今日の産経ニュース(2021年7月21、22日分)(副題:小林賢太郎の更迭他)(追記あり)

小林氏は解任なのに…「ナチスに学べ」発言も続投の麻生大臣に再批判(女性自身) - Yahoo!ニュース

「人を楽しませる仕事の自分が、人に不快な思いをさせることは、あってはならないことです。当時の自分の愚かな言葉選びが間違いだったということを理解し、反省しています」
 こうコメントしたのは、東京五輪パラリンピックの開閉会式で演出を担当することになっていた小林賢太郎氏(48)だ。
 過去にコントで「ユダヤ人大量虐殺ごっこ」と発言し、その動画がインターネット上で拡散されていた小林氏。国内のみならずアメリカに拠点を置くユダヤ系の人権団体からの非難もあり、7月22日に即刻解任された。組織委員会橋本聖子会長(56)は「外交上の問題もあり早急に対応」とコメントしている。
 そんななか麻生太郎*1財務大臣(80)のある発言も再注目を集めている。というのは、かつて麻生大臣もナチスにちなんだ失言をしていたためだ。
 『時事通信』によると麻生大臣は13年7月、憲法改正論議に関連し「ドイツのワイマール憲法もいつの間にか*2ナチス憲法に変わっていた。誰も気が付かなかった。あの手口に学んだらどうかね」と発言。ナチス政権の手法を肯定したとも取れるため批判が集まると、発言から3日後、こう釈明したという。
「誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」
 撤回の効果もあり、辞任はもちろん解任も避けることができた麻生大臣。そして今もなお、副総理や財務大臣といった重職に就いている。しかし、彼は08年9月から09年9月まで内閣総理大臣を務めたこともあるほどの人物。撤回したとはいえ、「ナチスの手口に学べ」とは、あまりに迂闊な発言ではないだろうか。
 そのためネットでは「麻生大臣はいいのか」と疑問視する声が上がっている。

 当然、こういう菅政権批判、麻生批判は出てくるでしょう。当たり前の話です。


◆「小林更迭」について菅政権の談話

ホロコーストに関して報じられた東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係者による極めて不適切な発言について(外務大臣談話)|外務省
 東京オリンピックパラリンピック競技大会の関係者であった小林賢太郎氏が、過去にホロコーストを揶揄する発言をしていたことが明らかになりました。
 ホロコーストの悲劇は人類史の中でも類を見ない残虐行為でした。小林氏の発言は、いかなる文脈や状況で行われたにせよ、極めて不適切であり、受け入れられるものではありません。また、オリンピック・パラリンピックが目指す「団結」、そして「共生社会の実現」という目標とも全く相容れないものと言えます。
 22日午前、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会橋本聖子会長は、同氏を即刻解任し、このような事態となったことを深くお詫びする旨発表しました。日本政府としても、オリンピック・パラリンピックの精神を体現する大会となるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。

 小林更迭について菅政権が慌てまくって火消しに躍起であることがうかがえます。しかし「森辞任」もそうですが、国内の批判だと無視したり、擁護したりしようとするのに海外の批判だと慌てて更迭したり、自発的辞任を求めたりする態度には心底呆れますね。


五輪開幕前日に演出の統括解任 相次ぐ不祥事で深まる混迷 - 産経ニュース

 大会組織委員会は内容を再検討した上で開会式を開催する意向を示しているが、小林氏は演出の統括的な立場。わずか1日で小林氏の関与をどこまで〝削除〟できるかは不透明だ。
 開会式をめぐっては、19日に楽曲制作を担当していたミュージシャンの小山田圭吾氏(52)が過去のいじめ告白で批判を浴びて辞任。小山田氏の楽曲は使用中止となったが、該当したのは冒頭の4分間程度だった。
 一方、小林氏は統括的な立場のため、「どこまで関わったといえるのか、線引きが難しい」と組織委関係者。橋本聖子会長は会見で「内容を協議しながら、全力をあげて最後の準備をしていく」と繰り返した。ただ、今回問題視されたのはホロコーストに関する言動のため、国際的な対応は避けられない。
 会見では外国メディアから「どれだけの自信をもって大会を成功できるといえるのか」と追及される場面もあった。

 当然、「更迭したのにこのまま開会式をやっていいのか?」「開会式はすべきではない」という話になります。ただし、五輪開会式は「予定通り実施」組織委が声明発表「小林氏が個別に手がけた部分はない」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュースということで組織委員会は「予定通り実施」としていますが。


