黒井文太郎に突っ込む(2021年7月8日分)

黒井文太郎*1リツイート
 おお!これは読みたい!
山内智恵*2
 江崎道朗*3先生の新刊『緒方竹虎と日本のインテリジェンス*4』、まもなく発売です!

 黒井がまともな人間だとは以前から思っていませんが、まさか「日本会議」「コミンテルン陰謀論」江崎の本を「読みたい」というほどのバカだとは思ってもみませんでした。黒井が「がちの歴史修正主義ウヨ」であるにせよ、「商売ウヨ」であるにせよ実に無様です。
 なお、

緒方竹虎 - Wikipedia(1888~1956年)参照
◆戦前、朝日新聞政治部長、常務取締役、専務取締役、小磯内閣情報局総裁など歴任
◆戦後は政治家に転身。東久邇宮内閣書記官長、吉田内閣官房長官、副総理、自由党総裁などを歴任

という「緒方竹虎」についてはググれば

【刊行年順】
◆栗田直樹*5緒方竹虎』(2001年、吉川弘文館人物叢書)
◆三好徹*6『評伝・緒方竹虎』(2006年、岩波現代文庫)
◆吉田則昭*7緒方竹虎とCIA』(2012年、平凡社新書)

などいろいろな本がヒットするので明らかに「怪しげな江崎の本」よりもこれらを読んだ方がいいでしょう。というか、江崎にまともな本が書けるとはとても思えないのでおそらくはこうした過去の本の「コピペ本」に過ぎないでしょうが。

追記あり

id:Bill_McCrearyさんコメント
 江崎みたいなキチガイの本を新書本で出すPHPというのもすごいところですね。どんだけ右翼出版社なのか。パナソニックだって迷惑でしょう。というか、多分現在では、パナソニックは、PHPとの関係などというものはしがらみでしかないのかもですが、それにしてもひどい。

 これについては

今日の中国ニュース(2019年6月4分)(副題:今日は天安門事件(1989年)の日です) - bogus-simotukareのブログ
 そういえば、「真偽は不明ですが」、以前読んだ「噂の真相」記事に寄れば、あの「つくる会」がPHP研究所創始者松下幸之助)に「教科書出版の話」を持って行ったところ「松下製品*8不買運動中韓で起きかねないから無理」、サピオ小学館に持って行ったところ「ドラえもん中韓での営業に支障が出るから無理」と断られ、引き取ってくれるところが扶桑社しかなかったそうです。その扶桑社ですら「フジテレビが韓流ドラマを放送してるため」に乗り気でなかったと。
 その後、「教科書出版元が扶桑社でなく、育鵬社」になったのもフジテレビと付き合いのある韓国芸能事務所関係者から「扶桑社がフジサンケイグループであることは韓国では有名だ。このままではフジ番組にウチの芸能人を出すことは『あんな教科書を出すフジサンケイに媚びるのか』『それでも韓国人か!。そんなに金儲けが大事か!』『フジに出演させるな!』と非難されかねない。なんとかしてほしい。扶桑社以外で出せないのか」と泣きつかれた結果らしいです。
 ちなみにこの時にフジテレビが「産経と扶桑社は深いつながりがあるが、グループ企業とは言え、ウチは扶桑社とは大してつながりはない」とその場しのぎの強弁をしたのに対し、「扶桑社からフジテレビ番組の宣伝本が多数出てるのに何が関係ないんですか!」と反論されてしどろもどろになったとのこと。
 とはいえ「育鵬社は扶桑社の子会社(暴力団フロント企業みたいなもんで少し調べれば関係がモロバレ)」なので、「何だかなあ」ですが。本当はこれを機会にフジサンケイもつくる会と「完全に縁切りしたかった(外部の応援団ではあっても身内ではない関係にしたかった)」でしょうが縁切りできなかったわけです。
 それはともかく要するに何が言いたいかと言えば「金儲けは大事だ」ということですね。フジサンケイですら「扶桑社で教科書を出して何が悪い、あんたの所の芸能人がフジテレビに出たくないなら出なくていい!」なんて言えないわけです。その結果「育鵬社」が誕生する。

という過去の拙記事を紹介しておきます。PHPもさすがに「つくる会教科書」を出す「蛮勇」はなかったそうです。

*1:著書『イスラムのテロリスト』(2001年、講談社+α新書)、『世界のテロリスト』(2002年、講談社+α文庫)、『北朝鮮に備える軍事学』(2006年、講談社+α新書)、『日本の情報機関』(2007年、講談社+α新書)、『ビンラディン抹殺指令』(2011年、洋泉社新書y)、『イスラム国の正体』(2014年、ベスト新書)、『イスラム国「世界同時テロ」』(2016年、ベスト新書)、『教養としての「軍事戦略家」大全』(2020年、宝島社新書)、『超地政学で読み解く! 激動の世界情勢 タブーの地図帳』(2021年、宝島社)など。当初は大手「講談社」から著書を出していた黒井が「宝島社」と明らかに「格落ち」してるのには吹き出しました。

*2:著書『ミトロヒン文書KGB工作の近現代史』(2020年、ワニブックス

*3:著書『コミンテルンルーズヴェルトの時限爆弾:迫り来る反日包囲網の正体を暴く』(2012年、展転社)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(2016年、祥伝社新書)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(2017年、PHP新書)、『日本占領と「敗戦革命」の危機』(2018年、PHP新書)、『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』(2019年、PHP新書)、『日本は誰と戦ったのか:コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ』(2019年、ワニブックスPLUS新書)、『インテリジェンスと保守自由主義』(2020年、青林堂)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』(2020年、扶桑社)など

*4:2021年、PHP新書

*5:愛知学院大学教授。著書『昭和期地方政治家研究:静岡県政史断章』(2005年、成文堂)、『平等の時代』(2010年、成文堂)、『共産中国と日本人』(2016年、成文堂)、『原敬日記を読む』(2018年、成文堂)

*6:1931~2021年。読売新聞の先輩である作家・菊村到(1925~1999年)や、同僚だった作家・佐野洋(1928~2013年)の影響で記者をしながら小説を執筆。1966年に『風塵地帯』で日本推理作家協会賞を受賞し、読売新聞を退職し専業作家となる。1968年に『聖少女』で直木賞受賞(1967年下半期)。著書『政・財 腐蝕の100年』(講談社文庫)、『私説・沖田総司』、『特捜検事』(以上、中公文庫)、『増補版チェ・ゲバラ伝』(文春文庫)など(三好徹 - Wikipedia参照)

*7:目白大学特任准教授。著書『戦時統制とジャーナリズム:1940年代メディア史』(2010年、昭和堂)、『雑誌メディアの文化史:変貌する戦後パラダイム[増補版]』(編著、2017年、森話社

*8:つくる会教科書の「初版当時」はパナソニックではなく松下。