今日の中国ニュース(2021年4月18日分)

【正論】台湾海峡有事、日本はどうする 拓殖大学顧問・渡辺利夫 - 産経ニュース
 そもそも「独立宣言すれば侵攻もありうる(裏返せば独立宣言しない限り侵攻しないと言うこと)」と中国が主張している以上、台湾が独立宣言しない限り「台湾有事の可能性」は低い。またいかに「反中国」の態度を取る蔡英文政権ですら独立宣言などという暴挙はしないでしょうから台湾有事なんてことはまずあり得ません。
 しかし仮に「台湾有事」があったところでそれは「日本の国防とは関係ない」のだから産経が放言するように「集団的自衛権行使」などする必要はどこにも無い。いずれにせよ「台湾有事」を防ぎたいなら、まずすべきことは「蔡英文に独立宣言させないこと」でしょうが産経らウヨは「独立宣言して何が悪い」と放言するのだから始末に負えません。


米中、関係悪化の中も気候変動で主導権狙い神経戦 - 産経ニュース
 浅井基文氏ブログなども指摘したところですが温暖化問題では米国は中国に「協力を要請」しており、台湾問題などでやたら敵対的姿勢をできない立場にあります。


<独自>自衛隊装備、ODAでフィリピンに初供与 対中包囲の協力強化 - 産経ニュース
 こうした施策を「どう評価するか(例:日中関係が悪くなる、フィリピンと周辺諸国の軍事的緊張を高める、自衛隊による軍事支援は憲法違反の疑いがあるなどの批判)」や「菅政権の思惑*1」はともかく産経のような「フィリピンをカネで抱き込んで反中国包囲網」なんて主張は「妄想」でしかない。
 過去に今日の中国ニュース(2021年4月16日分) - bogus-simotukareのブログでも指摘したところですが、ドゥテルテ政権の態度は「真田丸での真田氏」のような「中国や日本から利益を引き出すための政治的術策」でしかない。
 真田氏が「(他の大名も肩入れしていた『天下人になる可能性が高かった関ヶ原合戦での徳川家康』を除けば)特定の大大名に過剰に肩入れしなかった」のと同様、フィリピン政府には「日本のために反中国」なんてやる気は無いでしょう。


【産経抄】4月18日 - 産経ニュース

 先日亡くなった中国文学者の高島俊男さん*2には、教わることが多かった。著書『漢字と日本人*3』(文春新書)によると、中国の外来語辞典にはあまたの和製漢語が載っているそうで、「覇権」や「領土」はその代表格らしい。
 他には「理性」や「理念」なども、日本由来の漢語として高島さんが挙げていたのを思い出す。

 もちろん「覇権主義という理念」から「尖閣という日本領土を付け狙う中国」云々という悪口雑言が始まるわけですが、紹介は省略します。
 産経の悪口はともかく、「日本製漢語の中国での利用」からは以下のことがわかると思います。
1)中国人の現実主義、合理主義
 既に使える言葉があるのなら、改めては作らないと言うことです。
2)日本人の漢学の知識の「すごさ」
 日本製漢語はいわゆる漢学の知識に基づいてつくられたわけですが、中国人が使用すると言うことは漢学の知識は「日本流にローカライズされている」とはいえ、それなりに「中国の概念」を理解していると言えるのでしょう。

*1:菅の思惑が産経のような反中国的な物かどうかは不明ですが

*2:1937~2021年。著書『李白杜甫』(1997年、講談社学術文庫)、『三国志 きらめく群像』(2000年、ちくま文庫)、『水滸伝の世界』(2001年、ちくま文庫)、『中国の大盗賊・完全版』(2004年、講談社現代新書)、『水滸伝と日本人』(2006年、ちくま文庫)、『しくじった皇帝たち』(2008年、ちくま文庫)、『天下之記者:「奇人」山田一郎とその時代』(2008年、文春新書)、『漢字雑談』(2013年、講談社現代新書)、『漢字と日本語』(2016年、講談社現代新書)など

*3:2001年