今日の産経ニュース(2021年8/20日分)

「大福密約あった」篠原文也氏 - 産経ニュース

 福田赳夫元首相の生涯と実像に迫った「評伝 福田赳夫*1 戦後日本の繁栄と安定を求めて」(五百旗頭真監修、岩波書店)が、福田氏が大平正芳*2元首相との間で交わしたとされる「大福密約」を「存在しなかったのではないか」と記述した、と7月17日付本紙朝刊で紹介したところ、政治解説者の篠原文也氏が当時の取材をもとに「密約はあった」と反論した。

 そりゃ福田康夫*3元首相が「父・赳夫はそんなもんはないと言っていた。田中*4派、大平派の人間や、一部の元・福田派の人間(密約の立会人を務めたと自ら認めている園田直*5のこと)があると言っているだけだ」と言ったところで信用できる話ではない。康夫氏も本心ではあったと思ってるでしょう。
 岩波本の著者もどこまで本心かどうか。というのもこの本、福田赳夫氏の日記などかなりの資料を康夫氏から提供されてるからです。
 そういう借りがあるので「存在しなかった可能性がある」と言ってるだけではないか。
 「ありもしないものを田中や大平、園田直などが『ある』と言って、多くの人間がそれを信用した」と考えるより「密約したのにそれを反故にしたい福田が後から『田中や大平などが何を言おうがそんなものは知らない』と強弁してる」と見る方が自然です。
 密約存在を証言した人間のうち、園田直にいたっては福田は「元の親分」です。
 園田が嘘をついてまで元親分・福田を裏切って、田中や大平にへいこらしてるとみるのは自然ではない。
 勿論、福田が強弁してると多くの人間が見なすのは、そんな密約はしたところで『政権たらい回し』『政権私物化』の批判を受けるので『田中や大平が堂々と表に出せる代物ではない(従って密約がはっきりした文書の形になったかも怪しい)』からです。
 『どうせ反故にしたって、表に出せやしない』『表に出したところではっきりした証拠などないからうやむやにできるし、「福田は禅譲しろ」という意見が強いとは限らない。「嘘つきの福田も酷いが政権私物化の大平も酷い。どっちもどっちだ」となれば俺にとってダメージはない』ということで、福田が「反故にしよう」と思っても不思議ではない。
 ただし、今回反論してる篠原氏は「政治記者」とはいえ、園田直のような「密約の場に立ち会った当事者ではない」ので、「反論として今ひとつ」ではあります。言ってることは「当時、我々、政治記者は関係者への取材の結果、密約があると思っていた。『ある』という田中、大平派や園田氏の主張の方が『ない』という福田派の主張より信用性がある」という話ですから。

 
石破茂氏 総裁選への対応「口の端に上らせるべきでない」 - 産経ニュース
 「総裁選があるなら出馬の意思は勿論ある」「総裁選をいつにするかは、党内の多数意見に従うべきだと思う。私から衆院選前とか後とか言うことは避けたい。石破にとって有利な時期を言ってると思われたくない」と言うかと思いきや、「衆院選後でもいいんじゃないか。今コロナが深刻な時期で政治空白作るとまずいし」だそうです。
 「?」と思いましたがしばらく考えて「こういうことかしら」と思ったことを書いておきます。
1)「これ以上干されたくない」というひるみ
 「衆院選前にやっては」と言って「そんなに総裁になりたいか!」と菅の反感を買ってこれ以上干されたくない。どうせ自分が何を言おうが、総裁選時期は菅ら執行部が決めること。ならば「衆院後でもいいんじゃないか(おそらくそれが菅の希望でもある)」といっておこう。党内が「衆院選前でなければダメだ」という意向が強ければ俺の発言に関係なく菅は衆院選前にやらざるを得ない。
2)「衆院選後の方がむしろ俺、石破にとって有利じゃね?。」的考え
 今の状況なら「与党過半数割れ政権交代」は仮にないとしても、「自公の議席大幅減、野党の議席大幅増」が予想され、「参院選敗北による橋本首相退陣」のような菅の退陣は不可避。菅を支えてきた二階幹事長や麻生副総理・財務相の政治力も落ちるだろう。その方が俺にとっては有利かもしれない。
 正直、今、総裁選をやって、仮に俺が総裁になれたとして、安倍と菅がめちゃくちゃにしたコロナ状況を大幅に改善して支持率アップ、選挙勝利はきつい。「コロナ終息による支持率アップ、選挙勝利を目指して、そのための時間をたっぷりとるため」に任期満了後の総選挙にしても果たして勝てるかどうか。今総裁になっても「今の惨状はほとんど安倍と菅の責任で、干されてた俺は関係ない」のに「総選挙の時の総裁」てだけで引責辞任を迫られかねない(おそらく俺に含むところがある安倍などは『自分がコロナ感染を助長したこと』は棚に上げてそう言うだろう。あげく自分の再々登板を画策するかもしれない)。それじゃたった数ヶ月の総裁じゃないか。ばかばかしくてそんな総裁になりたくない。衆院選前に仮に総裁選があるとしても出るかどうかは慎重に見極めよう。


