経ってもそうならないのだから呆れます。どれほど萩生田に対して弱腰なのか。


【正論】河野談話は記述の根拠たり得ず 教育研究者・藤岡信勝 - 産経ニュース

 令和元年度の教科書検定に合格し、この4月から使われる山川出版社の中学歴史教科書の中に「いわゆる従軍慰安婦」なる言葉が登場した。この記述の削除を求めて1月28日、「新しい歴史教科書をつくる会」と「慰安婦の真実国民運動」は連名で2度目の申入書を萩生田光一文部科学相宛てに提出した。
 これに対し、2月16日、文科省から届いた回答はこうだ。
 「当該図書においては、いわゆる従軍慰安婦について、軍や官憲による強制的な連行があったとは記述されておりません*1」。
 これで回答になっていると教科書課の官僚が本気で思っているなら大間違いだ。
 文科官僚が教科書に強制連行とは書いていない、だから政府見解と矛盾しない、というのは出来の悪い遁辞(とんじ)である。

 官僚の上には大臣が当然いて、「大臣の意思を官僚が無視など出来ないのは明白」であるにもかかわらず、「文科官僚ガー」「教科書課ガー」とは全く藤岡もふざけています。そんなに萩生田文科相が怖いのか。
 そもそも萩生田自体が

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年1月29日):文部科学省
記者)
 中学の歴史教科書における従軍慰安婦の記述問題でお聞かせください。令和元年度検定で合格した山川出版社の歴史教科書にある従軍慰安婦の記述をめぐって、「新しい歴史教科書をつくる会」などが、昨日、記述の問題点を指摘した上で、文科省の方に削除を勧告するよう求める申入れをしました。同趣旨の申入れは、先月にもなされて、教科書課名で回答済みなのですけれども、この問題について大臣はどのようにお考えでしょうか。また、あの、平成5年の河野談話を除いて、政府が使わなくなった用語が教科書では使われ続けるという状況が是正されるべきとの指摘もあるんですけれども、その点、どうお考えでしょうかお聞かせください。
大臣)
 「新しい歴史教科書をつくる会」などの関係者が、昨日、文科省を来省し、担当課に再度申入書を提出したことは承知をしています。ご指摘の図書の記述については、教科書検定基準等に基づき、教科書用図書検定調査審議会の学術的・専門的な審議の結果、検定意見は付されなかったところであり、記述の訂正を発行者に勧告することは考えておりません。

と言ってるのに。これが細川、羽田非自民政権や民主党政権、あるいは自民党でも「宮沢内閣(天皇訪中でウヨが敵視)」辺りの文科相(文相)だったらためらいなく悪口でしょうにねえ。どんだけ萩生田に甘いのか。
 なお

萩生田光一 - Wikipedia
◆身の丈発言
 大学入学共通テストで活用する英語民間試験をめぐる自身の「身の丈に合わせて頑張って」との発言が『受験者に対して失礼だ』などと批判されたことについて「国民のみなさま、特に受験生のみなさまにおわびを申し上げる」と謝罪。「どのような環境下の受験生も自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会をとらえて、2回の試験を頑張ってもらいたい思いで発言した」と釈明した。これにより、(民間試験にこだわらずに)「抜本的な見直しを図っていきたい」と述べ、2020年度からの英語の民間試験導入を見送ると発表した。

ということで萩生田だって「これは世論を敵に回すかもしれない」「政治的にまずいかもしれない」と思えば「要望に応える」わけです。
 あるいは

受け入れ環境「柔軟対応を」/萩生田文科相が吉良氏に答弁2020年3月7日(土)
 政府が新型コロナウイルス対策だとする全国小中高校の一律休校に伴う「子どもの居場所確保」にあたり、感染防止策として「私語厳禁」など過度に厳格な対応をする自治体があることについて、萩生田光一文科相は6日の参院予算委員会で、「柔軟に対応してほしい。一部誤ったメッセージになっているので、大至急正しく伝えていく」と述べました。日本共産党の吉良よし子議員への答弁。