開閉会式ディレクターの小林氏を解任 五輪組織委発表 - 産経ニュース

 東京五輪パラリンピック組織委員会は22日の記者会見で、開閉会式の制作・演出チームで「ショーディレクター」を務める小林賢太郎氏が過去にユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を扱った喜劇*3を演じていたことが非難されている問題で、小林氏の解任*4を発表した。

 小生は芸能に疎いので

小林賢太郎 - Wikipedia参照
 1996年、片桐仁*5とともにお笑いコンビ『ラーメンズ*6』を結成し芸能界デビュー。
 また、映像作家・小島淳二との映像製作ユニット「NAMIKIBASHI」、お笑い芸人・升野英知バカリズム)との大喜利ユニット「大喜利猿」、音楽プロデューサー・田中知之 (Fantastic Plastic Machine) との音楽ユニット「SymmetryS」としての活動も行っていた。

という小林某を知りませんがそれはさておき。
 「女性差別暴言で森辞任」「オリンピッグで佐々木辞任」「いじめ自慢で小山田や、のぶみ辞任」に続き「また辞任かよ。身体検査はやってないのか?」ですね。こうなると、小山田にせよ、のぶみにせよ、小林にせよ、まともなチェックは全くなく「組織委員会事務局の特定の人間(小山田らの知人友人)が候補者を提案したら」そのまま通る「ノーチェックではないのか」と疑いたくなります。
 どんな喜劇か解らないと評価も難しいですが、解任と言うことは

◆文春マルコポーロ(文春社長が引責辞任し、マルコは廃刊。閑職に左遷されたマルコ編集長・花田が文春を退社し、今の月刊「HANADA」編集長に至る)
産経新聞に掲載されたホロコースト否定論書籍の広告(産経が謝罪)

なみの酷い代物と言うことでしょうか。

【追記】
 ネット情報によればさすがに「ホロコースト否定論」ではなかったようです。
 ラーメンズ時代のコントでNHK『できるかな*7』をネタにしたもの。のっぽさんの扮装をした小林が、ゴン太くんの扮装をした相方(片桐)相手に「非常識で到底、NHKでは実現できない企画」を放言し、ゴン太くんが突っ込むというコントのようです。
 その「非常識企画」の一つが「ユダヤ人虐殺(ホロコースト)をのっぽさんお得意の図画工作で再現する」。まあ、不謹慎すぎますね。
 1998年のコント*8で「23年前の話」なので最近の話ではないのですが、「昔の話でも謝罪がない以上批判する」ということでしょう。
 つまりは

◆めぐみさん拉致を工作で再現するというコントで横田早紀江に抗議される
地下鉄サリン事件を工作で再現するというコントで、事件の被害者や遺族に(以下略)

のような話だったわけです。
 なお、小林単独の問題でなく、ラーメンズのコントだったと言うことで、当時の相方・片桐がORICON NEWS:片桐仁、小林賢太郎氏との不適切ネタを謝罪「非常識な人間だったと思います」 | 毎日新聞として謝罪コメントをマスコミに発表しています。


【阿比留瑠比の極言御免】議員処分に見える立民の体質 - 産経ニュース
 「女はいくらでも嘘をつく」暴言の杉田水脈を処分しない自民に比べれば、「処分が適切かどうか」はともかく、本多を処分した立民の方がずっとマシであり、阿比留のバカさにはいつもながら呆れます。


首相、パラリンピックの有観客開催に意欲 - 産経ニュース
 パラは1ヶ月後開催とはいえ、よくも非常識なことが言えたもんです。おそらく「都議選の自民不振(それとは逆に立民の躍進)」と「一都三県の感染者数高止まり」で無観客にはしたものの「最後の最後まで菅は五輪を有観客にしたかったのだろう」と言うことがうかがえます。


国民、立民との衆院選共闘覚書了承見送り 不満続出 - 産経ニュース
 立憲民主党に「共産党と共闘するな」などと言えばそりゃ袖にされるでしょう。何せ共産党が先日の都議選で19議席とったのに対し、国民民主はゼロ議席だったわけで、それで国民民主と共闘したがるわけがない。


「従軍慰安婦」不適切は「統一的見解」 加藤氏強調 - 産経ニュース
 不当な政治介入以外の何物でもなく心底呆れます。
 ただし「以前も書きましたが」昨今では「従軍慰安婦」と言う言葉は「従軍看護婦や従軍記者(どちらも自発的従軍)のイメージから、自主的なものと誤解される恐れがある」として

