高世仁に突っ込む(2021年3/22日分)

大竹英洋『ノースウッズ―生命を与える大地』に土門拳賞 - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 アンカレジでの18日の初顔合わせからまるで喧嘩。

 ということで「対決面」ばかりに着目する高世です。
 しかし米中外交対話(アラスカ)|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ「今世紀最大のウソ」、ウイグル自治区巡る米の批判に中国が猛反発…「気候変動」では協力模索 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン米中、気候変動で作業部会 バイデン・習会談なるか―サミットまで1カ月:時事ドットコム米中、気候変動対策で共同作業グループ設置へ | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトが指摘するように「温暖化問題(気候変動問題)での協調路線」なども語られた以上「対決オンリー」で米中対話を理解すべきでは無いでしょう。
 これらの記事が指摘するように米中関係は「米ソ冷戦体制」のような「敵対関係ではない」と見るべきでしょう。

 米国内の外交専門家のあいだでは、台湾をめぐって(ボーガス注:中台の)武力衝突が起きる可能性がかつてなく高まっているという認識が広がっているという。

 「そんなわけねえだろ」ですね。
 そんな自称専門家は「事実認識が歪んでる」か「故意にデマ」かどっちにしろろくなものではない。
 中国にとっては1)経済力で台湾を締め付けることはいくらでも出来る、2)「独立宣言したら侵攻も辞さない発言」との整合性(これは裏返せば「独立宣言しない限り侵攻しない」という公約であり、公約違反して侵攻すれば国際的批判は避けられず、欧米諸国による経済制裁の発動すらあり得る)から台湾武力侵攻など出来る話ではない。
 そもそも、香港デモだって「法の是非はともかく」、香港国家安全維持法制定と、それに基づく警察の取り締まりという「少なくとも形式的には合法な手続き」をとっています。天安門事件のような軍の投入などしなかった。
 台湾への武力侵攻なんてどうやったら「形式的合法性」を調えることが出来るのか。
 つまりは「台湾が独立宣言」し、中国が「独立宣言撤回のため」、経済制裁など、武力以外のあらゆる手段を執っても台湾が撤回せず、「武力侵攻してでも独立宣言は阻止する」と以前から言ってきた手前、「このままでは面子が潰れる」として「追い詰められた形での武力侵攻」以外には武力侵攻の可能性はまずない。そして台湾は「外資撤退や外国人観光客減少」のリスクを招いてまで独立宣言はしないでしょう。米国も「独立宣言などするな」と台湾に働きかけ、リスクを回避する方向に動くに決まっている。

 賞の選者の梯久美子*1

 すごく謎ですが、梯氏はルポライターであって写真家ではない。大宅壮一ノンフィクション賞(文春)、開高健ノンフィクション賞(集英社)などならともかく、「何故、土門賞?」ですね。なお、土門拳賞 | 毎日新聞社によれば彼女以外の選者は「『主催者である毎日新聞』の幹部1名」「写真家3名」です。

 すなおに信じることに向かって進むと、人と出会い、人生がこんなふうに展開して行くのかと彼の生き方に惹かれた。
 大竹さんは「人は顔を向けた方へ進む」という言葉を大事にしているという。
 「たとえ遠回りをしてでも、コンパスを胸に、遠い目標へ向けて、これからも旅を続けたい」という大竹さん。
 これからも納得する道を歩んでください。受賞おめでとうございます。

 まあ「写真家の才能があったし、運(彼を評価して登用してくれる人間の存在)もあった」「不遇を耐え、努力出来る精神力と自分の進む道への自信があった」からこうなったのであって、大抵の人間はこんなうまくいきません。
 それはともかく、金儲けという「目先の利益」から巣くう会や家族会にへいこらし、特定失踪者なんてデマの垂れ流しにも加担して、にもかかわらず「拉致の風化」から、拉致商売が上手くいかなくなり会社は倒産。
 今や「拉致のことはほとんど語らなくなった」「ジャーナリストしてまともに活動してるようには見えない」高世がこういうことを言うと苦笑せざるを得ません。
 「高世さん、あんた今でも巣くう会や家族会への太鼓持ちが『納得する道』だったの?」「『すなおに信じることに向かって進んだ結果』があれだったの?」「『遠回りしたくないと思って、目先の利益にひかれた結果』があれじゃないの?」と聞かれたらどう答える気でしょうか?

*1:2006年に『散るぞ悲しき:硫黄島総指揮官・栗林忠道』(2005年、新潮社→2008年、新潮文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞を、2017年に『狂うひと:『死の棘』の妻・島尾ミホ』(2016年、新潮社→2019年、新潮文庫)で講談社ノンフィクション賞を受賞。著書『世紀のラブレター』(2008年、新潮新書)、『昭和の遺書:55人の魂の記録』(2009年、文春新書)、『硫黄島 栗林中将の最期』(2010年、文春新書)、『昭和二十年夏、僕は兵士だった』(2011年、角川文庫)、『昭和二十年夏、女たちの戦争』(2012年、角川文庫)、『百年の手紙:日本人が遺したことば』(2013年、岩波新書)、『昭和二十年夏、子供たちが見た戦争』(2013年、角川文庫)、『廃線紀行:もうひとつの鉄道旅』(2015年、中公新書)、『勇気の花がひらくとき:やなせたかしアンパンマンの物語』(2015年、フレーベル館 ジュニア・ノンフィクション)、『原民喜』(2018年、岩波新書) など(梯久美子 - Wikipedia参照)