【一聞百見】女性を育て、社会を変える 前大津市長・越直美さん(1/4ページ) - 産経ニュース
 失礼ながら

1)1975年生まれ
2)2期8年で政治家(大津市長)引退
3)在任中は若手女性政治家としてそれなりに注目される
4)弁護士

という点で「山尾志桜里」を連想しました(3,4は山尾と完全に一致。山尾は、1)については1974年生まれ、2)については約12年で政治家引退予定(次の衆院選には出馬しないことを表明))。
 つうことで以下、越氏には「大変恐縮」ですが山尾の話になります。

 今年2月に、同じ三浦法律事務所に所属する松沢香弁護士とともに株式会社「OnBoard(オンボード)」を設立

ということで、越氏が「今の活動」について述べられていますが、「政治家を引退する」という山尾が果たして越氏のように「新しい活動」についてメディア相手に述べる日が来るのはいつの日か?。正直「無料パス不正使用疑惑」「不倫騒動」「愛知から東京への国替えを画策して愛知の支持者の激怒を招く」の山尾では「新しい活動をまともに語れる日が来る」ようにはとても思えません。山尾のような奴を見ると「野党共闘候補(特に旧民主党系)も何だかなあ」感は否定できません。いや、一応、菅批判派として野党共闘候補を支持はするつもりですが。


日本ハム中田を巨人がトレード獲得 暴力行為で出場停止処分 - 産経ニュース
 「無償トレード」「日本ハムの主力選手」とは言え「暴力事件で日本ハムから処分を受けた人間」を巨人が獲得するのも「トラブルの元にならないか?」という意味で驚きだし、「暴力事件で処分」とはいえ、「主力選手のトレードが無償」を日本ハムが認めたというのも驚きです。


漫画家のみなもと太郎さん死去 「風雲児たち」 - 産経ニュース
 ということで彼のライフワークである「風雲児たち」は以前から危惧されていましたが、結局「未完」となったわけです。過去においても、場合によっては「未完作品を継続し、完結させる」なんてこともありますが、彼の場合、作風があまりにも特殊なので無理にそれをやることは原作レイプにしかならないでしょう。
 しかし「74歳(1947~2021年)」というのは「人生80年時代では早死に」でしょうが、以前も別記事で書きましたが

【誕生年順】
手塚治虫(1928~1989年、60歳)胃がん
藤子・F・不二雄藤本弘:1933~1996年、62歳)肝臓がん
石ノ森章太郎(1938~1998年、60歳)リンパ腫

ということで「戦後日本漫画界のレジェンドたち」が実は「みなもとの年齢」どころではないレベルで「軒並み早死にしてる」のを見ると「早死になのに随分と沢山の作品を生み出したものだ」と改めて思いますね。
 何せ

石ノ森章太郎 - Wikipedia
 2008年にギネス・ワールド・レコーズにおいて手塚治虫の「講談社手塚全集」全400巻の記録を「石ノ森萬画大全集」全500冊(KADOKAWA)によって更新、「世界一多作な漫画家」に認定。

ですからね。
 一方で、藤本と同年代の「藤子不二雄A我孫子素雄、1934年生まれ)」は存命な訳で、こういうのは「生まれつきの体質(遺伝要因)」と「日頃の節制(環境要因)」ということになるのでしょう。


【主張】教員免許更新制 教育再生の流れ止めるな - 産経ニュース

 幼稚園と小中高校などの教員免許に10年の有効期限を設けた教員免許更新制について、文部科学省が廃止する方向で検討に入った。中央教育審議会の答申を得て、来年の通常国会に関連法改正案を提出する考えだ。

 これについてはけっきょく教員ばかりか自治体ほかも迷惑しただけだ(教員免許の更新) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきます。自民党系の千葉県知事など「左翼でない人間」からも「現場の負担が重いのに対してメリットが少ない。廃止するか負担軽減して欲しい(まあ、彼らにとってベストは廃止でしょうが)」という意見が出ている以上、「そうした方向性」は不可避でしょう。もはやこの問題は「左右のイデオロギー対立」などではない。
 なお、産経ですら「左翼の言いがかり」等とは居直れず