林博史
◆『日本軍「慰安婦」問題の核心』(2015年、花伝社)
【吉見義明】
◆『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年、岩波ブックレット)
◆『買春する帝国:日本軍「慰安婦」問題の基底』(2019年、岩波書店

ということで「菅自民とは違う理由」で使われない傾向にあります。


立民・川内氏「陛下が開会式で『中止』宣言を」投稿 - 産経ニュース
 「天皇の不当な政治利用だ」という批判を受けて削除しただけ「マシ」ですが、まともな政治家なら、そんな指摘を受けなくても、「違憲行為」とわかるわけで、川内のお粗末さに心底呆れます。そもそも「野党共闘で五輪中止に追い込む」というのが、まともな政治家と言うことでしょう。選挙で選ばれたわけでもない、世襲天皇に政治言動を期待するなど全く馬鹿げています。


【産経抄】7月21日 - 産経ニュース

 五輪に、またも厄災が降りかかった。パラリンピックの開会式を含めて楽曲制作の一部を担当していたミュージシャンの小山田圭吾さんの辞任である。かつて雑誌のインタビューで自慢げに語った、障害のある同級生に対する虐待行為が問題になった。

 産経には珍しくまともな記事かと思います。小山田のしたことは「告白」ではなく「自慢話」であり、「いじめ」ではなく「障害者への虐待行為」と言うべきでしょう。


小山田氏の起用、10年前にNHKに問い合わせ「本人反省している」 - 産経ニュース

 NHKは21日、小山田氏が(ボーガス注:番組音楽担当として)かかわるEテレの教育番組「デザインあ」について、放送を開始した10年前に視聴者から問い合わせがあったことを明らかにした。
 番組担当者が小山田氏の所属事務所に事実関係を確認したという。事務所から「本人が重々反省している」「後悔している」との説明を受け、放送継続を決めた。29年にも同様の問い合わせがあったが、23年の対応を踏襲し、放送を継続したという。
 一連の問題を受け、NHKはEテレで放送していた同番組と、(ボーガス注:小山田氏が番組音楽担当としてかかわる)「JAPANGLE(ジャパングル)」の放送を当面、中止。

 つまりは「10年前に小山田が断罪されてしかるべきだった」わけですが、NHK以外でも

小山田さん作の主題歌差し替え テレ東ドラマ「サ道」 - 東京オリンピック:朝日新聞デジタル
 テレビ東京20日、小山田さんが手がけたドラマの主題歌を差し替えると明らかにした。

ということで「小山田を敬遠する動き」がでてきたようです。
 遅きに失したとはいえ、小山田への批判の高まりを素直に喜びたい。

*1:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、外相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)、首相、第二~四次安倍内閣副総理・財務相などを経て菅内閣副総理・財務相

*2:既に当時から麻生への批判がありますが「国会議事堂放火事件」(1933年、社民党共産党を弾圧)「長いナイフの夜事件」(1934年、SA最高幕僚長レーム、シュライヒャー・前ドイツ首相、グスタフ・フォン・カール元バイエルン州総督(ナチスミュンヘン一揆が鎮圧された頃のバイエルン州首相)などを暗殺)などの反ヒトラー派弾圧があるので、「いつの間にか」では全くない。

*3:喜劇と言っても『男はつらいよ』『釣りバカ日誌』のようなストーリー喜劇ではなく、どうも朝日放送てなもんや三度笠藤田まこと財津一郎出世作)』、日本テレビシャボン玉ホリデー植木等のギャグ『お呼びでない?』で知られる)』、フジテレビ『ドリフ大爆笑』、『志村けんのバカ殿様』、NHK『となりのシムラ』、ベンジャミン伊東(伊東四朗)のデンセンマンのようなコントのようですが。

*4:今回「辞任(過去の件はすべて辞任ですが)ではなく解任」なのは「小林が辞任提出を拒否した」という話ではなく「解任でないと国際的批判を免れない」という組織委員会の理解でしょう。

*5:2009年のラーメンズ活動休止後は俳優、声優、あるいはお笑いコンビ『エレキコミック』とのお笑いユニット『エレ片』として活動(片桐仁 - Wikipedia参照)

*6:2009年に活動休止状態。2020年に小林が正式に芸能界引退(ただし俳優、お笑い芸人など演技者としての引退であり、脚本家、演出家としては活動を継続)を表明したことで正式に解散。

*7:NHK教育テレビで1970年4月から1990年3月まで放送(できるかな - Wikipedia参照)

*8:1995年にマルコポーロ廃刊事件が起こってるので、小林的には「タイムリーな時事ネタ」を入れたつもりなのでしょう。