「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年3/9分:荒木和博の巻)

拉致問題と外事警察とか目立たない人たちの話(3月9日のショートメッセージ): 荒木和博BLOG

 令和3年3月9日火曜日のショートメッセージ(Vol.341)。警察で拉致問題を担当するのは外事(ボーガス注:警察)になりますが、この仕事は極めて地味で大変な仕事です。同様公安調査庁自衛隊もその種の部署というのは大変なのですが、高度成長以来次第に冷や飯を食わされてきました。そんなことについてのお話しです。

 8分35秒程度の動画です。
 「動画説明文」だけで動画を見る気が薄れますね(とはいえ突っ込むために視聴しますが)。
 「高度成長以来次第に冷や飯を食わされてきました」云々なんて事と拉致解決と何の関係があるのか。何の関係もない。
 まあそれはともかく。
 荒木の言う「冷や飯」が事実だとしてもある意味当然でしょう。
 幸いにも近年は

浅沼稲次郎社会党委員長暗殺(1960年)
◆嶋中事件(風流夢譚事件)(1961年)
よど号ハイジャック事件(1970年)
三菱重工ビル爆破事件(1974年)

のような極右や極左による政治テロの少ない時代です。それにしても「自衛隊」云々という荒木には「唖然」ですね。「戦前の憲兵隊」もそうですが、軍警察(現在は自衛隊情報保全隊)の建前は「内部監察(自衛隊内の違法行為の摘発)と防諜(自衛隊内部へのスパイ行為防止)」です。「極右テロや極左テロと言った犯罪摘発」が建前の公安調査庁公安警察、公安検察とはそもそも性格が違う。それなのに「内部監察や防諜などやる暇があったら、外に打って出ろ」と言うのだから気が違っています。繰り返しますが軍警察(自衛隊情報保全隊)の建前は「内部監察や防諜」です。外に打って出たらそれは「越権行為」「違法行為」です。
 なお、「ご存じの方」もいるでしょうが情報保全隊は荒木の言う「外に打って出る行為」をやって「戦前の憲兵政治の復活か」などと批判されたことは
国民監視、人権も民主主義も無視/自衛隊情報保全隊の実態
一般市民も監視対象/自衛隊情報保全隊 元隊長認める/仙台高裁 違憲の実態明らかに
取材記者の住所まで/情報保全隊が警察の協力で入手/闇を許すな 秘密保護法案
「情報収集 項目与えた」/自衛隊国民監視差し止め訴訟 元情報保全室長証言 組織的関与鮮明に
自衛隊監視の違法性確定 保全隊訴訟、国が上告断念: 日本経済新聞
などでわかります。おそらく極右の荒木は「情報保全隊の行為の何が悪い」「赤旗などの批判は言いがかりだ」と躊躇無く言うのでしょうが。
 それはともかく、荒木のウヨ仲間「荒谷卓(荒木が代表を務める予備役ブルーリボンの会のメンバー)」が

自衛官に私的戦闘訓練 特殊部隊の元トップが指導 | 共同通信 ニュース | 沖縄タイムス+プラス
 陸上自衛隊特殊部隊のトップだったOB*1が毎年、現役自衛官予備自衛官を募り、三重県で私的に戦闘訓練を指導していたことが23日、関係者の証言などで分かった。訓練は昨年12月にも開催。現地取材で実際の訓練は確認できなかったが、参加者が迷彩の戦闘服を着用しOBが主宰する施設と付近の山中の間を移動していた。自衛隊で隊内からの秘密漏えいを監視する情報保全隊も事実を把握し、調査している。
 自衛官が、外部から戦闘行動の訓練を受けるのが明らかになるのは初。防衛省内には自衛隊法に触れるとの指摘がある。OBは作家の故三島由紀夫の考え方に同調するなど保守的主張を繰り返している。

「行動する時が来た」「靖国の英霊と会話できる」陸自特殊部隊元トップの“危なすぎる世界観” | 文春オンライン
 実態はより深刻なようだ。荒谷がフェイスブックでときおりシェアする動画の内容は、三島云々どころではない。
 いわく、新型コロナウイルスが危険なのではなく、ステイホームとマスク着用こそが人間の免疫力を落としている。いわく、新型コロナウイルスのワクチンは人間の体に未知の遺伝子変化を引き起こす。いわく、メディアはコントロールされており、世界の真実を伝えない。
 果ては、陰謀論者ご用達のワード、「ディープステート」まで出てくる。この世界には、裏から人類を支配しようとする、権力者や資産家たちによる「闇の政府」が存在するらしい。
 OBとはいえ、陸自の特殊部隊元トップがこの認識? さすがになにかの間違いでは。そう信じたいところだが、残念ながら、荒谷の著作を読むとその思いは微塵に打ち砕かれる。
 荒谷のデビュー作は『戦う者たちへ』(2010年)だが、昨年その第3版が出た。そこで増補された部分には、コロナ騒動を受けたところがある。そしてこれが、たいへんきな臭い内容なのである。
 荒谷はさらに、「(ボーガス注:コロナ予防のための)新しい生活スタイル」を推し進めて、(ボーガス注:三密防止を理由に)神社の祭りやお盆の帰省などを阻み、日本の歴史・文化・伝統を根本から破壊しようとする者たちを「日本の真の敵」と断定。そして「これと戦うことが、真の国防である」と主張し、「真の日本の戦闘者」にたいして「行動する時が来た」と訴えかけるのである。
 たしかに荒谷は、本人も語るように、自衛隊でもともと保守的な“問題児”だった。
 入隊前より三島由紀夫を信奉し、(中略)そのため、歴史観で同意できなければ教官にも反論。調査隊の監視対象になっても、構わず制服姿で憂国忌(三島の追悼集会)に参加し、靖国神社の清掃奉仕に加わったほどだった(荒谷卓『自分を強くする動じない力』)。

として、その「極右としてのやばさ」から、「情報保全隊の監視対象」になったあげくマスコミに「三島シンパの危険な極右」「『コロナは風邪』『バイデン不正選挙』などを放言する陰謀論者」などと批判されると「荒谷氏に失礼だ」「マスコミに情報を流したのは情報保全隊に違いない。情報保全隊は我々の敵か!」「仲間を監視する前に敵を監視しろ」と逆ギレですから、呆れます。
 しかし「三島シンパ」「コロナは風邪」「バイデン不正選挙論」荒谷のような「危ない極右」を「同志」と呼んで恥じないんだから荒木も全くとんでもないですね(まあ荒木も「三島シンパ」「コロナは風邪」ですが)。家族会も良く荒木なんぞとつきあえるもんです。

【参考:憲兵政治】

憲兵 (日本軍) - Wikipedia
 憲兵は、陸海軍司法警察官として陸海軍大臣の指揮を受けて軍事警察をつかさどっており、平時では原則として一般国民を対象とすることはない。
 しかし、治安警察法及び治安維持法等を一般警察同様に一般国民に対しても適用する立場であったことから、次第に反戦思想取締りなど、国民の思想弾圧にまで及ぶこととなった。1923年(大正12年)9月の関東大震災直後には東京憲兵隊渋谷憲兵分隊長兼麹町憲兵分隊長、甘粕正彦憲兵大尉が大杉栄伊藤野枝を殺害するという事件を起こした(いわゆる甘粕事件(あるいは大杉事件))。
 東條英機の首相在任中には憲兵の恫喝で、「東条批判派」である中野正剛代議士を自殺に追い込んだとも言われている。このため東条批判派から「東條憲兵政治」と批判された。戦後、東條は周囲に「憲兵を使いすぎた」ともらしたという。

*1:荒谷卓のこと