日本もミャンマーに標的制裁を - 高世仁の「諸悪莫作」日記
内容的には拙記事珍右翼・高世仁に突っ込む(2021年8/4日分)(副題:今日も高世に悪口する) - bogus-simotukareのブログで取り上げたミャンマー少数民族組織が民主派を「スパイ」容疑で逮捕 - 高世仁の「諸悪莫作」日記の続きです。
ロシアは武器市場として軍事利権が、中国は経済利権があり、国軍のクーデターを追認している。二つの常任理事国がこれでは、国連は動けない。
中露が支援しているという意味では冷戦時代から中露と付き合いがある「北朝鮮」がそうであり、だからこそ「日本の対北朝鮮経済制裁」など「中露の北朝鮮経済支援のために無力」であり、「拉致解決」の効果などないであろう事は「当初から和田春樹氏など、制裁懐疑派、消極派、反対派が指摘したところ」ですが、2002年の小泉訪朝から18年も続く拉致敗戦を前に、高世もいい加減「経済制裁の無意味さ」を認めたらどうなのか。
なお、イスラエル問題では「常任理事国・米国がイスラエルをかばって国連が機能不全」なので中露「だけ」が悪いという単純な話ではない。
「常任理事国の拒否権」を廃止すべきではないか、という話でしょう。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は、加盟10カ国*1の全会一致での意思決定が原則で、タイ、カンボジア、ベトナムなどが足を引っ張って明確な態度を打ち出せないでいる。
◆タイ
最近、一応、軍事独裁から民政への移管がされたが、政権与党は「親軍部」。未だに軍の政治力が大きい
◆カンボジア
フンセン首相が独裁色を強める
◆ベトナム
共産党一党独裁
ですからねえ。下手に、欧米のミャンマー批判に同調して、「自分らの独裁的な政治への批判」が強まることを恐れてるのでしょう。おそらく「ミャンマーの経済利権」もあるのでしょうが。
ミャンマー問題に詳しく、私もお世話になった根本敬*2上智大教授は以下のように提言している。
◆4月16日、不服従運動の広がりを追い風にして、クーデターで政権を奪われた(ボーガス注:アウンサンスーチーを指導者とする)与党の国民民主連盟(NLD)と(ボーガス注:新しいモン州党 - Wikipedia、タアン民族党 - Wikipedia、カレンニー民族進歩党 - Wikipediaといった)親NLD系の少数民族政党が中心となり、国民統一政府(NUG)が結成された。
いまミャンマーには、正統性ゼロでも国土の8割を支配する国軍(クーデター政権)と、オンライン政権とはいえ国民の支持を得ている正統政権のNUGがある。
仲裁外交が全く機能しないなか、現状を改善に向かわせる方法としては、国際社会ができる限り一致して、正統性に決定的に欠ける国軍と国軍幹部個人、それを支える関係企業に対する標的制裁を行なうことが必要だ。日本は2019年度の(ボーガス注:対ミャンマー)ODA1900億円の縮小や停止を検討している。これはとりあえず日本の最大の準制裁カードだが、まずは完全実施をすべきだ。そして、国軍が、暴力停止、拘束者の解放、NUGとの話し合い開始など、妥協の姿勢を見せるのであれば、段階を踏みながら停止を解除するなどの基準を設けることが大事だ。
並行して正統性を有するNUGとの関係を強化することも大切で、日本政府もNUGとの交渉を開始すべきだ。(月刊『世界』8月号の根本論文『危機のなかのミャンマー:機能しない仲裁外交から標的制裁へ』より)
ということで今回の高世記事は「根本論文を概ね支持」と言う内容ですのでまずは根本論文を読んだ方がいいでしょう(俺は未読です)。高世の紹介だけでも、根本氏が「軍政批判」の立場にあることは解りますが。
9月の国連でのミャンマーの代表権確定で加盟国は「踏み絵」を踏むことになるが、日本政府にとっても正念場だ。「太いパイプ」などと思わせぶりはやめて、明確な態度を見せるべきだろう。
高世の言う「明確な態度」とは「代表権問題で、日本はNUGを支持しろ」と言う話でしょう。