少人数学級 子どもの願い/畑野議員質問 文科相「不退転の決意」2020年11月14日(土)
 来年度予算編成で最大の焦点の一つとなっている少人数学級の実現をめぐり、日本共産党の畑野君枝議員は13日の衆院文部科学委員会で、新型コロナウイルスで強いストレスを感じている子どもたちの願いに応えるためにも来年度から実施を、と訴えました。萩生田光一文科相は「不退転の決意で臨む。勇気をもらった」と応じました。
 萩生田氏は「30人が望ましいと私は思う。みなさんと協力しながら頑張りたい」と答弁。

支援学校に設置基準必要/山下氏に文科相が明言2020年11月18日(水)
 萩生田光一文部科学相は17日の参院文教科学委員会で、比較的障害が重い子どもが通う特別支援学校にも「設置基準」が必要だと文科相として初めて明言しました。
 山下氏は過大・過密が進んだ学校では、音楽室などの特別教室が普通教室に転用されたり、教師が子どもの顔と名前を覚え切れず関係の構築に困難が生じたりしていることを紹介。萩生田氏は「(転用は)本末転倒。教室の転用が前提の設置基準は考えていない」「適正規模で、先生の目が行き届く、そういう特別支援学校が望ましい。設置基準も含めてしっかり対応を考えていきたい」と述べました。

ということで「反共ウヨの萩生田」でも、共産党の要望(少人数学級の実現、特別支援学校の設置基準策定など)ですら、萩生田的に「本心から同感していた」り、「同感の態度を見せた方が政治的にメリット*2」と思えば「共産党の意見に賛意を示す」わけです。そんな萩生田が「つくる会の要望をガン無視」。それが何を意味するかは今更言うまでも無いし、藤岡らつくる会だって「本当は分かってる」でしょう。それでも萩生田批判できないのだから呆れた腰抜けです。
 それにしても「山川云々の前につくる会教科書の不合格問題はどうなったんだ!。お前らあの問題は諦めたのか?」と言われたらどう答える気なんですかねえ。前も別記事で書きましたがおそらく藤岡らは「不合格撤回」をもはや諦めたのでしょう。しかしそのままでは「つくる会からの離脱者が大量発生しかねない」。つくる会が崩壊しかねない。
 焦った藤岡らが「不合格問題をごまかすために始めた」のが「山川の教科書ガー」なのでしょう。つまりは「不合格撤回」よりは「山川への攻撃」の方が「実現可能性が高い」と考え「山川問題(?)での勝利(?)」で「不合格問題での敗北」をごまかそうとした。
 「問題Aでの政治的敗北」を「問題Bでの政治的勝利」でごまかそうなんてのは古今東西良くある話です(多くの場合、理屈上はそんなごまかしは成立しないことが多いですが、感情に動かされてそうしたごまかしがまかり通ることも少なくない)。
 ところがそのごまかしに萩生田が協力しないことで「かえってつくる会は追い詰められた」わけです。しかしこんなんは「予想の範囲内」ですよねえ。いったん合格させた山川教科書を普通に考えて、萩生田が「ダメ出しする」わけがない。しかもつくる会にとって「ダメ出しの目的」が「不合格問題での敗北」をごまかそうとしているのは見え透いている。であるならば「育鵬社応援団」萩生田が「徹底的につくる会を潰し、育鵬社を応援するため」に「つくる会の要望を蹴飛ばす」なんてのは容易に想像できる話です。想像出来ない藤岡らつくる会の方が頭がおかしい。まあ、このままつくる会も「消えて亡くなる」んでしょうねえ。リベラル派や左派の批判では無く「ウヨの内ゲバ」によって「ウヨ主流(産経、八木秀次など育鵬社一味)」によってつくる会が潰されるつうのも「複雑な思い」はありますが、まあ、つくる会が「早晩潰れるであろうこと」自体は素直に喜んでいます。今後は育鵬社だけ批判すればいいわけですから。


