今日の産経ニュース(2021年5月4日分)

【考・皇統】(上) 北畠親房、会沢正志斎、皇室をドライに割り切る思想家が皇位継承論じれば - 産経ニュース
【考・皇統】(下) 天皇の弁護人、葦津珍彦の思想に従えば…皇統に属する男系男子を皇族に - 産経ニュース

【考・皇統】(上) 北畠親房、会沢正志斎、皇室をドライに割り切る思想家が皇位継承論じれば - 産経ニュース
 専門家2人に聞いた。今回は儒教や日本思想史が専門の早稲田大学非常勤講師、大場一央氏*1の見解を紹介する。

【考・皇統】(下) 天皇の弁護人、葦津珍彦の思想に従えば…皇統に属する男系男子を皇族に - 産経ニュース
 今回は「天皇の弁護人」を自任した思想家、葦津珍彦(あしづ・うずひこ)の門弟の1人で、憲法・皇室法研究家の田尾憲男氏に、葦津の立論に基づく安定的な皇位継承について聞いた。

 彼ら(大場氏、田尾氏)の北畠親房*2、会沢正志斎*3、葦津珍彦*4理解の是非はともかく、今時、そんなもんを持ち出して「日本の伝統に反する女帝反対!」などといったところで「彼らの同類ウヨ」以外からは「時代錯誤」と呆れられるだけです。
 なお、大学教員の大場氏はともかく、田尾氏は

 昭和42年に日本国有鉄道に入り、民営化後は鉄道情報システム株式会社監査役、顧問などを歴任。

と言う御仁であり、完全な素人研究者(と言うよりプロ右翼活動家?)です。何せ名前でぐぐってもヒットする著書が「憲法、皇室法研究書」とは言いがたい物しかヒットしませんし。
 ちなみに「皇室法」でググる

園部逸夫『皇室法概論』(2016年、第一法規
園部逸夫『皇室法入門』(2020年、ちくま新書)

がヒットします。


【正論】国の名誉を守る「国旗損壊罪」を 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章 - 産経ニュース
 よくもまあこんな馬鹿げたことが言えるもんだと心底呆れます。
 「つうことは、中国でその種の刑罰があるのも問題ないんですね。台湾の民主派が中国国旗を損壊したら処罰されて当然ですね」と聞けば「それとこれとは違う」と強弁するのでしょうし。そのうち「象徴である天皇への侮辱は許されない」として「不敬罪の復活」まで言い出すんじゃ無いか。
 なお、国旗損壊罪はないとは言え、「他人の国旗」なら器物損壊罪が成立しますし、実際、1987年の沖縄県国体での国旗焼却事件では器物損壊罪での起訴がされています。

【参考:中国の国旗損壊罪

中国「国歌侮辱罪」を刑法に追加 3年以下の懲役 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News2017.11.10
 中国・全国人民代表大会全人代、国会に相当)常務委員会は4日、中華人民共和国刑法改正案(十)を可決した。公共の場にで、国歌を侮辱する行為が深刻な場合には、3年以下の懲役、拘留、取り締まりか、政治権利をはく奪する。
 刑法第299条に「公共の場において、中華人民共和国の国旗を燃やす、損壊、落書き、汚損、踏みつけるなどの侮辱的な行為をした場合、3年以下の懲役、拘留、取り締まりまたは政治権利をはく奪する」とする条文が追加された。また、国歌の歌詞と曲を故意に改ざんしたり、わい曲や毀損するような形で国歌を演奏したり、またはその他の方法で国歌を侮辱したりするなどの深刻な場合にも同じ処罰を科すとしている。

中国国旗は神聖不可侵--人民網日本語版--人民日報2019.8.5
 香港の極端な過激分子の悪行がまた一つ増えた。8月3日夕方、一部の極端分子が尖沙咀の海港城(ハーバーシティ)で五星紅旗(中国国旗)を引き下ろしたうえ、はがし、海に捨てたのだ。国旗は神聖不可侵だ。極端分子はほしいままに法律を踏みにじり、国家の尊厳に挑戦し、民族感情を傷つけ、「一国二制度」を破壊した。これは極めて悪辣な影響をもたらす。香港社会各界は直ちに最も強い憤慨と非難を表明。香港警察当局に対して、早急に犯罪分子を法の裁きにかけて、香港の法治と社会的安寧を維持するよう呼びかけた。(文:呉亜明・本紙論説員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
 国旗は国家を象徴する旗であり、国旗法第3条は「中華人民共和国国旗は中華人民共和国の象徴であり標識だ。全ての公民と組織は国旗を尊重し、大切にするべきである」と明確に定めている。また、第19条は「公共の場で中華人民共和国国旗を故意に燃やす、破損する、落書きをする、汚す、踏みつけるなどの方法で侮辱した者は、法に基づき刑事責任を追及する」とも定めている。国旗法は香港基本法付属文書三に入れられた、香港特区で実施される全国的法律でもあることを特に指摘しておく必要がある。香港特区「国旗及び国章条例」第7条は「何人も国旗または国章を公然と故意に燃やす、破損する、落書きをする、汚す、踏みつけるなどの方法で侮辱する事は、犯罪なのであり、有罪判決の場合、第5級罰金及び禁固3年に処すことができる」と定めている。国旗は神聖であり、大切にしなければならない。われわれが国旗を大切にするのは、国家の尊厳を守ることである。国旗の厳かさを侮辱することは許されない。国旗を侮辱するいかなる行為も違法犯罪であり、法的処罰を受けなければならない。

【参考終わり】


男女平等実現せず64% 夫婦別姓賛成60% 共同通信世論調査 - 産経ニュース
 夫婦別姓容認6割についてはひとまず素直に喜びたい。当然ながら「夫婦別姓容認は野党支持層側に多い」でしょうが、「6割」という回答から見て「自民支持層にも容認派が広がってること」は間違いないでしょう。

 望ましいと思う夫婦の役割分担は「夫婦とも働き、余裕のある方がより家事・育児をする」が45%で最多。「夫が働き、妻が家事・育児をする」は7%にとどまった。

というのも「財界が1)少子化による労働力不足を女性の企業進出でまかないたい、2)共働きを前提にすれば労働者一人当たりの賃金を低く抑えられるということで共働きを希望してる」という要素が影響してるとは言え「男女平等の観点」からは一応「喜ばしい物」かと思います。

*1:1979年生まれ。著書『心即理王陽明前期思想の研究』(2017年、汲古書院)。俺も1970年代後半生まれなので「何で俺と同世代なのにこんな時代錯誤ウヨなの?」つう驚きを禁じ得ませんね。そして、「こんなトンデモウヨにまともな陽明学王陽明)研究など出来るのか」「陽明学研究とこの種のトンデモウヨとどう繋がってるの?」などの疑問も禁じ得ません。

*2:1293~1354年。南朝の中心人物の一人。著書『神皇正統記』『職原鈔』で知られる。鎮守府大将軍を務めた北畠顕家(1318~1338年)の父。織田信長に滅ぼされた戦国大名・北畠氏の先祖とされる。(北畠親房 - Wikipedia参照)

*3:1782~1863年水戸藩彰考館総裁、藩校・弘道館教授頭取。著書『新論』で知られる(会沢正志斎 - Wikipedia参照)。

*4:1909~1992年。神社本庁機関誌『神社新報主筆。著書『大日本帝国憲法制定史』(1979年、サンケイ新聞社)、『国家神道とは何だったのか』(1987年、神社新報社)など(葦津珍彦 - Wikipedia参照)