 現行の制度に見直しの余地がないとは言わない。大学などで開催される講習を30時間以上、自己負担で受講しなければならず、教員が負担に感じているのも確かだ。文科省の調査では、講習を受講した教員の5割以上が内容面に満足しながら、時間や費用を含めた総合的満足度は低く、約6割が不満を抱いていた。
 オンラインで受講できるようにしたり、費用を公費負担にしたりすれば、教員の評価も大きく変わるはずだ。期間も10年ごとではなく、1~2年ごとに短時間の講習を積み重ねていく方式にしてはどうか。

として「負担が重い、つうなら『通学しなくてもオンライン講習』『講習時間を短くする』『費用を国や自治体で持つ』など軽くするからなくさないで下さい」と懇願してるあたり、「敗色濃厚」なことを自覚してるのでしょう。
 しかし

 近年、安倍政権に対する批判から、これまでの政策を覆そうとする動き*6が一部にみられる。

ねえ。本心は「更新制度が有益かどうかなど関係ない。導入した安倍前首相の面子を潰すな」であることがモロバレです。とはいえ「菅首相(安倍政権で官房長官)」「加藤官房長官(安倍政権で自民党総務会長や厚労相)」「萩生田文科相安倍時代からの留任)」ですら「そんな安倍の個人的感情に付き合えるか」なのでしょう。

【参考:廃止論の社説(赤字強調は小生)】

社説:教員免許の更新制廃止 押し付けた政治の責任だ | 毎日新聞2021.7.14
 学校の教員に10年に1度の講習を義務付けた「教員免許更新制」が廃止される見通しとなった。
 本来の目的が果たされず、弊害ばかりが目立つ結果となっている。廃止は当然だ。
 当初から「10年に1度の講習に実効性があるのか」と教育現場には疑問の声があった。政治が押し付けた制度だったことが招いた失敗と言わざるを得ない。

社説:教員免許更新 弊害多く、廃止が妥当だ|文化・ライフ|社説|京都新聞2021.7.25
 10年ごとに講習を義務付ける「教員免許更新制」について、文部科学省が廃止する方向で検討している。導入当初から在り方や効果が疑問視され、学校現場の重い負担を考えれば廃止が妥当であろう。
 長時間勤務など厳しい労働環境が改善されない中、休みを返上して受講せざるを得ない講習が教員の負担を増幅させているという。多忙な教員の働き方改革にも逆行する。
 加えて、3万円程度かかる受講料や交通費は、教員の自己負担となる。うっかり更新手続きを忘れて、失職する教員も後を絶たない。
 文科省の教員へのアンケートでは、6割近くが更新制に不満を訴えた。講習内容が「現実と懸け離れ、実践的ではない」といった指摘が目立ち、効果を疑問視する声は根強い。学校現場の実感として当然だろう。
 教員不足に拍車を掛けているとの懸念もある。定年前に更新を迎えれば、早期退職の動機になる。退職した人の多くは免許を更新せずに失効しており、産休や病気休職を補う代替教員としての復職を阻んでいる。
 導入から10年余りが経過し、免許更新制の弊害が目立っている。自民党内には、なお存続を求める意見があるというが、現場の実態を直視すべきだ。制度の見直し、廃止に向けた検討は遅きに失したと言える。

教員免許更新制 廃止に併せ検証必要だ:北海道新聞 どうしん電子版2021.8.1
 文部科学省は小中高校や幼稚園などの教員に10年ごとの講習を義務付ける「教員免許更新制」を廃止する方針を固めた。
 講習の効果自体にも疑問符が付き、マイナス面ばかりが目立つ。
 廃止は当然である。

 教員は約3万円かかる講習費を自己負担し、受講するために長期休暇などのまとまった時間を割く必要があった。面積が広大な道内では移動や宿泊も重荷だった。
 文科省による現役教員の調査では、8割超が負担を感じ、6割弱が講習内容に不満を持っていた。
 講習の頻度が10年に1度では技能向上に結びつかない、各教育委員会による研修内容と重複する―といった現場の指摘も当初から上がっていた。もっと早く対応する必要があったのではないか。
 文科省は来年の通常国会で廃止に必要な法改正を目指す。国会の論議を通じ、教訓を探るべきだ。

【参考終わり】


【世界を解く】劣勢の民主主義 「21世紀」暗雲 細谷雄一氏 - 産経ニュース

 「新しい世紀」が2021年に始まった。英歴史学者のホブズボーム*7第一次世界大戦勃発の1914年からソ連崩壊の91年までを、米ソ冷戦を中心とする一つの時代に区分し、「短い20世紀」と呼んだ。私が「短い21世紀」と呼ぶ「新しい世紀」は米国と中国、民主主義国家と専制国家の対立が、その構造となる。ミャンマーにおける軍事政権の成立と、アフガニスタンにおけるタリバンの実権掌握は、民主主義が劣勢となっている兆候ともいえる。