一人10万円超も NTTが山田前広報官と谷脇総務審議官に高額接待 | 文春オンライン
 「総務省所管企業(番組制作会社)」東北新社だけで無く「総務省所管企業(通信会社)」NTTからも「国家公務員倫理法違反の高額接待」というのだから全くふざけています。山田が辞任したのも、こうした文春の動きに気づき「もはや逃げ切れない」と観念したからでしょう。
 「東北新社」について「息子を守らなくては!、だから山田をかばわなくては!」の菅も「NTTの高額接待まで面倒見切れるか」となったと。東北新社の場合は「相手が首相の息子では断れないだろう」と多少同情していた俺も今回のNTTは「言い訳の余地はないやろ」ですね。
 しかし文春は「反中国、嫌韓国」の右派メディアですが「今回の接待問題」といい「安倍のモリカケ、桜」といい「河井夫婦の公選法違反」といい「甘利経済財政担当相(当時)のUR疑惑」といい、「政治とカネの問題」では「自民党応援団」産経などと違い政権批判に躊躇はないようです。しかし日本のテレビ局がこうした疑惑報道から明らかに逃げているのには心底呆れますね。


慰安婦問題のICJ付託反対 韓国政府聴取に勝訴弁護士 - 産経ニュース
 反対というのは
1)韓国側が勝てるかどうか分からない(もちろん負けるとも限りませんが)
2)日韓関係改善や慰安婦問題解決につながるかどうか分からない(日本側がいたずらに敵意を募らせるだけかもしれない)
3)裁判判決だと外交交渉に比べて柔軟な解決が難しい(とはいえ一方で菅政権が外交に応じる姿勢を見せないのが困りものですが)
と言った理由でしょうね。「ICJ負託への反対、賛成の是非」について「考えがまとまってない」ので、コメントは避けますが一理ある考えではあります。


【産経抄】3月3日 - 産経ニュース

 国家公務員離れが指摘されて久しい。長時間労働や深夜残業など「ブラック企業」のイメージ*3が敬遠されて、給与面でも恵まれている大手企業*4に流れているようだ。
 一連の不祥事によって官僚バッシングが激しくなれば、その傾向に拍車がかかる。

 もはや「民間に比べて地位が安定している(いわゆる親方日の丸。あるいは、わかりやすい例では起訴されても「有罪判決が確定するまで推定無罪*5」で「裁判中の給与支給は停止された」ものの免職にはならず、「無罪判決後に復職した村木厚子*6」は「若者にとって魅力的ではない」ようです。
 「安倍政権時代のモリカケ、桜」「今回の菅政権の接待問題」がそうした傾向を助長していることは確かでしょう。それを嘆く産経ですがそれが「厳しい安倍、菅批判にならない」辺りは所詮産経です。


【主張】内閣広報官の辞職 信頼回復に全力を尽くせ - 産経ニュース
 当たり前ですが山田が辞めただけでは全く信頼回復にはなりません。そもそも山田の辞任は建前では「引責辞任」ではなく「病気辞任」ですし。
 ほとぼりが冷めた頃に菅が幹部官僚として復権させようとする恐れは否定できませんし、そこまで酷くなくても「リクルート疑惑(リクルートからの接待)で退官に追い込まれた加戸文部省官房長(当時)*7」がJASRAC理事長などとして天下ったあげく、最終的には「愛媛県知事」に成り上がったようなこと(つまり山田が退官に追い込まれるが天下り先で悠々自適ライフ、はては加戸のように政界進出)もないとはいえない。「問題の徹底追及」と「山田の懲戒処分」が先ずは必要でしょう。
 「山田の受けた接待」は明らかに「国家公務員倫理法違反」なのだから処分されて当然です。かばうこと自体、「菅に弱みがあることの証明」でしょう。


