いま中国では人民の「愛国化」が進む。とくに若者の新入党員が増えていて、党員9500万人のうち35歳以下が4分の1を占めるという。
まあ「入党することによる人脈の利益」が大きな理由であり、必ずしも「政策支持」ではないようですが。
NHKの「クロ現」ではいま気鋭の中国ウォッチャー、ルポライターの安田峰俊さん*1をゲストに中国の若者の動向を取り上げていた。
興味深かったのが、アメリカなどへの留学組が続々と中国に帰り、体制側の人材として祖国の発展に貢献したいと思っていることだ。
2006年の帰国率はわずか31%だったのが、2019年には82%に増えている。
1989年の天安門事件のあと、
2008年、北京オリンピック
2010年、GDPで日本を抜いて世界2位に
(中略)と「(ボーガス注:経済的な)成功」を積み上げ、経済も右肩上がりの過程に今の若者は育ってきている。2050年にはほぼ確実にアメリカを抜いてGDP世界一になるはずだ。
留学組の若者の目からも、中国は明らかに成功していると見え、(中略)安田さんによると、政治に口を出さない限り、文化面も遊びも自由で、若者たちは抑圧されている感を持たないという。
「今の中国に限らず」大抵の国では「留学から帰国したエリート」は「高い地位に着ける」「高額給与」などで優遇しますからね。
「たとえ優遇されても、一党独裁の中国政府に協力したくない」「中国よりもっといい待遇の国があった」とかいう「帰国しない人」も中にはいるでしょうが、帰国者がいるのは当たり前の話です。まあ、「救う会の幇間」という「人間のくず・高世」に比べたら「留学から帰国したエリート」の方がずっとましです。「留学から帰国したエリート」が「中国近代化に貢献した」のに対し、高世は一体拉致問題で「何の貢献をした」のか?
番組が最後に、中国の落とし穴として挙げた不確定要素は、膨大な数の負け組の若者たちの存在*2と少子高齢化のスピードの速さだ。ただ不満が表面化しないように共産党はコントロールを強めるだろうから、すぐにほころびが出てくるとは思えない*3。
NHKや高世(特に高世)には「やれやれ」ですね。「程度の差こそあれ」、少子高齢化や格差問題は日本や欧米にもある話です。
そして、そうした問題について、もちろん「中国政府」は「格差是正(例えば社会保障制度の充実、累進課税強化などが考えられる)」「少子高齢化の弊害是正(子育て支援による少子化克服、移民導入など考えられる対応策はいろいろあります。日本の入管法改定(移民国家への方向性)もそうした少子高齢化への対応が一つの理由です)」の方向でいろいろと動くでしょう。
高世の「コントロールを強める」という表現では「是正という飴」のことは考えになく「もっぱら鞭ばかり」想定しているようですが。
きょうのニュースでは、民主派区議の大量辞職が報じられている。ちょっと長いが、今後を左右する出来事なので記事を引用する。
《香港の地方議会に当たる区議会議員(479議席)のうち、10日までの4日間で少なくとも150人以上が一斉に辞職を表明した。香港メディアが報じた。
区議会は、事件の容疑者を中国に移送できる逃亡犯条例改正案に反対するデモが相次いだ2019年の11月にあった選挙で、民主派が全議席の8割以上にあたる388議席を獲得した。しかし(中略)香港政府は区議会の制度改変に着手し、区議に政府への忠誠を宣誓させ「非愛国」とみなせば資格を剝奪できる条例改正案を今年5月に成立させた。
政府は改正条例に沿って、7月中に区議へ宣誓を求めるとの方針を表明。これを受けて香港紙明報の集計では、10日までの4日間で少なくとも153人の区議が辞職を表明した。19年の区議選で当選した民主派議員の半数以上がすでに辞職を表明する異常事態となった。
民主派でもあえて宣誓することで議会に残ろうとする区議もいる。しかし香港メディアによると民主派区議約230人は、かりに宣誓しても「条例の要求を満たしていない」として資格が剝奪されるとみられており、今後さらに辞職する議員が増える可能性がある。》
区議会での勝利から立法会での勝利へ、と民主派が描いた革命の構想はついえた。一昨年のあの勝利の熱気がうそのようだ。
まさに「蟷螂(とうろう)の斧」。彼らには、我々日本を含む海外の民主国家からの連帯が必要だ。
「欧米や日本における中国ビジネスの重要性」から「アンチ中国」の高世ですら「連帯」という曖昧な言葉しか書けないわけです。