 ここで「エジプト軍によるムルシ政権打倒クーデター(2013年)」が出てこないあたり「何だかな(呆)」ですね。
 「反民主主義的な動き」なら、「2021年のミャンマークーデター」以前にもいろいろある。そしてそれらを「米国と中国、民主主義国家と専制国家の対立」と見なすことは適切ではない。たとえばエジプト軍政を欧米は容認してるわけです。


【主張】靖国神社参拝 首相は内政干渉を退けよ - 産経ニュース
 そもそも日本国内にも批判派はいます。
1)政教分離原則に抵触する
2)あの戦争を「反省するなら」、あの戦争を美化する靖国を参拝すべきでない
と言った意味で仮に「外国政府の抗議」がなかろうとも靖国参拝などすべきではない。
 戦没者の追悼施設なら千鳥ヶ淵があるし、別記事今日の産経ニュース(2021年8/15日分) - bogus-simotukareのブログでも書きましたが

戦没者でも「彰義隊や白虎隊」「西南戦争西郷隆盛」といった賊軍は祀らない(亀井静香*8などが『白虎隊など賊軍も祀るべきだ』といっても靖国は無視)
戦没者ではないのに「安政の大獄で死刑になった吉田松陰橋本左内」「吉田東洋暗殺の罪で死刑になった土佐勤王党首領の武市半平太」「池田屋事件新撰組に殺害された長州藩士・吉田稔麿」「寺田屋事件薩摩藩に粛清された薩摩藩士・有馬新七」「天狗党の乱を起こし死刑になった武田耕雲斎」「京都見廻組に暗殺された坂本龍馬中岡慎太郎」「東京裁判で死刑になった東条英機元首相」などが祀られてる

靖国は「殉難者顕彰施設」ではあっても「戦没者追悼施設」ではありません。

 先の大戦中に(ボーガス注:東条、小磯内閣で)外相を務め、「A級戦犯」として禁錮7年となった重光葵(まもる)は昭和25年に釈放され、31年には(ボーガス注:鳩山一郎内閣)外相として国連総会で日本の国連加盟受諾を演説

 やれやれですね。重光の外相就任が、「侵略被害国」中国などにとっていかに不愉快でも、まさか「演説するな」というわけにもいかないでしょう。こんなことが「戦犯を合祀した靖国に参拝してもいい」なんて理由になるわけもない。
 以前は「戦犯が合祀されていても美化してない、追悼してるだけ」と言っていたのがついにここまで居直るようになるとは。

*1:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*2:池田内閣官房長官、外相、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、蔵相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*3:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*4:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*5:自民党国対委員長(池田、佐藤総裁時代)、佐藤内閣厚生相、福田内閣官房長官、外相、大平内閣外相、鈴木内閣厚生相、外相など歴任

*6:「具体的に何のこと?。野田の夫婦別姓主張、稲田のLGBT法案、公明党の反対でぽしゃった中国非難決議とか?」ですね。勿論、文脈から見てこれは「野党側」にではなく「菅政権」にあるいは「一部与党議員に」でしょう。

*7:1917~2012年。著書『イギリス労働史研究』(1968年、ミネルヴァ書房)、『反抗の原初形態:千年王国主義と社会運動』(1971年、中公新書)、『反乱と革命』(1979年、未來社)、『資本の時代 1848-1875(1)(2)』(1981~1982年、みすず書房)、『産業と帝国』(1984年、未來社)、『市民革命と産業革命』(1986年、岩波書店)、『素朴な反逆者たち:思想の社会史』(1989年、社会思想社)、『帝国の時代 1875-1914(1)(2)』(1993年、1998年、みすず書房)、『ナショナリズムの歴史と現在』(2001年、大月書店)、『匪賊の社会史』(2011年、ちくま学芸文庫)、『破断の時代:20世紀の文化と社会』(2015年、慶應義塾大学出版会)、『いかに世界を変革するか:マルクスマルクス主義の200年』(2017年、作品社)、『20世紀の歴史(上)(下)』(2018年、ちくま学芸文庫)など(エリック・ホブズボーム - Wikipedia参照)

*8:村山内閣運輸相、橋本内閣建設相、自民党政調会長(小渕、森総裁時代)、国民新党代表、鳩山、菅内閣金融等担当相など歴任(亀井静香 - Wikipedia参照)