ヨハン・ブレークのワクチン接種拒否を考える | ちきゅう座(澤藤統一郎)
 ジャマイカの五輪代表選手ブレーク*8のワクチン拒否理由が

1.ワクチンの有効性や安全性への危惧
 ワクチンは(変異種に)効くか分からない、副作用の恐怖もある、スポーツ選手の自分にとって副作用がスポーツ能力にどれだけ影響するか不安だという話
2.ワクチン接種において五輪選手が特別扱いされる事への批判
 コロナ死亡の危険性が高い高齢者や基礎疾患患者ならともかく五輪選手が「五輪を予定通り開催するため、先に接種していい」と特別扱いされるのはおかしい、単に五輪を延期すればいいだけだろうという話(この話なら、『他の一般人と同じ時期なら接種する(ブレーク)』ということもありえます)
3.五輪は完全にコロナが終息してから行うべきだという批判
 まあ、その場合は1,2と違い、ワクチンを打った上で「出場拒否」の立場でもいいですが、あえて「ワクチン拒否」というのも一つの考えでしょう。

のいずれなのかによって評価も変わってきますので、現時点では評価も難しいですね。澤藤氏も「一つの興味深い動き」「ブレークの拒否理由が知りたい」として紹介はしていますが現時点での評価は避けています。

 彼のワクチン拒否の理由は報道では分からない。が、これを拒否する信念の固さは、伝わってくる。オリンピック出場を捨てでも、守るべき大事なものがあるということなのだ。
 このブレークの信念は、著名な最高裁判決(1996年3月8日最高裁判決)に表れた高専の剣道実技受講拒否事件事件を思い起こさせる。
神戸市立工業高等専門学校に「エホバの証人」を信仰する生徒がおり、信仰上の理由から体育の剣道実技履修を拒否した。
 生徒が、学校がカリキュラムとして定めた剣道の授業を拒否した。校長には「生徒のワガママ」と映った。ワガママは許されないとして、遂には退学処分にまでした。
 しかし最高裁は、生徒の剣道授業拒否を真摯な信仰の発露と認めた。校長に対して、剣道ではない別の体育メニューを受講させるよう配慮すべきだったと判断したのだ。最高裁も、たまには立派な判決を書く。
 彼のワクチン拒絶が、信仰上の理由によるものであるか否かは分からない。それでも、彼の精神の核心部分と密接に関連する真摯なものであることは、容易に理解しうる。
 仮に、他人の目には奇矯なものと見えても、尊重されなくてはならない。それが、多様性を尊重するということではないか。
 もちろん、「日の丸・君が代」への敬意表明の強制への拒否も同様である。

という評価にとどめています。

*1:別に「強制連行があった」と書いてあっても問題は無いですけどね。「全てがそうだった」と言ったら嘘になりますが「強制的な連行」は一部あったからです。ついでに言えば拉致問題では「だまされたとはいえ自主的に訪朝した有本恵子」を拉致被害者扱いする藤岡らウヨが慰安婦問題では「暴力的連行の有無」だけにこだわるのは屁理屈と詭弁にもほどがあります。

*2:まあ、そう言う場合は当然ながらその共産党の要望は別に左翼的では無いわけですが。

*3:この点は多くの民間企業も大して変わらないでしょう。

*4:いわゆるノンキャリアはともかくキャリアは「大手企業」と比べても充分給与的に恵まれてるんじゃないかと思いますが。

*5:有罪判決が確定すると免職になります。

*6:民間では残念ながら「起訴されても免職にならず復職の可能性がある」ということはまずないかと思います。))」「(高級官僚限定ですが)国の舵取りという大義」「(高級官僚限定ですが、大蔵次官だった池田元首相、運輸次官だった佐藤元首相、あるいは県庁に総務部長や副知事など幹部ポストで出向した官僚が後に知事になるなどのような)政界進出の可能性((とはいえ昨今は「官僚OBの地方首長就任」はともかく国政においては「小泉元首相(小泉純也防衛庁長官の息子)」「安倍元首相(岸元首相の孫、安倍晋太郎元幹事長の息子)」「福田元首相福田赳夫元首相の息子)」「麻生元首相(吉田元首相の孫)」と「官僚出身議員」より、二世議員の方が出世する傾向にあるかと思いますが。

*7:リクルート疑惑では加戸の上司である高石文部事務次官収賄で起訴され有罪判決

*8:ロンドン五輪100メートル走、200メートル走で銀メダル(ヨハン・ブレーク - Wikipedia参照)